そのせいか、若干、文字数が少なめですね。
みなさん、アンケート、ありがとうございます!
次話でアンケートは終了としますので、意見は多ければ多いほど嬉しいです!
さて、今回は平子さんが登場。ただそれだけ。
もう少し、話を行きたかったんですが、区切りがいいので投稿しました。
「よう、京夜くん!久しぶりやな!元気にしておったか!」
「ゑ・・・?」
玄関を開けた先に待っていたのは-----おかっぱ頭の男。
知識としては知っているが、今回が初対面となるのに、目の前にいる男はとても馴れ馴れしかった。
えっ!?な、なんで、百年前の隊長がここにいるんだ!?
しかも、昔から友達みたいな雰囲気!?
「おいおい、久しぶりに会ったっちゅーのに、反応薄いでー!もっとリアクションせんかい!」
呆然としていたら、それが気に食わなかったのか、ちょっと怒る目の前の男。
そんなこと言われても、初対面だし・・・
てか、そういう設定で押し通すのな。
「騒々しいわね~。どうしたの?」
騒ぎが聞こえたのか、茜雫がひょっこりと出てくる。
いや、俺は騒いでるんじゃないんだよね・・・
1人でこの方の声が大きいんだよね・・・
「おおっ!ウサギのべっぴんさんやないか!」
「ウサギ・・・?はっ!?」
茜雫は自分の恰好を改めて見て、気づいた。
他の人に見られるのが恥ずかしいのか、俺の背中に隠れてしまう。
俺は壁じゃねえんだぞ・・・
「こんにちは、お嬢ちゃん。ワイは平子真子と言います~。よろしゅうな」
おかっぱ頭の男-----平子真子は手を茜雫に出しながら、そう自己紹介する。
この人は百年前の五番隊隊長だ。
藍染の企みにより、強制的に虚化された波乱の過去を持つ。
原作では今は
歪みが起こってなければ、原作通りなんだが・・・どうだろうな。
「ど、どうも・・・」
茜雫は出された手を軽く握手した。
「・・・!・・・へえ、なるほどな・・・」
「?」
平子さんが一瞬、雰囲気が変わったと思ったら、すぐに笑顔に変わる。
今、驚いたような、納得したような・・・
気のせいか・・・?
「ねえ、京夜、この人とどういう関係?」
「え、えっと・・・」
俺は言いよどんでしまう。
どうって言われてもな・・・
この人が勝手にここに来たし、用があるようだけど俺には見当もつかない。
よって、只今、俺は絶賛混乱中なのだ。。
説明のしようがない。
「ワイと京夜は昔、同じサークル仲間やったんや。サークルが解散してからはめっきり会えなくなってもうてな・・・。だから、今、ワイはとても嬉しいで!」
「そ、そうなんだ・・・」
俺が困っていると、平子さんが説明してくれた。
その説明に対し、茜雫は顔を引きつっている。
サークルって・・・仮面の軍勢じゃあるまいし・・・
茜雫よ、顔が引きつっているぞ。
まあ、あんなに一方的に話されたら、気持ちもわかるけど。
「お嬢ちゃん、悪いんやけど、京夜くん、ちょ~っと借りてもええかな?」
「え、ええ、いいけど・・・」
ちょ!?簡単に了承すな!?
もう少し、危機感を-----あっ!引っ張られる!
「おおきにな。ほな、いくで!」
「う、うわわっ!?」
「い、いってらっしゃ~い?」
平子さんにぐいぐい引っ張られる俺。
到着した所は部屋からすぐにつく、廊下と階段が続く広間だった。
「どや?元気にしておったか?見ない間にかわええ子と暮らしているなんてな~。予想外やわ~」
「・・・で?何の用ですか?」
「なんや、なんや?そう目くじら立ておって。昔の友人に-----」
「いい加減にしてください。
「・・・気づいておったか」
平子さんは先ほどまでの作り笑いを止め、素の真面目な顔をだす。
そりゃ、気づくでしょ・・・
「なぜ、ワイが元五番隊隊長だってこと知ってるんや?」
「えっと・・・教科書に載っていました。百年前に虚に成り下がった、哀れな隊長だと」
あとは原作知識で知っています。
「なんやと!そんな失礼なこと書いておんのか!しょっぴくで!」
「俺に怒っても・・・」
そういうことは教科書作った人に言ってくれ・・・
俺に言われても変えようがない・・・
「ちっ!まあ、ええ。ワイが来たのは他でもない-----」
平子さんは俺を人差し指で指しながら、不敵な声で呟いた。
「―――お前、虚飼っとるやろ」
「っ!?」
なぜ、わかったんだ!?
