rewriteアニメ化が決まって衝動的に書きました。
…視界が滲む。自分の中の命がどんどん失われていくのを感じる。
何故こんなことになったのかとも思う。結局あいつとの決着を付けることはできなかったし、この決戦でも大した役に立つこともなかった。
自分には特別な能力があると口にはだしていても、本当は自分がただの凡人だということは分かっていた。たがらこそ影ながら努力もした。でも俺の周りの奴らはそれでも追いつけない特別な「何か」を持っていて。…それが羨ましいと感じたことも、確かに、あった。
では今までの自分の生き方を後悔しているのか?と考えると、それは絶対にない、と言える。
こんな俺でもついてきてくれたバカ共は確かにいたし、兄弟《ライバル》だといっていたあいつも俺がいてくれて良かったと言ってくれた。多分もう一度人生をやり直せると言われたとしても、俺は同じように生きていくだろう。
…未練はある。たが後悔はなかった。他人に誇れるような人生であったかは分からないが、俺なりに精一杯生きて、戦った。
あいつの行く末を、あいつの戦いを最後まで見届けることが出来ないのは口惜しい。けれど同時に俺がライバルに掲げたあいつならば大丈夫だ、という安心感はあった。
この場所に来れるのはあいつとのそれなりに強い縁が必要だと聞いた。現にここに喚ばれた奴らはあいつの部活仲間と俺だ。縁はあったがそれがあまり深くなかったせいで呼びたかった奴を喚べなかったとも言っていた。つまりただ言葉を交わしたり、付き合いがあるだけでは駄目だということだ。だが俺は今、此処にいる。だとしたらそれは…そういうこと、なのだろう。
ははっと小さく笑いがこみ上げてくる。
今更だがあれだけ馴れ合いはしない近づくなと言っているのに、しつこくこちらに絡んでくるあいつとのあの関係性をなんだかんだ気に入っていたんだな、俺は。全く…認めたくはねえが、な。
脳裏に走馬灯のように現世の頃の記憶が蘇ってくる。
--------ある時は、自分でふっかけておきながら決闘に来ず一晩待ちぼうけさせられたこともあった。
--------ある時は、不思議空間に放り込まれ共に脱出方法を探したこともあった。
--------ある時は、部活動に巻き込まれ無理やり意味のわからんことをやらされたこともあった。
--------ある時は、ふざけたことを抜かしやがったやつをぶん殴って喧嘩をしたこともあった。
--------ある時は、死にかけていたあいつを背負って惚れた女と共に病院に連れて行ったこともあった。
いろいろあった。本当に、いろいろと。
ああ…ちくしょう。悔しいなあ。
周りにはもう異形の奴らがそこまできていた。あと少しで俺は奴らによってこの場所から消されるだろう。
...なら。そうであるならば。
もう力の入らない右の拳を、異形に向ける。
恐怖なんてしない。不敵に笑い、アウトローらしく。
親指を、下に向けた。
それを理解したのかどうかは分からなかったが、異形は叫び声を上げながらこちらにむかって来た。
…へへへ。ざまあみろってんだ。
そして霞んだ視界の中、何体もの異形が自分にその牙を振り下ろそうしていた。
それでも、最期まで、俺らしく。強気に笑う。
…先に逝くぜ。
--------じゃあな、兄弟。
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--。----ん。
…ん?な‥んだ?誰かが呼んでる…?
--くん。----せーくん。--------っせーくん。
「イッセーくん!」
「うわぁ!」
思いっきり体を揺すられて目を覚ます。
「な、なんだ?」
周りを見渡すとそこは見覚えのない部屋でサッカーボールやら漫画などがそこらに散らかっており、そして
見知らぬ小学生くらいの短髪栗毛の女子が頬膨らませていた。
「なんだ?じゃないよもー!今日は一緒に遊ぼうって約束したじゃない!」
「...は?何を言って。そもそもテメェは誰だよ」
「誰って‥。ヒドいよ!イッセーくん!友達の名前を忘れるなんて!」
うわーん!と急に泣き出してそいつは部屋を飛び出していく。
「…なんなんだ?」
その行動に対して思わず呟く。
そして状況を確認するために思考を切り替え周囲の観察を始め、机の上に置いてあった鏡をチラ見してそして--------固まった。
「…は?」
その鏡の中には。そこに映っていたのは
--------小学生くらいの見覚えのある顔だった。
というか俺《吉野晴彦》だった。
…へ?どゆこと?
吉野くんも格好いいんだよなあ。シリアスな時の頼れる感がハンパないんですよね。
rewriteアニメ化本当よかった。