BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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お久しぶりです。
再び、投稿することにしました。
リアルが忙しかったのと、執筆のモチベーションが上がらず、書かずに、この日まで放っておいてしまいました。

しかし、久しぶりに、感想が更新されて、短文だったのですが、1人のメッセージが届きました。
こんなに日が経っているのに、読者はいるのか、と思い、執筆を開始しました。

大分、ブランクがあるので、今話はテスト的にも含めて投稿しました。
変な文章でしたら、すみません。


斬魄刀に意味がある4

俺は五番隊に向かっていた。

 

ったく、人遣いが荒いよな~。

書類を届けるだけの仕事なんて・・・。

最近、虚を倒さず、こういう仕事ばっかしかしてないような・・・。

こんなんでいいのか、十三番隊・・・?

 

「あ、京夜く~ん!」

 

「ん?おっ!雛森じゃねえか!」

 

五番隊隊舎付近まで歩いてきたら、雛森に声をかけられた。

こいつはラッキー!

 

「どうしたの、京夜くん?こんな所に来て?」

 

「実はなお前に渡したいものがあるんだ」

 

「わ、渡したいもの?(わざわざここまで来て、私に渡したいもの!?な、何だろう・・・。ドキドキしてきた・・・)」

 

俺は海燕さんからもらった書類を雛森に渡す。

 

「これだ」

 

「て、手紙・・・?(も、もしかして、ラブレター!?そうだとしたら、すごく嬉しい!)」

 

雛森が何だか手紙を凝視してるんだが・・・。

些か怖いな・・・。

 

「海燕さんに頼まれたんだよ。五番隊に渡してくれって。重要な書類なんだとよ」

 

「え・・・、あ、ああ、そ、そうなんだ・・・(そ、そうだよね!ラブレターのはずがないよね!・・・ハァ・・・)」

 

何故か気落ちしている雛森。

俺が書類を渡しただけなのに、どうしてそんな落ち込むんだ?

 

「そんじゃ、用はそれだけ。俺は隊舎に戻るわ」

 

「え、えぇ!?それだけ!?」

 

「? それだけだが?」

 

「あ・・・う・・・そ、そうなんだ」

 

何だ?驚いたり、落ち込んだりと変な奴だな。

 

「とにかく、帰るな」

 

「あ・・、ま、待って!」

 

「どうした?」

 

「あ・・・、その・・・(う~、折角だからもっと話したいのに、いざこういう状況だと、何も話題が思い浮かばないよ~!)」

 

今日の雛森は変だ。

目が泳いでるし、口を数度開いたり閉じたりしてる。

 

「俺に何か用でもあるのか?」

 

「え、えっと・・・、きょ、今日は何してた?(わ~ん、私のバカバカ!もっとマシな話題があったでしょー!?)」

 

「今日か?今日は茜雫の入隊の儀をして、乱菊さんと砕蜂が隊舎に来てたから、2人と話してたな」

 

「そ、そうなんだ・・・(そんな話を聞きたくて、引き留めたんじゃないよ!?も~、好きな子の前で他の女の子の話をしないでよ~!)」

 

・・・雛森に睨まれてるんだが・・・、何か余計なことでも言ったか・・・?

 

よし!ここは話題を変えよう!

 

「い、いや~、しかし、斬魄刀って色々と個性があっていいよな!」

 

「えっ?」

 

急に話題が変わり、呆ける雛森。

 

「乱菊さんの灰猫は文字通り猫のようだし、砕蜂の雀蜂は妹みたくていい子だしさ~―――――」

 

「ちょ、ちょっと待って。京夜くん」

 

「ん?なんだよ、まだ話は終わって―――――」

 

「・・・何で他人の斬魄刀のこと知ってるの?」

 

「そりゃあ、俺に特殊な力があるからだ。知ってるだろ?」

 

「・・・知らないけど」

 

「え・・・?」

 

「「・・・・・・・・」」

 

し、しまったーーーーー!?

京楽さんや乱菊さん、砕蜂とかと話していたから、てっきり皆知っているのかとばかり思ってたーーー!

 

み、見るな!そんな冷たい目で俺を見るな!?

