霞んだ英雄譚   作:やさま

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第十二話 パーティ結成/怪物祭前夜

夜。

冒険者達で賑わい、暖色の綺麗な光に包まれているオラリオ。

しかしそれとは裏腹に、空はどこまでも深い黒に包まれていて、月はすっかり姿を隠してしまっている。

あぁ、一体誰が月を隠してしまったのだろう。

それとも、月が自分で隠れてしまったのかな。

自分よりも明るく輝くオラリオに嫉妬して。

その身を黒く汚して、いつもと違う自分に皆が振り向いてくれるように―――――

 

「シオン。空なんか見上げてどうしたんですか?」

「……リリ」

 

仄暗い裏路地の小さな広場。

壊れかけて点滅をくりかえす街路魔石灯の下、たった一人の友人が僕を見おろし立っていた。

暗くてよくわからないけど、その顔はとても楽しそうにしているように見えた。

 

「また恥ずかしいポエムでも紡いでたんですか?」

「恥ずかしいって……」

「シオンはいつもそうですから。特に、空を見上げている時は」

 

―――――それは言外に、いつも恥ずかしい奴だとでも言いたいんだろうか。

けれど、どんなに僕が落ち込んでいても、いつも変わらぬ態度で接してくれるリリには感謝している。

そんな彼女は僕にとって大切な友人で、かけがえのない幼馴染。

 

……ただ、今の僕にはどうしても気になっている事があった。

 

「ねぇ、リリ」

「何?」

 

脳裏に蘇っていたのは、ダンジョンでのテクトさんの様子。

リリの特徴を告げた途端、彼は人が変わったように僕を敵とみなし、刃を向けてきた。

……まぁ、警戒されたせいでその前にも一度向けられてたけど。

しかし、何がそこまで彼を変貌させたのか。

 

凄く気になって、ダンジョンから出た時にテクトさんに話を聞いてみた。

けれど、あの人は僕にその事情を話そうとはしなかった。

というより、話したくないようだった。

しらばっくれるな、自分がよく分かってるんだろ―――――そんな言い訳染みた事を告げて、彼は立ち去ってしまった。

 

僕はしらばっくれてないし、何も分からない。

僕は何一つだって知らない。

ただ、確実な事は―――――

 

「リリ、危ない事してないよね」

「……危ない事?」

 

テクトさんはリリと一度会っていて。

テクトさんが敵意を示すくらいに、リリを嫌っている事。

そしてそんな事をするくらいなのだから、きっとテクトさんはリリに何かをされたんだろう。

あるいは、何かしているところを目撃したか―――――

 

「ねぇ、本当に何もしてないよね?」

「……どうしたんですか?今日のシオン、何か変ですよ」

 

訝しげに僕を見るリリは、本当に何のことか分からないというようで。

 

「そっか。それならいいんだ」

 

そんなリリに、僕は笑う。

きっと何かの間違いだろう……そんな、希望にも似た憶測を立てて。

 

「シオンこそ、危ない事してないですか?意外とシオンって、男の子な所がありますから」

「意外とって……意外も何も、僕は普通に男の子だよ」

「何言ってるんですか。シオンの髪と肌は、私が嫉妬するくらい柔らかくて綺麗なのに!」

「ははは……」

 

 

―――――僕個人としては、男として見て欲しかったんだけれど。

 

 

かつて抱いた淡い恋心も、今や僕の中には見る影もない。

幼馴染はどこまでいっても幼馴染。

変わらぬ関係に、モヤモヤとしたものを感じたこともあったけれど。

 

これでもいいかなと思い始めたのはいつだろう。

この緩やかで穏やかな空気に、満足したのはいつだろう。

 

「ねぇ、リリ」

「何ですか」

 

リリは大切な友人で、幼馴染。

この事実は、きっと未来永劫変わることはないだろう。

 

