BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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1週間ぶりだぜ!

一昨日、単行本61巻が発売されましたね。
読むと・・・あれ?滅却師のおんにゃのこたちが増えてる?
あれれ?ユーグラムが時期皇帝?
一護の斬魄刀が2本に・・・は知ってる。

という感じで、急いで修正しました。
実はこの話、発売前日に出来上がってたんです。
だが、61巻を読んでからにしようと思い、色々とやらかしてしまったので、遅くなりました。
※作者は本誌を読んでいません。

さて、今回は滅却師の話です。
この話を入れてしまい、千年決戦篇がなくなりました。(故意だけど)
さらに、なんだか、都合にいいように物語が流れている感じがするかもしれません。
しかも、もう1つ書いてるISとのクロスオーバーが含まれます。
読んでない方がいましたら、すみません・・・
こんな出来の悪い作者ですが、どうぞ。


滅却師に意味がある~番外編~

この世は無限に存在する。

数多ある世界、数多ある物語。

これらを総じて、平行世界と人々は呼ぶ。

もし、あの時、こうしてたら。

もしかしたら、違った未来かもしれない。

 

この話はその中の一部に過ぎない。

正規の話かもしれない。だが、分岐した話かもしれない。

 

そんな未来が関わる、もう1つの物語。

 

 

 

 

 

 

木枯らしが吹く、秋真っ只中の十三番隊三席の部屋。

そこは京夜に宛てがわれた部屋だ。

だが、その部屋を見渡しても京夜の姿はいなかった。

 

「ふ~、取り敢えず、こんな所か」

 

俺は今地下室を作っている。

だから、俺のことを探しても見つけることはできないぜ!

 

場所は床の間の下。

入口は花瓶を3回捻ることで開くように設定した。

 

なぜ、地下室を作ったか。

ほら、男って秘密基地とか地下室とか作っちゃうものじゃん!

ロマン感じるじゃん!

・・・というのもあるが、原作で浦原さんも地下室を作り、修行部屋として活用していた。

だから、俺も見習い作ったわけだ。

 

「ただ、あそこまで広くはないけどね」

 

流石にあそこまで広くは作れない。

俺の地下室は高さ3m、15m四方の部屋だ。

ここまで長かった・・・

何せ、夏から始まって、漸くここまで作れたんだから。

本当、浦原さんと夜一さんって、あそこまでどうやって作ったんだよ・・・

 

さて、地下室の型もできたことだし、俺は非常食や家具を運び、壁紙を貼っていた。

そんな時だった。

 

「ん?何だアレ?」

 

壁に違和感を感じた。

紙が剥がれそうな感じで、空間が歪んでいた。

 

俺は気になり、それを剥がしてみた。

意外と簡単に剥がすことができた。

その先に見たのは―――――

 

「何だよ、ここ・・・」

 

―――――白い空間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は取り敢えず、その白い空間に1歩ずつ慎重に入っていく。

 

不気味だな・・・

まず、何もない。

文字通り、角ばった所や物が何1つない。

感覚が狂いそうになる・・・

 

そのまま前進し、入ってきた所が小さくなってきた時、前の方に人がいるのが見えた。

 

「誰だ・・・?」

 

俺はそのまま歩いていく。

すると、ソファーに座っていた男性がこちらに気づいた。

 

「おや?死神がここへ侵入してくるとは。珍しい」

 

コーヒーを片手に男はそう呟いた。

俺ははっきりと人物像が見えると驚愕した。

 

「っ!?」

 

俺は・・・こいつを見たことがあるっ!

でも、何で、こいつがここに・・・?

まさか・・・ここは・・・

 

「あ、あんた・・・」

 

「私のことより、まずは自分のことを話したらどうだね」

 

「・・・鬼柳院京夜。十三番隊第四席だ・・・」

 

話すだけで緊張する・・・

こいつのプレッシャーがとてつもない・・・

 

「ほう、素直に答えるとは。意外だ。なら、私も自己紹介をしなくてはな」

 

男はゆっくりと立ち上がった。

 

「私はユーハバッハ―――――滅却師の王だ」

 

「っ!」

 

俺は目を見開く。

 

やっぱり見間違えじゃなかった!