 

「・・・京夜くん、四番隊で治療してこようか。主に頭を・・・」

 

「ま、待て待て!違うんだ!俺は正常だ!だから、そんなレイプ目で俺を見ないでくれーーー!」

 

なんか・・・、ルキアに話した時もこんな感じだったよな・・・。

ぐくぅ・・・、俺のSAN値が・・・。

 

兎に角、俺は雛森に事情を説明した。

あ、神のことは伏せてだ。

 

「・・・そ、そうだったんだ。疑ってゴメンね。頭がイタイ人になっちゃったのかと思っちゃったよ」

 

「や、やけに聞き分けがいいな・・・。そんな簡単に信じられるものじゃねえと思うけど・・・」

 

「だって、京夜くんが話したことだもん。信じるよ!(それに、京夜の焦った顔も見れたしね!滅多に見れないし、脳内保存!♪)」

 

さっきは信じなかったくせに・・・。

まぁ、信じてくれたし、いいか。

 

「じゃあさ、京夜くん!私の斬魄刀とも話してよ!」

 

「なに?お前ら、何か問題でもあったのか?」

 

「そうじゃないよ、寧ろ仲良しだよ!」

 

「じゃあ、なんで?」

 

「飛梅はさ、私としか話したことがないから・・・。せっかくの機会だし、私以外と話してほしくて!それで、できれば、飛梅の友達になってほしいの!」

 

「なるほどな~。そういうことなら、引き受けるか。俺もちょっと話してみたいし」

 

原作の飛梅って確か、冷静で意見をズバッと言うタイプだったよな。

けど、雛森のことは大切に思ってるいい奴だったんだよな。

興味が沸いてきたぜ!

 

「んじゃ、刀を貸してくれ」

 

「はい」

 

俺は雛森から刀渡される。

そして、右手に触れて、意識を精神世界へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ん・・・?)

 

俺は目を覚ました。

またいつも通りに精神世界へ無事に行けたようだ。

 

「ここは・・・、和室・・・?」

 

畳があり、襖があり、廊下を挟み、中庭が見える。

池と梅の木が古風さを醸し出している。

隊舎とはまた違った感じだな。

日本の城とかに似ている。

 

そこで、俺は首と手首に違和感を感じた。

 

「・・・なんだ、これ?」

 

なぜか、手錠がかけられていた。

しかも、首からは鎖が繋がれていた。

 

・・・なんか、囚人みたいだな。

 

「あ、やっと目を覚ましましたか」

 

声のする方へ見る。

そこには、白い着物を着た背が低めの女の子がいた。

後ろ髪は長く、前髪は揃えており、おっとりとした雰囲気だ。

桃色の帯が何故か浮遊してあり、鈴がついている。

 

あ、この子、飛梅か。

生で見るとけっこう可愛いな。

 

「なあ、これは一体・・・」

 

俺は手錠やら首輪が俺に着いていることを聞こうとした瞬間、飛梅の雰囲気が変わった。

 

「誰が立つことを許しましたか!」

 

「ぐえっ!?」

 

鎖で繋がれた首輪を思いっきり引っ張り、俺を地面に転ばせる。

 

な、なんだよ、いきなり!?

なんで立っちゃダメなんだよ!?

 

「私の名は飛梅。どういう経緯で、私の世界に入ったのかは知りませんが、不法侵入には変わりません。あなたが気絶している間、拘束させてもらいました」

 

「はあ!?」

 

なにそれ!?酷くね!?

俺は雛森に頼まれて来たってのに、この有り様は無いだろ!?

 

「ですので、あなたは私の忠実な下僕(ペット)として飼わせてもらいますね」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!?」

 

怖い!怖いよこの子!?

さっきまでおっとりしていた女の子とは思えない位怖いよ!

 

「なんですか?言い訳とは男らしくないですよ」

 

「お、俺は雛森に頼まれてここへ来たんだ!」

 

「桃、に・・・?」

 

少し驚いたような顔をする飛梅。

もしかしたら、考えを変えてくれるかも!

 

「そうだ。飛梅の友達になってほしい、と頼まれたんだ!だから、別に俺は危害を加えるつもりもない。信じてくれ!」

 

「そうですか・・・。桃が・・・」

 

お、考えてくれているぞ!

これは成功だったかもしれん。

やっぱ、何事も言ってみるもんだな!

 

「・・・それでも、あなたは不法侵入しました。しかも、男。何をされるかわかりません。いくら桃の友人だとしても、拘束を解くわけにはいきませんね」

 

「なあっ!?」

 

な、なんつー、堅い頭なんだ!?

妥協という言葉を知らないのか!?

