ーー追記ーー
いつから次は18階層だと思っていた?
「俺を、お前のパーティーに入れてくれ」
「えっ?」
僕は装備を買いにまたバベルの『ヘファイストス・ファミリア』の武具屋に足を運んだ。
そこで、前回の防具『ヴェルフ・クロッゾ』の作品をまた買おうと思ったのだが置いてなく。お店の店員に聞いたとき、本人がその隣のカウンターにいた。
そしてクロッゾさんーーー家名が嫌ならしいので、ヴェルフさんに直接契約を結んで、また防具を使わせて貰えることになったのだが、そこでパーティーに入れてくれとお願いされた。
「なんだ、俺じゃあ駄目か?」
「い、いえ、大丈夫です!むしろお願いしたいくらいなんでんですけど…」
「なんだよ、何かあるのか?」
僕の煮え切らない態度に、ヴェルフさんは首を傾げた。
「じ、実は僕のパーティー、僕とサポーターの二人しかいないんですよね」
「なんだ、そんなことかよ。人数が少ない方が顔合わせも楽だし、俺は気にしないぜ!」
「ほ、本当ですかっ!」
メンバーが増えたことに喜んで、僕は立ち上がり歓喜した。
やった!これで三人になった!
「しっかしお前。二人で、いや内一人はサポーターだからほぼ一人だろ?それでLv.2になったのかよ」
「ううん。本当は王様もいるんだけど、ダンジョンには潜らなくなっちゃって…」
「お、王様!?」
あっ、また説明しなくちゃ。
その後、僕の言葉を聞いて驚いたヴェルフさんに王様の説明をした。
ーーーーーー
「それでですね、王様!その後その英雄様は…」
「フハハ、そのアルゴノゥトとか言う英雄は、ずいぶん愉快な男だな」
今日もお酒を飲みにやって来てくれた王様。その時に『道化、貴様アルゴノゥトを知っておるか?』と聞いてきたので、私は英雄譚のアルゴノゥトのお話をした。
アルゴノゥトは英雄譚の英雄には珍しい英雄なので、私も結構好きです!
「ーーーって風にアルゴノゥト様は、お姫さまをお救いになったんです!」
「フハハ、雑種にしては良くやった方か…。くっくっ。まぁ、我ならそのようなことにはならぬがな」
ぐいっと、グラスに入っていた酒をあおりながら笑う王様。う~ん、確かに王様とはイメージが合わないですね。そう思うと、私も笑ってしまった。
そして、空になったボトルを見て王様は、宝物庫?からお酒を出していた。
……前々からお気になってたのですが、一体どういう仕組みなのでしょう?
「……そう言えば、もう満月も近いな」
「……そうですね」
開け放たれた窓から、王様が夜空のお月様を見ていた。
……もうすぐですね…。
その言葉を聞いて、
「道化、先の話中々のツマミになった。褒美をくれてやろう」
「えっ?」
願い…?私に願いなんて…。
「貴様もしょせん人の子。ならば確たる欲があるだろう、それをのべてみよ」
困惑したままの私。王様はお酒を飲みながら答えを待っていた。
私の願い…。叶うなら。
「自由になりたいです…」
「ほう…」
それは本当に小さな声だった。出した私自身驚いてしまった。
って私は何てことを言っているのでしょう!
「ち、違いますよ、王様!…あぁ、そうです、街に行ってみたいです!それが春姫のお願いです!」
慌てて否定して違う事を口にした。街を見てみたいのも本当ですし、私の願いのはず。
そうそのはずです…。
「まぁよい。酒の席の言葉といえ我が口にしたのだ、覚えておこう」
「あ、ありがとうございます…」
またお酒をあおる王様。私は空になったグラスにお酒を入れた。けれども心ここにあらずといった風に、私はさっき口にした言葉を思い返していた。
……私の願いかぁ…。