唯一魔法が使える少年   作:きゅうじょう

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はい、皆さん……。

遅くなって申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!
仕事が忙しかったのもありますけどこんなに長くなるとは思わなかった。というか完全に意欲が無くなっていたというのも困りもの。
こんな作者でこの作品大丈夫でしょうか…?

と、取り敢えずどうぞ!


第21話

 

目を瞑っていくら待っても痛みが来ない。誰かに掴まれている左腕を見るとウィーラーが手を掴んでいた。周りを見渡せば少し遠い場所にネウロイ化したウォーロックがいる。

 

「う、ウィーラー?なんでこんなところに。それに俺は…」

 

「はぁ、はぁ、間に合ったな…」

 

ウィーラーの呼吸が荒い。一体なにをしたのか聞くとウォーロックの視界に入れながら教えてくれた。

 

「俺の固有魔法の瞬間移動だ。俺を中心に半径5〜7キロまでを一瞬で移動できる。まあ、かなり魔法力を使うし、何よりどうやっているのか俺にも分からんが」

 

「…すまない、助かったよ。死ぬ寸前だった」

 

「ほんとはもっと叱ってやりてぇところだが、今はあいつをどうにかしないとな。確かトレヴァー・マロニーが寄越した対ネウロイ用の機械だったな」

 

「そうだ、ネウロイのビームと機銃を撃ってくる。それになかなか速いから手こずる」

 

「OK。じゃあちゃちゃっと片付けるか!」

 

「おう!」

 

短く返事をして2人同時に空を駆ける。左右の挟撃で倒そうと言う流れだがそう簡単に上手くいかない。ウォーロックは上空に退避しすぐにビームを撃ってくる。俺は堅実にシールドを、ウィーラーは回避をしてそのまま接近した。

ウィーラーの後ろからM10で援護する。ウォーロックはM10から撃ち出された弾丸をシールドを展開して防ごうとするが501の中で単発の威力が一番大きい俺の攻撃は防げなかったようで、そのままシールドが剥がれた。

 

「貰っていけ!」

 

シールドが剥がれた所でウィーラーは腰から手榴弾を取り出しウォーロックに向かって投げる。安全ピンを抜いて5秒後にウォーロックにちょうど当たるように爆発させた。流石歴戦の戦士だ。黒煙が晴れるとウォーロックの右手にあたる部分が少し中身が見えている。機械の装甲が少しだが剥がれたのだ。そのおかげで右手の機銃が撃てなくなっているようだ。

 

「よし!」

 

「流石だな!ウィーラー!!」

 

しかし機械には痛みは動きの低下にならないようで、速度は変わらず早い。俺もまだシールドは張れるが魔法力が尽きてくるのも時間の問題だろう。

 

「私も手伝います!!」

 

下から聞こえたのは芳佳の声。赤城には芳佳と坂本さん、ペリーヌさんが乗っていたのだが。ユニットは乗っていなかったはずだ。坂本さんが何か気を利かしたのだろうか?だが今は考えている暇は少ない。

 

「すまない、助かる!」

 

「とりあえず赤城から遠ざけよう!」

 

ウィーラーの指示で俺とウィーラーは赤城の反対側に回り、芳佳は赤城に乗っていた人たちをビームから守るために赤城側に回る。芳佳は基本的に攻撃せず、俺たちが気を引きつけるために攻撃する。するとウォーロックの攻撃目標が俺たちに変わったのか俺たちに向かって来ながらビームを撃ってきた。

 

「よし!こっちに向いたぞ!」

 

「もう一丁くらえ!」

 

もう一度ウィーラーが手榴弾を投げるが、今度はビームで消し去られた。

 

「チッ!流斬!もう少し赤城から離すぞ!」

 

「了解!芳佳も引き続き頼む!」

 

「はい!」

 

まだ赤城との距離が近いと思ったウィーラーが距離を離すぞと指示が飛び俺たちが気合いを入れ直すように返事をする。俺とウィーラーが後ろに飛びながらウォーロックに撃つと着いてくるように機銃を撃ちながら追ってくるがなんとかそれをシールドを張ったり回避したりと防ぐ。赤城との距離を確認するために赤城の方向を見るともう赤城は完全に沈み、そこには救難ボートが沢山あるだけになった。更に距離もかなり開いていたので大丈夫だろう。

 

「ウィーラー!距離はもう大丈夫だ!」

 

「そろそろ落としにかかろう!流斬、まだ魔法力は持つか!?」

 

「少し危ないが持たせてやるさ!芳佳は!?」

 

「私もまだ戦えます!月影君も無理しないで下さいね!」

 

「おうよ!」

 

