唯一魔法が使える少年   作:きゅうじょう

12 / 21
何か後半がおかしい気がする。
あと、エイラが少しキャラが崩壊していると思います。



第12話

夜間哨戒の任務2日目だ。

今俺は自室で準備をしている。フラウに教えてもらった疾風は、実戦ではまだ使えるほど上達していないので使用しない。だが、昨日サーニャに教えてもらった魔導針は使えるようになったので使う。そして、今まで使ってきたサイドアームのM10を腰のホルスターに入れる。そしてしっかりと装備を整えハンガーに向かう。

 

「まずはサーニャ達に謝らないとな…」

 

まずはその事を考える。あの三人の事なので実力行使はしないだろうが任務中にずっと睨まれる可能性はある。芳佳はすぐに許してくれるかもしれないが、エイラは長く根に持ちそうだ。

 

「しっかりと誠意を持って謝れば許してくれるかな…」

 

本当に怖い。正直ネウロイよりも怖いかもしれない。おとなしい子程怒ると怖いと言われるので、もしかしたらサーニャが一番怒るかもしれない。だが、そんな事を考えている間にあっという間にハンガーの目の前に着く。俺は深呼吸して、ハンガーに入る。もう三人は到着していたようだ。

 

「こ、こんばんわ…」

 

「…うん、こんばんわ」

 

「…ジー」

 

「あ、あははは」

 

どうやら芳佳はそんなに怒っていないようだ。サーニャは怒るというか困惑しているようである。だがエイラには凄く睨まれてしまった。

 

「あ、あの…。その、夕方はごめん。見ようと思って見たわけじゃないんだ。あれは事故であって…」

 

「うん、私も分かってるわ。怒ろうなんて思ってないから安心して?」

 

「サ、サーニャ。…ありがとう」

 

しっかりと頭を下げる。少しほろりと来た。サーニャなんて優しい子なんだ!エイラはサーニャの言葉を聞いてから強くは睨まなくなったが、ちょこちょこ睨んでくる。

 

「わ、私も気にしてないけど…。でも今度休みが取れたらサーニャと私に何か奢ること!そ、それでチャラな…」

 

「え?私は入らないんですか?」

 

「宮藤はあんまり怒ってないし良いだろ?」

 

「確かに怒ってませんけど…」

 

「分かった。今度四人で休みが取れたら街に行って何か奢ろう。約束するよ」

 

エイラは満足そうに、芳佳はやったー!とはしゃぎ、サーニャはふふふと微笑む。三人とも優しくて涙が出そうである。俺はといえば、機嫌が良くなり「じゃあ、行こうか!」と張り切っていた。

 

 

 

 

 

四人が夜空に出て暫く、芳佳が誕生日と芳佳のお父さんの命日という事を知らされた。

 

「こういう事は楽しい事を優先したって良いんだぞ?」

 

「ええ、そうかな?」

 

「宮藤さん、耳を澄まして」

 

「え?」

 

するとインカムに甲高い音と雑音が入り次第に音楽に変わっていく。これは…

 

「ラジオの音だな」

 

「…うん」

 

「凄い凄い!これどうやってるの?」

 

子供のようにはしゃぐ芳佳にサーニャが説明する。

 

「夜になると夜が静まって、山の遠くの電波も聞こえるようになるの」

 

「ある種、サーニャからの誕生日プレゼントだな」

 

横ではエイラとサーニャがひそひそと話している。

 

「ちぇっ、しょーがないなー」

 

「え?どうしたの?」

 

サーニャの顔を見る芳佳。

 

「うん、あのね…」

 

「だから、実はサーニャも」

 

エイラが話を続けようとした時に、何かの音が聞こえた。ラジオの音でも、通信の声でもない。この二つのどちらでもないが、どちらかというと前者に近い。ラジオの音ほど綺麗ではないが、それはしっかりと音楽となっている。サーニャが普段歌っているものに近しい。

 

「どうして…ッ!!」

 

「敵だ!このまま正面!距離は5500!」

 

「皆逃げて!」

 

サーニャはここにいる全員を振り切るように急上昇する。そして、ネウロイから放たれたであろう赤いビームがサーニャの左脚のストライカーユニットを吹き飛ばした。

 

「サーニャ!」

 

