ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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第2章 戦闘校舎のフェニックス
EP8 ホスト野郎に喧嘩を売りました


~駒王学園 オカルト研究部 部室~

 

 アーシアの事件が解決し数週間。アーシアもこの学園に通っている。転入当初はアーシアの「レイさんの家でお世話になっています」発言で一時期クラスの男子達から常時睨まれていた零。

 本人は全く気にしていなかったが、満面の笑みで零の話をするアーシアに一誠を含めた男子達が零に襲い掛かったが返り討ちにされたのは言うまでもない。

 

 

「姫島朱乃、この紅茶中々に美味いぞ」

 

 

「本当にとっても美味しいです」

 

 

「美味しいです」

 

 現在、オカ研の部室に居る零、アーシア、白音。何故3人が此処に居るのかと言うと、零が前に朱乃の紅茶を気に入った事で放課後は部員でもないのに部室に来る様になった。しかしそれだけでなく、零が転入して間もないアーシアがオカ研の部員達とも仲が良い事も考えてだ。

 

 

「うふふ、そう言って頂けると嬉しいですわ」

 

 

「だが……紅茶が美味いが菓子がないのはな」

 

 

「ごめんなさいね、今日はケーキも切らしてまして」

 

 

「まぁ……俺が出せばいい話だな(パチッ」

 

 零が指を鳴らすと、ケーキが現れる。

 

 

「わぁ~凄いです、レイさんどうやって出したんですか?」

 

 

「これは前に作っておいたのを、俺が作った空間に入れておいただけだ。俺の作った空間では時間が停止してるから作りたてのまま保存できるって事だ」

 

 アーシアの質問に答えた零なのだが、それを聞いたリアス達が疲れた様な顔をしている。

 

 

「この数週間、貴方がすることに驚き過ぎて疲れたわ。塔城さんは驚かないの?」

 

 

「この程度で驚いていたら、ご主人様とは一緒に居れません。それに私はもっと在り得ない事を目にしてるんで問題ありません」

 

 リアスの言葉に白音はケーキを切り分けながら答える。

 

 

「くぅ~……羨ましい…羨まし過ぎるぞレイ!あの塔城白音ちゃんにご主人様なんて呼ばれるなんて!アレか!?夜も御奉仕とかさせてるのか!?」

 

 一誠が涙を流しながら悔しそうに叫ぶ。

 

 

「そんな事をさせた事はない。俺にそんな趣味はない、白音がそう呼んでいるだけだ」

 

 

「ご主人様はご主人様ですから………私的には夜の……ごにょごにょも(ぼそっ」

 

 白音は顔を真っ赤にしながら、そう呟いた。

 

 

「……少し羨ましいわね。好きな人と居れるのって(ぼそっ」

 

 リアスが哀しい表情で呟く。

 

 

「リアス……」

 

 それに気付いた朱乃は心配した表情でリアスを見つめている。するとリアスの近くに魔方陣が現れ、メイドが現れた。

 

 

「お嬢様、失礼します」

 

 

「グレイフィア、何の用かしら?あの話なら」

 

 

「実は……」

 

メイドが何かを言おうとした瞬間、部室の空気が一変した。そして、突然魔方陣が浮かび上がると炎が噴き出した。一誠以外のオカ研のメンバーは魔法陣を睨み付け、アーシアは驚いて零の後ろに隠れているが、零と白音は大して気にしていない様だ。

 

 

「ふぅ…人間界は久しぶりだな。会いに来たぜ、愛しのリアス」

 

 炎と共に現れたのはホストの様な顔をした男だった。そしてリアスに対し厭らしい顔をそう言った。

 

 

「おい、木場。何だあのホストみたいなのは?」

 

 零は祐斗に聞いた。

 

 

「フェニックス……上級悪魔で、部長の……婚約者だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライザー、私は貴方とは結婚しない!」

 

 

「俺もなぁリアス、フェニックス家の看板背負ってるんだよ。名前に泥を塗られる訳にはいかないんだ」

 

 リアスの顎に手を当ててそう言うライザー。

 

 

「俺はな、お前の下僕を全て燃やしてでも冥界に連れ帰る。何ならお前の眷族も含めて面倒を見てやろうか?そうすればお前も納得するだろう。野郎共は家の雑用でもやらせればいい、女の方はお前共々可愛がってやるよ」

 

 そう言って、朱乃、白音、アーシアの順に品定めをする様な眼で見る。

 

 

「人の家族を気持ち悪い目で見るな、下種が(バシャ」

 

 白音とアーシアを見られた零は、立ち上がるとライザーの頭に飲んでいた紅茶をかける。

 