今までそんな片鱗見せたことないのに!
「・・・なぜ、わかったんですか・・・?」
「ワイらと同じ臭いがしたもんでな。どうやら、ビンゴのようやな」
臭いって・・・俺、そんなに臭うか?
仮面の軍勢にしかわからない、臭いってやつか?
「お前、ワイらと来い」
「は?」
いきなり、平子さんが誘ってきた。
「ワイは仮面の軍勢という組織の一員や。お前のような奴が仰山おるで。来た方がお前にとってメリットやと思うけどな」
「メリット・・・?」
「そや、どうせ苦しんでんやろ?内なる虚に。ワイら、仮面の軍勢はその救済手段を知っている」
なるほど、だから、メリットね。
平子さんたちも内なる虚を抑えるのに大変そうだったからな。
けど、生憎だが・・・
「いえ、苦しんでいませんけど」
「・・・は?」
キョトンと目を丸くする平子さん。
だって、もう制御してるし。
虚化はまだだけど。
「なんか、話し合ったら、和解しました。今、俺と内なる虚は腹割って話せるほどの仲ですよ?」
「な、なんや、それ・・・」
平子さんは地面にのの字を書きながら、落ち込みだした。
「・・・ワイたちがあんだけ苦労した虚の制御を、話し合うだけで和解するやなんて・・・」
「その・・・すみません・・・」
なんか、ゴメン・・・
悪いことしてないけど、俺が悪く感じちまった・・・
「ま、まあ、ええ。それやったら、話が早いしな。で、どうや?仮面の軍勢に入らへんか?」
「・・・・・・・・」
復活した平子さんは再度、俺に聞く。
仮面の軍勢か。
確かに嬉しい誘いだ。
だけど・・・
「折角のお誘いですけど、遠慮します。俺は護廷十三隊の死神ですので」
「さよか。まあ、それが普通の反応やな」
どうやら、ダメ元だったみたいだ。
あっさりと引き下がろうとする平子さん。
まだ、俺の話は終わってないぜ?
「でも-----」
「?」
「-----死神としての俺はダメですけど、俺個人としてはあなたと仲間に、友になりたいです」
「・・・プッ」
平子さんが突然吹き出した。
次に平子さんは大声で笑いだす。
「アッハッハッハ!お、お前、なんやそれ~!」
「わ、笑わないでくださいよ!こっちは真剣なんですよ!」
「すまん、すまん。そないなこと言われたの初めてやさかい、聞きなれなくてな」
全く、こっちは真剣に友人になろうとしてるのに、笑うなんて。
「なら、友人になる誠意を見せてもらわなければアカンな」
「誠意?」
「よく言うやろ、同じ釜の飯を食べる、アレや」
「ああ、つまり、一緒に飯を食べようということですか」
「せや。まあ、今日は遠慮するけどな」
今日はもう遅い。
また今度、一緒にご飯でも食べに行こう、ということか。
「わかりました。次に会う時に、一緒に飯でも行きましょう」
「ええで。そん時は、お前の奢りやで」
「え~・・・」
「なっはっはっは!冗談や」
冗談に聞こえないのはなぜだろう・・??
上手く、言いくるめて奢られそう・・・
「あ、そうそう、1つ忠告や」
話題を変える平子さん。
その顔はいつもと違った、少し心配したような真剣な顔つきだった。
「忠告?」
「あの嬢ちゃんと離れた方がええで」
「え!?」
な、何を言ってるんだ!
茜雫と離れる、だと!?
そしたら、茜雫と1人になっちまう!
「・・・なぜですか?」
「お前も薄々感づいてるかもしれんが、あの子は死神ちゃう。ましてや、虚なんかともちゃう。―――思念体や」
知ってるさ。あいつが死神じゃなく、思念体ということくらい。
だけど、それと茜雫と離れるのは訳がわからん。
「あの子は欠魂たちが求める記憶の集合体みたいなものや。時折、現世の思い出のこととか話さへんかったか?」
「・・・ありましたよ。でも、死神は・・・」
「そうや。死神には現世の記憶がない」
これは流魂街にいる住民にも当てはまる。
尸魂界に行った魂魄はその輪廻の輪から出る時に記憶がなくなる。
でも、茜雫は持っている。
もうこの時点で、ただの死神ではないことが明らかだ。
「このままあの子と共にいたら、いつかお前が悲しむことになるで。本来、居てはならへん者がおるんや。あの子、消えるで」
「・・・それでも」
俺は決めたんだ。
茜雫を護るって。
消える存在、なら、生きてる間に思う存分、楽しい思い出を作ってあげればいいじゃないか。
それに、いなくならない方法があるかもしれない。
「それでも、俺は茜雫を護ります。敵からも運命からも」
「・・・はあ~、人が親切に忠告してるのに・・・」
呆れてため息を吐く平子さん。
馬鹿にされたっていい。
蔑まされたっていい。
俺は誓ったんだから。
茜雫を護るって!
