BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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皆様、お待たせいたしました!
やっと最新話が完成しましたので、投稿します!

前回の話では感想が少なく、評価も下がっていて、ちょっぴり寂しかったですが、気を改めまして、頑張ります!
やはり、最後の方の描写gは残酷だったからかな・・・?

さて、今回は隊長たちがわんさかでます!
ようやく、増援が到着し、戦いも激化!
またまた変な所で笑いが入っていますが、もう気にしない!

※途中、ニヤニヤして読んでくれると、嬉しいです。


現世に行くことに意味がある~増援到着~

一方、ルキアと海燕は欠魂兵士を次々と蹴散らしていっていた。

 

「おらぁ!

 

ザシュ

 

「君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ『破道の三十三・蒼火墜』!」

 

ドン

 

海燕が切り伏せ、ルキアが鬼道を使い、欠魂兵士を倒すが、一向に減る気配がない。

 

「ちっ!こいつら、しぶとすぎるぞっ!」

 

「しかも、減る所か増すばかり・・・。このままでは、じり貧です!」

 

そう攻めあぐねていると、2人に影が覆うのを感じた。

上を見ると、上空から人が降りてきていた。

 

「っ!危ねえ、ルキア!」

 

「うあっ!」

 

「おらよっと!」

 

ドン!

 

上から降ってきた人物はルキアと海燕の間に降り立ち、手に持つ武器を地面に叩きつけた。

すると、地面がせり上がり、巨大な岩壁が出来上がった。

 

「海燕殿と分断された!?」

 

「ルキアっ!?」

 

2人が驚いている隙に先程の人物がルキアに襲い掛かった。

 

「お前の相手はこのジャイだっ!」

 

「ぐっ!」

 

武器のチャクラムのような物が振り下ろされる。

ルキアは横に転がることで、間一髪躱した。

 

「くそっ!こんな壁、俺の捩花で-----っ!」

 

ヒュン

カカカ!

 

「イイ反応ダ。志波海燕」

 

海燕が壁を壊そうとした瞬間、後ろから掌サイズの針が飛んできた。

海燕は跳躍することで、避ける。

見ると、笠松をつけた黒タイツの男が立っていた。

 

「敵、か・・・」

 

「俺ノ名ハ、レン。アノ女ハ、ジャイ二任セルトシテ、オ前の相手ハコノ俺ダ」

 

そう言うと、懐から針を取り出す。

同時に海燕も身構える。

その瞬間、異変が起きた。

 

ドゴン!

 

「うおっ!?な、なんだ!?」

 

突如、地面が揺れた。

見ると、遠くに霊子の柱が見えた。

 

「この霊圧は・・・!」

 

「海燕殿!あの霊圧は京夜のものです!」

 

「ああ、わかってる!ちっ、あっちもやべえ状況なのかもな・・・」

 

地面が揺れ、柱になるほどの霊圧を出した。

それほど、向こうは危ない状況なのかもしれない。

 

「ルキア、さっさとこいつを倒して、すぐにそっちへ-----」

 

「いえ、私のことは構わず、海燕殿は京夜の元へ向かってください!」

 

「なっ!?何、言ってんだ、お前!」

 

「京夜と茜雫が押されている・・・そんな感じがするのです・・・」

 

「お前・・・」

 

ルキアは切実な声で海燕に頼んだ。

自分も危険な状況だと知りながら・・・

 

「早く増援に向かった方がいいと思います。大丈夫です。こんな奴に負けるつもりはありません」

 

「ほう、言うじゃねえか!ドチビ!」

 

ガン

 

「ルキア!?」

 

壁が邪魔でどのようなことが起きているかわからないが、恐らく、ジャイがルキアに攻撃した音だろう。

海燕はルキアを心配する。

 

「くっ、ぶ、無事です!お願いです!京夜の元へ行ってください!」

 

「・・・わかった。死ぬんじゃねえぞ」

 

「・・・はい」

 

海燕は岩壁に背を向け、レンに対面する。

後ろから声が聞こえた。

 

「こっちだ!木偶の坊!」

 