原作で灰猫が石頭、とか弄ってたけど、案外間違いじゃないのかも・・・。

 

「何か言いましたか・・・?」

 

「いえ、何も」

 

黒い笑顔見せないでえええええ!?

よ、予想外だ・・・、飛梅がこんな性格だなんて・・・

 

「まあ、あなたが私の命令に従い、相応の実績を見せてくださったら、考えを改めてもいいですね」

 

「ほ、本当か!?」

 

「だから、まだ立っていいとは言っていません!」

 

「いてっ!?」

 

く、くそう・・・、こんな屈辱は初めてだ・・・。

まあ、だが、飛梅が言うことを素直に聞き入れればいいんだろ。

そんなの、死神の業務でやってるからな!

楽勝だろ!

海燕さんから業務をたくさん押し付けられてっからな。

やってやるぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(フフフ、作戦成功ですね♪)

 

彼は私の言うことに従いジッと我慢して座っています。

あ~、その睨みながらジッと我慢している表情、ゾクゾクしますね!

 

あ、申し遅れました。

私、桃の斬魄刀をしている飛梅です。

 

私はいつも通りの生活を送っていました。

早く桃が来ないかな~、と思っていたのですが、なんと来たのは殿方。

しかも、気絶していらっしゃいました。

彼のことは一目でわかりました。

鬼柳院京夜だと。

 

桃は私とほぼ毎日話しますが、必ずその人物の名前が出てきていました。

桃が彼に好意を寄せていることは知っていました。

桃が好きになるという人物はどのような殿方なのか。

 

一度会ってお話してみたい。

 

そして、気に入れば、あわよくば、私のモノにしたいと思っていました。

私だって、1人の女。

伴侶となれる殿方が欲しいのです。

・・・もし、私と京夜さんが伴侶となるのだとしたら、桃には悪いのですが、諦めてもらうしかありませんね。

恋はいつだって戦いなのですから。

 

そんな時に向こうから来てくださったのですから、正しく、青天の霹靂。

しかし、普通にお話してさよなら、というのも寂しいじゃないですか。

ですから、拘束させてもらいました。

これなら、簡単には逃げ出せませんし、私と離れません。

これは私にとって、またとないチャンスなのですから!

 

・・・しかし、拘束するのっていいですね。

なんだか、こう、気分がいいとか、自分に服従していると思うと、嬉しいですね・・・

ですが、自分の開けてはならない扉を開けてしまったような・・・、いや、気のせいですよね。

それに、一度開いた扉は開ききるものですから。

 

おっと、こうしている間にも、京夜さんは座ったままでしたね。

ムム!退屈したような顔をして!

いいでしょう、私の命令にしっかりと聞いてもらいますからね!

 

「では、京夜さん」

 

「あ、なんだ?」

 

「主人に向かってタメ口とはなんですか!?敬語で答えなさい!」

 

「え~・・・」

 

「(ギロッ)」

 

「・・・はい」

 

シュンとしちゃって、可愛い~~~~~!!!

子犬さんみたいですね!

ナデナデしたいですが、まだです。

もっと鞭を与えないと。

アメはそれからです。

 

「京夜さん、最初の命令です」

 

「はい」

 

「この屋敷を隅々まで綺麗にしなさい!」

 

「・・・は?」

 

私の屋敷はざっと30坪位の敷地面積があります。

これだけ広いと掃除するのも億劫なんですよね。

まあ、精神世界だから、汚くはないんですが、命令にはもってこいですね。

 

「い、いやいや、流石にこの広さを1人で片づけるのは・・・、それに、見た所ほとんど汚れてないし・・・」

 

「命令に従わないと、ずっとその状態ですよ?」

 

「・・・はい、やります」

 

アラ、肩を落として、見るからに落ち込んでますね。

うーん、こういうのを見るのもアリですが、やる気を失くしてもらっては困りますね。

 

「仕方ありませんね。なら、やり遂げた暁としては、褒美を差し上げますから」

 

「褒美?」

 

「はい。内容は言えませんが、頑張って働いた分だけ褒美は良くなりますよ」

 

「そうか・・・。よしっ!いっちょ頑張りますか!」

 

作戦成功!