「やっぱ、イケメンは言うことがちゃうな。本当、難儀なやっちゃ-----けど、」
平子さんは一度言葉を区切ると、再度口を開いた。
「-----そういう奴、嫌いじゃないで」
「平子さん・・・」
微笑む平子さん。
まさか、平子さんに気に入られるとは・・・
意外だった。
「しっかし、なんで、思念体がここにおるん?人の形をした思念体は初めてみるで。よほど、大容量の記憶の集合体なんやろうな」
「・・・そうかもしれませんね。そうでなければ、あんなに大量の欠魂が発生したりはしない」
敵も欠魂も茜雫を狙っている。
やはり、茜雫を1人にしておくのは危険だ。
「確かにな。それに、あの欠魂たちの中に奇怪な奴までおったしな」
「誰ですか・・・?」
「厳龍、って言ってもわからへんか」
「厳龍・・・?」
・・・聞いたことがある名前だ。
なんだろう、重要な人物だったような・・・
「厳龍は昔、竜堂寺っちゅう貴族だったんや。けど、百年前に覇権争いに敗れて断界へ追放されたんや。ちなみに、ワイらが追放したんや」
「平子さんたちが、ですか?」
「あいつの一族は武力でモノを言わそうとする連中やったからな。覇権争いに敗れたとわかるや否やワイらに喧嘩しようとしてきたんや。あっさりと勝ったけどな」
まあ、平子さんたちの実力なら、一貴族に負けないだろう。
そして、今の話を聞いて思い出した。
厳龍は敵のボスだ。
ということは、あの時、欠魂に紛れていたのは、厳龍だったのか。
ちっ、あそこで取り逃さなければ・・・
「・・・もしかして、復讐しようとしてるんじゃ・・・」
「有り得ない話ではないかもしれへんな」
そうなったら、原作通りに茜雫を襲ってくるだろう。
茜雫を厳龍の手に渡ったら、最後だ。
なんとしても、食い止めなければ。
ん・・・?ここまで原作通りだな・・・
もしや・・・
「あの、これは仮定の話なんですけど・・・」
「何や?言うてみい」
「仮に、厳龍が欠魂たちを統べられるとします。それで、断界で生き残るためには欠魂を利用すると思うんです」
「あの空間には欠魂しかおらへんしな。けど、どう利用しようとするんや?」
「欠魂で世界を作るんです」
「世界・・・なるほど、欠魂で作った世界なら死ぬことはあらへんし、欠魂が防護壁にもなるやな・・・」
「はい、その仮定が正しければ、生き残れるし、復讐する機会だって窺えます」
こんなことが言えるのは俺が原作知識があるからなんだろうな。
普通はそんな発想できないだろう。
と、その時、平子さんは、はっと何かに気が付く。
「って、ちょっと待てや。そないなことになったら、現世と尸魂界に影響がでてしまうで」
「はい、その影響が-----」
「なるほど、思念体っちゅうことか」
理解が早くて助かる。
流石は百年の知識があると違うな。
「せやけど、あの大量の欠魂はどう説明するんや?厳龍が原因なのはわかったやけど」
「・・・何らかの方法で現世に送りこんだとか?例えば、現世と欠魂の世界に繋がる入り口のようなものとか・・・」
「入り口、ねえ・・・・・とりあえず、その仮定の話、信憑性はあるが確証がなければ、どうにもならんな」
そう、ここまではあくまで仮定の話。
だが、原作を知ってる俺は仮定ではなく、真実だと思ってる。
それらを説明をするためにも、相応の確証が得られなければならない。
ちっ、知ってるのに、信じさせられないのが、腹立つ・・・!
