ベルの服装は分かんないので、適当で…
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「ふむ…以外と早くついたなベルよ」
「そうですね、歩きで来たから疲れましたけど、何とか着きましたねーーー迷宮都市オラリオに!」
迷宮都市オラリオの入り口の前には二人の少年と青年がーーーベルとギルがいた。
あれから、二人はこのオラリオに歩いてやってきていた。
ギルは最初ヴィマーナを使おうと思ったが、自身の知らない世界ーーーましてや今回聖杯から知識も得ていないので、せっかくだからと歩いてきた。
……途中の町や村では、「こんな犬小屋で眠れるか!」と激怒していたが、野宿は無理だし、何よりベルに涙目上目遣いで小動物のように懇願されしぶしぶ泊まっていた。
ベルを下僕兼家族とした以上無下にするのもはばかれ、何よりギル自身お金を持っておらず、途中換金できる場所もなかった。
しかし、ここには本来ベル1人で来るためだったので、旅費が倍掛かり今ベルの手持ちは1,000ヴァリスほどしかなかった。
「して、ここまできたがまず何をするのだ?ベルよ…」
「そうですね…とりあえずは僕たちが入れるファミリアを探しましょう!冒険者の登録するにもまずファミリアに入らないと!」
ギルは道中ベルと話をしながら来ていたが、主にどうしてここに来たいのか等、ここに来てからすることについては話していなかった。
……ベルがオラリオに来たかった理由『女の子との出会い』と言った瞬間ギルは爆笑していたが。
「そのファミリアとはなんだ?」
「ファミリア『神の眷族』つまり神様による派閥ですね。そこで神様達から恩恵を貰わないと話にならないですからね」
「ふむ、この世界では神がうろちょろしているのか、なかなかにして楽しめそうではないか!」
「といってもあれですよ、神様達も下界では力を行使できないので普通に僕たちと変わらないですよ?」
ベル達は、オラリオの町を歩きながらそんな会話をしていた。
ギルは神がいると聞いてなかなかに楽しめると思ったが、力もないましてや今のベルと大差ないと聞いて落胆した。
ましてやギル自身は『王の財宝』があるので、恩恵を貰おう等とは露程にも思わなかった。が、自身の隣出歩いている少年が恩恵を貰いどのような芽を出すのかには唯一興味を示しながら…。
「なら、ベルよ貴様の好きなファミリアを選んでこい」
「えっ?王様は別のファミリアに行くんですか?」
「そうではない、我にはそのファミリア云々はさして興味がない。であれば貴様の好きなように選んでよいと言っておる」
「…でも僕1人だけ入っても良いって言われるかも知れないですよ」
「そんなことはあり得ん、まぁもしそのようなことがあれば、我を拒んだ報いは受けて貰うがな」
とギルは獰猛な笑みを浮かべてそう言った。ベルも別々のファミリアに入る選択肢は考えていなかったが、その発言に苦笑いを浮かべた。
……まぁこの王様やると言ったら本当に殺るのだが…
「我はどのファミリアが良い等の情報を持っておらん。のでそこの中央の噴水場で待っている。ファミリアが決まったら戻ってこい」
「わかりました!王様が喜びそうなファミリアを見つけて来ますね!」
ベルはそう言い、ギルと別行動することに了承した。
ちなみにギルはベルのことを童から名前呼びにし、ベルはギルのことを王様と読んでいる。……ギルガメッシュが我のことは王と呼ぶがいいと言い、ベルは王様と呼ぶようになった。
道行く人からすごい目で見られていたが…
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自分ベル・クラネルは王様と別れてからいろんなファミリアに入れてほしいと頼み回った。しかし…
「お前見たいなガキ要らないよ!」
「サポーターとしてなら雇っても良いよ(笑)」
「悪いことは言わないから君みたいな子供はお家に帰りな」
と、全て門前払いされてしまった。
……ギルと別行動を取ったベルは幸運と言わざるを負えない、もしいたなら一体いくつのファミリアが今日潰れたかわかったもんじゃない。
(なんだよ…見た目は関係ないじゃないか!)
ベルは断れ続けたショックで、その場に膝をつき道路をドンと叩いた。…叩いた右手が逆に痺れたが。
「……王様が喜びそうなファミリアを見つけて来るって言ったのに、これじゃあ顔向け出来ないよ」
気づくと自身の目から涙が出ていた。まだ子供と言っていい年齢のベルは現象の非情さに思わず泣いた。
ーーーその時不意に自分の前に誰かの気配を感じた。
「……少年、ファミリアを探しているのかい?」
ーーーなら僕のファミリアに入らないかと、その女に手を差しのべられていた。
その時ベル・クラネルにはその女性が女神に見えていた。