今さらですが、八幡は20歳(大学生)という設定です。
迅さんをさん付けで呼ぶのは、その方がしっくり来るからです。
迅さんの妨害作戦がうまくいき、ボーダー本部。
迅さんは『風刃』を本部に差し出し、空閑は晴れて正式にボーダー隊員として認められたのだった。
そして俺は……
「……ど、どうもっす……」
「比企谷!?」
「先輩!?」
「「比企谷君!?」」
本部で雪ノ下隊の皆さんとあった。
「迅さんからぼんち揚げ貰ったんすけど食べます?」
よく考えたら俺はぼんち揚げ意外と好きかもしれない。なんか『ぼっち』と似てるし……『ぼっち揚げ』って食べ物作ったら売れるかな? 売れるわけねーか。
そして雪ノ下隊にはもう一人いる。
「やあ比企谷。オペレータールームで見させてもらったぞ?」
平塚静先生。雪ノ下隊の専属オペレーターでありながら高校教師だ。
そして全員でぼんち揚げを食べながら言う。
「(ポリポリポリ)まったく、あんな技を隠してたなんてお姉さん感心しないぞ~」
と雪ノ下さん。
「(ザクザクザク)ですね~、私なんて不意打ちで退場させられましたし」
と城廻先輩。
「(カリカリカリ)ほんっとですよ。なら最初からそうすればよかったじゃないですか~」
と一色。
「(ゴクン)しかもアレ、あたしにわざと電灯壊させたでしょ? 月が雲で隠れるタイミング見計らってとどめ刺したわけ?」
「いや、電灯を壊されなかったら自分で壊してましたよ」
「(ボリボリ)そうなのか?」
「(ゴリゴリゴリゴリ)でもまあ、比企谷の黒トリガーが夜では使い勝手が悪いと思い込んだ陽乃の油断が敗因だな」
一番ぼんち揚げを食べる音が漢らしい平塚先生が言う。
「そうねぇ、欠陥品どころか完璧じゃない」
「いやいや、月が雲で隠れるタイミングが……または雲があと少し早く晴れたら陽乃が抜け出せた可能性もあったんだ。ようは光の出所の問題さ、陽乃がアステロイドをシューターで用意しておけば影が出来て、影が分断されたかもしれんしな」
本当によく見てるな、この人は……
それよりも俺が雪ノ下隊に接触したのには理由がある。
「今回の遠征でも見つからなかったみたいっすね……」
空気がドヨーンとなる。
「先輩……わかってるなら聞かないで下さい……」
今から三年前。
俺らが高校生だったころ。
俺らの学校がネイバーによって攻撃を受けた。当時はまだ警戒区域になっていなかった所に学校があったため、ゲートが開きネイバーが現れたのだ。
学校の生徒の半分、職員数名がネイバーによってさらわれた。
俺が知っている面子だけで……同じクラスの戸部、大岡、大和、戸塚、川崎、三浦、海老名、相模……そして……
「……雪乃ちゃん……」
雪ノ下。そして……
「……結衣先輩……」
由比ヶ浜だ。
『ちょっ!? 我は!?』
……ああ、そうそう、ついでに材木座。
それらの面子が全員ネイバーにさらわれた。鬼怒田さんの話では、俺らの学校の生徒は偶然トリオン能力の優れた人が集まっていたらしい。
俺らが助かったのも奇跡に近かったと何度も言われた。
そして……俺は……連れ去られた奴等を連れ戻すべく、当初は雪ノ下さんを中心に葉山と一色に誘われ、雪ノ下隊のアタッカーとして入隊したが……黒トリガーを手に入れる事となり、雪ノ下隊を抜けることになったのだった。しかし、その話はまた別の機会。
「ま、今回の任務は失敗して正解っすよ。もし次があったら忍田本部長と天羽まで加わってボーダー戦争になってましたから……」
「おや? もしそうなれば、雪ノ下隊に私も加わるぞ?」
冗談でも言わないで下さい……平塚先生……
平塚先生は今でこそオペレーターだが、この人は雪ノ下さんにシューターの基礎を教えたいわゆる雪ノ下さんの師匠であり、太刀川さんと忍田さんと似たような関係だ。恐らく女性限定にすれば平塚先生と雪ノ下さんはボーダートップの存在だろう……
「それにそのネイバーはあんたらと同じようにネイバーにさらわれた人を取り戻すために新たに加わった玉狛の二人に協力するためにボーダーに入ったから、入れておけば役に立つハズだ」
「そうなのか?」
葉山が聞く。
「私たちと同じ……」
一色も考える。そして城廻先輩は……
「そっかぁ、なら正式入隊日が楽しみだね」
こうして、ボーダーは正式入隊日を平和に迎えようと考えていた。
次回は制式入隊日。
まさかの俺ガイルキャラをC級隊員として登場させる予定です。