ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

106 / 110
EP95 京都英雄戦

~旅館~

 

旅館に戻った一同。一般人である松田達を除き、一誠達は零の部屋を訪れていた。

 

「なぁ、レイ。なんで、あの時、アイツ等を追わなかったんだ?」

 

と一誠が窓から外を見ている零に訪ねる。

 

「敵の戦力が分からん以上、何の準備もしてない状況で突っ込む訳にはいかんからだ」

 

 

「けど、お前の力なら、直ぐにでも」

 

 

「九重の母親を助けれたか?」

 

 

「あっ……あぁ。お前なら出来たんじゃないのか?」

 

 

「確かに出来たかもな………曹操の奴は実験までは九尾の御大将を傷付けないと言った。態々その実験とやらに招待された訳だしな。

 

逆に言うなら、あのまま追撃してたら九尾の御大将に傷を負わせる可能性もあった。曹操の持つあの槍は妖怪を殺すくらいは簡単に出来るだろうからな。それに奴等は実験を行うと言った以上は、この京都で準備を進めている。万が一に、京都を崩壊させる様な術式があれば大変だ。妖怪だけでなく、人間に被害のでる可能性もある」

 

 

「でっでもよ!英雄を名乗ってるんだぞ!そんなこと……」

 

一誠の中の英雄……それは正義の味方だ。その英雄が人間を巻き込む事などする訳がないと考えていた。

 

「ないとは言い切れないだろうが…………可能性が0でない以上は最悪の場合を考えておかないとないけないんだよ。

 

夜までは少し時間があるな…………付いて来るなら邪魔はするな。後、そこのコスプレ魔王」

 

 

「えっ私?」

 

零が指さしたのは、セラフォルー・レヴィアタンだった。

 

「また各地で旧魔王派と他の()()が暴れてるみたいなんだけど………本気で戦争するつもりか?」

 

 

「いっいぇ!私達にはそんなつもりは」

 

セラフォルーにそう言った。毎度の如く、悪魔が暴れる所為で出動する羽目になっている零。いい加減に我慢の限界の様だ。

 

「まぁ……四大魔王を名乗っているくせに、殆どの者達を抑えられていないお飾りの様な物だものな」

 

 

「っ!」

 

 

「おい!レイ!言い過ぎだろ!旧魔王派が暴れているのは、セラフォルーさん達の所為じゃないだろ!」

 

流石に言い過ぎだと思ったのか、一誠が声を上げる。

 

「では聞くが………自分の駒を揃えると言う理由で、親を殺され、兄弟を殺され、子を攫われた者達に同じ事が言えるのか?

 

【旧魔王派が勝手にした事です。私達は新魔王派の所為ではありません】と。

 

襲われた日本妖怪、能力者達からすれば、旧だろうと、新だろうと関係ない。現在の魔王共がしっかりしてないからこうなったんだと思われても仕方ないだろう。

 

それに俺は【旧魔王派】と【他の悪魔】と言ったんだ。未だに上級悪魔共からの反発が収まってないんだ、魔王共が何かの対策を行っていて、これならお飾りと言われても仕方ないと思うがな」

 

 

「そっそれは………」

 

言える訳がない。一誠はそう言った事を見た事はないが、家族を殺されたり、攫われたりして、その様に言い返されても許せる訳がない。逆に怒りが湧いてくるだろう。

 

「管理できていない点に関してはアザゼルも同罪だがな」

 

 

「うぐっ!」

 

 

「まぁ、天使、悪魔、堕天使に関する事は母様達の判断待ちだが………事ある毎に動かないといけないこっちの身にもなって欲しい物だ。

 

お蔭で癒しの時間がないんだよ!こんちくしょー!」

 

そう言いながら机をダンッ!ダンッ!と叩いている零。

 

「はぁ~………さて、それは置いといて」

 

少し落ち着いたのか、溜息を吐きながら立ち上がると、机の上に古惚けた京都の地図を広げた。

 

そして地図に息を吹きかけると、地図上に光の線が走り、京都の街の至る所に黒い魔法陣が浮かび上がった。

 

「京の龍脈が交わる場所、二条城。それが活性化している…………だけど京の至る所に魔法陣か」

 

何かを操作する様に手を動かすと、黒い魔法陣が拡大される。

 

「術式は………北欧、西洋、東洋、色んな陣か。どれもこれも、龍脈の活性と操作に関する物………崩壊術式はない様だけど、迎撃の為の術式は幾つかあるな。

 

優先すべきは現実世界へと影響の遮断……………ん?」

 

