ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~天王理家宅 リビング~
我はオーフィス。我の望みはグレードレッドを倒し、次元の狭間に帰ること。
でもこの所、おかしい。我、次元の狭間に帰る事がどうでも良くなってきた。その原因は我を撫でている、人間なのか神なのか分からない存在の性。
「零」
「どうしたオーフィス?」
リビングでソファーに座りながら自分を撫でている零に声を掛けた。
「何でもない……」
「そうか…(なでなでっ」
「ん………」
我、零に撫でられるの心地いい。ずっと撫でられててもいいと思うくらい、気持ちよい。零と一緒にいると胸が温かくなる。
そう言えば、零と会ったのは何時だったか?そうアレは10年くらい前だった。
~10年前 天王理宅 近く~
「ふぅ~やっと買い物が終わった。さて帰ってご飯を作らないと2人が待ってるな」
「お前なに?」
零が振り返ると、そこには黒い服を着た少女が居た。
(あっ厄介な事に巻き込まれそうな予感……でも可愛い)
零はそんな事を考えながら、少女を見ている。
「お前、なに?我と同じ無限の力を複数感じる……人間?」
「えっと……種族的には半分は人間かな。君は誰?」
零はそう答えると、少女が何者か尋ねる。
「我、オーフィス。
「ぁ~……
「我、次元の狭間に帰りたい。でもグレードレッドが居て帰れない。だからグレードレッド倒す、けど我だけじゃ倒せないからお前の力を借りたい」
ぁ~要約すると、俺の力に気付いた龍神様は俺の力を使ってグレードレッド…
「それで君は次元の狭間に帰ってどうするつもりだ?」
「我、故郷に帰って静寂を得たい」
「それから?」
「それから?………どうもしない」
「ぁ~なるほど……そう言う事か(この子、自分の感情が何のかは分かってないけど‥…寂しい目をしている)」
その強大なる力故に他の者からは畏怖の対象となる。かつて、俺自身もこの強大な力の性で他者から畏れられ、襲われた事もある。それ故の孤独か……俺には俺を受け入れてくれる母様や仲間達がいたけど、この子には居ない。
確か本棚では
「えっと……俺は今は動く訳にはいかないけど、時期がくれば力を貸してあげてもいいよ」
「今は無理……なら力を貸すまで待つ」
「俺は天王理 零。よろしくなオーフィス」
「ぜろ……我、覚えた。零の傍にいる。ん?」
オーフィスはそう言うと、零が手に持っている袋に気付いた。
「ん?これが気になるのか……これは唯の鯛焼きだ」
「たいやき?」
オーフィスは首を傾げ、袋の中を覗く。中には出来立ての鯛焼きが一杯入っていた。
「魚?」
「形はそうだけど……まぁ食べれば分かるか」
零は鯛焼きを1つ取ると、オーフィスの口に入れた。
「!……もぐっもぐっ。ゴクッ……美味」
オーフィスはそう言うと、鯛焼きの袋を物欲しそうな目で見つめる。
「……はぁ、仕方ない。でも此処じゃアレだし公園にでも行くか」
零はオーフィスを連れて、近くの公園にやってきた。
「もぐっもぐっ」
零はベンチにちょこんと座りながら、もぐっもぐっと鯛焼きを食べるオーフィスを見ていた。
「…うん……これは中々……いや中々どころか、凄く可愛い!可愛いは正義だ!なのでこれはこれでよい!!(パシャ!パシャ!」
零は何処から出したのか、カメラでオーフィスの写真を撮り始めた。
「零、なにしてる?(もきゅもきゅ」
「オーフィスは気にせずに食べていていいよ」
「ん、我、食べる(もぐっもぐっ」
オーフィスは鯛焼きを食べ続けている。それを零(見た目6歳くらい)が写真を撮り続けている。
「ふぅ~」
満足な顔でやりきった表情をして、汗を拭いている零。その表情は直ぐに何かを感じたのか、鋭い表情に変わった。
「此処にいたか、オーフィス」
零が周りを見回すと、周りに十数体の悪魔達と茶髪の男が立っていた。
「なんだ此奴等?というか、人が可愛いを満喫していた所なのに……」
零がそう言って、鬱陶しそうな顔をしていると突然光に包まれると消えた。
「目障りだ、人間の子供……死ね。帰るぞ、オーフィス。我等には目的がある」
「シャルバ」
どうやら悪魔を引き連れてきた男はシャルバというらしい。
『全く、いきなり次元の狭間に送るなんて物騒じゃないか』
「なに!?」
声が響くと、オーフィスの横に穴が開き零が出て来る。その光景を見るとシャルバは驚いている。
「俺だからよかったものの、普通なら『無』に飲まれて死んでるぞ?」
「貴様……ただの人間の子供ではないな!?」
「まぁ……半分は神かな。と言うかオーフィス、此奴等は知り合い?」
「シャルバ……我に協力するって言った。だから我も蛇を与えた」
うん……分かった。此奴等が諸悪の根源だな。こんな可愛い子を利用しようなんて………消滅させても別にいいよね?答えは聞いてないけど。
「お前等、オーフィスを利用するだけ利用して後は知らんぷりするつもりだろ?」
「なに!?」
シャルバは図星を言われた様で驚いている。
「と言う訳で……悪魔共よ、聞くがいい。銀河の星々が砕ける音を」
零から黄金のオーラが立ち昇り、周りに宇宙空間が現れる。真っ暗な空間に輝く星々、そして浮かぶ惑星があった。
「【メモリーコード:ギャラクシアンエクスプロージョン】!」
両手を交差させると、零の周りの惑星が全て爆発する。そしてその爆発にシャルバを含めた悪魔達を飲み込んだ。
「なっなんだこれは!?………にっ人間にこんなことが!?ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
シャルバと悪魔達は惑星の爆発と共にこの世から消滅した。
「ん?あのシャルバとかいう男、転移で逃げたか……まぁいい、小物は何時でも倒せる………なぁオーフィス」
「?」
「お前の居場所はどこにある?帰るべき場所はどこにあるんだ?」
「……我の居場所?帰るべき場所?……我……ない……何処にいけばいい?零は知ってる?」
「居場所がないなら、俺がお前の居場所になってやる。お前が帰ってきたら俺が、「おかえり」って言ってやるよ。お前が本当に自分の帰る場所を見つけるまでな!」
そう言って、零はオーフィスに手を伸ばす。そしてオーフィスは零の手を取る。
そして、その日から零の家に住む事となった。
~現在に戻る~
零が我の帰る場所になった………とても暖かい。白音、黒歌、アーシア、我の家族になった。
これまで皆、我を避けていた。でも零も白音も黒歌もアーシアも我を受け入れた、胸がポカポカする。そして、見つけた零の上は我の居場所。やっと見つけた、家族。
我、この日常がずっと続けばいいと考えている。何時の間にか次元の狭間に帰ることがどうでもいいと思ってきた。我、この日常は壊す者、絶対に許さない。もし壊す者がいたら………我が倒す。
「オーフィス、どうかしたのか?」
何時の間にか、オーフィスの身体から凄まじい力が溢れていた。自分の膝の上に座っているオーフィスから発せられた力を直に受けていた零。
「ん………何でもない、撫でて」
オーフィスが上目づかいで言った。
「もぅ…オーフィスは可愛いなぁ~」
零はそう言いながら、オーフィスを撫でている。
「我の居場所(ぼそっ」
「なんか言ったか?」
零の言葉にオーフィスは首を横に振って答えると、撫でられる心地よさに身を任せて目を閉じる。