Fate/buro   作:這い寄る劣等感

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遅れてすまにい;;


まただよ(呆れ)

「な、なあ……」

 

「何か用ですか?」

 

 

ライダー達が固有結界の中に消えてから数分ほど経ってから僕は隣にいる少女に声をかける。

ぶっちゃければ静寂に耐えきれなくなって声をかけたんだけども。

 

 

「お前はなんで聖杯戦争に参加してるんだ?」

 

「理由、ですか。

それならブロントさんに恩返しするためですかね。

私はブロントさんに救われました。ならブロントさんが望む聖杯戦争の終結までのサポート……とは言っても私の方が弱いのでサポートできているかはわかりませんが、それをするため、聖杯戦争に参加することを決意したんです」

 

「あのなあ、これは命の奪い合いなんだぞ?

下手したら命を落とすかもしれないのに、そんな軽々しく決意だなんて----」

 

 

僕は善意の忠告を隣にいる少女に向けようとするが、その瞳を覗き込んで僕はギョッとする。

その瞳には確かな光が見てとれた。

僕の方が年上であるだなんて、そんなのを無視するかのように強い光。

この女の子は間違いなくあのサーヴァントのために死ぬことができる。

前にも思ったけど、どうしてこんな子供がこんな眼になれるんだ?

 

 

「私は答えましたよ。

今度は貴方の参加する理由を教えて欲しいですね」

 

「ぼ、僕のか?

それを知って一体どうしようって……」

 

「子供にどうにかされると思って嫌ならやめてもいいんですよ?(チラッ)」

 

 

むっ。

僕はカチンときたのでこの聖杯戦争に参加した理由を話すことにした。

まあ簡単に言ってしまえばこの聖杯戦争に参加しているケイネス先生に意趣返ししたかっただけという話になるけどな。

 

 

「……ええ〜。

こう、誰かを蘇らせたいとか、金銀財宝が欲しいとかそんなんじゃなくほぼほぼ成り行きですか?

いやまあそれはそれでいいんですけど、なんかこう釈然としませんね」

 

「悪かったな、大層な理由がなくて」

 

「いえむしろ良かったかもしれませんよ?

ブロントさん曰く、聖杯に最も頭が良くなりたいと願えば、自分より頭が良い人間を全てコロコロすることでその願いを叶えるようですよ」

 

「……はぁ⁉︎」

 

 

僕はこの少女が何を言っているのか理解できずに、間抜けな声を出してしまった。

え、つまりさっきの例だと、願いを叶えた自分より頭の良い人間はいない。すると相対的に一番頭が良くなるってことか?

なんだソレ⁉︎やってることが頭おかしいぞ!

 

 

「あと他の願いにしろ大体同じ感じになるらしいです。

お金持ちになりたい、だったら自分と同等以上の資産を持つ人間をコロコロ。

トップアスリートになりたい、だったら自分より能力が高いアスリートをコロコロ。

で、これ以降の争いを無くしたい、とかだったらブロントさんの言葉を信じるならば、人間全てをコロコロしてその願いを叶えるでしょうね。

だって、人間がいないのなら争いは起きるわけありませんし」

 

 

僕はあんぐりと口を開けて、暫くは塞ぐことができなかった。

この子にとっては淡々と事実を述べているだけなのだろう。

だけど僕にとってはスケールが大きすぎる話を聞かされて頭がフリーズしてしまいそうになる。

物的証拠も状況証拠も何もあったもんじゃないが、この子の態度がそれが事実だと僕に告げてくる。

 

 

「ぼ、くは----」

 

「しゃんとせんか、小僧」

 

「いてっ⁉︎」

 

 

僕は背中を思い切りはたかれて前のめりになる。

 

 

「いって〜……って何でお前がここにいるんだよ、ライダー!」

 

「まあざっくり言うとだな----」

 

「この俺がライダんを打ち負かしたからだろうな」

 

 

ライダーの後ろから一人の男が現れる。

その男はライダーと同じくらいの身長で、耳が物語だとかによく出てくるエルフみたいになっており、白い鎧を身に纏っており褐色の肌をしていた。

この子のサーヴァントである自称クラス名・ナイト。

 

 

「さすがナイトは格が違った!とてとて強そうなライダーを倒してしまうなんてすごいなーあこがれちゃうなー」

 

「当たり前田のクラッカー。

俺の手にかかるばライダーなんてチョチョイのチョイだったな」

 

「へー……。

ブロントさん」

 

「何か用かな?」

 

「苦戦しましたか?」

 

「していない」

 

「そうですかありがとう。

満身創痍凄いですね」

 

「それほどでもない」

 

「やはり苦戦していた!しかも満身創痍なのに謙虚にもそれほどでもないと言った!