「んだとこらぁ!待ちやがれ!」

 

それを最後に後ろにいた2人の気配が消えた。

場所を移動したのがわかる。

 

「ククク・・・助ケニ行カナクテ、イイノカ?」

 

「・・・あいつが決めたことだからな。それに、テメエが俺の邪魔をするだろう?」

 

「モチロンダ」

 

その瞬間、2人の霊圧が上がった。

睨み合い、先に動いたのは-----レンの方だった。

 

「ソイッ!」

 

複数の針が飛んでくる。

 

「水天逆巻け『捩花』!」

 

海燕は始解し、斬魄刀が三又の槍に変わる。

槍の先端に水を留め、振り回した。

 

「うおおっ!」

 

針が弾かれ、地面に突き刺さる。

しかし、海燕は地面に刺さった針を見て、目を見開く。

 

ジュゥゥゥ・・・

 

「なっ!?地面が溶けてやがる!?」

 

「針ノ先端二猛毒ヲ塗リコンデアル。掠リデモスレバ、命ノ保障ハナイ」

 

そのまま間髪入れずに、針を飛ばす。

海燕は槍を振り回し、針を弾き飛ばす。

そのまま突貫し、レンに槍を振るった。

 

「おらぁ!」

 

「クッ!」

 

レンは避け、即座に距離を置く。

 

「いくら猛毒な針でも当たらなくちゃ意味がねえ。しかも、テメエは投擲力が低めのようだ。針が遅く見えるぜ」

 

「・・・・・・・・」

 

海燕は分析していた。

コントロールはいいが、些か速さがない。

正面から投げられても簡単に避けられるほどに、遅く見えていた。

 

途端、レンは針をしまった。

 

「・・・コノ武器ハ主デハナイ。主デ使ッテイル武器ハ・・・コレダ」

 

「笛・・・?」

 

懐から笛を取り出した。

レンは笛を吹き始めた。

 

「サア、音色ヲ聴キ、震撼セヨ」

 

「っ!」

 

その瞬間、酷いノイズが効いた雑音のようなものが海燕を襲った。

 

「ぐあああああっ!?な、なんだ、この音は!?」

 

「コノ音色ハ、三半規管ヲ震ワセル。立ッテイラレナイダロウ?」

 

その言葉通り、海燕は膝をついてしまう。

視界が揺れ、頭を無理矢理振られているかのように、気持ち悪い。

 

(くそっ!音による攻撃か!このままじゃ、格好の的だ!)

 

「ソシテ、動ケナクナッタ所デ、コノ針ヲ飛バス。コレナラ、確実二当テラレル」

 

笛を吹きながら、針を構える。

 

(まずいっ!何か手は-----)

 

ふと、自分の手に持っている捩花を見た。

 

(そうか!?音による攻撃なら水だったら-----)

 

「呆気ナイ最後ダナ」

 

針が海燕に飛ばされた。

 

ヒュン

 

しかし、動けないほずの海燕はその攻撃を避けた。

 

「ナニッ!?」

 

「なめんじゃねえ!」

 

「グオッ!?」

 

後ろに回り込み、捩花を振るう。

致命傷にまでは到らなかったが、傷を与えた。

 

「・・・ナゼ、動ケル」

 

「俺の斬魄刀は水が使えるんでね。水は音を抑え込むことができるだろ?」

 

海燕の耳の穴に水の膜が張ってあった。

捩花を操作し、水を張ったのだろう。

 

「ナルホド・・・面白イ、面白イゾ!志波海燕!」

 

レンは歓喜に満ち、声を挙げる。

海燕は警戒態勢のまま、睨む。

 

その時、ピクンとレンの体が反応した。

 

「全ク、イイ所ダッテノニ・・・」

 

「なんだ・・・?」

 

レンは指をこめかみにつけ、独り言を言い始めた。

 

「・・・ハイ・・・ハイ・・・ホウ、ソレハ、マズイ状況デスネ・・・ハイ、ワカリマシタ」

 

言い終えると、こめかみから指を外し、海燕に向き直る。

 

