ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP17 庭のライガー

 ~駒王学園 中庭~

 

 木々に囲まれた広場でゼノヴィアと白音、イリナと祐斗が相対していた。白音はアーシアを侮辱された事で怒りを顕にし、祐斗は何故か何時もと違い冷静さを欠いている様に見える。

 

 

「さてリアス・グレモリー。こんな所で派手に戦って大丈夫か?」

 

 

「安心して、この辺りには結界が張られてるわ」

 

 

「いやそうじゃなくて、白音が戦うと周りに被害が………」

 

 

「一応、人除けや攻撃に対しての結界を張ってるから大丈夫だと思うけど。彼女が妖怪とはいえ、そこまでの力があるとは思わないわ」

 

 

「はぁ……これだから実戦も知らない甘ちゃんは……」

 

 

「なんですって!?聞き捨てならないわね!!」

 

 呆れた様に零がそう言うと、リアスがその言葉に反応する。

 

 

「まぁ……俺の言葉が正しいって直ぐに分かる」

 

 それを聞くと、リアスは視線はゼノヴィア達に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~白音side~

 

「今の内にアーシア先輩に謝るなら許して上げます」

 

 白音が静かにそう言うが、ゼノヴィアは布に包んでいたエクスカリバー・デストラクション(破壊の聖剣)を構えた。

 

 

「それはそのつもりはないって事ですか……」

 

 

「当然だ、異端者に異端だと言って何が悪い」

 

 

「そう…………なら、少し痛い目に合って貰います」

 

 白音はそう言うと、ポケットから首輪を取り出し自分の首に巻いた。すると、頭に猫耳が、スカートの下からは白い尻尾が現れた。

 

 

「ライ、力を貸して……」

 

 首輪についている、銀色の何かの形を模した獅子か虎の様な飾りが光る。

 

 

 《ガアァァァァァァ!》

 

 

「なんだ!?」

 

 ゼノヴィアは何処からか聞こえてきた獣の咆哮に驚き、周りを見るが何もいない。白音の方に視線を戻すと、首輪の飾りから出た光が白音を包み込んでいた。

 光が消えると、白い鎧に身を包んだ白音の姿が現れる。頭部に獅子と虎を掛け合わせた様な獣の頭部を模した兜が装着された。

 

 

『白音~他の装備は使っちゃ駄目だぞ。此処じゃ被害が出ちまうから』

 

 

「はい、分かってます」

 

 零の声が聞こえてくると、白音はそう返事を返すと、構えを取る。すると、両腕に装備されていた金色の爪が展開された。

 

 

「行きます」

 

 白音はそう言うと、両手を付いた。その恰好はまるで獣の様な姿だ。

 

 

「来るなら来い、かえr…ガッ!?」

 

 喋ってる途中で白音の姿が消えた。そして何時の間にかゼノヴィアの目の前に現れ、その爪を振り下ろした。ゼノヴィアはなんとか、エクスカリバー・デストラクション(破壊の聖剣)でなんと受け止める。白音の力が凄まじかったのか、5mほど吹き飛ばされる。

 

 

「なっ!?なんだ!この馬鹿力は!?ッ……完全に防いだはずなのに手が痺れる」

 

 ゼノヴィアは先程の白音の一撃で痺れている様だ。

 

 

「アーシア先輩を馬鹿にしたこと、許せません」

 

 頭部の鎧のフェイスバーが展開すると、両手の金色の爪が光り輝く。

 

 

「ッ!(アレは拙い!アレを喰らったらやられる!)」

 

 

「すとr「こらっこらっ、それをするとあの娘が八つ裂きになるから止めなさい」分かりました。それよりも時間、いいんですか?」

 

 再び駆け出そうとした白音を止めた零。爪の光も止まり、白音を包む鎧も消えた。

 

 

「あっ……しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 零は何かに気付き、天を仰ぎ叫ぶ。その叫びに全員が凝視する。

 

 

「どっどうしたんだ?」

 

 一誠が零に何があったのか、尋ねると死んだ様な瞳で一誠を見た。その目で見られた一誠は「ひぃ」と小さく悲鳴を上げる。

 

 

「白音、直ぐに行くぞ!アーシアも!!」

 

 

「はい」

 

 

「はっはい!」

 

 3人は慌ただしく、その場を離れる。去る間際に零はゼノヴィアに視線を向ける。

 

 

「次にアーシアを侮辱したら塵1つ残さず消すぞ、女」

 

 そう言うと、再び走り始めた。

 

 

「いっ一体なんなんだ?」

 

 ゼノヴィアは唖然としている。

 

 

(アレがあの子の力……どうみても規格外。惜しいわね……どうにか此方に引き込めないかしら?でもそんな事したら…彼の怒りをかいそうね…どうしたらいいかしら?)