餌があると元気になるなんて、動物みたいです。

けっこう、単純な頭なのかもしれませんね。

 

それから、京夜さんは一生懸命に掃除してくれました。

 

 

「うおおおおおおおおお!!!」

 

「廊下は3往復位拭いてくださいね~」

 

 

「どりゃあああああああ!!!」

 

「畳は塵1つ残さないでくださいよ~」

 

 

「はあああああああああ!!!」

 

「トイレは光が反射する位磨いてください~」

 

 

「せええええええええい!!!」

 

「置物は1つ1つ丁寧に拭くんですよ~」

 

 

~1時間後~

 

「はぁ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・」

 

「あら、どうしたんですか?」

 

私はクロスワードパズルをしながら、お茶を飲んでいると息切れした京夜さんが来ました。

 

「掃除・・・してきたんだよ・・・!」

 

「・・・敬語」

 

「ぐぅっ!?・・・掃除、してきました・・・」

 

あ~~~、この姿見るのは堪りません!

苛立つ心境なのに、更に苛立つが、何も反論できずに悔しそうにしている姿!

ハッ!いけない、いけない。

顔に出てしまいそうでした。

 

「それはご苦労様です。それでは次に―――――」

 

「ま、待って―――――いや、待ってください!」

 

「なんでしょう?」

 

「褒美をくれるって・・・」

 

あ~、そういばそうでしたね~。

う~ん、ここで思い出して渡したら、なんか嫌ですし・・・

・・・ちょっと試してみますか。

 

「あの働きで褒美?随分と私を甘く見てますね」

 

「なっ!?」

 

嘘です。京夜さんは褒美を渡してもいいくらいの働きぶりでした。

ご自身も、あんだけ頑張ったのに!?みたいな顔してますね!

愉快愉快!

 

「ふ~、あなたには失望しました。下僕から家畜にしましょうかね~」

 

「や、やめろ!?―――――いや、やめてください!家畜は御免です!」

 

フフ~焦ってます。あの京夜さんが焦ってますよ~♪

ですが、あんまり苛めるのも気の毒です。

やはり、限度ってものがありますからね。

 

「家畜は御免ですか・・・。そんなに、下僕がいいですか~?」

 

「え、えと・・・?」

 

「はっきりしないと家畜にしますよ?」

 

「はい。いいです」

 

「そうですか、そうですか。それでは今回は特別に褒美をあげましょう。良く考えたら、十分な功績ですしね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

さて、褒美を聞いたら驚くでしょう。

京夜さんの面白い顔が頭に思い浮かびますね。

 

「それでは、褒美ですが・・・」

 

「はい」

 

「この主人である私を少しの間だけ抱きしめていい許可をあげます!」

 

「・・・・・・・・」

 

ポカン・・・としている表情のまま固まってしまった京夜さん。

なんですか、その反応は!つまらないですね・・・。

 

「もっと喜んだらどうです?主人を抱くなんてそうそうないですよ?」

 

「あ、いや、てっきり物かと思ったが、そういう感じで来るとは・・・」

 

ム~、なんですか!その、そんなの褒美じゃなくね?みたいな感じは!

・・・まあ、私が京夜さんを落とすための1つの作戦なんですけどね!

殿方は女性との触れ合いが、多ければ多いほど恋心を抱く、と本に書いてありましたから。

 

こうなったら、強行手段!

 

「な、なんですか!こっちは抱かれる心の準備は出来ていたんですよ!?」

 

「え、は?心の準備・・・?」

 

「もう知りません!命令です!私を抱きなさい!」

 

「え、は、はい。わかりました」

 

ギュッ・・・

 

「っ!?」

 

それは唐突に、あっさりとしていました。

返事をした瞬間、自然な流れで私を抱いていました。

あまりにも自然で、私は数秒意味が分からなく、彼の体温を感じてから、彼に抱かれているのだと理解しました。

 

(は、はわわ!?わ、私抱かれてる!?そういえば、私、殿方に抱かれるのって初めてなんですけど~!?)

 

最初は混乱していました。

しかし、徐々に落ち着きを取り戻し、抱きしめられていることで、リラックスし始めていました。

 

(京夜さんの身体大きい・・・。まるで、私を包み込んでいるみたくて、心地よい・・・。それに、この匂い、堪りません・・・)

 

京夜さんの体温が、匂いが私の全身を体内を包んでいるように感じました。

 

(フヘ~・・・、抱かれるのっていいのかも・・・。京夜さんに抱かれてる・・・。幸せ・・・)

 

もう昇天しそうなくらい、幸せを感じ始めた時、京夜さんから声が聞こえた。

 

「あの~、飛梅?」

 

「はい?」

 

「いつまで、こうしてればいいのかな~って・・・」

 

「ほえ?」

 

私は改めて自分の状況を見ました。

と、同時に頭がはっきりとしてきました。

 

どうやら、私は京夜さんに身体を預けてたみたいです。

しかも、少し、と言った割にはけっこう時間が経ってたみたいです・・・って!?