「悪イナ。厳龍様カラ指示ガアッテネ。思念珠ヲ拘束シニ行カナクナッテシマッタ。ココハ退カセテモラウ」

 

「なんだと!?そんなことさせっかよ!」

 

海燕は止めに行こうと、レンに突貫する。

 

「針千本」

 

「なっ!?ぐぅ!?」

 

千本もの針の雨が海燕に降り注ぐ。

海燕は必死に捩花を回転させ、防ぐ。

 

その隙にレンは消えてしまっていた。

 

「くそっ!あの野郎・・・。絶対に倒す!」

 

ドンと海燕は駆け、京夜の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と茜雫は共に進む。

厳龍の元へ。

欠魂兵士を薙ぎ倒していると、前から4人の厳龍の部下らしき人物が立ち塞がった。

 

「こっから進みたかったら、俺たちを倒すんだな」

 

「4人も・・・」

 

茜雫は4人を前にして怯む。

 

2人で短時間でどうにかできるか不安なんだな。

けど、いちいちこんなのと真に受けてたら、時間がかかる。

要は進めばいいんだ。

 

「茜雫、少し下がってろ」

 

「京夜・・・」

 

俺は1歩前に出る。

 

「おい、俺たちは厳龍の所へ行くんだ。お前らの相手はしている暇はない。そこをどけ」

 

「はっ!厳龍様には近づけさせねえよ」

 

「どうしても行きたいなら、あたいたちを倒してからにな。・・・できるのならだけどね!」

 

「・・・そうか。なら、そうさせてもらうぜ」

 

俺は鬼神に霊力を込める。

そして、ありったけの力で地面に突き刺した。

 

「―――――邪魔だ、テメエら!!!」

 

『っ!?』

 

ドゴン!

 

地面が割れ、周囲に高密度の霊力が飛ぶ。

霊子の柱ができた。

衝撃により、4人は吹き飛んだみたいだ。

 

「今の内だ!行くぞ茜雫!」

 

「う、うん!」

 

茜雫を引き連れ、急いでその場を進もうとする。

だが、逸早く立て直した女の部下が、俺の懐に飛び込んできた。

 

「それでやったつもりかい?甘いよ!」

 

「っ!」

 

マズイ!

走り始めようとしているから、体勢が立て直せない!

 

相手の拳が俺の腹を抉ろうとする瞬間だった。

 

「はぁ!」

 

バギッ

 

「ぐあっ!?」

 

目の前で女が蹴り飛ばされた。

 

一体誰が・・・

 

「全く、私の好敵手の前に、一死神だということを忘れていないか、お前」

 

「お、お前は!?」

 

そいつには見覚えがあった。

なんせ、俺に幾度となく、突っかかってきては、自滅している奴だからな。

 

「蜂砕・・・」

 

「特別に増援に来てやったぞ。感謝しろ」

 

「な、なんで・・・」

 

「なんで、だと?」

 

あれ?何か地雷踏んだか・・・?

俺を睨みながら、近寄ってくるんですけど・・・

 

「・・・・・・・・」

 

「お、おい・・・。そんな近寄らなくても・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「ちょ、顔が近いんですけど!?」

 

「・・・・・・・・」

 

ガンッ!

 

「いだいっ!?」

 

無言で迫ってきたと思ったら、頭突きをかましやがった!?

意外と石頭なのな・・・

 

「フン、自分のしでかした愚かさも知らんのか。好敵手として恥ずかしいぞ」

 

「・・・いや、一応、自覚はしてるし、反省もしてるよ・・・。てか、未だに好敵手として扱うのね・・・」

 

好敵手って認めてないんだけどな・・・

 

「私が来た理由は、貴様に戦果を一人占めされるのが嫌だっただけだ」

 

「一人占めって・・・海燕さんとかがいるから、一人占めにならないんだけど・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

あ、そっぽ向きやがった!

こいつ、海燕さんのこと頭に入ってなかっただろ・・・

 

そんなことを言い合っていると、敵さんが行動してきた。

 

「くそがっ!舐めんじゃねえぞ!」

 

背中に背負っている箱の蓋が空き、中からミサイルが飛んできた。

 

って、ミサイル!?