「一人でどうするつもりだ!」

 

「だってあのネウロイの狙いは私…エイラ?」

 

エイラは突然サーニャのフリーガーハマーを持った。

 

「流斬は私に敵の場所を教えてくれ。私は敵の動きを先読みできるからやられたりしないよ。あいつはサーニャじゃないし、あいつは一人だけどサーニャは一人じゃないだろ?私達は絶対負けないよ」

 

エイラの言葉に芳佳も強く頷く。俺もそうだなと声を掛けようとした時に、魔導針にもう一つ反応が出てきた。俺が周りをしっかりと見ていなかったせいだろう。サーニャは混乱しているので仕方ないが俺がしっかりしないと…!

 

「エイラ。悪いが俺はここにいられない。もう一つ敵が来ていた。正面のやつより近い。そっちは俺がどうにかするから、エイラたちはこっちを頼む」

 

「なんだって!?じゃ、じゃあ宮藤をそっちに…」

 

「いや駄目だ。芳佳にはサーニャを守ってもらう。こっちは一人で相手をするさ」

 

「で、でも…」

 

エイラ、サーニャ、芳佳は心配そうにこっちを見ている。

 

「大丈夫だ。そんなに心配ならそっちの敵を早く倒して来てくれ。それに俺はまだ死ぬつもりはないからな」

 

「……分かった。気をつけてな。死んだらダメだぞ」

 

「ああ、行ってくるよ」

 

俺はもう一つある敵の場所に飛んでいく。

 

 

 

 

 

ここから少し離れているがサーニャ達が分からなくなるほど離れてはいない。しっかりとMG42を構え雲の中に隠れているネウロイに射撃する。

 

連射に優れている銃なので普段のハンドガンに爆発させる魔法はつけられないがそれを数で補う。何発もの弾丸を浴びせられ堪らなくなったのか、ネウロイが当然上に上昇して姿が露わになる。そして、その状態のまま赤いビームを放ってくる。

 

「見え透いた攻撃に当たるかッ!」

 

今は回避で捌けているが、このビームが密集すると少し厄介だ。何より俺はシールドを張れない。正確には張れないわけでは無いだろうが、まだ一回も練習をしたことがなく、出し方が分からないのだ。

 

「こんなことならしっかりとシールドも練習するんだったな…」

 

ネウロイが放つビームを避けながらMG42を撃つ。いつも相手にするネウロイよりも装甲が厚く弾かれてしまう。

 

「こうなったら…!」

 

使っていたMG42を後ろに回し、腰のホルスターに入れているM10を手にする。そして、いつものように爆発させる弾丸を魔法で作り出し狙い撃つ。

しかし今は真夜中だ。装甲が基本黒で染まっているネウロイは夜の空では見辛い。今はビームをっているから分かるが撃たずに隠れられると分からなくなる。

 

本当に見辛い。装填していた6発を使いきり、すぐにリロードする。

しかし焦ったてしまったせいで、弾を一つ落としてしまった。

 

普段の訓練では落としても気にせずに続けるが、焦った時の行動は無意識に自分を動かす。落とした弾丸を見てしまいネウロイから視線を外してしまった。

 

戦場ではその一瞬が命取りとなる。

 

ネウロイから放たれた赤い閃光はしっかりと俺の身体に向かってくる。

 

「ッ!!!」

 

無意識だろう。素早く右手を上げ魔法を手のひらで展開させる。シールドを張れたのだ。だが、咄嗟のことで全く耐久性がなかった。身体の大部分は守れたが、左の脇腹を赤い閃光が貫いた。

 

「あああぁぁぁ!!!」

 

左脇腹が焼かれるように熱い。無意識に右手が怪我を負った方に向かう。だが、触ると更に痛みが襲ってくる。

 

「ぐっ!!ああぁぁ!!!ま、まずい…」

 

取り敢えず距離を置こうと雲の中に移動する。その間もネウロイは絶え間なくビームを放って襲ってくる。今度は回避せずにしっかりとシールドを張り離脱する。

 

「さ、サーニャ達に助けを頼みたいが………まだ反応が二つあるか…!増援を頼むか……!」

 

インカムで管制塔に連絡を入れようとするが電波障害があるのか連絡が出来ない。

 