三人とも散開してウォーロックを囲むような配置をする。お互いに流れ弾が当たらないよう注意しながら装備している銃火器を全て使う勢いで撃ちまくる。ウォーロックもそのままではなく反撃をしてくる。俺も魔法力が怪しくなってきているので基本回避で無理な時はシールドを張るが流石にキツイ。

 

「うっ…!くぅぅ……ちょっと不味いぞこれ…」

 

「宮藤!流斬につけ!」

 

芳佳はすぐに俺の前につきシールドを張りながら撃ってくれる。

 

「すまん。助かる!」

 

「いえ!さぁ!あと少しです、頑張りましょう!」

 

「おうよ!」

 

銃撃を再開しようとした時、視界の端に何かが見える。ウォーロックに注意してそれを目線で追うとリベリオンの国旗が描かれている飛行機。乗っているのはシャーリーさんとルッキーニちゃんだった。

 

「なぜこんなところに?」

 

行き先を見ると赤城に向かっている。よく目を凝らすとそこには…!

 

「これはやばいな…ウィーラー!シャーリーさんの飛行機を護衛してくれ!坂本さんとペリーヌさんを助けようとしてる!」

 

「分かった!少し頼むぞ!」

 

何故ウィーラーに頼んだか。それはまだ魔法力があり判断力が高いからだ。俺では殆どシールドで守りきれない可能性もあるからだ。それに俺も芳佳も判断力という面でまだそこまで優れているわけではない。

 

「しかし撃っても撃っても落ちないな…しぶとい」

 

「ウォーロックはここで止めなきゃ…!」

 

「仕留めにかかるぞ!」

 

「うん!」

 

残り少ない魔法力を固有魔法に使う。

 

「疾風!」

 

大気を操作し風を体に纏わせてウォーロックに突撃する。この攻撃でウォーロックの左腕が大破、というか完全になくなっていた。

 

「行きます!」

 

芳佳は声を上げて九九式二号二型改13mm機銃を撃ち出す。しかしやはり火力が少なくあまりダメージが与えられない。

しかし突如後方から弾丸が飛んでくる。それがウォーロックに当たり落ちていく。そして誰もいないであろう赤城にぶつかり、共に沈んで行った。

 

「これは対物ライフル?じゃあ…」

 

「リーネちゃんだ!」

 

振り返ると501のメンバーが全員集合していた。その中には先ほど助けに行ったウィーラーの姿もある。バルクホルンさんは芳佳のストライカーユニットを持っている。

 

「持ってきたが使わなさそうだな」

 

「これで終わりか?」

 

「………そうでもないかも。大尉宮藤にストライカー履かせた方がいいかも」

 

そう言ってエイラはタロットカード、『塔』のカードを見せる。その位置は正位置。

意味は…

 

「崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、凄惨、戦意喪失、トラウマ、踏んだり蹴ったり、メンタルの破綻、風前の灯……だったか?」

 

「うん」と頷くエイラ。この状態での『塔』、その意味は…新たな敵もしくはウォーロック。可能性があるのは。

 

「下か!」

 

M10をウォーロックが沈んで行った方向に向かって構えて引き金を引く。水面に着くと同時に何かに着弾。爆発する。それと同時に赤城がネウロイ化した様なものが現れた。ダメージはあまり無さそうだ。

 

「な、なんだあれは!?」

 

「ウォーロックと赤城が合体した…!?」

 

空を飛ぶ船の如く浮上し、雲を海に見立てるように飛んで行く赤城。

 

「これはもうウォーロックでも赤城でもない。もう別の何かだ。我々以外アレを止めるものはいない!」

 

全員が静かに頷く。

 

「ストライクウィッチーズ、全機攻撃体制!目標、赤城及びウォーロック!」

 

「「「了解!!!」」」

 

「コアは赤城の機関部だ」

 

「外からは破れそうにないわね」

 

「私が行きます!」

 

いち早く芳佳が言う。俺も行きたいが内部は分からない。今回は援護に徹しよう。

芳佳の続きでリーネさんペリーヌさんに決まった。

 

「さて、俺らはあいつらの為に道を作ればいいんだな?」

 

「ああ、そう言うことになるな、ウィーラー」

 

「久し振りに2人で組もうぜ!」

 

「おうよ!」

 

ウィーラーを先頭にビームを避けながら赤城と並走するように飛ぶ。

 

「しかし俺らは割と魔力を使い果たしてる。あまり無茶はできない。そこで今回は輸送に徹底する」

 

「輸送?」

 

「俺の固有魔法で他のウィッチが開いた道に瞬間移動する。これでそこまでは安全になる」

 

「ウィーラーの負担がでかすぎないか?」

 

「今は成功に全てを賭けるんだよ。今この辺の脅威はあいつだけだ。もう巣もない。だからこれで行く。それに危なくなればお前に助けて貰えばいい」

 