 

「おわっ!?ミサイルとか卑怯だろ!?」

 

「慌てる必要はない。増援は私一人ではないからな」

 

「え・・・、それって-----」

 

俺が聞こうとした瞬間、上空から氷の竜が飛んできた。

 

「霜天に坐せ『氷輪丸』!」

 

キン

 

「なにぃ!?」

 

ミサイルは氷漬けに固まった。

そいつは俺たちの近くにスタッと着地する。

 

この声、この斬魄刀、間違いようがないな。

 

「冬獅郎・・・」

 

「日番谷隊長だ」

 

「お前も・・・なんで・・・」

 

「決まってんだろ。テメエはこんな所で死んでいいような奴じゃねえ。ただ、そう思ったから来ただけだ」

 

俺を死なねえように、か・・・

決して、助けに来た、とは言わないんだな。

まあ、それが冬獅郎らしいけど。

 

ふと、蜂砕が茜雫を見る。

 

「それにしても・・・」

 

「(ビクッ!)」

 

「こんな小娘が思念珠なのか・・・?」

 

「・・・・・・・・」

 

サササッと茜雫は俺の後ろに隠れてしまう。

 

茜雫の奴、人見知りじゃねえはずなんだけどな・・・?

 

(あ、あの人、目つきが怖いよ~!?)

 

(京夜の後ろに隠れた・・・?ということは、こいつと京夜は親密な間柄・・・。う、羨ま-----い、いや、そうではなくて、私の好敵手はこんな少女にまで手を染めたのか!?)

 

・・・なんか、修羅場な気配が・・・

茜雫は何故か怯えてるし、蜂砕は俺を睨んでいるし・・・

 

その時、冬獅郎が助け舟を出してくれた。

 

「やめろ、蜂砕。怖がってんじゃねえか」

 

「何だと!?私はただ、確認も含め見ただけで-----」

 

「テメエの目つきが怖いんだよ。それよりも、さっさと、こいつら倒すのを優先した方がいいと思わねえか?」

 

「ちっ、言うようになったな、ガキめ。まあ、その通り、早急に片付けるつもりだ」

 

2人は俺の目の前で威風堂々に構える。

 

少し、カッコよく見えちまった・・・

 

「私は先程の奴を蹴散らしてくる。冬獅郎、後は頼んだ」

 

「任せろ」

 

蜂砕はさっきの女の元へと向かおうとした。

 

ちょっと、心配だな・・・

声をかけておくか。

 

「蜂砕、無茶すんなよ・・・」

 

「貴様に心配されるほど、落ちぶれていない」

 

「それでも、心配なんだよ。傷ついてほしくないからな」

 

「・・・フン、バカが・・・」

 

そう言い残すと、すぐに立ち去ってしまう。

バカってなんだよ、バカって。

けど、やっぱ、嬉しかったみたいだな。

口元微かに笑ってたし、頬がほんのり赤みがかってた。

 

「死ねぇ!死神っ!」

 

「ふっ!」

 

再び、ミサイルがこちらに飛んでくるが、冬獅郎が俺たちを庇うように氷つける。

 

さて、俺たちも移動するとするか。

 

「京夜、ここは俺が引き受ける。テメエは厳龍をやれ」

 

「了解。行くぞ、茜雫」

 

「うん!」

 

「あと、1つ伝えることがある」

 

冬獅郎は俺にあることを伝えてくれた。

ただ、それは俺たちにとって時間がないことを表した。

 

「なんだよ?」

 

「ここに鬼道砲がぶっ飛んでくる」

 

「は・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、瀞霊廷にて。

 

「お~い、その資材はこっちだ!」

 

「急げ!時間がないぞ!」

 

隊員たちは鬼道砲の準備に取り掛かっていた。

その光景を複数の隊長たちが見ている。

その中には総隊長も含まれている。

 

「鬼道砲の準備、完了致しました」

 

「うむ、わかった。下がれ」

 

「はっ!」

 

