ダンジョンに英雄王がいるのは間違っている   作:あるまーく

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ミノタウロスに遭遇したベルとギル。
そして、二人は『剣姫』に出会う。
ちなみにギルは暇なときはベルと一緒にダンジョンに入っています。
ギルも暇は嫌いでしょう。


そして出会う少年と少女と王

ーーーーーー

 

迷宮都市オラクルにきて半月。

 

冒険者になって半月。

 

未だにLv.1だが、僕は今日5層に来ている。

 

エイナさんにはまだ、冒険者になって半月ということでまだ1層で活動しなさいと言われていたが、僕はエイナさんに黙って5層に来ていた。

 

……そう、僕はここに女の子との出会いを求めてきている!たまには刺激欲しさにと、この階層まで降りてきていた。

 

王様も相変わらず手ぶらで着いてきていたが、モンスターには一睨みするだけで、逆にモンスターのほうが逃げていく。

 

……相変わらず王様は凄いなぁ~。

 

そんなこんなで5層でモンスターを倒していたが、今目の前には、見慣れないモンスターがいる。

 

「な、なんでミノタウロスが上層にー!?」

 

ミノタウロスーーー主に中層と言われる層にいるモンスターと僕は出会った。

 

……やっぱりダンジョンに出会いを求めるのは間違ってたのかな!?

 

僕は全速力で逃走した。

 

「ヴヴォォォォォォォォ!!」

 

「ほぁああああああああ!?」

 

雄叫び上げるミノタウロスに僕は悲鳴を上げ追い回されていた。

 

って不味い!王様が危ない!

 

案の定ミノタウロスは王様を見つけその手に持つ棍棒を振り上げていた。

 

……いくら王様が一睨みするだけでモンスターが逃げていたと言えど、今いるモンスターは中層でも強モンスターのミノタウロス!

 

僕が後ろを振り返り、王様逃げてー!と、言おうとした時…

 

『ギロ!』

 

王様が睨み付けた瞬間、ミノタウロスは振り上げていた棍棒を止め、ゆるゆると下ろし、そして王様に会釈し、ぺこぺこしながら王様の後ろに回り、そしてまた僕のほうに襲ってきた。

 

……あれかなぁ中層だとモンスターも知能が上がるっていたから、ミノタウロスは王様にぺこぺこしてたのかなぁ…

 

って!そうじゃない!

 

「なんで僕なのー!」

 

そして、僕はまたミノタウロスと追いかけっこを再開した。

 

ーーーーーー

 

「なんなのだ?今の雑種は?」

 

ベルがミノタウロスに追いかけられ、どんとんと遠ざかる背中を見て、そう呟いた。

 

……ベルもベルとてあのような雑種とっとこ倒せば良いもの…

 

仕方ないか、そう結論付けて我はベルの方に振り向いた時、後ろから我を金髪の少女が追い抜いた。

 

……スピードが速く見えたのは一瞬だったが…

 

「……金髪か…セイバーを思い出すな…」

 

我はそして、ベルが去っていた方に歩いていった。

 

ーーーーーー

 

「……大丈夫ですか?」

 

僕は先程まで追いかけられたミノタウロスの血を全身に浴び、尻餅をついた状態で目の前の少女を見ていた。

 

「あの……大丈夫、ですか?」

 

金髪の少女ーーー『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインに再度声をかけられ、ぼーっとしていた意識が覚醒した。

 

覚醒した瞬間僕は、脱兎のごとくその場から逃げたした。

 

ーーーーーー

 

「……行っちゃった…」

 

アイズ・ヴァレンシュタインはミノタウロスに襲われた少年を助けたが、声をかけた瞬間少年は走って去っていった。

 

「ふむ、今のトマトはいったいなんなんだ?おいそこな娘よ!」

 

少年が去っていった道から、先程すれ違った青年が表れ、自身に声をかけてきた。

 

……言葉使いが、物語の王様、みたい…

 

アイズはそんなことを思いながら、声をかけてきた青年に返事をした。

 

「……なに?」

 