俺はフッと笑う。なんて自分に負担がかかる作戦だろうかと。それを平気でできるこの男はやはり心が強い。俺が絶対に守ると信じている。これに乗らないわけがない。

 

「いいぜ、やってやるよ!絶対にお前を連れて帰ってやるさ」

 

「よし!ならまずは宮藤たちに合流だ!」

 

そこまで離れていない位置に飛んでいた。俺はすぐに作戦の内容を話す。

 

「─────と言うわけだ。切り開かれたらすぐにウィーラーにつかまってくれ」

 

「でも、大尉に負担が…」

 

「リーネさん、ここは惜しんでいる暇はありませんの。大尉、お願いできますか?」

 

「任せとけ。確実に運んでやる」

 

「流斬君も、そのあと気を付けてね」

 

「分かってるさ」

 

他のウィッチがそれぞれ攻撃しているが中々突破口が開けないと思っていると、シャーリーさんがルッキーニちゃんを凄い勢いで投げ飛ばし、ルッキーニちゃんの固有魔法、光熱攻撃で赤城の先端を吹き飛ばした。

 

「行くぞ捕まれ!」

 

その言葉に全員がウィーラーにつかまり、視界が白い光で包まれる。それが収まると先程吹き飛ばされた先端に移動していた。

 

「さあ、行け!」

 

「頼んだぞ!三人とも!」

 

俺はそういいながらすぐ入り口にある隔壁にM10の照準を向けて、引き金を引く。弾丸は隔壁に当たり、隔壁が吹き飛び道が拓けた。三人はそれを見ると、少しこちらを向き頷いた後に内部へと侵入していった。

 

「さあ、後は待つだけだな」

 

「ああ………危ない!」

 

隔壁の向こうに赤い斑点が見えた時には少し遅かった。ウィーラーの右から少し前に出てシールドを張るが間に合わずに左腕に当たってしまった。しかし飛び散ったのは赤い鮮血ではなく、白い液体。そして露わになる機械めいた断面。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

詳細を聞きたいと言う願いを心の底に押し込めてまず安否を確認する。

 

「痛みはない!大丈夫だ!まずは離脱するぞ!」

 

「わ、分かった!」

 

もう一度その場所にM10を撃ち込み離脱する。そして過度に距離を取りもう一度確認する。

 

「ウィーラーその腕……義手だったのか…」

 

「ああ、痛みもない。気にするな…」

 

「しかし……」

 

「じゃあそうだな、これは貸しだ」

 

「貸し?」

 

俺はオウムのように返してしまう。

 

「次はきちんと守ってくれ。それだけでいいさ」

 

「…ああ、分かった。借りだ。そう言い聞かせるよ」

 

「それでいいさ」

 

赤城が砕け散ったのはその話が終わると同時だった。

 

「ウィーラーは………いや、いいさ」

 

「ん?どうした?」

 

「何もない」

 

『どうしてそんな体になったんだ?』俺にはそれを聞く勇気はなかった。これ以上傷口を抉るような話はできなかった。

ウィーラーが、少し暗い顔にならなければ俺は聞けたのかもしれない。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

1944年9月。ガリア地方のネウロイの完全消滅が確認された。

 

各ウィッチたちは基本的に原隊に、ウィーラーはシャーリーさんに連れられ義手の管理をしている医師の所に向かうらしい。

 

俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「罪滅ぼしと言うわけではないけど、みんなの助けになりたいって思ったわけだな」

 

荒れている地上でそんなことをつぶやく。俺は今、ネウロイの巣に近い村に来ている。この近くで生存者の報告があったからだ。

俺はこう言う生存報告があるとその地に赴き他に生存者がいないか調査し、保護する。そう言う部隊にいる。カールスラントから自力で逃げ出して来たのがまさかの評価に繋がった。基本的には自由に、保護した先の基地で無線通信を借りて動いている。だから俺の場所は常に変わるからみんなからの手紙なんかも貰えない。

 

「まあ、また会えるさ」

 

俺はそういいながら村から危ない土地に入る。ここからはネウロイの勢力圏内。しかし絶対にしくじらない。慢心ではなく、確固たる信念を持ってそれを思う。

 

(まだ苦しんでいる人がいるからな…!)

 

自分を奮い立たせてその土地に足を踏み入れるのだった。




一応アニメ第1期の最終回でございます。正直流斬君がこの道進んだのがよく分からない。勝手に手が動いて新しい部隊つくってた。こんな部隊ねぇよ!とか思っても言っちゃダメ。

ウィーラーさんは番外編書く予定。あくまで予定なのでどうなるかわからない。それは作者の意欲次第です。

というかまさか一期だけで3年も使うとか思わなかった。やばい。2期までできるかどうか、いや頑張るけど!

もっと後書き書きたいけどここで止めときます。

それではまたいつか!

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