一番隊の隊員の1人が一番隊副隊長、雀部長次郎忠息は伝聞を聞き入れる。

それを総隊長である元柳斎に伝える。

 

「-----総隊長、他の隊長たちが・・・・」

 

「わかっておる。限界まで待つつもりじゃ」

 

今、鬼道砲を撃ってしまったら、大半の隊長たちを損失してしまう。

流石の元柳斎もそれだけは御免みたいだ。

 

「しかし、最大に危険だと判断した場合、止むを得ず、鬼道砲を撃つ。それが、隊長たちが残っていたとしてもじゃ」

 

「はっ!」

 

その光景を遠目から見ている人物がいた。

その人物に1人の影が近寄る。

 

「藍染隊長」

 

「ギンか・・・」

 

2人が近寄り、並ぶように立つ。

口を開いたのは市丸だった。

 

「藍染隊長は行かなくてええんですか?」

 

「ああ、何人かは行ったようだけど、僕は行く気が起きなくてね。それに、全隊長が出払ってしまったら、誰がここを守るんだい?」

 

「まあ、そらあ、そうなんですけど。でも、珍しいですなあ、藍染隊長が興味をもたへんって」

 

「興味が全くなくはない。ただ、ここで僕が行っても、何の得もないんでね」

 

「・・・行かなくても、計画には支障なし、と?」

 

「・・・まあね」

 

2人は顔を変えず、怪しげに会話していた。

周りには誰もいない。

 

ふと、藍染はあることが気になった。

 

「そういえば、要はどうしたんだい?」

 

「彼やったら-----」

 

ギンは目をやる。

視線の先には、屋根の上で月を眺める東仙と狛村が並んでいた。

 

「・・・あの2人はいつも一緒のような気がするね」

 

「そうですなあ。もしかして、BL-----」

 

「やめなさい」

 

そんな変な(?)会話をしている時、四番隊隊舎には卯ノ花が佇んでいた。

同じく、月を眺めていた。

 

「・・・・・・・・」

 

月を一点に見つめる卯ノ花。

 

元柳斎から四番隊は指示があるまで待機と命じられた。

恐らく、ダークワンの元へ向かった隊長たちが帰ってきた時、傷を負っていた時のために待機を命じたのだろう。

その隊長たちの中には自分の想い人も含まれている。

 

(頭では分かっているのですが・・・)

 

卯ノ花胸に手をやり、複雑な表情をする。

 

(心が・・・落ち着かない・・・)

 

自分も行きたかった。

想い人と一緒に行きたかった。

しかし、自分の使命がある。

もどかしい気持ちが心の中を渦巻く。

 

スッと花瓶に注してある一輪の花を手に取る。

 

「・・・必ず帰ってきてくださいね、京夜さん・・・」

 

一輪の花が小さく揺れた。

 

時間は刻一刻と迫ってきている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場所は戻り、ダークワンにて。

 

俺は声を荒げてしまう。

 

「ええええええええっ!?」

 

「まあ、そりゃ、驚くわな」

 

き、ききき、鬼道砲が撃たれるだとおおおおお!?

俺たち死んじゃうじゃん!

あ、でも、この展開って、原作通りのような・・・

 

「ねえ、京夜、鬼道砲って何?」

 

「あ、ああ、茜雫は知らねえよね。説明すると、かくかくしかじか」

 

茜雫に鬼道砲の説明をする。

まあ、でっかい大砲でこの世界を消滅させるってことだけど。

 

「な~るほど~。・・・って、えええええええええっ!?」

 

「うるせえなあ・・・」

 

と、まあ、俺と同じ反応をするわけだ。

冬獅郎はどうしてそんな冷静なわけ!?

 

「そ、それはヤバイよ!?」

 

「大丈夫だ。増援が来ているからな」

 

「で、でも、2人だけじゃ-----」

 

「バーカ。他にも来てるぜ」

 

茜雫と冬獅郎の話で増援が他にも来ていることがわかった。

 

でも、こんな状況で来る奴なんて、いるのか?

