まだ八幡の黒トリガーの名前や能力は出しません。
黒トリガー奪還命令が下され、俺は玉狛支部の場所を調べていた。
だって行ったことないもん。
すると……
「よっ、比企谷。ぼんち揚げ食う?」
面倒な人と遭遇した。
「……なんの用っすか?」
「だから、ぼんち揚げ食う?」
「……いりません」
「相変わらず、ノリ悪いなぁ比企谷は……」
話しかけて来たのは自称実力派エリートにして、俺と同じ黒トリガーの迅悠一さんだった。好物は揚げ煎餅。
「城戸さんからユーマの黒トリガーの奪取命令がくだされただろ?」
「邪魔するんすか?」
「いんや、比企谷じゃユーマにゃ勝てないし、その任務失敗するよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
まじすか……
この人は『未来予知』のサイドエフェクトを持っている。
サイドエフェクトとは、トリオン能力の高い奴がまれに持ってる人間の出来ることの強化能力だ。
と言っても迅さんみたいな強力なのはまれだ。
普通はもっと地味な能力の方が多い。耳がいいとか、記憶力がいいとか……俺のサイドエフェクトも地味な能力なんだよな……
そしてこの人が言うなら俺の奪還任務は失敗するのだろう……
「だから比企谷には失敗したあと俺を手伝ってほしいんだ。俺は本部に『風刃』を渡すつもりだ」
!? 『風刃』を!? なんでまた……いや、それなら……
「そうすりゃ、ユーマが玉狛支部の一員になってもボーダーの派閥は変わんないだろ? でもただ渡しただけじゃ、城戸さん達はまだユーマの黒トリガーを諦めないはずだ。だから、比企谷はうまいことダメージを最小限にユーマに負けて失敗したって伝えてほしいんだ。そして次の刺客の相手を手伝ってほしい」
「そしたら次は天羽の奴が出てきますよ……黒トリガーで総決戦なんかしたら街が冗談抜きに消し飛びますよ……」
天羽、俺、迅さんはボーダー内の黒トリガー。それらがやりあったらマジで冗談じゃなくなる。すると迅さんは言う。
「いや、天羽を刺客に使う前に、もうすぐ遠征からトップチームが帰還するからそっちが先だろ。比企谷にはそのときに作戦を手伝ってほしい」
ああ、そういやそうか…ボーダーではネイバー世界への遠征が行われている。今はA級のトップチームが行っているが……あの人達帰ってくるのか……たしかに天羽よりも先にやらせるだろうな。それでも厄介な人達と戦うことになりそうだが、天羽よりはましか。
「既に忍田さんには話をつけてある。じゃ、頼んだぞ~」
そう言って、迅さんは行ってしまった。
とりあえず俺は、城戸さんに任務失敗を告げられるように、玉狛支部へは向かうのだった。
次回は八幡対ユーマ。
「あんた、つまんない嘘つくね」