ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP14 我の居場所【オーフィス編】

 ~天王理家宅 リビング~

 

 我はオーフィス。我の望みはグレードレッドを倒し、次元の狭間に帰ること。

 

 でもこの所、おかしい。我、次元の狭間に帰る事がどうでも良くなってきた。その原因は我を撫でている、人間なのか神なのか分からない存在の性。

 

 

 

「零」

 

 

「どうしたオーフィス?」

 

 リビングでソファーに座りながら自分を撫でている零に声を掛けた。

 

 

「何でもない……」

 

 

「そうか…(なでなでっ」

 

 

「ん………」

 

 我、零に撫でられるの心地いい。ずっと撫でられててもいいと思うくらい、気持ちよい。零と一緒にいると胸が温かくなる。

 そう言えば、零と会ったのは何時だったか?そうアレは10年くらい前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~10年前 天王理宅 近く~

 

 

「ふぅ~やっと買い物が終わった。さて帰ってご飯を作らないと2人が待ってるな」

 

 

「お前なに?」

 

 零が振り返ると、そこには黒い服を着た少女が居た。

 

 

(あっ厄介な事に巻き込まれそうな予感……でも可愛い)

 

 零はそんな事を考えながら、少女を見ている。

 

 

「お前、なに?我と同じ無限の力を複数感じる……人間?」

 

 

「えっと……種族的には半分は人間かな。君は誰?」

 

 零はそう答えると、少女が何者か尋ねる。

 

 

「我、オーフィス。無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)

 

 

「ぁ~……無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)か。それで俺に何の用かな?」

 

 

「我、次元の狭間に帰りたい。でもグレードレッドが居て帰れない。だからグレードレッド倒す、けど我だけじゃ倒せないからお前の力を借りたい」

 

 

 ぁ~要約すると、俺の力に気付いた龍神様は俺の力を使ってグレードレッド…真なる赤龍神帝(アポカリプス・ドラゴン)を倒して次元の狭間に帰りたいと言う事か。でも次元の狭間って何も無い【無】そのものだよな。そんな所に帰ってどうするつもりだろう?

 

 

「それで君は次元の狭間に帰ってどうするつもりだ?」

 

 

「我、故郷に帰って静寂を得たい」

 

 

「それから?」

 

 

「それから?………どうもしない」

 

 

「ぁ~なるほど……そう言う事か(この子、自分の感情が何のかは分かってないけど‥…寂しい目をしている)」

 

 その強大なる力故に他の者からは畏怖の対象となる。かつて、俺自身もこの強大な力の性で他者から畏れられ、襲われた事もある。それ故の孤独か……俺には俺を受け入れてくれる母様や仲間達がいたけど、この子には居ない。

 確か本棚では禍の団(カオス・ブリケード)の連中に利用されているんだったか……この子から力を貰っておいて、実際は何もしないなんて………こんな可愛いくて無知な子を利用するなんて……アレ…何だろう。凄く腹が立ってきたんだけど……よし、決めた。

 

 

「えっと……俺は今は動く訳にはいかないけど、時期がくれば力を貸してあげてもいいよ」

 

 

「今は無理……なら力を貸すまで待つ」

 

 

「俺は天王理 零。よろしくなオーフィス」

 

 

「ぜろ……我、覚えた。零の傍にいる。ん?」

 

 オーフィスはそう言うと、零が手に持っている袋に気付いた。

 

 

「ん?これが気になるのか……これは唯の鯛焼きだ」

 

 

「たいやき?」

 

 オーフィスは首を傾げ、袋の中を覗く。中には出来立ての鯛焼きが一杯入っていた。

 

 

「魚?」

 

 

「形はそうだけど……まぁ食べれば分かるか」

 

 零は鯛焼きを1つ取ると、オーフィスの口に入れた。

 

 

「!……もぐっもぐっ。ゴクッ……美味」

 

 オーフィスはそう言うと、鯛焼きの袋を物欲しそうな目で見つめる。

 

 

「……はぁ、仕方ない。でも此処じゃアレだし公園にでも行くか」

 

 零はオーフィスを連れて、近くの公園にやってきた。

 

 

 

「もぐっもぐっ」

 

 零はベンチにちょこんと座りながら、もぐっもぐっと鯛焼きを食べるオーフィスを見ていた。

 

 

「…うん……これは中々……いや中々どころか、凄く可愛い!可愛いは正義だ!なのでこれはこれでよい!!(パシャ!パシャ!」

 

 零は何処から出したのか、カメラでオーフィスの写真を撮り始めた。

 

 