 

その時、おっかない声が聞こえた。

 

「はははははははっ!はーはははははっ!!!」

 

「こ、この霊圧は!?」

 

突然の巨大な霊圧。

見ると、遠くで欠魂兵士を斬りに斬りまくっている鬼がいた。

 

「んだよっ!こんなんじゃ、面白くねえぞ!」

 

「剣ちゃん、不満?」

 

「ああ、最高に不満だ!もっと、強い奴はいねえのか!」

 

「け、剣八!?」

 

最恐最悪の隊長、剣八がいた。

きちんと下半身を切断しているが・・・無意識みたいだな。

てか、剣八に情報とか忘れそうだよな。

 

しかし、よ、よかった・・・

遠くにいるから、俺たちの目の届かない所にいる・・・

 

「そういや、更木もいたんだっけな」

 

「把握しとけよ!?」

 

冬獅郎のそんなお茶目なセリフは置いといて、時間がないことがわかった。

さっさと向かわなければ!

 

「京夜、時間がないよ!早く行こう!」

 

「お、おう、今行く-----」

 

と、言いかけたその時、別の増援の1人が来た。

 

ただ、その人も見覚えがあるんだよな・・・

 

「た~いちょ~!」

 

「遅えぞ!松本!」

 

「だって~、隊長が早いんですもの~」

 

そう、冬獅郎の部下、乱菊さんだ。

乱菊さんは俺を瞬時に見つけた。

 

「あ!京夜じゃない!」

 

「乱菊さんも、増援に-----うぷっ!?」

 

「もぅ~、心配かけないでよ~!」

 

いきなり、抱き着いてきやがった!?

嬉しいんだけど、状況考えて!

ここ、敵の本拠地だから!

 

「もがっ!もががっ!?(ちょ、離れて!?)」

 

「あら~?そんなに私に会えたのが嬉しいわけ~?」

 

この人の思考回路はどうなってんだ!

どうしていい方に考えてしまうんだ!

ああ、茜雫がジト目で見ているよ!?

 

(で、でかい・・・)

 

プルン!

 

(おっぱい・・・)

 

プルン!プルン!

 

(圧倒的に負けた・・・)

 

ど、どうした茜雫!?

どうして、orzの体勢で落ち込んでいるんだ!

って、乱菊さん!

あなたの隊長、戦闘中ですよ!

今も正に戦っているじゃん!

 

「松本ぉ!さっさと仕事をしろぉ!あの黒い奴らを何とかしやがれぇ!」

 

「はいは~い、わかりましたよ~。す~ぐ怒るんだから」

 

やっと解放された俺。

ありがとう、冬獅郎!

俺はこんな所で窒息死せずに済んだよ!

 

「ぷはぁ!はぁ、はぁ、ら、乱菊さん・・・」

 

「ん?な~に?また抱き着いてほしい?」

 

「いや、そうではなくて、というか、結構です。あの黒い騎士のようなもの、欠魂兵士というものです。下半身を切断しなければ、何度でも立ち上がりますので」

 

「ん!有力情報ありがと~!行ってくるわね!」

 

そう言いながら、欠魂兵士に対して、斬魄刀を解放する。

 

「唸れ『灰猫』」

 

刀身が灰に変わり、次々と欠魂兵士を倒していく。

 

瞬時に真剣な雰囲気になるんだから、副隊長という名は伊達じゃないみたいだ。

 

「よし、敵はあいつらに任せて、茜雫行くぞ」

 

「・・・うん」

 

「どうした?元気ねえみたいだけど?」

 

「・・・どうせ、これ以上、成長しないよね・・・ハハハ」

 

「何言ってんだ、お前?さっさと行くぞ」

 

「・・・(後で、京夜に聞くべきかな・・・。好みのサイズとか)」

 

吹き飛ばした部下数人は気絶していた。

それを横目に見て、落ち込んでいる茜雫を引き連れて、俺たちは進み始めた。

なぜ、茜雫が落ち込んでいるのかはわからないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

厳龍は断崖絶壁の場所に立っていた。

その場には自分1人しかいない。

厳龍は独り言のように話していた。

 