ブロントさんが死んでしまったら元も子もないですよ?」

 

「う、うみゅ。わかっているんだが?」

 

 

なんか急に漫才が始まったし。

 

 

「いやー負けた負けた!

こりゃあ余のミスだな。長話なんかしないでとっとと倒しておけばよかった」

 

「お前頭悪ぃな。

取らぬ狸が皮算用って名ゼリフを知らないのかよ。

お前がナイトに勝とうなんざ90年早いって話だよ?」

 

「100年じゃないなんて謙虚ですね」

 

「いいからとっとと話を進めろぉ!」

 

 

僕の叫び声が夜の闇に吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、なんだ?

ナイトが化け物を召喚する宝具を開帳、結果その化け物を倒すこともできずに軍の半数以上削られたから維持する魔力の負担が大きくなりすぎて強制解除されたと?」

 

「まあそういうことだな。

『王の軍勢』はサーヴァントにならよほど相性が悪くない限りは無類の強さを発揮するのだが、化け物相手には少々重荷にすぎるのでな。

あの大海魔相手だとダメージを通らせることは出来るが、尋常じゃない再生力の前には無意味となっていただろう」

 

 

ライダーから話を聞いて化け物を召喚出来るナイトも大概化け物じゃないかと思う。

と言うかだ。

『血煙咽ぶ九連撃』に、『後より喰らい付く炎蛇の顎』に、どんなカラクリかはわからないけど、あのセイバーの超高威力の一撃を防ぎ切ったのも恐らく宝具だろう。

で、ライダーの話で判明した化け物を召喚する宝具である『昨日の敵に今日の友』……。

わかる限りで4つも宝具を所持しているんだけどこいつ。流石に持ちすぎだろうが。

 

 

「で、ナイトはライダーを倒さないのか?」

 

「別に倒しても構わんのだがぶっちゅけ痛み分けみたいなもんですわ。

だが次に出会ったら俺が相手に何もさせずに倒してしまうだろうな」

 

 

このサーヴァントは一々自分の強さをアッピルしないといけない病気か何かにでも罹っているのだろうか。

 

 

「じゃあ私達はこれで失礼します。再び相見える機会があるかはわかりませんが、その時まではさようなら」

 

 

少女はナイトが呼び出した黒い大きな鳥に乗って、そのままこの場から駆けていった。

彼女達の姿が見えなくなってから、ライダーを見ると負けたと言うのにすっげえ満足そうな表情を浮かべている。

 

 

「なんで、そんなに満足気なんだよ」

 

「そりゃあそうだろうて。

この余が惚れ惚れするくらいに屈強な戦士がいたのだ。

例え余や英雄王、騎士王などとは違って架空の存在でも、その身に宿した意志、力は紛れもなく本物よ。

それに負けたならば、間違いなくいい経験だと断言できる。

だが負けっぱなしというのも悔しいからな。

あの化け物を倒すには……うん、やっぱり英雄王のあの宝具と余の軍勢を組み合わせて最強のファランクスをつくるのが良さそうだな。

そうとなれば早めに会うのが良さ気だな……」

 

 

ライダーは早速あのサーヴァントを倒す手段を考えているようだ。

ただその考えの中にあの金ぴかの単語が聞こえてきたのは気のせいだと信じたい。

 

 

「なあ、ライダー」

 

「どうした、小僧」

 

「僕はお前のマスターでいいのか?」

 

「小僧、お前はそんなちっぽけなことで悩んでいたのか。

余はお前の実力を認めておる。

この言葉だけで充分であろう?」

 

 

絶対的な王者からの言葉。

確かにこれだけで充分だな。

僕は悩みを払拭し、

ライダーの、いや王が操縦するチャリオットに乗って帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、アーサー王の願いはそのようなものであったか……」

 

 

ブロントからアーサー王の願いについて聞いた私は腕組みをして深く考え込む。

私や他の円卓の騎士、下級騎士もあの方に荷物を背負わせすぎたのかもしれない。

いや、かもではなく実際にそうだったのだろう。

 

 

「あらたまて俺の考えを言っておくが俺はあの子の願いそのものは叶えらるてもいい願いだと思っているぞ。

だけどそれをしてしまったらおもえを含めてアーサん王に関わった奴らがどうなるかはわからにい。

存在そのものがなくなるのかそこにいたのにいなかったというか鬼なるのかはな。

で、この話を聞いてお前はどうするわけ?」

 

「どうする、とは……?」

 

「アルトリアのことに決まっているサル!