「気に食わん態度だが…まぁよい。娘よ、この辺に銀髪の赤目で兎見たいな少年を見なかったか?」

 

……そっちのほうが、態度でかい…

 

アイズはそんなことを思いながら、青年が探している少年に覚えがあった。

 

自身が先程倒したミノタウロスの血のせいで、真っ赤になった少年を。

 

アイズは青年に少年が去っていった方向を指差した。

 

「……なに?そうすると先程すれ違ったトマトがべるか…邪魔したな娘よ!我はこれで行くぞ!」

 

そう言い青年は少年が去っていった方に歩んでいった。

 

アイズは見送り、自身の仲間を待つことにした。

 

……先程の少年と青年は何だったのか、そんなことを疑問に思いながら…

 

ーーーーーー

 

「エイナさんー!」

 

自身が担当する冒険者の少年の声がきこえ、エイナは作業をやめて声のする方向を見た。

 

全身に血を浴びこちらに声をかけるベルの姿が視界に飛び込んできた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報を教えてくださいー!」

 

あれから僕は、ダッシュでダンジョンからギルドに戻ってきて、アイズさんのことを聞こうとギルドのエイナさんに声をかけた。のだが、全身血だらけに染まった僕を見て絶叫を上げ、今ギルドのロビーの一室にいる。

 

……あのあと事情を話しシャワーを浴びせさせてくれたのだが、めちゃくちゃ説教された。

 

「それで…アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報だったっけ?どうしてまた?」

 

「えっと、その…」

 

僕は、ミノタウロスに襲われて、それを救ってくれたのがアイズさんだと伝えた。

 

そうして、アイズさんの情報を教えてくれた。

 

ーーーーーー

 

アイズ・ヴァレンシュタイン

 

ロキ・ファミリア所属

 

冒険者の中でもトップクラスの剣技をもつ。

 

Lv.5の実力者で、二つなが『剣姫』と『戦姫』

 

ーーーーーー

 

とかいつまんで言うと、以上になった。

 

……僕としては、趣味とか好きな食べ物とか聞きたかったけど…

 

でも、今は特定の誰かはいないらしく、ついこの間千人切りを達成したとか…

 

「なぁに、ベル君もヴァレンシュタイン氏を好きになっちゃったの?」

 

「いや、その…ぇぇ、はい…」

 

「あはは、まぁ、しょうがないのかな。同性の私でも彼女には思わず溜め息をついちゃうし」

 

苦笑いを浮かべ、エイナさんはそういった。

 

……でも、エイナさんも冒険者達の間では人気が高い。

 

ハーフエルフで日目秀麗な見た目だが、それでいて人懐っこく親しみやすいから、それでやられる人が多いみたい。

 

「まぁ、これ以上はさすがに言えません!」

 

「そ、そんなー!」

 

「で、今日も換金してくんでしょ?私もついていくから行こう」

 

これで、話しはお仕舞いと言う風に、エイナさんは立ち上がり、換金所のほうに歩いていった。

 

……まぁ、他ファミリアの人とお近づきになるのは難しい…

 

でも、諦めないぞ!僕はそう心に思いながら換金所に歩いてくエイナさんについていった。

 

ーーーーーー

 

本日の収穫1,200ヴァリス。

 

何時もと比べると少ない収入。…まぁ、今日はミノタウロスに追いかけられたから普段より短い時間しかいなかったせいなんだけど。

 

「……ベル君」

 

換金し出口に向かう僕をエイナさんはひきとめた。

 

「あのね、女性はやっぱり強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じるから…えっと、めげずに頑張っていれば、その、ね?」

 

「……」

 

「……ヴァレンシュタイン氏も、強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ?それと…」

 

そう言葉を切ったエイナさんはギルドの入り口にあるソファー、それにどかっと座ってる人ーーー王様を指差し。

 

「間違いなく、ベル君はあんな男のようになっちゃっ駄目よ!」

 

エイナさんはその目に確かな怒りを宿し、そう告げた。

 

……王様…待ってくれるのは嬉しいですけど、ソファーを独り占めして座ってるからみんなに物凄く見られてますよぉ…

 

 


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