「クソッ…どうする……。まさか夜の戦闘がこんなにやりづらいものだとは…!ネウロイよりも高い高度に陣取ったら月明かりで見えやすくなるか…?でもこれじゃあ、分からなかった時が辛い…。どうしたら…!…疾風を使ってみたら行けるか?」

 

まだ制御ぐらいしかまともにできない疾風だがフラウにやり方を教わっているので、出来ないことはないだろうがこれも賭けのようなものだ。だが、両手でハンドガンを持とうとしても、脇腹が痛んでまともに力を入れる事が出来ない。

 

「ぶっつけ本番だ!これで決まらなかったら、無理にでもハンドガンで抑える!」

 

俺は作戦を決めるとネウロイので真下に移動し、急上昇する。前方にシールドを展開して進む。

こちらを見つけたのかネウロイはビームをを撃ってくる。なるべく回避しながら無理なビームはシールドで受ける。後20Mになったところでシールドを解除し、身体の周りに風を纏わせる。脇腹が痛むが少しだけと無視して突撃する。

 

「いっけえぇぇぇえ!」

 

更に風を纏わせ、高速で回転させる。そして、より速度を出すために纏わせた風を下方向に流す。

かなりの速度が出てネウロイの装甲をぶち抜きコアを貫通し、反対側の装甲をそのまま貫通させる。

回転が止まり風が霧散していく。

すると後ろでネウロイが弾け、周りに破片が弾け飛ぶ。

 

『おい、流斬!大丈夫か!?』

 

エイラから通信が入り。それに答える。

 

「おう、エイラ。悪い負傷しちまった。出血多量で死にそうだ…」

 

『な、なんだって!?い、今からそっちに向かう!さ、サーニャ!流斬の居場所は!?』

 

そこで通信が切れた。意識を途切れさせないようにゆっくりでもエイラ達の方向に飛んでいく。五分くらいたったところで、エイラ達と合流できた。

 

「流斬!」

 

「流斬君!」

 

「す、すごい怪我……」

 

この後三人が何か言っていたが、俺は落ちないようにエイラに倒れこむように意識を失った。

 

 

 

 

 

気づけばそこに医務室の天井が見える。周りを見渡すとそこには坂本さんがいた。

 

「お、目が覚めたな」

 

「坂本さん?どうしたんですか?」

 

「いや何、少し心配だったのでな。見に来たらちょうど目が覚めたんだ」

 

「そうだったんですか。そうだ、サーニャ達に怪我はなかったんですか?」

 

「ああ、サーニャはストライカーの破片で少し脚を怪我していたがお前みたいに意識を失うほど怪我はしていない」

 

俺は良かったと、胸をなで下ろす。

 

「後で三人に会ってくるといい。宮藤はお前の治療に手を貸してくれたし、エイラとサーニャは付きっきりで看病してくれていたんだぞ?」

 

見ろと言わんばかりに坂本さんは横のベットに顔を向ける。そこには熟睡はしているが目にクマが出来ている芳佳、エイラ、サーニャがいた。

 

「後で礼はしておくんだな」

 

「それは、分かっています」

 

そして坂本さんは立ち上がり扉に歩いて行った。そして思い出したかのようにこちらを向き一言呟いた。

 

「明日、宮藤とサーニャの誕生日会をするそうだ。お前もちゃんと祝ってやってくれ」

 

そう言い残して坂本さんは出て行った。芳佳が治癒魔法を掛けてくれたお陰か動くのには支障がなかった。後で、しっかりと礼を言わないとな。

 

「後お前らにも、な」

 

俺はそう言って三人の頭を撫でる。今はこういったことしかできないが、今度街に行った時に何か秘密で買ってやろうと思った。

その時にエイラがゆっくりと目を覚ました。

 

「んん…。あれ?…ん?り、流斬!?大丈夫なのか!?」

 

「エイラ。静かに」

 

「え?ああ、ごめん…。でも、流斬大丈夫なのか?まだどこか痛むか?」

 

エイラはかなり心配しながら俺を気遣ってくれている。

(ああ、俺はこんなに心配してくれる仲間がいるんだな。次からはちゃんとしよう)

と、嬉しくなった。

 

「エイラ」

 

「ど、どうしたんだ?やっぱりまだ痛むのか?………!?!?!?」

 