 

「貴様ぁ!」

 

 紅茶を掛けられたライザーは零を殺気を含んだ目で睨む。

 

 

「あっこっちの方が良かったか(バシャ」

 

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」

 

 試験管の様な物に入った水を掛けると、ライザーの顔が炎で焼けた様に爛れる。零が掛けたのはアーシアに貰った『聖水』、悪魔は聖なる物を苦手とする。天使や堕天使の光、十字架、聖水、悪魔はそれらに触れただけでその身が焼ける。だが普通の聖水なら上級悪魔に効かないが、零が力を込めたことで聖水の力が倍増されたのだろう。

 

 

「貴様ぁぁぁぁっぁ!!!」

 

 ライザーの傷が炎により癒されていく。フェニックスは炎の中から蘇える不死鳥、傷を負っても炎によって治癒していく。ライザーは炎を纏わせた手で零に殴り掛かる。

 それを見ると白音が動こうとするが、突然光と共に金色の鎧を纏った男が現れ遮られる。

 

 

「我が王に手は出させん」

 

 

「何者だ、貴様!?」

 

 目の前に現れた男を睨み付けるライザー。しかし男は全く動じていない様だ。

 

 

「久しぶりだな、お前がこっちに来るなんてどうかしたのか?」

 

 零は男にそう言うと、男は零の方に向き直る。

 

 

「はい、実は問題がおきまして……これを」

 

 男は零に紙を渡すと、零はそれに目を通した。

 

 

「………ちょっと足りなかったか。これを使ってくれ」

 

 零は鞄の中から黒いカードを取り出すと、男に渡した。

 

 

「はい。それと偶にはこちらにも顔を出して下さい、子供達も寂しがっています。それに他の皆も」

 

 

「そう言えば会ってないな。分かったよ、時間が開いたら行こう。子供達や皆にもそう伝えてくれ」

 

 

「分かりました……それでこの悪魔は消しますか?」

 

 男の全身から金色のオーラが立ち昇る。それを見たリアスやライザー達は驚いている。

 

 

(なにこの男の放つ力は?!)

 

 

「良いよ、相手の力量も分からない【ナゲ男】は放って置いて……それよりも早く戻ってやれよ。カノン」

 

 

「ハッ、では失礼します……アナザーディメンション」

 

 一瞬、カノンと呼ばれた男の周りに宇宙が広がるとカノンの姿は消えた。訳の分からないと言う顔をしている零と白音以外のメンバー。

 

 

「ふっふざけるな!この俺を無視しやがって!!しかも【ナゲ男】ってなんだ?!」

 

 

「ナルシストで下種な男の略だけど?」

 

 

「ブチッ!貴様…本気で俺を怒らせたな」

 

 ライザーの全身から炎が溢れ出す。

 

 

「お待ちください。ライザー様」

 

 つい先ほど現れたメイドが止める。

 

 

「ッ!……最強のクイーンの貴女を怒らせる気はないよ。おい!そこのリアスの下僕!」

 

 零を指差すライザー。

 

 

「ライザー、彼は人間で私の友人よ」

 

 

「なに?!人間が……人間風情がこの俺を……よくもこの俺を」

 

 

「あっそろそろ帰らないと、買い物もしてないし」

 

 

「そうですね」

 

 零と白音はライザーを無視して帰る用意をしている。

 

 

「人間風情が!このライザー・フェニックスをコケにしやがって!消し飛ばしてやる!」

 

 

「家のご主人様に手は出させません」

 

 白音が零の前に出て、両手を広げる。

 

 

「何だ?この娘は…ん?……人間じゃないな、お前猫又か?お前、猫又のくせに人間を主と呼ぶとは……この男に弱みでも握られてるのか?…ふぅ~ん、良く見たら中々の顔をしてるじゃないか」

 

 ライザーが白音に手を伸ばした、瞬間、零がその手を止める。

 

 

「汚い手で家の白音に触らないでくれるかな……」

 

 

「人間が、この上級悪魔である俺に楯突くとは…本気で死にたいみたいだな」

 

 

「お止め下さい」

 

 睨み合う2人。しかしメイドの言葉によって2人は離れる。

 

 

「それでアンタ誰?」

 

 

「申し遅れました、私はグレモリー家に仕えるメイド、グレイフィアと申します」

 

 

「これはどうも、ご丁寧に。俺は天王理 零だ」

 

 お互いに挨拶を交わすと、グレイフィアはライザーとリアスを見た。

 

 

「私は当主様より婚約が決裂した際の案を伺っております」

 

 

 

 

 