「僕、ソーマ・ファミリアには悪い思い出しか無いけど……ここに生まれてよかったと思える事が一つあるんだ」

「え……何ですか?」

「……今は内緒」

「えぇ!?自分から話振っておいてそれですか!?」

「ふふ……いつか話すよ」

 

僕が大人になって、リリも大人になって。

お互いに家族が出来て、年を取ったねと笑いあえる時が来たら。

かつての片思いを吐露するように、今日のような宵闇の下、僕はこう打ち明けよう。

 

―――――君と出会えて、よかった。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

「本当に……よかったんですか?」

 

明くる朝。

今日も今日とてダンジョン探索に勤しむテクトの後ろには、空色の髪の少年シオンが付き添っていた。

その腕には新しい杖が大事そうに抱えられており、眉は申し訳なさそうに八の字を描いている。

 

「武器一本を買う余裕くらいはある。それとも、護身刀のほうがよかったか?」

「い、いえとんでもない!この杖を買って頂けた事には凄く感謝してます!刃物はちょっと苦手ですし……」

「……は?」

「それにこの杖、とても気に入りました。持ち手の部分はとても手触りがよくて、先端の魔石を模った金属の飾りもとても綺麗で……」

 

この少年は、刃物が苦手だという。

新しい物を買ってもらった子供のようにはしゃぐシオンを眺めつつ、誰にともなく嘆息した。

 

―――――こいつ、実は冒険者なんて向いていないんじゃないだろうか

 

「以前持っていた木の杖には愛着は無いのか?」

「あぁ、あれはそこら辺で拾った木の枝でしたので大丈夫ですよ」

「……は?」

 

少し訂正。

シオンは―――――絶対に冒険者なんて向いていない。

呆れて物も言えないようなジト目の視線に、シオンは恥ずかしそうに俯いた。

 

「あ、あはは……借金地獄で武器を買う余裕が無かったんです。あ、でも一応樹齢の多きな木を選んで」

「そういう問題じゃない!……ったく、お前はダンジョン探索を遊びか何かだと思っていたのか?」

「いえ、そんな事は!けど……そうするしかなかったんです。」

 

パーティを組んでも、年若く自己主張の少ないシオンは下を見られてあまり多く分け前を貰えなかった。

その結果、得たお金のほとんどは借金返済へと飛び。

日々を生きる事を考えれば、自由に使えるお金など皆無だった。

 

「お前の母親は戦えないのか?」

「昔、争いに巻き込まれて利き腕を怪我したらしくて。いつも腕をあまり動かせてませんでした」

「……?」

 

シオンの物言いに、妙な違和感を感じた。

ただそれは、矛盾などではなくて。

母を語るその言葉が、まるで過去の出来事を思い出すかのような……

 

「―――――まさか」

「……はい。母は、一年前に亡くなっています」

 

寂しげに、笑った。

 

「悪い」

「いえ。それとなくほのめかすような事を言ったのは僕ですから。……それより、来ますよ」

「あぁ、分かってる」

 

二人の目の前には、4匹のモンスターが行先を塞ぐように立っていた。

そのうち犬頭のコボルトが二匹、その他二匹がゴブリン。

数は不利だが、戦力的には圧倒的にこちらが有利。

現在は9階層であるため、1階で見る奴らよりも強いだろうが特に問題はないだろう。

 

「……丁度いい。ここで一度、お前の魔法を見せてもらっていいか」

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

「―――――丁度いい。ここで一度、お前の魔法を見せてもらっていいか」

 

テクトさんは目の前のモンスターを睨みながら、告げた。

 

「僕の魔法、ですか?」

「魔法が得意なんだろう?これから連携するうえで参考にしたいからな。敵はひきつける……頼んだぞ」

 

やがて言葉通り、テクトさんはいつもよりスローペースでモンスター達へ接近した。

自分の居場所を相手に見せつけるかのように、単調にまっすぐと。

剣も構えず、隙だらけで。

案の定、混成のモンスター達はその全てが突出した無防備なテクトさんへ。

 

「幾ら惹きつけたいからって、あんな無茶……!」

 

―――――早く撃退しなければ!