「零、なにしてる?(もきゅもきゅ」

 

 

「オーフィスは気にせずに食べていていいよ」

 

 

「ん、我、食べる(もぐっもぐっ」

 

 オーフィスは鯛焼きを食べ続けている。それを零(見た目6歳くらい)が写真を撮り続けている。

 

 

「ふぅ~」

 

 満足な顔でやりきった表情をして、汗を拭いている零。その表情は直ぐに何かを感じたのか、鋭い表情に変わった。

 

 

「此処にいたか、オーフィス」

 

 零が周りを見回すと、周りに十数体の悪魔達と茶髪の男が立っていた。

 

 

「なんだ此奴等?というか、人が可愛いを満喫していた所なのに……」

 

 零がそう言って、鬱陶しそうな顔をしていると突然光に包まれると消えた。

 

 

「目障りだ、人間の子供……死ね。帰るぞ、オーフィス。我等には目的がある」

 

 

「シャルバ」

 

 どうやら悪魔を引き連れてきた男はシャルバというらしい。

 

 

『全く、いきなり次元の狭間に送るなんて物騒じゃないか』

 

 

「なに!?」

 

 声が響くと、オーフィスの横に穴が開き零が出て来る。その光景を見るとシャルバは驚いている。

 

 

「俺だからよかったものの、普通なら『無』に飲まれて死んでるぞ?」

 

 

「貴様……ただの人間の子供ではないな!?」

 

 

「まぁ……半分は神かな。と言うかオーフィス、此奴等は知り合い?」

 

 

「シャルバ……我に協力するって言った。だから我も蛇を与えた」

 

 うん……分かった。此奴等が諸悪の根源だな。こんな可愛い子を利用しようなんて………消滅させても別にいいよね?答えは聞いてないけど。

 

 

「お前等、オーフィスを利用するだけ利用して後は知らんぷりするつもりだろ?」

 

 

「なに!?」

 

 シャルバは図星を言われた様で驚いている。

 

 

「と言う訳で……悪魔共よ、聞くがいい。銀河の星々が砕ける音を」

 

 零から黄金のオーラが立ち昇り、周りに宇宙空間が現れる。真っ暗な空間に輝く星々、そして浮かぶ惑星があった。

 

 

「【メモリーコード:ギャラクシアンエクスプロージョン】!」

 

 両手を交差させると、零の周りの惑星が全て爆発する。そしてその爆発にシャルバを含めた悪魔達を飲み込んだ。

 

 

「なっなんだこれは!?………にっ人間にこんなことが!?ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 シャルバと悪魔達は惑星の爆発と共にこの世から消滅した。

 

 

「ん?あのシャルバとかいう男、転移で逃げたか……まぁいい、小物は何時でも倒せる………なぁオーフィス」

 

 

「?」

 

 

「お前の居場所はどこにある?帰るべき場所はどこにあるんだ?」

 

 

「……我の居場所?帰るべき場所?……我……ない……何処にいけばいい?零は知ってる?」

 

 

「居場所がないなら、俺がお前の居場所になってやる。お前が帰ってきたら俺が、「おかえり」って言ってやるよ。お前が本当に自分の帰る場所を見つけるまでな!」

 

 そう言って、零はオーフィスに手を伸ばす。そしてオーフィスは零の手を取る。

 そして、その日から零の家に住む事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~現在に戻る~

 

 

 

 零が我の帰る場所になった………とても暖かい。白音、黒歌、アーシア、我の家族になった。

 

 これまで皆、我を避けていた。でも零も白音も黒歌もアーシアも我を受け入れた、胸がポカポカする。そして、見つけた零の上は我の居場所。やっと見つけた、家族。

 

 我、この日常がずっと続けばいいと考えている。何時の間にか次元の狭間に帰ることがどうでもいいと思ってきた。我、この日常は壊す者、絶対に許さない。もし壊す者がいたら………我が倒す。

 

 

 

 

 

 

「オーフィス、どうかしたのか?」

 

 何時の間にか、オーフィスの身体から凄まじい力が溢れていた。自分の膝の上に座っているオーフィスから発せられた力を直に受けていた零。

 

 

「ん………何でもない、撫でて」

 

 オーフィスが上目づかいで言った。

 

 

「もぅ…オーフィスは可愛いなぁ~」

 

 零はそう言いながら、オーフィスを撫でている。

 

 

「我の居場所(ぼそっ」

 

 

「なんか言ったか?」

 

 零の言葉にオーフィスは首を横に振って答えると、撫でられる心地よさに身を任せて目を閉じる。


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