―ダダダダダダッ―

 

何やら外から凄まじい速度で何かが掛けてくる音が聞こえた。

 

「この神気………アーシア、ちょっと下がってろ」

 

 

「はっはい」

 

 

―我が愛しき弟よーーー―

 

 

「あの人、相手ならちょっと本気でしないと…………神禁」

 

ドアに向かって手を翳すと、複数の鎖が張られる。少ししてドアが壊れるかの様な凄まじい勢いで開かれた。

 

入ってきたのは、三貴士の一柱・月読だった。凄い勢いで走ってきたからか、着物がかなり乱れている。そして零に抱き付こうと、飛び付こうとする。

 

だが展開されていた複数の鎖に絡め捕られる。その姿はかなりエロい。

 

「おぉ!いい、おっぱい!」

 

 

「着物を直して下さい。変態が興奮しますので」

 

 

「でも、これを解いてくれないと出来ないんだけど!」

 

 

「おっと失礼………」

 

鎖を解除すると、月読は言われた通りに着物の乱れを直した。そしてアーシアが出したお茶を出して彼女は少し落ち着いた様だ。

 

「会談は未だ少し先ですよね?まさか、仕事を放って」

 

 

「ちっ違う!仕事はちゃんとしたぞ!ちょっと早く終わったから、先に来たんだ!折角堂々とお前と過ごせる時間なんだし」

 

 

「いや、俺は修学旅行中で………ついでに言うなら………あっ」

 

 

「?」

 

 

「丁度いい所に来てくれました。月姉………実は色々と問題がありまして協力を」

 

 

「問題というと、九尾の件かな?」

 

 

「そうそう。それで協力を」

 

 

「ぇ~……折角の休みなのn「残念だなぁ………月姉の格好いい所を見たかったのに」やる!」

 

会談までは休みモードなので何もするつもりがなかったが、零の一言でやる気を出した月の神。

 

((((偉い神様ってこんな人ばかりなのか(かしら)?))))

 

一誠、裕子、ゼノヴィア、イリナは月読を見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜 二条城前~

 

「さてと…………何故に九重まで此処に?」

 

 

「わっ妾も母上を助けたいのじゃ!だから」

 

 

「そうか………でも危ないから、俺とアーシアの傍を離れるなよ」

 

 

「はい!」

 

二条城の門前に立っている、零、アーシア、九重、一誠、裕子、ゼノヴィア、イリナ、匙。

 

月読、アザゼル、ロスヴァイセは京都の外に居る英雄派の相手をしている。

 

一同が門を見上げると、門が開く。

 

「ようこそ……伝説の戦士殿!妖怪の姫君!赤龍帝!」

 

二条城の屋根の上に立っていた曹操。その左右には、女、男が4人並んでいた。

 

「御招きどうも………英雄の名を持つ者達。それで、九尾はどこだ?」

 

零がそう言うと、曹操が指を差す。その方向を向くと、男達が生気のない目をしている女性を連れていた。

 

「母上!」

 

 

「………」

 

 

「母上!どうしたのですか?!九重です!」

 

どうやら彼女が九尾の御大将の様だ。だが、今の九尾の御大将には意志が感じられない。娘である九重の事も目に入っていない様である。

 

「きさm」

 

九重が曹操に向かい何かを言おうとするが、それを制する零。

 

「大丈夫だ……御母君は助ける。だから下がってな」

 

そう笑みを浮かべて言うと、九重は頷き下がる。

 

「贄と術式の配置は完了。では始めようか」

 

曹操がそう言い、聖槍で屋根を叩くと金属音が鳴り響く。すると九尾の大将が頭を抱えて苦しみだし、その身を巨大な九尾の妖狐へと変化させる。

 

「ゲオルグ、始めよう」

 

 

「あぁ」

 

眼鏡を掛けた男が曹操に同意して複数の魔方陣を展開し、九尾の妖狐に放った。

 

―オォォォォォォォォォォン!!!―

 

「これで何が来るのか楽しみだ」

 

 

「なぁ!曹操!幾つか質問していいか!」

 

 

「勿論!」

 

まるで友達に話しかける様に、曹操に話しかける零。

 

「まずは、その左右に居るお友達を紹介して貰おうか」

 

 

「ほぉ……いいだろう」

 

 

「俺の名はジークフリート!英雄シグルドの末裔にして、龍の手(トゥワイス・クリティカル)の亜種を持つ者だ。禁手もまた亜種、阿修羅と魔龍の宴(カオスエッジ・アスラ・レヴィッジ)

 