テクトさんから頂いた大きく綺麗な杖を構え、丁寧に魔力を紡いでいく。

己の中に流れるそれが、次第に二つの点へ集束していくのを感じた。

 

「【来れ―――仇を貫く凶冷の槍】」

 

白く明滅する杖を手に、手早く詠唱を終えたシオンはすぐさま魔法を行使する。

目標は―――――“二列”に並んだ4匹のモンスターへ。

 

「【フロスト・ランス】!!」

 

集束した魔力の“二つの点”が、シオンの前に出現。

その両方から、同時に青白く輝く細い光線が射出される。

計二本の光線は、一方は二匹のコボルトを、もう一方は二匹のゴブリンを、纏めて貫き、凍らせ―――――砕いた。

 

「ッ……凄いな、魔法は」

 

先ほどまでモンスターが居た場所を見つめ、唖然とするその声に。

僕はわざとらしく足音を鳴らし、ドタドタと駆け寄った。

 

「テクトさん!なんであんな無茶したんですか!」

「無茶……?俺は奴らの動きに関しては知り尽くしている。油断もしていないし、何も問題は」

「た し か にッ!テクトさんは強いですし、何も問題なかったかもしれませんが……それでも!」

 

テクトさんのあれは、まるで自分を餌にでもしているかのようで。

自分を犠牲とするような真似、例え嘘でもしてほしくなかった。

目を吊り上げて怒る僕に、テクトさんは―――笑った。

 

「テクトさん!?」

「あぁ、いや。そんな風に怒られたのは久しぶりでな……分かった、次から気を付けるよ」

「本当ですか……?」

「本当だ。それよりシオン、今の魔法は何だ?モンスターが凍りついたが」

 

(……話を逸らされた気がする)

 

「……フロスト・ランス。青い光線で敵を貫く氷属性の魔法です。ちなみに、他にもイグニート・ジャベリンやヴォルト・スピア等、炎や雷属性の魔法も使えます」

「へぇ……」

「僕の魔法は貫通性能が高いので、一列に並んだ敵には威力を発揮しますが―――――」

 

―――――いずれの魔法も一般的なハーフエルフやエルフの魔法と比べて詠唱も短く、総じて威力が低い。

それにいくら貫くといっても、敵が僕の望むとおりに並んでくれる事なんてそうそうなく、貫通性能を高めた光線は縦に強くても横には弱いので殲滅力は無きに等しい。

……要するに、僕の魔法の才能は、他のハーフエルフやエルフに比べて劣っている。

 

「―――ごめんなさい。魔法が得意とはいいましたが、あれも体術とか白兵戦に比べて得意なだけで、実際は……」

 

僕の唯一戦えそうな部分が、魔法であっただけ。

いずれも底辺な能力の中、唯一魔法だけがなんとか冒険者としてやっていけるレベルにあるだけ。

それでも少しは冒険者として独り立ちできるようにしようと、頑張って唯一の長所である魔法を磨き続けた。

その結果、レベル2に上がれた時はとても嬉しかった。

 

とはいえ、それでも魔法の才能が他人と比べると劣っている事だけは変わらなかったけれど。

 

「あの……幻滅、しましたか……?」

 

パーティ解消されたらどうしよう。

折角見つけた居場所、もう手放したくない。

痛いほどの沈黙が怖くて、じっと俯いていると―――――頭に、柔らかい感触。

 

「……へ?」

「才能なんて、自分で決めつけるな」

 

その言葉に、僕は視線を上げ。

微かに吹き抜けた風が、頬を優しく撫でた。

 

「俺は魔法が使えないから、魔法の優劣なんて判断できないし、お前の苦労は分からない」

「です、よね……」

「けど、お前があのモンスター達をまとめて凍りつかせた時……俺がお前の事を頼りに思ったのは本当だ」

「……っ!!」

 

頼りにされている。

魔法の才能なんてからっきしな自分が。

この人に、必要とされている。

その嬉しさに、有難さに、僕の視界は滲んでいき―――――

 