 何でも、このメイドによればレーティングゲームというゲームをする事になったらしい。レーティングゲームと言うのは簡単に言えば、キングの上級悪魔が率いる眷族悪魔同士の対戦ゲームの様な物だそうだ。俺も人間ではあるが、参加する事になった。

 

 正直言うと俺には関係ない話なのだが、このライザーとか言う男は気に喰わない。ライザーはリアス・グレモリーとの結婚は女としてのリアス・グレモリーを欲しているだけの様だ。まぁ一族の看板とか言ってたが興味ない。

 

 俺はこういう男は嫌いだ。結婚とは好きな男と女がするものだ、政略結婚だの、政治的な婚姻とか俺にとっては腹立たしい。親や家の勝手で哀しい涙を流す女を見捨てておけるほど、俺は我慢できる大人ではない。実際何兆年も生きてるけどね。悪魔同士の問題だとは言え、本人は嫌がって居る様だ。

 

 一誠はリアス・グレモリーの為に怒り、ライザーに殴り掛かろうとしたが現れたライザーの眷族にやられた。現在はアーシアに治療を受けている。此処は俺も手を貸しつつ、一誠を鍛えてやろう。

 

 男を見せる所だぞ、一誠。この俺が力を貸してやるんだから守り抜いて見せろよ。後、俺もあの野郎をボコろう。家のアーシアや白音を厭らしい目で見ていたナゲ男、不死鳥だとか言ってたな。ククク、ある程度やっちゃっても死なないだろうな。よし生きている事を後悔させてやろう。どんな手を使おうかな?考えるだけでも楽しいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハハハハハハ!!!!」

 

 高笑いする零。

 

 

「零、その笑い顔キモい」

 

 

「えっ……きっキモい?」

 

 オーフィスにそう言われるとショックを受けている零。

 現在、零は家に帰宅しており、食事を終えた後にオーフィスを膝に乗せTVを見ていた所だった。

 

 

「何時もの零の顔の方が好き」

 

 

「ありがとうな。オーフィスは可愛いなぁ」

 

 そう言ってオーフィスの頭を撫でている零。

 

 

「でっでも良かったんでしょうか、お家同士の事に口を挟んで」

 

 アーシアはそう言う。それはそうだろう、本当は関係のない零が口を出していい訳がない。

 

 

「俺はただあの男が気に喰わないだけだよ。それにアーシア、好きでもない男と結婚させられるのをどう思う?」

 

 

「それは…私がリアスさんの立場なら嫌です」

 

 

「だろう……俺の母様が言ってた『女性にとって結婚とは好きな殿方と共に生きる為の誓いだ』だそうだ。俺は男だから良く分からないけど、好きでもない男と結婚するのが幸せだとは思わないからだ」

 

 

「レイさん」

 

 

「同感にゃ」「同感です」

 

 

「零……ケッコンってなに?」

 

 

「えっ……結婚って言うのは……簡単に言えば好き同士の男と女が家族になって、子供を作ったりする事かな?」

 

 

「なら我も零と結婚する」

 

 

「「「「えっ?」」」」

 

 オーフィスの発言に驚く4人。

 

 

「結婚って番いになる事だと我は思った。我、零が好き。そして我と零の子供できればきっと強い力を持つ。そうすれば、グレートレッド倒す可能性上がる。そしたら我、静寂を手にする事できる」

 

 

「いやあの…オーフィス、結婚ってそんな簡単な事じゃ」

 

 

「零は我の事嫌い?」

 

 そんな上目使いは反則だよオーフィス。黒歌までノリにのって結婚するとか言い出すし。白音はそんな変質者を見る様な目で俺を見るな。アーシアは顔を真っ赤にして下向いてるし。

 

 

「嫌い?」

 

 泣きそうなオーフィス。可愛すぎる……抱きしめたいな!オーフィス!

 アレ?色々と問題がある様な。どうでもいいや、可愛いは正義だし。俺にはそれで十分だ。

 

 

「嫌いな訳ないだろう、俺もオーフィスの事好きだよ」

 

 

「我も好き、だから結婚する」

 

 

「いやあの……それは」

 

 

「ずるいにゃ!私もご主人様の事好きにゃ!結婚するにゃ!」

 

 

「ご主人様はロリコンだったんですね(ジト目」

 

 

「はっはぅ……結婚…(ボン」

 

 あぁ………慌ただしいけど、結構楽しんでる。この場に母様がいたら「あらあら、これは孫の顔が見れそうですねぇ」とか言い出しそうだ。でもこんな時間も悪くはない。

 

 そんな事を考えながら今の時間を楽しむ零であった。




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