 

「っっっ!?は、離してください!?」

 

「え、あ、はい」

 

パッと離す京夜さん。

 

わ、私、さっきまでどんな顔していましたか!?

絶対にニヤケてましたよね!?

なんですか、「ほえ?」って!?

あ~もう、せっかく、京夜さんを落とそうとしているのに、私が落ちかけるなんて!?

 

・・・顔が熱い。絶対に、真っ赤ですよね、これ・・・

 

私は京夜さんに、キッと睨んだ。

 

「この屈辱、許しませんから!」

 

「え、は?何のことだ?」

 

「う、うるさいです!もう褒美もあげません!一生、下僕のままでいいんです!」

 

「ええ!?それはあんまりだろ!?」

 

「け・い・ご!」

 

「イテッ!?」

 

「もう1度言います!あなたは私の忠実な下僕!そうですね?」

 

「い、いや、まっ―――――」

 

「返事は、『はい』か『yes』です」

 

「ねんですか、その2択!?どっちも下僕となる道しか―――――」

 

「キョウヤ、さん?」

 

「・・・はい」

 

フフ、これで正式に京夜さんは私の下僕となりましたね。

 

しかし、こうやってお互いに言い合える人は初めてかもしれませんね。

桃と話す時も楽しいですが、基本的に私が聴き手ですからね。

それに、桃はああ見えて、繊細な子ですから。

あまり強く言ってしまうと、凹んでしまいますから、気を付けてます。

ですので、京夜さんと話すのは、ありのままの自分を曝け出せます。

 

ああ、どうしましょう。

本気で、この殿方を欲しくなってきてしまいました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・意外だった。

飛梅がこんな性格で、こんな趣味があったとは・・・。

 

「あぁ・・・、そこそこ・・・。んっん」

 

俺のことを下僕にし、言いなりにならないと、痛めつける。

反抗しようにも、威圧感がすごすぎて、素直に頷いてしまう。

 

「んあぁ・・・。い、いいです~・・・。気持ちいい・・・」

 

全く、自分の甘さには参るぜ。

元は友達という名目で向かったのに、いつの間にか主従関係になってしまっている。

一体、どうしてこうなったのか・・・。

 

「はぁ、はぁ・・・。ひあぁ・・・。んいぃ・・・」

 

さて、俺の愚痴はここまでにしよう。

時は、夕方まで進んでいた。

飛梅の命令は掃除に始まり、洗濯、庭の手入れ、宴会芸、俺の体験話、等々・・・。

自分が気に入らなければ、不機嫌になり、気に入れば、喜ぶ。

わかりやすい奴だ。

 

「んっ、んっ、んっ!ふあぁ・・・」

 

さっきから、卑猥な声が聞こえてるって?

そりゃそうだ。

飛梅が次に命令した内容が―――――

 

―――――マッサージだからな。

 

「飛梅、大分、凝ってるな。特に、腰の辺りがっ!」

 

グイッ

 

「あああっ!だ、ダメです~!そ、そこは~!」

 

腰を強く押すと、よがり、大声を出す飛梅。

・・・周りに誰もいないのが良かったな。

しかし、どうして腰が凝るんだろうな。

胸があるわけでも―――――

 

「京夜さん?今、何か失礼なことを考えていませんでしたか?」

 

「・・・いえ、何も」

 

精神世界だからか?

どうして俺の心が読めるんだ?