「だから、シオン。このまま12階層まで連携の確認も兼ねて進んで、問題なかったら……13階層へ潜るぞ」

 

―――――すぐに、鮮明に戻った

 

「……え?」

「俺もようやく神の恩恵に慣れてきた。お前の魔法も加わったし、何も問題は無い」

「僕の魔法……で、でも!!」

 

12階層と13階層ではモンスターの危険度は桁違いに異なっている。

そんな所へ僕がいけるのだろうか。

この人の足を、引っ張ってしまわないだろうか。

 

「大丈夫だ、今日明日の話ではない。それに、危険と判断したらすぐに撤退する」

「うー……」

「覚悟を決めろ。俺はお前に期待しているんだ。多少の無茶もしなければ……お前は成長しない」

 

これまでダンジョンに潜り続けて、テクトには気付いていた事があった。

それは、自身のレベルの適正とは程遠い階層に居ても、能力は殆ど上がらないという事。

自分より同等か強い敵と戦わなければ、ステイタスの向上には繋がらない。

 

金を稼ぐだけなら今のままでも良いとテクトは思っていたが、しかしシオンは違う。

より強くなる事を……より魔法の扱いが上達する事を、シオンは望んでいる。

今の自分にシオンは納得などしてはいない事を、テクトは察していた。

 

「さぁ、行くぞシオン。次は10階層、まだ上層だが油断はするなよ」

「はい……!」

 

―――――足を引っ張るのは怖い。

けど、向けられた期待には精一杯応えたい。

 

先を進むテクトさんに、僕は遅れないよう駆け寄った。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

その後、シオンとのダンジョン探索を終えた俺は、バベル前で彼と別れた後に酒場へやってきた。

その酒場とは、オラリオ西のメインストリートに店を構えている【豊穣の女主人】。

元一級冒険者のミアという女性ドワーフが開いた酒場であり、その大きな特徴の一つに店員が女性ばかりというものがある。

ミアが引き取ったワケアリの亜人やヒューマンの少女達が給仕を務め、日々訪れる冒険者達の眼を潤しているのだ。

―――――無論、冒険者としての腕前も確かな女主人が目を光らせている為、怪しい事を少しでもすれば即退場となるが。

 

そんな酒場が存在している事を知ったきっかけは、ヘスティア様によるオラリオ観光。

あの日以降、ダンジョン探索を早く切り上げた日に限って俺は顔を出すようになった。

人混みは苦手だが、酒場の賑やかな空気というのは嫌いじゃない。

 

「―――とかいいつつ、ここ最近は毎日来てるにゃ。やっぱりオニイサンも、私達の美貌にもうメロメロですにゃ?」

「……アーニャさん。俺の考えている事に突っ込まないでください」

 

カウンター席で独り寂しく飲んでいた俺に話しかけてきたのは、猫人(キャットピープル)のウェイトレス―――アーニャ・フローメル。

俺が酒場に顔を出し始めてから、彼女はいつもこのように必ず一度は絡んでくる。

どうやら彼女には特に興味を持たれてしまっているようだった。

 

「けどオニイサン、いつも酒しか頼まにゃいにゃ。ミア母さんのご飯は嫌いなんですかにゃ?」

「そういうわけじゃありませんよ。ホームに戻れば食事が待ってるので、頼まないだけです」

「かーッ!これだから嫁持ちは困るにゃ!席を一つ潰すだけの不良債権にゃ!」

「ふ、不良債権って……それでもつまみくらいは頼みますよ。っていうか、嫁って誰ですか」

 

適当に受け答えしつつ、俺は青の薬舗に今も居るだろう犬人(シアンスロープ)の女性を思い浮かべていた。

いつも青の薬舗にいる彼女は、非常に鼻が効く。

それゆえ、俺が薬舗で酒を飲んだりすれば、その匂いは必ず彼女の鼻を刺激するだろう。

そんな彼女の前で酒を飲んでいいんだろうかと、散々悩んだ結果が―――この酒場。

 

