平塚先生視点。
ひさしぶりの投稿です。
今から3年前。
『イレギュラーゲート発生! イレギュラーゲート発生! 市街地にゲートが開きます! 近くの市民の皆様はただちに避難してください! 繰り返します!』
当時はゲート発生ポイントを制限できる区域が今より狭く、たまにイレギュラーゲートが発生してしまうことがまれにあった。しかし、当時からボーダーメンバーはかなりの実力者が揃っていたため、さほどの被害は出ていなかった。しかし運悪く、今、私が勤務する学校にゲートが開いた。
「くっ! トリガー・オン!」
私はトリガーを使用しトリオン体となり、トリオン兵を倒しながら生徒たちを避難する。
「皆! 早く外へ! 訓練生がいれば護身用としてトリガーの使用を許可する!」
その学校には少数ではあったが訓練生が通っていた。が………
「うわあああ!?」
私のこの判断がミスだった。訓練生に使用を許可したせいで、トリオン兵は彼等へ迎いだした。
当時の私は接近戦がメインのアタッカートリガーだったため、離れた敵に攻撃することは難しかった。他の味方もおらず、一人で闘うのにも限界があった。
その結果………
『警告!トリオン漏出大』
『トリオン体、活動限界。ベイルアウト』
私はトリオン兵に殺られてしまい、生徒達を見捨てる形でベイルアウトしてしまった。
そのあと、私はボーダー正隊員をかき集めて既に向かっていた部隊と共に学校へ戻った。が、時既に遅し………
生徒は半分がネイバーにさらわれ、残った生徒もケガを追い、教職員は数名が死亡。
私は自分が情けなかった。そして悔しかった。守れなかった自分が………ベイルアウトしてしまった自分が………
私は、この日を境に、使用トリガーをアタッカー用から離れていても攻撃が出来るシューター用に持ち代え、二度とこんなことにはさせない! と心に誓った。例えこの命に変えても生徒達を守ると………
そして現在。私は生徒を危機にさらしている。
絶対に誰一人、連れ去らさせてたまるか!
「ん? あれは……」
私は、車を止め、近くにいる隊員に声をかける。
「三輪!」
すると三輪は振り向く。
「……あんたは、平塚先生。戦闘に参加していたのか……」
「ああ……そうだ。ついでだ。これをお前に渡しておこう」
私は、車からあるものを三輪に渡す。
「……!? なぜ先生がそれを……」
私が渡したのは――――――――――――『風刃』だ。
「迅から聞いた。お前がこれを持て」
「……断る。俺には玉狛の奴など知らん! ネイバーはそんなものに頼らず倒す!」
私は、三輪をみて思い出す。かつての……旧雪ノ下隊の姿を………
「三輪、少し聞いてほしい話がある」
私は、三輪に話した。旧雪ノ下隊の悲劇。比企谷が雪ノ下隊を辞めた時の話を――
次回。
旧雪ノ下隊の悲劇。
八幡黒トリガー化の秘密……