ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP11 婚姻に介入。そして母の登場。

 ~レーティングゲーム直後 天王理家~

 

「…………」

 

 無言のままムスッとした表情で零はゲームのコントローラーを持った白音を膝に乗せながら頭を撫でている。オーフィスは零の横でお菓子を食べながら白音とゲームをしている。黒歌は猫の状態で零の頭の上に乗っていた。

 

 

「零、機嫌悪い?」

 

 ゲームをしていたオーフィスがそう尋ねた。

 

 

「少しな……今回、あの悪魔共誘いに乗ってゲームに出たはいいが、内容が胸糞悪い。それにこのままじゃ色々と問題があるし、気に喰わない」

 

 そう一番の問題はこのままではリアス・グレモリーがあの焼き鳥と結婚するって事だ。俺は別にいいんだけど、このままじゃ何も考えもなしに一誠が突っ込んでいくだろうからな。

 

 因みに気絶していた一誠は家まで送ってやった。初めての実戦で疲れが出たんだろう、というより力を使い過ぎて殆ど体力が残って無かった様だ。アーシアも疲れていたのと爆発の衝撃で気を失ったらしい。今は部屋に寝かせている。勿論、2人とも無傷で助けたけどね。

 

 あの爆発、ゼオライマーの力でアーシアは助けられたものの、一誠が遠く離れていた。それをリアス・グレモリーが自分と入れ替わる形で引き寄せた。その結果、ゼオライマーのバリアの外に出ていたリアス・グレモリーは爆発を真面に受けリタイア。今回は俺のミスだな、遊ばずにさっさと片しておけばよかった。

 

 一誠の為にも何とかしてやるか。確か式は3日後だったか。あの焼き鳥野郎に赤っ恥かかせてやる。フフフ、フハハハハハハ!!!

 

 

 

「ご主人様、耳元で五月蠅いです。」

 

 

「あっごめん……」

 

 どうやら声に出てたらしい。

 

 

「さてと……あっそう言えば…使えるな。」

 

 零は何かを思い出したのか、白音と黒歌を降ろし立ち上がると何処かに電話した。

 

 数分後電話が終わると、白音達に少し出掛けると言うとそのまま出て行った。

 

 

 

 ~???~

 

 うぅ……此処は何処だ?真っ暗だ、俺は何をしてたんだったか?

 

 兵藤一誠は真っ暗な空間で目を覚ました。

 

 

【やっと起きたか】

 

 

「誰だ?!何処に居る!?」

 

 聞こえてきた謎の声に向かいそう叫ぶと、自分の周りに炎が燃え上がり、その声の主が姿を現した。赤い体に、緑色に光る眼、巨大な翼、それを見て一誠はドラゴンだと直感した。

 

 

「だっ誰だお前は!?」

 

 

【こうして顔を合わせるのは初めてだったか。俺は赤龍帝ドライグ】

 

 

「赤龍帝って事は俺の神器の……」

 

 赤龍帝ドライグ、それはかつて聖書の神が畏れた二天龍の内の1匹の龍だ。

 

 

【兵藤一誠、これから何を求めるなら力をやろう、代償は払ってもらうがな。俺としてはお前に力を付けれ貰わないと俺と白いのとの目的が果たせないからな。貴様がどこまで行けるか、貴様の中から見せて貰うぞ!ガアァァァァァ!!】

 

 ドライグは咆哮を上げると、一誠はその凄まじさに意識を手放した。

 

 

 

 

 

 ~3日後 一誠の部屋~

 

 

「うわぁぁ!?…あれ?此処は俺の部屋?」

 

 一誠が目を覚ましたのは自分の部屋だった。

 

 

「やっと起きたか」

 

 目を覚ますと、零が椅子に座り自分の事を見ていた。

 

 

「れっレイ、一体何が在ったんだ?そうだ…レーティングゲームは?!」

 

 

「落ち着け、説明してやるから」

 

 そして零から説明を受けた。今日はレーティングゲームから3日が経ったこと、ゲームに負けた事、リアス・グレモリーの婚姻のこと。それを聞いた一誠は直ぐに動こうとするが、零に止められた。

 

 

「たわけ、今の状態で行ってどうするつもりだ?それにどうやって冥界まで行くつもりだ?」

 

 

「呑気な事を言ってられるか!このままじゃ部長が!」

 

 

「少し落ち着け……お前が寝ていた3日の間に準備はしておいた。堂々と婚姻式に行けるようにな」

 

 

「えっ?…レイ?」

 

 

「今回の敗因は俺のミスもある。あの焼き鳥野郎をさっさと倒していれば良かったんだが、少しお遊びが過ぎた。だから俺もお前に協力する……少し準備してくるからお前も用意をしておけ」

 

 

「あっあぁ……」

 

 零は一誠の部屋を出ていった。零が出ていくと一誠は左手を見た。

 

 

「おい、聞こえているんだろう?」

 

 

【ほぉ……それで何の用だ?】

 

 左手の甲に緑色の光が灯る。そして声が響いた。

 

 