ただ、ナァーザ本人からは特に何も言われてはいない。

そもそも酒を極端に嫌っているような話を聞いた事は無いし、ただの考えすぎかもしれない。

だからこれはある意味では俺の自己満足でもあり、そして酒場の空気を味わいたいというただの理由作りの一つなのかもしれない。

 

そうやって自分の世界に入りつつ、アーニャのブーイングをかわしていると―――――

 

「こぉらアーニャ!お客になんて口効いてるんだい!」

「んにゃっ!?」

 

女主人の堪忍袋が先に切れたようだった。

 

「親しき仲にも礼儀ありだよ!!アンタは裏で食器洗いでもしてきな!!」

「ご、ごめんなさいにゃー!!」

 

蜘蛛の子を散らすように去って行った彼女を見送りつつ、再び酒をあおる。

……が、既に(カラ)になっていたようで、口腔内には水滴が一滴たれただけ。

格好悪くもただ容器を傾けただけとなり、気恥ずかしさから頭を掻いていると、カウンター席の向こうから新しい酒が置かれた。

 

「ミアさん……?」

「アーニャが済まなかったね。それは迷惑代さ」

「あ、ありがとうございます……」

 

というか、アーニャのあれはいつもの事である。

迷惑とも思ってはいなかったのだが。

ただ出されたものは有難くいただこうと、新しい酒に口を付けようとした時。

 

ふと、周りの冒険者の会話が耳に入った。

 

『おい、明日は何層まで行く?そろそろ俺達、もう少し先に行けるんじゃね?』

『あ?それはいいけどよ、明日は怪物祭(モンスターフィリア)だぜ?』

『あぁ、そうだった!すっかり忘れてたぜ、危うく見逃すところだった』

 

「……モンスターフィリア?」

 

聞いた事の無い言葉。

話の流れから察するに、何かの見世物なのだろうか。

その未知の言葉をのみこむように反芻していると、調理に没頭していたミアさんが再び口を開いた。

 

「東の闘技場で開かれる祭りさ。結構大規模な祭りでね、その日は闘技場近辺に屋台も出るんだよ」

「へぇ……」

「興味があるなら明日行ってみな。良い気分転換になるだろうよ」

 

祭り。

興味が無いといえば嘘になる。

そういう楽しい事は嫌いではないし、怪物祭(モンスターフィリア)は是非とも一度見てみたい。

それに明日はシオンに用事があるらしく、彼と共にダンジョンへ潜る予定は無い。

 

つまり……行く暇は十分にある。

 

だが、大規模な祭りだというからには、人混みの酷さも過去類を見ないレベルにまで達する可能性が高いわけで。

その結果、精神のことごとくを雑踏に踏み荒らされる結果となりかねなくも……

 

「なんなら、同じ部屋で毎日寝てるファミリア仲間のお嬢ちゃんも連れてったらどうだい?」

「ミ、ミアさん!?」

「ハッハッハ、冗談さ」

 

―――――意味深な笑みを浮かべながら言われては、まったく冗談に聞こえません……ミアさん。

ちなみに、ナァーザと相室で暮らしている事を知っているのは何もミアさんだけではない。

先ほどのアーニャも含め、ほぼ全ての【豊穣の女主人】の関係者が知っている。

一体どこから情報を得ているのだろうか、この人達は。

そもそも、それほど面白い情報でも無いだろうに。

 

怪物祭(モンスターフィリア)、か……」

 

ミアさんの言う通り、明日ナァーザを誘って東の闘技場に行ってみるのもいいかもしれない。

なんだかんだで、これまで彼女にはとても世話になっているのだ。

屋台で飯でも奢って、受けた恩を少しでも返しておいた方がいいだろう。

命を助けられた恩に比べれば、とても些細な恩返しではあるけれど。

 

 

残り半分を切った酒をあおりつつ、俺は密かに明日の計画を組み立てていった。

 

 


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