「ったく、厳龍の奴、また何かやろうとしてるんか?ワイが心をへし折ってやろうか?」
「さすがに2回も返り討ちになったら、自信なくしますね」
俺でも何回もやられたら諦めるかもな。
もし、平子さんの言うとおりなったら-----ご愁傷様、としか言えないな。
ふと、平子さんが時計を見た。
「おや、もうこんな時間になってるんやな。ひよ里にドヤされそうやわ~・・・」
「帰った方がいいですね。大分、長話をしてしまいましたし」
なんとなく、帰った後の平子さんが思い浮かべてしまう。
ひよ里さんの膝蹴りが顔面を抉りそう。
「ほな、俺は帰るな。飯のこと、楽しみにしてるで」
「はい、おやすみなさい」
そう言い残し、平子さんは帰って行った。
ふ~、大分、話したな。
さて、茜雫はどうしているのかな?っと。
「って、寝てるし・・・」
部屋に戻り、寝室を見たら、案の定、俺が寝る予定のベッドを占領していた。
くそ、憎たらしいくらい、幸せな顔して寝やがって!
「はあ、仕方ない。リビングで寝るか」
一緒に寝たら、明日、怒りそうだしな。
俺はリビングのソファーで寝ることにした。
翌朝、軽く朝食を摂り、俺と茜雫は予定していた川端を歩いていた。
「天気悪いわね~。今にも降ってきそう」
「本当にな。昨日が嘘のようだ」
昨日と打って変わって、天気は曇り空。
暗雲が空を覆い尽くしていた。
ちなみに、昨日は雲1つない快晴だった。
「で?お前の思い出の場所はどの辺りなんだ?」
「う~んと、もうすぐなんだけど-----あっ!」
茜雫はある場所に気づき、そこに駆けていく。
「ここ!ここよ!ここでよくお父さんと一緒に帰ったり、抱きしめてもらった!」
そこは何ら変わらぬ川端の道だった。
だが、周りを見ると、近くに駄菓子屋、遠くに新幹線が通る鉄橋。
何より、一面と川が見えた。
「懐かしいな・・・。あそこでお菓子買ってもらって食べたし、水切りもしたな・・・」
「・・・そうか」
俺は昔に浸る茜雫を横目に、川を覗く。
欠魂たちが作る世界の入り口はこの辺りかな?
(-----水面の色が違う・・・?しかも、うっすらと何か別のものが見えるような・・・)
水面下に若干、違和感を感じた。
俺は目を凝らして見た。
(・・・どうやら、当たりのようだな。あそこが入り口か)
よく見なければわからないが、確実にそこだけが違う、とはっきりわかった。
円型をしていて、灰色をしている。
さらに、川には存在しない岩壁のようなものが見えた。
「―――や・・・京夜!」
「え?なんだ?」
「もう、聞いてなかったの!私のこと無視しちゃってさ!」
「あ、ああ、悪い。ボーっとしていた」
少し考えすぎてたようだ。
茜雫を放っておきすぎた。
「えっと・・・何て言ってたか、もう1回話してくれないか?」
「ふん!知らない!」
プイッとそっぽを向き、そのまま歩いて行ってしまう茜雫。
あちゃ~・・・怒らせちったかな・・・。
「お、おい、茜雫・・・」
「・・・・・・・・」
「なあ、悪かったって・・・。機嫌治してくれよ・・・」
「・・・・・・・・」
「はあ・・・―――ん?」
茜雫が俺の手を突然握ってきた。
なんだ?機嫌治してくれたのか?
「・・・よくこうやってお父さんと帰ってた・・・」
「そうなのか・・・。仲良しだったんだな」
「そりゃあ、ものすごく!お父さんが誕生日の時なんか-----っ!」
茜雫が喜びながら話し始めたと思ったら、すぐに悲しそうな表情をした。
まるで、何かに感づいたような、思い出してしまったかのような、そんな雰囲気を感じた。
「・・・ちがう・・・あの時とこの時のお父さんは・・・」
「・・・何か言ったか?」
「え・・・い、いや!なんでもないわよ!?」
なんでもないねえ・・・
とぼけてみたが、俺の耳には確実に入っていたぞ。
川での記憶と誕生日を祝ったお父さんが別人だと・・・。
俺はそう思った。
それから、しばらく歩いていると、頭から冷たさを感じた。
ポッ ポッ
「ん?」
上を見上げると、小雨が降り始めてきていた。
マズイな・・・。生憎、傘を持ってきてない・・・
「雨、降ってきたわね」
「そうだな。帰らないとびしょ濡れになっちまう」
俺と茜雫は帰ろうとしていた。
丁度、その時だった。
伝令神機から指令が来た。
ぴょ、ぴょん・・・ ぴょ、ぴょん・・・
「ん?指令か?」
「ちょっと、待てーーー!?」
なんだよ、指令が来ただけで騒ぎやがって。
「そ、その着信音は何ーーー!?」
「何って・・・昨日録音したお前の声だけど?」
あの時、こっそり録音しといたんだ。
あの茜雫が珍しくこんなことを言うんだ。
貴重だったから、録音せずにいられなかったのだ!