俺はエイラを抱きしめた。

 

「エイラごめん。心配かけちゃったな。次からはもっとみんなを頼ってみる。俺は自分だけでどうにかなると思い込んでいたらしい。その結果こうなってしまった。…ごめん」

 

エイラは流斬の後ろに手を回して優しい声音で言った。

 

「……ホントに流斬はダメだな。ちゃんと私達を頼らないからこうなるんだ。これからはちゃんと頼ってくれよな?サーニャだけじゃない。この501のみんながそう思ってる」

 

「ああ、次からはこんな真似はしないよ。約束する」

 

「もう一つ。これからは私達を心配させるようなことはしない事」

 

「分かった。約束だな。そうだ、エイラ」

 

俺はエイラから体を話して言った。

 

「今度、エイラとサーニャそれと芳佳の四人でブリタニアの街にでも行かないか?心配をかけたお礼にそこで何か奢るよ。行きたい場所があったらまた教えてくれ」

 

俺は扉に向かって歩き出し。出ようとしたところでエイラに向かって言った。

 

「あ、そうだ。明日、サーニャと芳佳の誕生日会をするらしいぞ。それだけだ。じゃあまた後でな。……ありがとう」

 

俺は扉を閉じ自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

流斬が出て行くのを見届け、ほんの少しの時間が経った頃。エイラの固まっていた体がすぐに動きベッドに体を埋めた。

 

「わ、私に、り、流斬がだ、抱きついて!?!?!?!?!?」

 

年頃の少女の頭はパニックになっていた。さらになんか恥ずかしい言葉も喋っていたから顔が真っ赤になっていく。

 

「……流斬の体を大きかったなぁ。男の癖にいい匂いしてたし……ッ!!わ、私はなにを考えているんだ!?」

 

うわああぁぁ…と、エイラが悶えているとサーニャと芳佳が起きた。多分エイラが煩かったのだろう。

 

「…?エイラどうしたの?」

 

サーニャが不思議そうにエイラを見つめる。

 

「い、いや、その〜…!そ、そう!流斬がブリタニアの街に行って何か奢ってくれるって言うからどこに行こうかなって考えてたところなんだ」

 

「そう?ところで流斬君は?」

 

サーニャが辺りをキョロキョロとしながら聞いてくる。芳佳も流斬が寝ていたベッドを見ていた。

 

「ああ、流斬なら多分部屋に戻ったと思うよ」

 

「そうだ!エイラさん、ブリタニアの事で分からなかったらリーネちゃんに聞いたらいいんだよ!」

 

芳佳がそう言うとベッドから降りてサーニャの手を引っ張って行った。

 

「ま、待って!私も行く!」

 

エイラは何とかサーニャ達の気を紛らわせたが、まだその頬は赤色に染まっていた。

 

(流斬に抱きしめられたことは、死んでもサーニャには言えない!……恥ずかしすぎて死んじゃう!)

 

年相応の考えをしているエイラであった。

 

 

 

ーーーーー執務室ーーーーー

 

そこには今、ミーナと坂本がいた。

 

「美緒、月影君はどうだった?」

 

「ああ、いまさっき目を覚ましたよ。特に後遺症はおってなさそうだ」

 

「そう、良かったわ」

 

そう言いながらもミーナの手は書類作業の手を止めない。もう後少しで面倒な書類作業も終わると思うと自然と手が早くなる。そして、作業が終わっても一つの書類が机の上に残っていた。

 

「もう呼びに行くのか?」

 

「ええ、月影君という予想外の戦力確保があっても、やはりここは人材不足だから。彼に来てもらうわ。」

 

「なら、明日はリベリオンに行くのか?」

 

「いえ、近くにある補給基地に来るらしいからそっちに行くわ」

 

「そうか」

 

ミーナと坂本は書類を見つめる。そこには一人の少年の事について書かれていた。

 

303高地の英雄について。




最後会話文ばっかりで読みにくかったかな?
あと、後で恥ずかしいことしていたと気づいて悶絶する子って可愛くないですか?
可愛くないって?お前気持ち悪いって?
そうですか…。

今回は後半がおかしいと自分でも思っているので、批判コメント来そうで怖い。
あとサーニャ可愛い。エイラも可愛い

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。