ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP12 母の名と勝負

 ~フェニックス家 婚姻会場~

 

 突然に飛び込んできた、零の母と零と一誠の登場に会場にいる悪魔達は騒ぎ始める。零達は真っ直ぐ進み始めた。

 

 

「なっ何だ貴様等は!今すぐにつまみ出せ!」

 

 ライザーの近くに立っていた男がそう言うと、近くに居た悪魔達が零達に襲い掛かった。

 

 

「まっ待て!」

 

 ライザーはそれを止めようとする、理由は至極簡単な事だ。零がいるからだ、先のレーティングゲームで身をもって味わった圧倒的な力を知っているからだ。

 

 

「下がれ下郎共!【ソウルコード:エミヤ】!」

 

 零が母の前に出ると、自らの力を発動させ赤い服に変わると無数の剣を出現させた。剣は零達を中心に円を描く様に床に突き刺さる。悪魔達が近付くと、周りにある剣から光が放たれ悪魔達を吹き飛ばした。

 

 

「ふん……魔王殿は何処だ?出て来ぬので在れば、この辺り一帯を吹き飛ばすぞ」

 

 零は剣を消すと、悪魔達に向かってそう叫ぶ。零がその気になれば本当にこの辺り一帯、というよりこの冥界そのものを消し去る事さえも可能であろう。

 

 

「あらあら、駄目ですよ零。そんな乱暴な事をしてはなりませんよ。私達は話し合いに来たのですから」

 

 零の母がそう言う。この会場にいるリアスとライザーとその眷族であり、その圧倒的な力を目の当たりにしたレイヴェルとユーベルーナは顔を青くする。もしこの会場で先に使ったゼオライマーの力を使われれば間違いなく自分達は消滅する。即ちそれは零の怒りを意味する、この女性が零の母と知らない者達は最悪の事態を考えた。母と知っている一誠でさえも、そんな事を言って大丈夫なのかと内心心配している。

 

 

「はい……母様。申し訳ありません、以後気をつけます」

 

 

「やっぱり貴方は良い子ですね」

 

 

「はっ母様、俺は子供じゃないんですが」

 

 

「あら、私からすれば貴方は何時になっても可愛い息子ですよ」

 

 零はソウルコードを解除すると母に対し謝った。すると零の母は零の頭を撫で始める。零は恥ずかしさで顔を真っ赤にしているが、何やら満更でもない様な雰囲気を出している。

 

 

「はっ母様、早く事を終わらせましょう」

 

 

「あらそうでしたね……えっと魔王サーゼクス・ルシファー殿は何処においでですか?」

 

 零の母は手を離すと、会場の向かってそう言った。するとリアスの隣にいた赤い髪の青年が歩いてきた。

 

 

「私がサーゼクス・ルシファーです」

 

 その男はルシファーの名を名乗る魔王の1人であり、リアス・グレモリーの兄もでもある。

 

 

「見た所名のある方とお見受けしますが…本日は我が妹の婚姻式、それを壊す様な事して」

 

 サーゼクスがそう言うと、零の母はニッコリと笑う。

 

 

「あらあら自己紹介が未だでしたね。私は天照と申します」

 

 その名を聞いて会場がざわめき始めた。天照……天照大御神、太陽の神にして日本神話の主神である女神だ。悪魔達はそんな神が何故、此処にいるのか謎であった。そして恐怖する、彼の神が放つ光は聖なる光。今は故意に力を押さえているのだろう。もし彼の神が本当の力を解放すれば悪魔達は天照の光で消滅してしまうからだ。

 

 

「日本の主神が私に何の用ですか?」

 

 サーゼクスは平然な表情で対応しているが、身体からは目には見えないが魔力が溢れている。

 

 

「貴方にというより悪魔達にですけどね。これまで幾度も其方にコンタクトしたのですが悉く無視されてしまいましたから、今日は此方から出向いた次第です。我等が領土に無断で侵入し、そこで悪魔の契約などを行ったこと……日本の神々が把握してないとでも思いましたか?」

 

 それを聞くと、サーゼクスの眉がピクリと動く。

 

 

「我等にとって人間の信仰はなくてはならないもの。人間は普段は目に見えないからこそ我等を信仰し、畏れる。我等は時に巫女を通し神託を与える。時には人間に力を貸す事も在りました。そして奇跡が起きれば人間は我等に感謝する。現代では信仰する人間が少なくなってきたとはいえ、我等はそうして信仰を広げてきました。なのに………其方は勝手に領土に入ってきて、好き勝手にしているのはどうなのでしょうか…魔王殿?」

 

 笑顔のままの天照であるが、覇気のある声で言い放つ。

 

「えぇ……確かに貴女の言う通りかも知れません。今までの非礼はお詫びしましょう」

 

 そう言うとサーゼクスは天照に頭を下げた。その行動に他の悪魔達は驚いている。相手が神とはいえ、何故魔王が頭を下げているのだろう?と。

 しかし、魔王であるサーゼクスは理解していた。目の前の神は今まで会った神とは別次元の存在であることを。

 

 

「では魔王殿、これからはちゃんと我等との話し合いの場を持つと約束してくれますね?」

 

 

「えぇ……勿論です」

 

 

「ほっ…貴方が賢明な方で安心しました。私達も無駄に争いをしたくはありませんので……しかしこれまでの事を含めてのお詫びとして1つ私の言う事を聞いて頂けないでしょうか?」

 

 

「私にできる事であれば…なんでも」

 

 それを聞くと、零は前に出た。

 

 

「この子は私の息子なのですが、先日其方のゲームに参加した様で……実はそのゲームの結果が不服な様で、勝負のやり直しを要求したいのです」

 

 サーゼクスはそれを聞くと、零を見る。

 

 

「なに、別に俺自身が戦う訳じゃない。戦うのは此奴」

 

 そう言うと零の母が神だと聞いて唖然としている一誠の腕を掴み前に出した。

 

 

「此奴はリアス・グレモリーの眷族で【赤龍帝の篭手(ブースデッド・ギア)】だ、とは言えまだまだ弱い。だから俺はあくまで援護、そこの焼き鳥には『攻撃』はしない。試合形式はどちらかがリタイアするか、死ぬかで勝敗を決めるってのでどうだ?」

 

 

「……ライザーくん、どうかな?」

 

 

「そっそれは………」

 

 ライザーは渋る。既に先のゲームで受けた傷は治癒し精神も回復した。しかし、援護だけとは言え圧倒的な力を見せた零がいるからだ。

 

 

「それとも負けるのが怖いから止めとくか?別にいいぞ……種を撒く事しか能がない鳥野郎だって言いまわるから」

 

 

「きっ貴様ぁ!いいだろう!受けてやろうじゃないか!その代わり、俺のその小僧に勝ったら一生俺の召使いとして生きて貰うぞ!」

 

 

「あぁ……いいだろう。勝てればだけどな……(ニヤッ」

 

 零は不敵な笑みを浮かべていた。


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