原作で尸魂界を壊滅させようとし、多くの死神を犠牲にした、あのユーハバッハだ!

 

「しかし、四席程度がここに侵入するとはな・・・。後で、検査するべきだな」

 

「・・・ここはどこなんだ?」

 

俺の推測が正しければ、恐らく―――――

 

「ここは我が滅却師たちの拠点ともなる場所。千年前の戦いに敗れ、行き場を失った我々は、現世からお前たち死神が最も警戒していなかった瀞霊廷の中へと逃れた。そして、瀞霊廷内のあらゆる影の中に霊子による空間を創り出した」

 

「・・・・・・・・」

 

・・・やはりか。

これで確定した。

 

ここは―――――滅却師たちの巣だ。

 

「・・・随分と色々と教えてくれるな。滅却師は死神を憎んでいるんじゃなかったか?」

 

「隊長格だったら、簡単には教えないが、貴様は四席程度。しかも、1人。教えても我々が拘束すれば情報は漏れん」

 

「・・・冥土の土産ってやつか・・・」

 

「まあ、簡単に言ってしまえばそういうことだな」

 

チッ、ムカつくヤローだ。

だが、ここで怒り狂ってしまえば情報が取ることはできない。

落ち着け、冷静に・・・

 

「・・・だったら、土産ついでに他に聞いてもいいよな?」

 

「フッ、既に逃げ出すということは放棄したか」

 

「あんたの他にも滅却師はいるんだろ?四席程度の俺じゃどんなに抵抗したって、勝目ないしな」

 

嘘だ。勝機はある。

俺の鬼神の能力の中でも、諸刃の剣と称するアレを使えばこの男だけでも・・・

 

すると、突然、ユーハバッハが笑い出した。

 

「フッハッハッハ!最初から戦いもせずに諦めるとは!今の死神は衰えたな。全く、元柳斎も甘くなったものだな」

 

よし、いいぞ。

こいつは俺のことを油断している。

このまま行けば、上手くイケるかもしれない。

 

「ククク・・・いいだろう。元柳斎に伝える土産が1つ増えた。好きなだけ聞くといい」

 

「ありがとよ・・・。まず、あんたら、何でここにいるんだ?」

 

「決まってる。尸魂界を壊滅させるためだ。その為に、完璧な力を手に入れる」

 

「完璧な力・・・?」

 

「そうだ。私はもうじき、完璧な力を手に入れる。だが、私だけではダメなのだ。私以外の他の連中も相応の力を手に入れなくてはいけない」

 

ふむ・・・。

このことから察するに、ユーハバッハはまだ力を取り戻していない・・・?

確か、900年を経て鼓動を取り戻し、90年を経て理知を取り戻し、9年を経て力を取り戻す、だっけ。

ということは、今はその9年より前、ということか。

 

「他の連中に力を手に入れるとは・・・?」

 

「我々、滅却師は新たな武器を開発しているのだよ。それを使えば、死神など、赤子を捻るものだ」

 

「確かに、弓だけじゃ、勝てないよな・・・」

 

「中々、理解力があるようだな。千年前に死神と戦った時は弓しかなかった。だから、負けたのだ。もっと、強い武器が必要となった。だから、我々は長年、研究を繰り返し、これがその証拠だ」

 

ユーハバッハは懐から、星型のアクセサリーみたいなものを取り出す。

 

「これは星章化(メダライズ)というものだ。能力は、卍解を奪うこと」

 

「っ」

 

知ってる。そのせいで、数々の隊長達が深く傷ついた。

アレを壊さないと・・・

だが、まだだ・・・

あいつが油断している最中は・・・

 

「すげえな・・・。滅却師はそんなものまで作っちまうのか・・・。もう俺は絶望しか見えねえぜ」

 

「わかったか?これが今の死神と滅却師との差だ。他にもあるぞ?滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)だ。まあ、この2つは、未だ未完成。本来の力の百分の一も出せないがね」

 

「・・・それでも、死神側に勝てる要素がねえ・・・」

 