 

「なら、いいんですけど・・・。ほら、手が止まってますよ」

 

「はいはい」

 

「あ~!!!」

 

大分、時間が経っているが、俺は何時になったら戻るのだろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、好きな殿方と過ごすとどうしても時間が経つのが早いですね。

もう、夜になってしまいました。

 

私たちは、今、屋敷の屋根の上で2人並んで座っています。

 

「綺麗だな・・・」

 

「そうですね・・・」

 

夜空を見上げると満月が煌々と輝く。

月の光が私たちを照らしつけ、まるで幻想を思わせてしまいます。

 

「・・・・・・・・」

 

チラッと京夜さんを見ます。

京夜さんは月を眺めながら、微笑んでいます。

月の光に照らされたその顔は、凛々しく、銀髪が反射し、一際輝いているように見えます。

ああ・・・、見続けてると、吸い込まれてしまいます・・・。

 

ポテン

 

「ん?どうした?」

 

つい、自然と、京夜さんの肩に頭を預けてしまいました。

しかし、京夜さんは拒否せず、受け入れてくれました。

 

「いいじゃないですか・・・。雰囲気に酔っているんですよ」

 

「・・・そっか」

 

敬語を使っていませんが、まあ許しましょう。

まさか、一日いるだけで、こんなに心を開けるなんて思っていませんでした。

また、こんなに惹かれるとは思っていませんでした。

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

無言、静寂。

それでも、それが心地よく感じます。

一陣の風が吹き、京夜さんの髪の匂いが私の鼻腔を刺激します。

それだけで、京夜さんに身も心も満たされている感じがします。

 

「・・・ん?」

 

「あ・・・」

 

お互いの手が触れてしまいました。

それだけなのに、私は顔を真っ赤にさせてしまいました。

先程までは、こんなに緊張しなかったはずなのに・・・。

 

「手を、握ってほしいのか?」

 

「・・・(コクリ)」

 

私は頷きました。

しかし、京夜さんはすぐに手は握らず、こう問いました。

 

「ん~、それは命令か?それともお願いか?」

 

「えっ・・・」

 

意外過ぎる質問。

私は目を丸くしました。

見ると、京夜さんは悪い笑顔を作っていました。

 

「・・・お願い、です」

 

「下僕にお願いするのか?」

 

「うぅ~」

 

た、確かに、下僕にお願いするのはおかしいです。

ですが、焦らしているのか、なんだか、悔しいです。

 

「意地悪ですね・・・」

 

「ハハハ」

 

「・・・命令です。手を握りなさい」

 

「かしこまりました。飛梅様」

 

様付けされて、ドキッとしてしまう私。

普段言わないことを言われると、心が弾みます。

今度はしっかりと握ってくれました。

 

「・・・京夜さんの手は大きく、温かいですね」

 

「飛梅は小さくて、細いな」

 

「バカにしてるんですか?」

 

「違うよ。可愛いってことだよ」

 

「フフッ、ありがとうございます」

 

ああ・・・、幸せです。

こんなに笑い合えて、こんなに安心できて、幸せなんて・・・。

だからこそ、でしょうね。

私は京夜さんを手放したくありません。

ずっとこのまま隣にいて、幸せを感じたいです。

 

「・・・京夜さん」

 

「ん?」

 

私はもっと知りたい。

京夜さんのことを。

 

「私、京夜さんのことをもっと知りたいです・・・」

 

次第に私は手を組み直し、京夜さんと指を絡めた繋ぎ方―――――恋人繋ぎにします。

 

「京夜さん、ずっとこのまま此処にいてはくれませんか?」

 

「・・・・・・・・」

 

京夜さんは無言。

何かを迷っているような、そんな感じでした。

だから、私は、その迷いを振り払わすために、京夜さんに身を乗り出します。

 

「京夜さん・・・」

 

手を繋ぎ、お互いの顔を徐々に近づけます。

私は目を細め、惚けた顔をしてると思いますが、気にしません。

想い人を繋ぐためです。

お互いの吐息がかかる所まで近づいた瞬間でした。

 

「なっ!?」

 

「おっ・・・」

 

突如、京夜さんの身体が光り輝きました。

突然のことに私は驚きますが、京夜さんは慣れているかのように見えました。

 

「飛梅、悪いな」

 

「え・・・」

 

「時間だ」

 

私がその言葉に理解するのに、そう時間はかかりませんでした。

しかし、私の心は、思いはそれを受け入れられません。

 

「そ、そんな・・・、い、嫌です・・・」

 

「わかってくれ。俺は死神で、お前は斬魄刀」

 

そうです、わかっています、頭では。

でも、そんな、織姫と彦星な運命なんてあんまりです・・・。

 

「せっかく、仲良くなったのに・・・、一緒にいて楽しい人が出来たのに・・・、あんまりです・・・」

 

「飛梅・・・」

 

私はいつの間にか泣いていました。

情けなく、ですが、我慢できず、涙が止まることなく流れました。

 

