ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~VSヘラクレス、ゲオルグ~
「■■■■――!!」
岩の巨人は咆哮する、そして英雄を語る者達の危険な思考を止める為に戦い始める。
岩で出来た巨大な斧を振りかぶり、ヘラクレスとゲオルグに襲い掛かる。
「ゲオルグ!下がってろ!」
ヘラクレスは禁手である
「ぐっ…………おおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ヘラクレスは全身に力を入れ、踏ん張る。その衝撃で、ヘラクレスの足元の地面が陥没する。
「このぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
膝を付きそうになるが、何とか岩の巨人を押し返した。巨人は空中で体勢を立て直すと、着地した。
「なんだ、あの馬鹿力は!?」
「ヘラクレス!あの化物はどうやら、君以上の馬鹿力だ。普通に倒すのは難しいだろう、なら!」
ゲオルグはそう言うと、巨人に向けて手を翳す。
「直接、次元の狭間に送ってしまえば!」
「■■■■■―――!!!!!」
岩の巨人は霧を咆哮する事で薙ぎ払った。
「馬鹿な!!?」
「―――!」
岩の巨人は凄まじい覇気を放つと、その全身を赤く染める。
「俺様を舐めるなぁぁぁぁぁ!!!」
ヘラクレスは
巨人はそれを避ける事無く、総てその身で受けた。次の瞬間、凄まじい爆発が起きた。
「これで………やったか?」
肩で息をしながらヘラクレスは、爆発した場所を睨みつける。煙が消え、そこには無傷の巨人がいた。
「嘘だろ!?これで無傷だと?!」
「本当の化物か!!!」
「そんなんじゃバーサーカーは倒せないよ」
ヘラクレスとゲオルグは声のした方向を見てみると、そこには小さい少女が立っていた。
「子供……?」
「どう言う事だ、ガキ?」
「だってバーサーカーは強い………絶対に負けない。彼は英雄の中の英雄だもの。
でも貴方達は違う。どんな事が在っても女の子を泣かせて言い訳ないじゃない」
少女はそう言うと、巨人の方へと歩いて行く。そして巨人の後ろへと下がる。
「お母様、切継、士郎、そして私を救ってくれたあの人の為だもの…………やっちゃえ!バーサーカー!」
「■■■■――!!」
岩の巨人は咆哮すると、駆け出し、ヘラクレスに斬り掛かる。彼も防御の構えを取る、だが直ぐに吹き飛ばされた。
「がっ!?」
「馬鹿な!さっきよりも!?」
岩の巨人は裏拳をゲオルグの顔面に叩き込んだ。
「ぶほぉ?!」
ゲオルグは吹き飛ばされ、先程の少女の近くに転がる。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ヘラクレスは頭に血が昇っているのか、考えなしに巨人に殴りかかる。巨人はそれを片手で受け止めると、投げ飛ばした。
「うおおぉぉぉぉ!」
ヘラクレスは受け身も取らず、地面に転がりながら体勢を立て直すとまた殴りかかった。それを見た巨人は、斧を地面に突き刺すと、拳を握り構えを取る。
「おおぉぉぉぉ!!」
「■■■■■!」
ヘラクレスと巨人は殴り合いを始めた。
「いっ………一体何なんだ、あの化物は……ヘラクレス以上の怪力に、絶霧の無効化何がどうなっている?!」
ゲオルグは何とか起き上がると、巨人を睨みつける。
「化物とは失礼じゃない」
「君は一体何だ?」
「私?私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン………バーサーカーのマスターよ」
少女はそう言い、スカートの裾を摘むと一礼した。
「そして、バーサーカーは大英雄・ヘラクレス」
「ばっ馬鹿な………ヘラクレスは」
ゲオルグは彼女の言葉の意味が理解できなかった。大英雄ヘラクレス………そしてその魂を継いだのが、自分達の仲間であるヘラクレスの筈。
だが、巨人がヘラクレス本人だと言うなら、一体自分達の知るヘラクレスはなんなのかと。
「うん、そうだね………この世界ではどうかは知らないけど、バーサーカーがヘラクレスである事は変わらないもん」
「この世界?………だが、あの巨人が本当のヘラクレスと言うなら」
勝ち目などある筈がない。
大英雄・ヘラクレス。12の試練を越え神の末席に迎えられた半神半人の英雄。英雄と言えば、まず彼の名が上がるだろう。そして、彼は射手座のなった師ケイローンより格闘技・パンクラチオンを習っており、現在殴り合っているのもパンクラチオンによる物だ。
英雄派は英雄を名乗り、神器を持っているとは言え、本当の英雄相手に通用する訳がない。
「■■■■!!!」
英雄ヘラクレスはヘラクレスの拳を避けると、カウンターを入れる。それによりヘラクレスはゲオルグの近くに飛ばされた。
「ぐぅぅぅ………この」
「ヘラクレス………撤退だ。曹操も連れて撤退だ」
「馬鹿言うんじゃねぇ!此処までやられて、黙ってられるか!………!」
ヘラクレスは近くにいたイリヤに目を付ける。どうやら彼女を人質に取ろうとしているのだろう。
「おい!ガキ!」
ヘラクレスはイリヤに向かい手を伸ばす。この時、彼は知らなかった。
英雄ヘラクレスにとって、イリヤは護るべき存在。そんな彼女に手を出すという事は、逆鱗に触れると同じ事だ。
「■■■■■■――――」
英雄ヘラクレスは駆け出すと、全力でヘラクレスを殴り飛ばした。
「全くレディを人質に取ろうなんて、酷いじゃない……向こうの人はアレで気を失ったわね。バーサーカー、そっちの眼鏡も捕まえて、さっさと戻りましょう」
イリヤはワイヤーの様な物を取り出すと、ゲオルグとヘラクレスを拘束した。英雄ヘラクレスは石斧に2人をぶら下げると、イリヤの近くに膝を付き、彼女を抱き上げた。
「ありがとう、バーサーカー」
英雄ヘラクレスは何も言葉を口にしない。
今の彼は
そんな、彼にとってイリヤは護るべき主であると同時に、かつて女神により失ってしまった我が子と重ね合わせているのだろう。そして零の中より見ていた九重の事もだ。
幼児の涙を止めると言う理由で力を使う零に共感し、共に戦った、そんな零だからこそ絆を紡いだ。