 

 リアスはそう考えながら、零達の背を見ていた。

 

 

 祐斗とイリナの勝負は途中より、ゼノヴィアが加わり祐斗の敗北で終わった。そして明かされた祐斗の秘密。

 かつての大戦で折れてしまったエクスカリバー。それを打ち直し7つの聖剣となった。そして教会は聖剣の適性を持つ子供達を集め、実験を行った。それが露見しそうになり、教会側は子供達を処分した。その生き残りが祐斗である。そのため、祐斗は聖剣を憎んでいる。主(聖書の神)の為、誰かの為にと信じていたのに、最後には裏切られ仲間達は殺された。聖剣に復讐する為に悪魔となった。

 

 

 勝負が終わった後ゼノヴィアとイリナはある再び外套を纏った。

 

 

「此方としては邪魔さえしなければそれでいい。それよりもさっきのアイツは何なんだ?急に飛び出して行って……あの白いのも人間ではなかったな」

 

 

「彼は『伝説の戦士』よ。白い子は彼の家族らしいわ……」

 

 

「彼が『伝説の戦士:ライディーン』……えっ?」

 

 

「『ライディーン』ねぇ……えっ?」

 

 

「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」

 

 2人は零が『ライディーン』と聞くと、叫び声を上げる程驚いている。

 

 

「あわわわわわ………大変だよ、ゼノヴィア!もっもし!本当に彼が『伝説の戦士:ライディーン様』ならわっ私達!あの方の怒りを買っちゃったんじゃ?」

 

 

「おおおおおお落ち着け!イリナ、悪魔の言う事だ。偽りということも………いや……でも……もし本当なら教会側が滅ぼされても」

 

 2人は二天龍を一撃で倒した零の怒りを買う→教会側・天界が敵だと思われる→教会・天界の崩壊。という想像をした様だ。

 

 

「流石にレイだってそんなこと……あっでも身内に関わるとアイツ凄くキレるな」

 

 一誠がそう言うと、2人は頭を抱えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~天王理家~

 

 

「……………………(ゴゴゴゴゴッ」

 

 

「………ガクッガクッ」

 

 天王理家のドアの前で無表情のオーフィスが立っている、心なしか不機嫌な様だ。その横で震えている黒歌。

 その様子を遠くから見ていた零、白音、アーシア。

 

 

「あの、オーフィスちゃんはなんであんなに不機嫌そうなんでしょう?」

 

 

「ご主人様は今日はオーフィスとお出かけの予定だったんです」

 

 

「えっそうなんですか!?すっすいません!私なんかのために…」

 

 申し訳なさそうに俯いてしまう。それを見た零は、アーシアの頭を撫でる。

 

 

「アーシアが気にする必要はない。俺は家族を侮辱されて黙ってるほど温厚な性格でもないからな。それに今回は白音が戦ったわけだし」

 

 

「そうです、アーシアが気にする必要はありません。私だって家族を侮辱されて大人しくしてるなんてできません」

 

 

「零さん、白音ちゃん………ぐすっ……ありがとうございます」

 

 アーシアは涙を流しながら笑う。

 

 

「さて……当面の問題はオーフィスだよな。見つかったらたいh「零、見つけた」!?」

 

 3人が上を見上げると、冷たい眼をしたオーフィスが浮いていた。

 

 

「おっオーフィス……いや…あの……これはその」

 

 零はなんとかオーフィスの機嫌を直そうと思考を働かせる。

 

 

「我、待ってた」

 

 

「あっはい……」

 

 

「我、今日楽しみだった」

 

 

「うん、本当にごめん。今回は俺のミスだ、言い訳はしない」

 

 零は両手を上げていると、

 

 

「ちっ違うんです!オーフィスちゃん、これには事情が」

 

 

「?」

 

 オーフィスは首を傾げてアーシアを見た。学園であった事を聞かされたオーフィス。

 

 

「我、そいつら消しにいく」

 

 