「うぅ・・・ヒック・・・うぇぇ・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

ポムッ

 

「へ・・・?」

 

泣いてる私の頭の上に京夜さんは手を置きました。

慰めるかのように、宥めるかのように・・・。

 

「大丈夫だ、また会える。1回限りの出会いじゃない。また会いに来てやる」

 

「・・・本当ですか?」

 

「本当だ」

 

「・・・約束ですよ」

 

「全く・・・」

 

京夜さんは一瞬、呆れ顔したかと思いきや、私の額に自分の額を当てました。

 

「約束だ」

 

「京夜さん・・・」

 

京夜さんがこんなに近くにいる。

手を伸ばせば、届く距離にいる。

私は手を伸ばそうとしました。が―――――

 

「・・・じゃあな」

 

「!?待っ―――――」

 

カラン

 

京夜さんは光と共に消えました。

残ったのは、首輪と鎖だけ。

 

「・・・・・・・・」

 

私はその首輪と鎖を手に持ちました。

1日の思い出が流れるように、頭の中で蘇えりました。

 

「・・・京夜さん、私、待っていますから」

 

天を見上げ、私は京夜さんにそう言いました。

本人には届いているかわかりませんが、私は待ちます。

また京夜さんと会い、共に楽しく、幸せな一時を過ごせることを望みながら・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふあぁ・・・」

 

「あ、京夜くん、目が覚めたんだ」

 

目を開けると、雛森の顔が目に飛び込んだ。

状況を見る。

何故か、俺は横になっていて、頭に何か柔らかい物が当たっている。

これは―――――

 

「雛森よ、何故、膝枕をしている」

 

「え、えっと、その・・・、急に意識がなくなっちゃったからさ・・・。迷惑だった・・・?」

 

「いや、全然。寧ろもう少し楽しみたい」

 

「ふえぇ!?」

 

膝枕なんて滅多にない経験だからな。

しかし、やってる本人がどうしてそんな驚く。

 

(わ、私のなんかでいいのかな・・・。私の膝枕で・・・)

 

「お~い、雛森?」

 

「ひゃい!?な、なにかな!?」

 

そんなに顔を近づけるな。

俺は今膝枕を堪能中なんだ。

 

「飛梅のことなんだけどさ」

 

「う、うん・・・」

 

「仲良くなれたぞ」

 

「ほ、本当!?」

 

「ああ。趣味はどうであれ、2人で楽しかったぞ」

 

「そっか~、よかった~」

 

しかし、最後はアレだったな。

寒かったな。

夜風って意外と寒いんだよな~。

飛梅が近づいてきたり、手を握ってきた時は温かくて良かった。

何だかんだ言って、飛梅も寒かったんだろうな、うんうん。

 

風邪ひくか心配で、飛梅の言葉に反応できなかったし・・・。

熱があるのか心配してくれたのか、額で俺の熱を測ろうとしてたしな。

 

そして、別れ際、まさか、泣くとは思ってなかった。

俺は不器用だから、それなりに悲しませない様にして、去って行ったんだが、アレでよかったんだろうか?

 

「・・・おろ?」

 

「あ、その、ご、ごめん・・・」

 

雛森は俺の頭を撫でた。

思わず撫でてしまったんだろう。

 

「いいよ。続けて」

 

「えっ!?う、うん・・・」

 

ナデナデ

 

「へへへ・・・」

 

「そんなに嬉しいのか?」

 

「その、幸せ、というか・・・」

 

「そっか」

 

うん、俺も幸せだ。

心地よい。

 

(ま、まさか、京夜に膝枕できることがあるなんて!勇気を出してやった甲斐はあったよ~!)

 

「気持ちいいぞ・・・」

 

「あ、ありがとう・・・」

 

雛森は終始、頬を染めながら、嬉しそうに、息子を愛するかのように、俺の頭を撫でる。

俺は目を瞑り、雛森の温かさを堪能しながら、時間を過ごした。

 

 

結局、帰りが遅い俺を迎えに行ったルキアに見つかり、怒られたんだがな・・・。




次は何時になるかわかりませんが、執筆はやめないようにします。

内容は十二番隊かな~。
中の人が、シーザーとくぎゅう、だからな~(関係なし)

アニメオリジナルのあのキャラも出したいけど、原作突入させたいしな~。

まあ、お待ちください

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