「-----思念珠は必要ないかと思ったんだが、予定変更だ。思念珠復活の儀式を行う」

 

厳龍は交信していた。

相手は自分の側近、レンだ。

 

「ダークワンが2人もやられた。そして、死神も増援を呼んだみたいだ。このままでも世界は崩壊するが、万が一のために保険をかけるべきだろう」

 

厳龍は不敵に笑いながら、レンに命令する。

 

「思念珠を奪取しろ。生きたままだ。ムエと協力すれば、上手くいくだろう」

 

そう告げると、厳龍は交信を終える。

 

「さて、私もこのままではいかんな。向かうとするか」

 

厳龍が動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、京夜と茜雫にて。

 

俺と茜雫は再度向かっていた。

もうじき、厳龍の元へ行けそうだ。

ただ、気がかりなのが、欠魂兵士の数。

あまりにも少なすぎて、スイスイ行けている。

あと、なんだか、嫌な予感がする・・・

 

「この様子なら、さっき言っていた、キドウなんちゃら撃たれる前に厳龍へ行けそうだね!」

 

「鬼道砲な。まあ、早いことはいいんだが・・・」

 

おかしい。

都合よく進んでいる。

厳龍の部下たちも襲い掛かってこないし・・・無駄に静かなような気がする。

 

すると、向かう先に1人の男が立っていた。

待ち伏せしていたのか!

 

「敵!?」

 

「まあ、そう来るとは思っていたけどな」

 

「俺ノ名はレン。思念珠、オ前二用ガアル。厳龍ノ元ヘ来ルンダ」

 

「なっ!?何を今更言ってるの!?あんたたちは私を必要なかったんじゃないわけ!?」

 

そうだ、矛盾している。

それに、茜雫は思念珠としてではなくなったはずだ。

 

「コッチニモ事情ガアル。厳龍様ノ命ダ」

 

「随分と身勝手な事情じゃねえか」

 

俺は鬼神を振りかざし、レンに切っ先を向ける。

 

「テメエらのその身勝手な理屈で、どれだけ茜雫が苦しめられたと思ってんだ!」

 

「京夜・・・」

 

「黙レ。死神ニハ話テナイ」

 

「黙れ、はこっちの台詞だ。その口、2度と開かねえようにしてやる!」

 

俺は突貫し、鬼神を構える。

だが、相手は動かず、何故か笛を構えた。

 

「音色ヲ聴キ、震撼セヨ」

 

「なにを-----っ!?」

 

レンが吹き始めた瞬間、俺の動きが止まった。

いや、止められた。

酷いノイズが効いた雑音のようなものが耳に入った。

 

「ぐおおおおおっ!?」

 

「うあああっ!?な、なに、この音!?」

 

くっ、体が動かねえ!

視界が揺れる・・・?

まさか、三半規管に影響してんのか!?

 

レンは動けない俺に蹴りを入れた。

 

「ソラッ!」

 

ドゴッ

 

「ぐっ!」

 

「京夜!うっ!」

 

くそっ!俺も茜雫も身動きが取れねえ・・・

このままじゃ、茜雫が危険だ!

 

そう思った矢先、最悪の出来事が起きてしまった。

どこからか、ロープが飛んできて、茜雫の身体に巻きつき、拘束した。

 

「きゃっ!?」

 

「茜雫!?ぐっ、くそっ・・・!」

 

ロープが引き戻され、茜雫が捕まってしまった。

視線を追うと、そこには-----厳龍と部下と思わしき1人がいた。

ロープは部下が操っていたのか。

 

「が、厳龍・・・」

 

「思念珠は頂く。我々の計画の礎となるのだ」

 

「な、なぜだ・・・。茜雫は思念珠じゃなくなったのに-----」

 

「残念だったな。龍堂寺には古い言い伝えがいくつかあってな。その1つに思念珠をよみがえらせる方法があるのだよ」

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

「これ以上、君と話す気はない。頑張ったと思うぞ、死神」

 

「ま、待て!うぐっ!」

 

茜雫は拘束されたまま、部下が厳龍に引き渡す。

 

「ムエよ、お前は更木を倒せ。あいつは目障りだ」

 

「はっ!」

 

そう言うと、部下のムエは瞬時に消える。

厳龍は浮かび上がり、どこかへ飛んで行こうとした。

 

「京夜ーーーーーっ!!!」

 

「茜雫ーーーーーっ!!!」

 

手を伸ばすが、届くはずもなく、徐々に小さくなっていく厳龍と茜雫。

 

こんな音さえなけりゃ、すぐに倒しに行けるのに!

