比企谷先輩と鶴見さんのフリー対戦は比企谷先輩の9勝。そして、最後の一戦が始まろうとしていた。
最後か……ルミルミはどうするか……
ガクッ……
ん? 腕を下ろした?
「八幡……早く終わらせて……」
まさかの棄権!? どうしたルミルミ!
「おいおい、どうした!?」
「だって、全くもって敵わないし……もう戦う意味もないから……」
おいおい、ルミルミってこんなに諦めが早い奴だったか?
思い起こしてみる。
林間学校のボランティア時……グループからハブれて溶け込むのを諦めてた。
クリスマスイベントの時……周りに溶け込もうとせず一人黙々飾りを作っていた。
あ、思い起こさなくても結構諦めてたな……が、それと同じくらいに……
「おいおい、自分から挑んどいて諦めるのかよ。所詮はその程度か?」
「……む」
……負けず嫌いだった。
「ちょっと前にB級になって、さっきまでランク戦やってた三雲って奴はな、前にA級二位のアタッカーに24敗もしても諦めなかった。そのお陰で最後の一戦は引き分けられたんだぞ? それに比べて9敗中がなんだ。お前はトリオン的に三雲よりは確実に強い。そして三雲が24敗もして1引き分けした風間は通常トリガー同士なら間違いなく俺より強い。なら、最後の一戦くらいあがいて見せろ」
俺が少し挑発的に言うと……
「お前じゃない、留美!」
「もうサイドエフェクトは効かないだろ? 最後は本当の意味での正々堂々だ」
留美は銃を俺に構えてひたすら撃ってくる。俺は避ける。
俺はスコーピオンを構えて向かう。すると留美は下がって大弾を撃つ。その大弾が思ったより大きく……
ドゴォッ!
『比企谷ダウン!』
……俺は避けきれなかった。俺はトリオン体の半分を持っていかれた。
「や、やった!」
正直、シールドで防ぐと言う選択もあったが、俺も舐めすぎた。
結果、留美の1勝9敗。
「す、すごい……一本獲った」
「うむ、オサムよりも全然強いな。ルミは」
見ていた葉山先輩や一色先輩も……
「あの比企谷相手に……大金星だね」
「先輩、手を抜きすぎですよ~」
そう言っていると、二人がブースから出てきた。
「……んだよ。葉山も来てたのかよ」
「ああ、まさか君がまたそのトリガーを使う気になるとはな思わなかったよ……」
「……迅さんや一色に無理強いされたんだよ……」
すると留美は……
「……八幡、強すぎ……」
「ウム、ハチマン先輩、強かったな。通常トリガーであの強さなら黒トリガーではどれだけ強いんだろうな……」
それに対して俺は言った……
「そっくりそのまま空閑にその台詞を返してやる」
すると留美に空閑が……
「落ち込む必要はないぞルミ。俺もはじめてA級の先輩と10本勝負したときは1勝9敗だったからな」
「「「そうなの(か)!?」」」
留美、緑川、米屋と驚く。
「ちなみにそれって誰?」
「玉狛の小南先輩だよ……」
「今は4勝の壁があるがな……」
「そ、そうなんだ……」
すると迅さんが近くに来て言う。
「君は強くなるよ~、いい師匠を持てばさらに早くね。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「師匠?」
「そして、その師匠に比企谷を推奨するぞ」
……は?
「ちょっ!? 待て待て、俺は後輩指導とかは無理だぞ!?」
「いやいや、比企谷は意外と面倒見がいいから……鶴見さんはどう? 比企谷の弟子になるの」
フッ、甘いな迅さんは……そうだ。ルミルミは嫌がるに決まって……
「よろしくお願いします」
「なんでぇ!?」
「じゃあ、メガネ君、ユーマ。城戸指令がお呼びだ」
そう言って、迅さんは二人を連れて行ってしまった。
「あらためてご指導よろしくお願いします」
「いや、本当にいいのか?」
「全く知らない人に教わるより八幡の方がいい」
「よし、なら知ってる顔の葉山に――」
「悪い。俺は大規模侵攻まで防衛任務があるから」
「――なら一色――」
「ポジションが違いすぎますからぁ~」
くそ、あざとくかわしやがって……ルミルミは……
「八幡は、私が弟子なのは嫌?」
はぁ、仕方ない。迅さんがあんなことを言うからには何か有るかも知れんし……
「わかったよ。とりあえずランク戦でポイントを貯めろ。俺のC級スタートは3600Pスタートだったから、それまでたまったらまた10本勝負してやる」
「わかった」
こうして俺は、ルミルミの師匠になってしまったのだった。
色々と難しくて大変です。
次回も頑張ります。