所有するのはそれだけじゃない、魔帝剣グラム!バルムンク!ノートゥング!ディルヴィング!ダインスレイブ!」

 

白髪の男の背から複数の白い手が生え、それぞれの手に剣を持っている。どの剣も伝説に名高い魔剣だ。

 

「私はゲオルグ。伝説の悪魔と契約せしゲオルク・ファウストの子孫だ。

 

神滅具(ロンギヌス)の1つ絶霧(ディメンション・ロスト)の所有者。まぁ戦闘要員ではないけどね」

 

眼鏡を掛けた男がそう言うと、紫色の霧を操作してそういった。

 

「私はジャンヌ。彼の聖女ジャンヌ・ダルクの魂を受け継ぐ者。神器は聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)、そして禁手は亜種断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)よ」

 

そう言うと、女性の後ろに聖剣で出来た龍が現れた。

 

「俺はヘラクレス!大英雄ヘラクレスの魂を受け継ぐ者!

 

神器は巨人の悪戯(バリアント・デトネイション)!禁手は超人による悪意の波動(デトネイション・マイティ・コメット)!」

 

大男の全身に刺々しい鎧が装着される。

 

「改めまして、我が名は曹操。英雄・曹操の子孫にして英雄派を率いる者、神器は黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)だ」

 

それぞれの自己紹介が終わり、禁手を行った。

 

その光景を見て、一誠達は身構えるが、零は落ち着いてる。

 

「では2つ目だ。お前達の目的は?」

 

 

「何時の時代も悪魔や怪物を倒したのは人間だった。だから俺達もどこまでやれるかを試したいのさ!」

 

 

「では3つ目、何故、誰かを泣かせる様な真似をした?それに現実世界の人間達に影響も出る可能性もある」

 

 

「それは……まぁ目的の為ならば多少の犠牲はいた仕方ないだろう?」

 

 

「そうそう、何処の誰かも知らない人間がどうなろうと知らないわ」

 

ジークフリートとジャンヌがそう言った。その瞬間、零は顔を伏せる。

 

「そうか……ならば!お前達に英雄を名乗る資格はない!」

 

 

「「「「「!」」」」」

 

 

「英雄は目に見える総てを背負い、力なき弱きを護る者。確かに時として犠牲を出す事もあるだろうが、自分が傷付こうと、手が血で汚れる事になっても、手を伸ばし誰かを助ける存在。人々はそれを見て、英雄と謳い称えるんだ。

 

お前達の様に、自分達の目的の為に犠牲が出るのを見過ごす様な輩は英雄と呼べん」

 

そう言う零の両目が鈍い光を放ち始める。曹操達は、その言葉を黙って聞いていた。

 

「お前達も神器持ちである以上、辛い過去があるかも知れん。俺にはお前達の気持ちは分からん。

 

だがな!どんな事があろうと、誰かを不幸にしていい理由にはならん!」

 

零が言葉を言う度に彼の右眼の光が強くなっていく。

 

「なにも……何も知らないくせに!」

 

ジャンヌがそう呟くと、神器で生み出した聖剣で出来た龍で零を襲わせる。

 

「【ソウルコード】」

 

彼は動かず呟いた。

 

―グオオォォォォォォ!―

 

断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)の突進を受ければ、物理的にもかなり痛いだろう。

 

―ガキィン!―

 

 

―!?―

 

断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)は何かに止められた。

 

「■■■■■――!!!」

 

 

「フン!」

 

そして凄まじい力で弾き飛ばされる。断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)は空中で直ぐに体勢を直すと、ジャンヌの後ろに着地した。

 

「英雄の名を名乗る者達よ、括目せよ。汝等が対するは、真の英雄達だ」

 

零がそう言い、土煙が消える。そこには岩の巨人と剣士が立っていた。

 

「■■■■■―――!」

 

 

「すまない。お前達の計画は止めさせて貰う」

 

岩の巨人は咆哮し、剣士はそう言った。彼等の姿を見て、曹操達は唾を飲む。

 

巨人と剣士から放たれる力は尋常ではない、そして何より彼等から放たれる気配は紛れもなく英雄の物だった。

 

「ヘラクレスはヘラクレス(大男)と眼鏡ゲオルグ(眼鏡)、ジークフリートはジークフリート(腕が一杯の奴)ジャンヌ(コスプレしてる女)だ。

 

俺は曹操…………それと九尾の大将を止めるとしようか」

 

 

「■■■■■■―――!!!」

 

 

「了解した」

 

英雄と英雄の決闘が、この京都で始まる。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。