ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~高天原 天照の神殿~
「と言うのが、今回の事件の成り行きです」
「分かりました」
ディオドラを倒し、変貌したシャルバを光にした零はアーシア達を連れて高天原にある天照の神殿を訪れていた。
「そうですか……アーシアさん、本当に御無事で何よりです」
「ご心配おかけしました、お義母さま」
「本当に無事でよかったです」
天照は立ち上がると、アーシアに近付き、彼女を抱き締め、頭を撫で始めた。
「本当に……本当に良かった」
「あぅ……」
天照に抱き締められて、顔を真っ赤にする。
「母様、悪魔との交渉の方はどうなさるのですか?」
「月読と素戔嗚とはこれから話し合います。零はどうするべきだと考えますか?」
「奴等は自分達の力を過信している。悪魔は堕天使や天使……そして神よりも優れていると思っている。ならば、見せるべきです………我等の力を」
小さくなった零、彼の両眼が鈍い光を放っている。
「そして、その身体に恐怖と絶望を刻み込む。そうすれば簡単にふぁ、ふぉちらきゃわにてふぉ………
零が話している途中で、天照が零に近付き、彼の頬をぷにっぷにっと触り始めた。
「あらっ……ごめんなさい、愛らしくて、つい」
「つい……ではありません、真剣な話を」
―ドドドドドドドドドドッ!―
「ぁ~嫌な予感」
入口の方から聞こえる轟音、零はそれを聞いて嫌な予感がした。
「母様、今度の日曜、この姿で一緒にお出かけしましょう」
「!?」
天照は信じられなかった。零からそんな提案をしてくるなど、予想をしていなかったからだ。
「なので………この音の原因の2人を何とかして下さい」
「………膝の上に座らせたり、撫でたり、あ~んしたり、おっお風呂に入ったり」
「これから起こる事を回避できるなら何でもしますよ……まぁ程度はありますけど」
それを聞いた瞬間、天照は神殿の外に出た。
―姉上!退いて下さい!―
―零が……小さくて愛らしい零が居るのでしょう!?―
―今すぐ帰りなさい……主神命令です―
―そんな横暴な!―
―零とお出かけ、お昼寝、あ~ん、お風呂の為です。さっさと帰りなさい―
―なっ―
―おっお昼寝……それに幻のお風呂だと?!―
―と言う訳で………帰りなさい!(カッ!)―
―ぎゃ~!!―
数秒後、天照は満面の笑みで出てきた。
「ご苦労様です」
「ふふふ……デート、デート」
「変な事したら、即中止ですからね」
「親が子にそんな事をする訳がないでしょう?」
「………まぁいいです。じゃあ、俺達は帰りますので後はお願いします」
「えっ、ちょっと待って……」
天照が止めようとするものの、零は力を使いアーシア達を連れ自分の家へと転移した。
~零の家~
「ぁ~疲れた……風呂、入ろう」
「はぁはぁ」
零が風呂に入る為に浴室へ向かおうとする。振り返ってみると、鼻血を出しながら息を荒くしている黒猫が居た。
「来るなよ……お前も女なんだからもう少し慎みを持て」
零はそう言い、発情している猫の額を軽く叩くと、リビングを出て風呂の方へと向かった。
「姉様、駄目ですよ」
「いたたたた!白音ぇ~、関節決まってるんだけど!」
白音が黒歌の腕に関節技を決めていた。
「そのつもりでやってます」
「……お風呂」
オーフィスはそう呟くと、そのまま浴室へと向かって行った。
「じゃ……じゃあ、ボクは部屋に戻りますね」
ギャスパーは自室へと戻って行った。アーシアは何かを考えているのか、顔を真っ赤にするとそのままリビングを出て行ってしまった。
~浴室~
零の家の浴室は広い、具体的にどのくらい広いかと言うと………檜風呂(湯は何処からか引いてきた温泉)、ジェットバス、水風呂、サウナなどが多数あり、その辺のスーパー銭湯より凄い物だ。なんで家の中にそんな物があるのかと言うと、零が空間を弄っているからだ。
「はぁ~……極楽、極楽。あっそうだ……母様対策しとかなきゃ。あの人、何もしてないと盗撮するからな」
零が天井に向かい、手を翳すと魔方陣が浮かぶ。
「これでよし……対策完了。襲われた時の為に対神拘束も展開したし、これで大丈夫だろう」
全ての作業を終えたのか、魔法陣が消え、再び湯船に身を沈めた。
「はぁ~」
「気持ちいい」
「気持ちいいですね」
「?」
零は横を見てみると、そこにはオーフィスとアーシアがいた。
「何でいるの?」
「零とお風呂」
「はぅ………」
オーフィスは表情に特に変化はないが、正反対にアーシアは顔が真っ赤である。
「オーフィスはまだしも、アーシアまで………」
「あっあの……その」
「何だ?」
「助けて頂いて本当にありがとうございます!」
「あぁ、気にするな。それと今度からはランニングするにしてもジャンヌの十字架か、あの扉の向こうで騒いでる変態龍は連れていけ。
あんな変態でも力は魔王と同じくらいはある」
ーアーシアたんと入浴!銀髪許すまじ!俺様も入りたい!ー
扉の向こうでは小さいファーヴニルが叫びながら扉を爪でガリガリしていた。多分、この姿を同じ龍であるドライグやアルビオンが見ればストレスで吐血しそうだ。
(さて………こうなれば、悪魔共がどう動くか………それだけじゃない、他の種族も動き出す可能性がある。この俺を引き入れようとする組織・種族………このままじゃ…………守りの手が足らん。俺の領域から数人呼び出しておくか)
これからの事を考えていると、心配な顔をしているアーシア。
「大丈夫だ。お前が心配する必要はない………それよりも、タオル肌蹴てるぞ」
「えっ」
アーシアは自分の視線を下に向けてみると巻いていたタオルが肌蹴ており、完全に産まれた時の姿のままだった。
「あぅ……」
アーシアは顔だけでなく全身真っ赤になり気を失ってしまった。
「おっと………色々在ったから、アーシアも疲れてるんだな」
彼女が沈まぬ様に抱き留める。しかし今の小さい体では彼女を運べなかったので、一時的に元の姿に戻った零。しかもアーシアが気を失った理由も勘違いしたままである。
「取り敢えずアーシアを寝かせてやらないとな」
~暗い空間~
この空間に居る零、そしてその前に跪く13の影。
「いきなり呼び出して済まない。この度、呼びだしたのはお前達に頼みがあるからだ………先の冥界での事件で俺が改めて、力を見せた。故に様々な組織が我の力を手にしようと、身の回りの者達を狙ってくるだろう。
この家の者達だけでない、学園を含めた、この街の人間を狙ってくる可能性が高い。俺1人ではどうやっても手が足りない時も出てくるだろう。なのでお前達には街に滞在し、守護をして貰いたい。勿論、この国の長である母からの許可は取っているので問題ない。
都合が悪いなら他の者達に任せる事にするが………」
「問題ありません。我等一同、王である貴方に従うだけ………他の者も構わないな?」
影の1人がそう言うと、他の者達も頷いた。
「感謝する…………住居などについては此方で用意しておく。必要な金も用意するが………まぁ、暇な様なら働いてくれていいぞ」
「分かりました………ならば私は教師を」
「じゃあ、儂は道場でも開くかのぅ」
「まぁ希望は聞くが………あまり問題起こない様に……じゃあ2日後には呼ぶから宜しく」
零がそう言うと、13人の影はその場から消えてしまった。