「おっオーフィスちゃん、そんな事しちゃ駄目です!」

 

 アーシアを侮辱したゼノヴィア達を消しに行こうとするオーフィス。オーフィスが言うと、ゼノヴィア達だけでなく街1つくらいは巻き込んで吹き飛ばしそうな気がする。

 

 

「オーフィス、お前がするとこの街を完全に吹き飛ばすだろう……そいつ等については取り敢えず解決しているから止めとけ」

 

 

「それだけじゃない……我と零の時間を邪魔した」

 

 オーフィスの身体から黒いオーラが立ち昇り、地面にヒビが入る。白音や黒歌、アーシアはオーフィスの力が強大な事を肌で感じていた。

 

 

「落ち着け……明日は一日、お前に付きやってやるから」

 

 

「明日……一日、ずっと?」

 

 

「うん、ずっと」

 

 

「分かった。我慢する」

 

 オーフィスは明日、零が1日中一緒に居る事で納得した様だ。オーラが消え、先程まで発していた力も消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~天王理家内~

 

 何とかオーフィスを落ち着かせた一同は食事の準備をしていた。

 

 

「零さん、リアスさんが言ってた『伝説の戦士』って」

 

 食事の準備をしていたアーシアは昼間に聞いた事を零に尋ねる。

 

 

「アーシア、それってアレかにゃ?三勢力が戦争していた時に、いきなり天から現れた金色の戦士のことかにゃ?」

 

 黒歌が伝説の戦士のことを知っていた様だ。

 

 

「はい、それがリアスさん……オカ研の部長さんが零さんが『伝説の戦士:ライディーン』だって」

 

 

「それと『天照大御神の息子』とも言ってました」

 

 

「天照大御神って……あの天照かにゃ?」

 

 

「どうなんですか、ご主人様?」

 

 オーフィス以外が零を凝視する。今までずっと傍に居た零が『ライディーン』『太陽神の息子』だといきなり言われれば驚くのも無理はない。

 

 

「まぁ信じて貰えるかは分からないけど……取り敢えず説明するとしようか」

 

 零は自分が原初世界の住人で、原初の神の息子であること、この世界に来た経緯、この世界に来た時に偶々いた、二天龍を倒してしまった経緯も話した。それを聞いたオーフィス以外は唖然としていた。

 

 

「って事はご主人様も神なのかにゃ?」

 

 

「半分は人間、半分は神。と言うか俺もハッキリ分からないんだよね。まぁどうでもいい話なんだが」

 

 

「それってどうでもいい話なんですか?」

 

 

「俺の母様が何者であれ、俺を愛し育んでくれた事に変わりはない。神で在ろうと邪神であろうともね…まぁ溺愛され過ぎるのも困ったものだけど……」

 

 何やら遠い目をして外を見ている零。

 

 

「それにしても驚いたにゃ、ご主人様がそんな存在だったなんて………」

 

 

「我、零がなんでもいい。零は零……我はそれでいい」

 

 オーフィスの言葉に全員が頷いた。

 

 

「他の奴には黙っておいてくれ………一応母様には原初世界の事は他の世界の奴等には言わない様に口止めされているから」

 

 

「よっ良かったんですか?私達にその様な大切な事を教えられても?」

 

 

「別にいいよ。他にさえバレなければそれでいい………それにしても贋作とはいえ聖剣か(そう言えば木場祐斗、アイツは何か抱えてるな。憎しみだけじゃなく、アイツの秘密ね……少しだけ調べてみるか)」

 

 

 《私のお願いしたこともお願いしますよ。後、お腹が空きました。ご飯を下さい》

 

 

「はぁ……何かと忙しくなるな……」

 

 零はそう言うと、オーフィスを撫でながら雨雲に覆われた夜空を見ていた。




・ライガーゼロ

【ゾイド】の世界のメカ生命体。その世界にて零が手に入れた個体。

ライガーゼロは元々はライオン型の機体であったが、零の【ソウルコード】によって鎧として登場している。

白音に譲渡されており、零から貰った首輪に付いている。普段は白音が大切に身に付けている。

ライガーゼロは戦況に合わせて装備を変更する事で対応する。それはこのソウルコードとなっても同様で、戦況により装備を変更する事が可能。

白音は装備する事で力と速度が数倍に跳ね上がり、獣としての本能も目覚め、反応速度と感覚が鋭くなる。

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