言っとくが俺はあの子と出会ったら容赦なく倒すぞ。俺自身の目的を果たすためにな。

だが幾ら記憶があってどんな立ち回りをするのかわかってたとしても負けるときは負けるという事実。

そしたらあの子は聖杯に王手をかけてるも同然であることは確定的に明らか。

さっきも言ったが願いが叶えられたらお前らがどうなるのかはわからにい。

と言うかだ。

今の聖杯はとにかく殺すことばかり考えて頭がヒットしてるからその願いを叶えるとしたらあの子も死ぬぞ?」

 

 

ブロントが何気なく言い放った一言に、私は言葉を失う。

アーサー王が……死ぬ?

何をバカなことを……。

 

 

「俺は何話か前に言ったはずだぞ。

その霊に当てはめれば選定の剣の引き直しならアーサー王その人をこの世から完 全 消 滅 させて次の選定の剣を引き抜ける資格があるやつがくるのを待てばいい。

それが現れるのにどれくらいかかるかは神の味噌汁ってとこかな」

 

「そんな……!

ブロント、お前の力で何とか出来ないのか……!

王をお救いするために……!」

 

 

私はブロントの肩を掴み、詰め寄る。

ブロントならばどうにかこの問題も解決してくれるはずと思ったからだ。

 

 

「……何とかするんじゃないしてしまうのがナイト。

だがお前それでいいのか?」

 

「……どういう、意味だ?」

 

「お前は赤の他人に問題を解決されてもいいのかと聞いている。早く答えテ!」

 

 

何を言っているのだ……?

ブロントが自身で話していたのではないか。

下級騎士の魂、それの集合体だと----。

 

 

「言っとくがな。

俺の中には「」確かに貧弱一般騎士の魂が入ってますが「だからと言って俺自身はアーサー王とは何の関わりもない」という事実。

接点があの化けもにょの時しかないんですわ?お?

どうにかしてほしいのならどうにかしてしまうけどよ。

常識的に言ってここは身内が解決すべき問題でしょう?」

 

「それは……いや、王を裏切った私ではそのようなことなど到底----」

 

「メガトンパンチ!」

 

 

私は突然ブロントから殴られ、思い切り吹き飛ばされた。

頭が追いついていなかったこともあり、マトモに受け身も取れずに地面に落下する。

 

 

「お前ふざけんなよ!仏の顔を三度までという名ゼリフを知らないのかよ!

お前はただ恐れているだけだ!あの子の前に出ることを!

王に断罪されたいだかなんだか言ってたが狂わないと前に立てないならお前の足は意味ないな後ろから破壊してやろうか⁉︎

俺はお前にナイトとして生きればいいと言ったんですがねぇ⁉︎ナイトは敵の攻撃を前で受け止めるのが仕事なんだよ!

それなのにナイトが逃げていたら意味がねえだろうが!

いいか!お前は運がいいだよ!

他の円卓の騎士も!俺の中にいる貧弱一般騎士でさえあの子と直に話すことはできにい!

お前だけだ!お前だけがあの子とのコミュの封印が解けられてんだよ!

お前だけが!ありのままの感情を言葉と一緒に伝えられるんだ!」

 

 

私はブロントの言葉にハッとさせられる。

そうだ、確かにその通りだ。

今、王と直接会話できるのはこの私を置いて他にいないではないか。

ブロントはこの聖杯戦争における戦友と言ってはいいだろうが、それだけでしかない。この男の言う通り、中身の一部に我等の関係者がいるとはいえ、それら本人ではない。

ブロントに解決させるのは筋違いと言うものだ。

どうやら払拭していたつもりだったが、私は臆病風に吹かれていたらしい。

 

 

「……すまない、お陰で目が覚めた。

私が直接王に会い、考えを改めてくれるようこの命を賭してでもやってみせよう。

お前としては不服なのかもしれないが、私は王と関わった者の生までを否定させたくはない」

 

「別にいいのではないかな?

人それぞれ考えがあって当然というのはメガテ○ではあもりにも有名。

アルトリアの願いを俺は否定しないがお前の想いも否定することはしない。

明日だ。お前は明日でけっちゃこをつけるべきそうすべき。

俺も明日にでも決着をつけるとするか」

 

 

私とブロントはそれぞれ決意を固めて明日に備えた。

明日で全てを終わらせる。

その気概を持って。




あくまで個人的な考えでランスロットをこういう感じにしたが案外間違いでもないんじゃないかな?まあ公式(だと思う)の資料的にね?
聖杯戦争に参加した理由が狂えるからってのはマトモなままだと良心の呵責か罪の重さに耐え切れにいのかのどっちがだろうけど断罪されたいのに狂ったってのがちょとわずかにわからなかったからこうしてみたんだが?

そろそろ物語も終わりに近づいてきてるから俺は闇系の調整があるからこれで

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