 

「サテ、オ前ハ不要ダ。始末スル」

 

「くっ!」

 

こんな所で俺は終わるのか!

結局、原作通り、茜雫を助けられず、終わっちまうのか!

せっかく、ここまでやってきたのによっ!

 

レンが俺の首元に針を構えた、その瞬間だった。

 

「うおおおおおっ!」

 

「ナニッ!?」

 

誰か、彼方から大声と共にやってきて、手持ちの槍をレンに振るう。

レンはかろうじて避け、その場から距離をとった。

 

おかげで難を逃れた。

しかも、この声は・・・

 

「海燕さん!」

 

「京夜、無事か!」

 

海燕さんが助けに来てくれた。

笛を吹きとめてくれたおかげで、あの身体が動けなくなることも今はない。

 

「海燕さん、茜雫を厳龍に奪われました!」

 

「なんだと!?ちっ、次から次へと!」

 

「志波海燕、シツコイゾ」

 

レンの口ぶりから見て、海燕さんはここまで追って来たのか?

だとすると、さっきまで戦っていたのか。

 

「京夜、こいつは俺がやる!お前は茜雫を救出に向かえ!」

 

「は、はい!」

 

「それがお前の使命だ。絶対に遂行しろよ」

 

そうだ。誓ったんだ。

俺が茜雫を護るって。

今なら、まだ間に合う!

 

「着イテ来イ、志波海燕。相応シイ舞台ヲ用意シテヤル」

 

「へっ、誘ってんのか?まあ、いいぜ。乗ってやるよ!」

 

レンと海燕さんはその場から立ち去る。

 

俺も立ち止っちゃ、いけない。

早く茜雫を助けに行かねば!

 

そう思い、俺は進み始める。

走り出した瞬間、後方から声が聞こえてきた。

 

「待ちやがれ!死神!」

 

「さっきはよくもやりやがったな!」

 

「げ、気絶していた奴ら、復活したのかよ・・・」

 

俺が吹き飛ばした2人が追いかけてきた。

 

ちっ、あいつらを相手にしている暇はない。

かと言って、このまま追いかけられても面倒だ・・・

ここは戦闘をするしか-----

 

俺が鬼神を構えようとした時、どこからか声が聞こえた。

 

『鬼柳院、そのまま突き進め!』

 

「っ!」

 

この声は・・・!

そうか、あの人も来ていたのか。

しかも、もう1人、霊圧を感じる。

あの2人が増援に来てくれるとわな。

心強い。

 

俺は止まらずに、前を向いて進んだ。

 

徐々に、敵が迫ってきたが、急に止まった。

 

「ここから先へは-----」

 

「通させないよ~」

 

「「なっ!?」」

 

敵の進路に立ち塞がったのは、浮竹隊長と京楽隊長だった。

 

「浮竹隊長!京楽隊長!」

 

「先へ行け、鬼柳院!」

 

「ここは僕たちが食い止めるから~」

 

「・・・ありがとうございます!」

 

俺は2人の隊長に任せ、先へと進んだ。

 

待ってろ、茜雫。

今、向かう!




いかがでしたでしょうか?

各々、戦いが始まりましたね。
お気づきの人もいるでしょうが、オリ敵を混ぜております。
気づかなくても、違和感ないようにしているんですけどね。

さて、次回は戦闘描写オンリーですね。
もしかしたら、京夜が一切出ないかも・・・(笑)
ただ、誰から先に戦闘シーンを入れるか、考え中です。

まあ、お楽しみにしていてください!

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