ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
「日本人の心の故郷………それは此処!京都だ!」
そう言いながら、辺りを見廻している零。
「此処が京都ですか………見た事ない建物が一杯です」
零と手を繋いでいる歩くアーシア。手を繋いでいる理由は彼女が迷子にならない様にだ。当のアーシアは恥ずかしいらしく少しばかり顔が赤い。
何故京都に居るのかと言うと、答えは簡単、本日より彼等は修学旅行だからである。
「おい!あの2人!距離が近いんじゃないか?!」
「俺のアーシアちゃんと手を繋ぎてぇ!!」
「羨ましい!」
松田、元浜を始め、修学旅行に参加している2年の男子生徒の殆どがアーシアと手を繋いでいる零に対して嫉妬と羨望の目を向けている。
「アレは………確実に進んでるわね」
と同じクラスの桐生藍華がそう言った。
「「「進んでる!?」」」
過剰に反応する男子生徒達。
「A………いや、B………C……でも最後まで言った感じはないわね。けどあの様子じゃ時間の問題かも」
「「「なぁに?!」」」
「あっアイツが大人の階段を」
「登るだと……?」
松田や元浜は驚いた顔をしている。
(このタイミングでもう既に大人だっていうと面倒なことになるだろうな)
等と考えている一誠。
「なぁ、イッセー………アレはなんだ?」
「イッセー君、あっち行ってみよう」
「あっちの方が面白そうよ」
と一誠の近くに居るのは、ゼノヴィアと裕子、イリナである。
「もっと許せないのはお前だ、一誠!!!!」
「何時の間に、3人とそこまで仲良くなったぁぁぁぁあ!!!」
「えっ………いや、まぁ……色々と」
「全く騒がしい奴等め………アーシア、あっち行こう」
「はっはい」
「あっ、待ってくれ。俺達も」
零とアーシアが何処かに行こうとすると、一誠達も付いて行こうとする。
「なんだ、リアス・グレモリーに監視する様にでも言われたか?」
「そっそれは………」
「その態度で分かった。別に構わんぞ」
どうやら一誠、ゼノヴィア、裕子はリアスから零を監視する様に言われていたらしい。
「来るなら好きにしろ。後………何で怪我しかのかは知らんが、キチンと治しておけ」
そう言い一誠に赤い液体の入った瓶を投げ渡すと、零はアーシアを連れて歩き出した。
~伏見稲荷神社~
「えらく古ぼけた社だよな」
「それは見て分かるけど………一誠、そんな事を言うと罰当たるぞ?」
零達は伏見稲荷神社の参道を駆け上がってきたが、古ぼけた社へと辿り着いた。ゼノヴィアとイリナは此処にいない。
「しかも此処は
零はアーシアを抱えており、到着すると直ぐに降ろした。
「でしたら、私達は此処に居ていいんでしょうか?」
「俺やアーシアは問題ないさ………なんせ………っと……妖怪か」
『京の者ではないな?』
謎の声が聞こえてきた。零達はその方向を見ると、巫女服を着た狐耳の少女………幼女がいた。
「「狐耳の」」
「「……女の子?」」
一誠と裕子がそう呟いた。
「おっ………おっ………」
「「「レイ(天王理君)?」」」
何やら、零は狐耳幼女を見て「おっ……おっ」と呟いている。
「?」
「よっしゃぁぁぁぁ―――――!!!!」
「なっなんじゃ、いきなり?」
「狐耳・巫女服・幼女………可愛い!可愛いは正義!母よ!この可愛いとの出会いに感謝を!!」
「「「…………」」」
彼女を見て、そう叫びながら太陽に向かい祈りを奉げている零。何故か「可愛いは理です」と言う笑みを浮かべている太陽神の姿を垣間見た一誠達。
「…………こっコホン。余所者め……よくもっ!」
我に帰った少女がそう言うと、周囲に狐の面を被った者や天狗が在られた。
「おい、レイ!これって」
「何やら、盛大に勘違いされているな………一誠の所為か」
「えっ俺?!」
「一誠が変態の目であの娘を見るからだ」
「見てねぇ!」
等と言うやり取りをしている零と一誠。
「母上を返して貰うぞ!」
「母?」
「どうした、イッセー」
「こっこの人達って妖怪さんよね?!」
と階段を駆け上って来たゼノヴィアとイリナ。その手には木刀やら、お菓子やらが一杯だった。どうやらこれを買う為に遅れてきた様だ。
彼女達が来た事で、巫女少女の怒りは一層強くなった。
「そうか………お前達が母上を…………もはやゆる事はできん!不浄なる魔の存在め!神聖な場所を穢しおって!絶対に許さん!」
「だ………そうだ」
「お主もだろう!」
「えっ?俺とアーシアは違うぞ………ほれっ」
零はそう言うと、懐から金の装飾を施された勾玉の付いた首飾りを取り出した。
「ん?…………それは?!太陽神・天照大神の紋章!?」
「そう、そう……アーシアも金冠を」
「はっはい」
アーシアも以前に零を通して貰っていた金冠を取り出した。
「神の意を宿した太陽の金冠……大神の巫女だけが持つ事を許されると言う神具」
「でっ……では貴方達は話に聞いた」
「俺は天照大神の息子……アーシアは母の巫女だ」
それを聞いて、少女と妖怪達は2人の前に跪いた。それを見た、一誠達は唖然とする。
「日本の神話体系に属する者達にとって、これは黄門さんの印籠と同じ様な物だ」
アーシア、ゼノヴィア、裕子は頭の上に?を浮かべている。一誠とイリナは「成程」と納得している。
「大神の御身内の御方と知らず、真に申し訳ありません!」
「まぁ………別にいいよ。勘違いはだれにでもあるし………それで君達は?」
「はっはい」
―この娘………
狐耳、巫女服が良く似合う可愛い少女だ。是非ともオーフィス、白音と並べて写真を撮りたい!着せ替えをして愛でたい!
コホン………それは置いといて。
何でも、彼女の母親である九尾の狐が行方不明になったらしい。そこへ、悪魔である一誠達がやって来た。そりゃ、疑うな。俺でも同じ状況なら疑う。
それに親を想う、この娘の事を考えると………俺も心が揺さぶられた―
泣きながら、自分達の状況を説明した九重。他の妖怪達はそれを心配そうに見ていた。
「話は分かった…………」
「零さん」
「あぁ………俺も協力しよう」
それを聞いて、顔を上げた九重。
「母上も三大勢力との会談の為に直ぐに京都に赴くだろう………それまでに解決しておきたいし………それに、幼児が泣いているのを放っておきたくはないしな」
そう言うと零は九重の傍へと歩み寄り、その涙を拭った。すると、彼の右眼が鈍い光を放つ。
「一先ず、君達は自分達の屋敷へ帰れ。何か分かったら、直ぐに伝えよう………それまではくれぐれも動かない様に」
「はっはい……」
「安心するといい………きっと君の母親は俺が連れ戻そう………あっそうだ、終わったら1つ頼みがあるんだが」
「えっ?」
「後で写真を撮らせて!」
「「「「はっ?」」」」
零の発言に間の抜けた声を出す九重や妖怪達であった。