「このままじゃ俺は奴には勝てない。だから力が欲しい……何でもくれてやる。力を寄越せ」

 

 

【それは構わんが……もう二度と戻れなくなるぞ?】

 

 

「だとしても部長は泣いていた………あんなの見せられて黙ってられるかよ!」

 

 

【いいだろう。その覚悟受けとった。代償としてその左腕貰うぞ】

 

 一誠は自分の中に宿る二天龍の片割れ、赤龍帝と取引した。現在の力ではライザーには届かない、ならば無理にでも力を手に入れる。それが一誠の選択。その代償は己が左腕を龍と化す事で力を手に入れる。

 

 一誠の左腕は代償として龍のものとなった。そして代わりに1つの力を手にした。

 

 

 

 

 

 

 

 ~一誠の部屋の前~

 

 

「やはりそう選択したか……己が腕を代償とし力を手にするか。その覚悟しかと見せて貰った一誠」

 

 零は言の次第を部屋の扉の前で聞いていた。

 

 

「なれば……我もまたお前に力を貸してやる。その力で何を手にし、守るか見届けさせて貰うぞ」

 

 零は懐から紙を取り出した。筆で何か書かれている。

 

 

「後は向こうがどう出るか……まぁ無理なら力ずくで行くけどな」

 

 そう言うと、零の一瞬で前に部室で見せた白い衣に変わると部屋に入る。

 

 

 

 

 

 

「準備できたぞ」

 

 

「俺も準備は出来た何時でもいいぞ!」

 

 一誠も準備が出来ていたのか、零にそう答えた。すると2人の足元に金色の魔方陣が浮かび上がる。

 

 

【この魔方陣は?!まさか貴様は!?】

 

 一誠の中のドライグが叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~冥界 フェニックス家前~

 

 フェニックス家の前に魔方陣が浮かび上がり、零と一誠が現れる。

 

 

「えっ!?此処どこ!?」

 

 

「フェニックス家の前だ。ほれっ行くぞ……おっと正装してるのに装飾品を忘れてた」

 

 零が指を鳴らすと頭に太陽を模した金色の冠、首には幾つもの勾玉の付いた首飾りが現れる。

 

 

「というか前から思ってたけど、その恰好はなんだ?」

 

 

「こういう場合には正装しないといけないんでな。一応、代表だからね」

 

 

「代表?なんの?!」

 

 

「後に分かる。後、俺がいいというまで暴れてくれるなよ。分かった?絶対にだ」

 

 零が力を発しながらそう言うと、一誠は圧されて「はい」としか言えなかった。

 

 

『あらあら、そんなに怒っては駄目ですよ零』

 

 声が響くと、一誠は眩い光を感じ、目の前に白い衣を着た黒髪の女性が現れた。女性の頭には零と同じ太陽を模した金冠、勾玉の首飾りがあった。

 

 

「母様、俺に任せるのではなかったのですか?」

 

 

「今回は我等と悪魔側との交渉の席でもあります。主神である私がいないと始まらないでしょう?」

 

 

「しかし……いぇ…ありがとうございます?」

 

 

「なっなぁ……この人、誰?話を聞く限り、お前の母親?」

 

 

「あぁ…俺の母様」

 

 

「どうみても一児の母には見えないんだけど……と言うか、結構むn『次に母様をその目で見れば存在ごと消すぞ?』ごっごめんなさい」

 

 一誠が零の母の胸を何時も様な女子に向ける目線で見た瞬間、零が剣を一誠の首元に当てた。一誠が謝ると剣は消えた。

 

 

「あらっ貴方が兵藤一誠さんですね。何時も息子がお世話になっています。私は零の母です、宜しくお願いします」

 

 零の母はにっこりと笑みを浮かべ、一誠に挨拶する。

 

 

「あっはい、宜しくお願いします(あれ?さっき主神って言ってた様な?)」

 

 

「では行きましょうか」

 

 

「はい、母様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~婚姻会場~

 

 

「皆様良くぞお集まりくださいました!では今回の主役、我が花嫁リアス・グレモリーを紹介しましょう!」

 

 ライザーが来賓の前でそう言うと、魔法陣と共にリアスが現れる。勿論、会場に居るのは全て悪魔だ。

 

 

「さぁ、リアス。皆さんに挨拶を」

 

 ライザーはリアスに厭らしい目をしながらそう言う。しかしリアスは横を向いたままだった。

 

 

「わたっ……!?」

 

 リアスが何かを言おうとした瞬間、会場にいた全ての悪魔が圧倒的な力を感じた。そして扉が開かれると、眩い光が差しこんできた。

 

 

「なんだ!?」

 

 悪魔の全員がその光を受け感じる。これは悪魔にとっては致命的な聖なる光であると、邪を浄化する光であると。

 光が納まると、そこには零の母と零、一誠がいた。

 

 

「零。悪魔の皆さんはどうしたのでしょうか?」

 

 唖然とする悪魔達の様子をみて、零の母がそう呟いた。

 

 

「恐らく、母様の力と光に驚いているんでしょう」

 

 零はそう呑気に言う母にそう答えた。


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