「い、いつの間に!?消せ!すぐに消せ!」
「そんなの後だ。今はこっちが大事だからな」
「うぅ~~~!絶対に消しなさいよ!」
消すかどうかはさておいて。
俺は伝令神機を開け、指令を確認する。
「虚か・・・」
「虚って?」
あ、そうか、茜雫は虚を知らないのか。
現世の記憶はあるけど、死神の記憶や知識はない。
簡単に説明してあげるか。
「虚ってのは、悪い霊体だ。魂魄についている因果の鎖がなくなった時、変貌する。魂魄や霊質が強い人間を襲ったりするんだ」
「・・・要は化け物ってわけね!」
「遠からず近からずだが・・・それでいいだろう」
こいつ、考えることやめたな・・・
全く、わかりやすく説明したつもりなんだけどな・・・
「それで、京夜はその化け物を倒しにいくの?」
「そうだ。それが、死神の役目だからな」
「ふ~ん。じゃあ、私も着いて行ってあげる!1人よりも2人の方が心強いでしょ?」
「まあ、そうだが・・・」
「でしょ?私が加勢するんだから、大船に乗ったつもりでいなさい!」
俺、1人でも十分なんだけどな。
それに、茜雫には元からついてきてもらおうとしていた。
1人にさせたら、また何時、敵が襲い掛かってくるかわからないからな。
現地に行こうとした時、再び伝令神機から着信音が聞こえた。
ぴょ、ぴょん・・・ ぴょ、ぴょん・・・
「おや?また指令か?」
「あ~~~、聞こえない聞こえない~!」
茜雫が耳を抑えて現実逃避しようとしている。
やっぱり、この着信音消さないでおこうかな。
茜雫の反応が中々おもしろい。
俺は指令を確認する。
「っ!」
「どうしたの?」
「虚だ・・・」
「え?」
「虚が2体同時に出やがった!」
地図の反応に2つの印。
虚が2体同時に出るなんて!
ちっ、どっちか少しの間、放っておくしかないのか・・・
「それって、そんなにヤバイことなの?」
「おおいにな。1体は放っておくしかない。その間は虚は野放しだ。無害な魂魄や人々が襲われるぞ」
「っ!」
茜雫も今の状況が危険だとわかったのか、はっ!と気づく。
どうする・・・と言っても、1体を速攻で終わらすしかない。
なら、近場の川にいる虚から・・・
「なら、私に片方を任せて!」
「はあ!?」
こ、こいつは自分が何を言ってるのかわかってるのか!?
ただでさえ、1人だと危険なのに、さらに危険な虚がいる所に行こうと言うのか!?
「私だって死神!死神の役目はその化け物を倒すんでしょ?だから、私が片方を倒す!」
「危険だぞ?しかも、お前は敵に狙われて-----」
「私よりも護らなくちゃいけない人たちがいるから」
「・・・茜雫・・・」
茜雫の目は力強く、真っ直ぐな目をしていた。
この様子だと、何言っても聞かなそうだな・・・
はあ、仕方ねえ・・・
「・・・茜雫は南に川へ沿って行ってくれ。俺は北の商店街に行く」
「了解!」
「・・・危険だと思ったら、すぐに逃げてくれ。俺もできるだけ早く片付けて、そっちへ向かうから」
「大丈夫!私がちゃちゃっとやっつけてやるから!」
「全く・・・じゃあ、行くぞ!」
その言葉を皮切りに、俺と茜雫は別れ、虚が発生した現地へと向かった。
雨足が強くなったような気がした。
だが、それが何を意味するか、俺にはまだわからなかった。
いかがでしたでしょうか?
次回はアンケートで行った真咲が死ぬところのシーンです。
茜雫が虚退治するとか、新しくていいな、と自画自賛してしまいました。
さてさて、京夜たちがいることによって、真咲の運命やいかに!
それは、アンケートの結果のみぞ知る。