「クッ、ハッハッハ!死神が絶望した顔!愉快で堪らないな!」

 

さて、大分情報が手に入ったな。

滅却師の今の状態がわかったし、原作の再確認もできた。

俺のせいで、物語に歪みが生じてるんじゃないかと思ったが、杞憂だったな。

そろそろ、幕引きとしようじゃないか。

 

「・・・最後に1つだけ」

 

「ん?もういいのか?」

 

「・・・俺があんたを消す程の力を持っていたら?」

 

「・・・?何を言って―――――」

 

「纏え『鬼神』」

 

ドン!と霊圧が上がる。

解号したと同時に鬼神に最大霊力を込める。

俺の突然の行動にユーハバッハは驚愕していた。

 

「貴様っ・・・絶望していたのではなかったのか・・・」

 

「俺の演技上手かった?おかげでたくさん情報が手に入ったよ」

 

「おのれ、小癪な!」

 

「・・・俺たち、護廷を舐めるな!」

 

俺は跳び、ユーハバッハの首元に鬼神を振りかざす。

 

こんなことで滅却師の王が死ぬ訳がねえよな・・・

見ると、首は斬れておらず、表皮で受け止められていた。

 

「その程度の斬術では私の血装(ブルート)を打ち破ることはできん」

 

「チッ!」

 

俺は直ぐさま距離を取り、体勢を立て直す。

ユーハバッハは動かず、悠々と直立していた。

 

「ヘッ!あんた、やっぱり、反撃してこねえみたいだな―――――いや、できねえか」

 

「やっぱり・・・だと?」

 

「あんた、言ったよな。『私はもうじき、完璧な力を手に入れる。だが、私だけではダメなのだ。』って。ということは、あんたは他の滅却師と違い、別の力を持っている。仮にも王だしな」

 

「・・・・・・・・」

 

「無言は肯定に捉えるぜ。でだ、あんたはまだ、力を完全に手に入れられてない。そうだろ?」

 

「フッ、どうだろうな」

 

本当にイケスかねヤローだ。

原作の知識があるから、俺はこんなことが言えるんだろうな。

 

「今のあんたなら、消すことができる」

 

「一死神が随分とほざくな。貴様など尸魂界諸共消し去ってしまえばいい!」

 

「させると思うか?」

 

「なら、止めてみせろ。直に我が部下が貴様の霊圧を感じて、やってくる。その護廷の名の通り、倒してみろ!やれるものならな!」

 

「その部下共が来る前にあんたを消せばいい話だ。だって―――――」

 

俺が次に言った言葉にユーハバッハは目を見開く。

 

「―――――次に出す一撃であんたを終わらせるからな」

 

「・・・血装も通らぬのに一撃で私を倒すというのか。笑わせる」

 

「その言葉、後悔するなよ?油断や奢りは死に値するぜ」

 

ドン!と俺は再度、ユーハバッハに近づき、鬼神を振るう。

ユーハバッハは腕を出し、防ぐ。

 

「うおおおおおおおっ!」

 

「効かぬと言ってるのが分からぬようだな」

 

確かに、血装を使われている今の状態じゃ勝ち目はねえ。

だが、まだ俺は鬼神の能力を使ってねえ!

 

「まだだっ!『憑依:破道の九十・黒棺』!」

 

俺は左手を鬼神に翳す。

すると、鬼神からゆっくりと不気味な黒いオーラが放たれる。

 

「っ!」

 

ユーハバッハは即座に危険だと判断したのか、距離を離す。

 

「逃がすかっ!」

 

この技はそう長くは持続できねえ!

 

俺は最大速力の瞬歩でユーハバッハに迫った。

 

「くっ、速いっ!」

 

「おおおおおおおおおっ!!!」

 

俺は鬼神を振りかざす。

逃げれないと悟ったのか、ユーハバッハは手を翳す。

 

それが命取りだ!

 

「これで終わりだ!ユーハバッハ!」

 

「我が血装が破れるものかっ―――――」

 

フッ

 

鬼神がユーハバッハの手に触れた瞬間、ユーハバッハが消えた。

文字通り、消失したんだ。

 

憑依:黒棺の能力は、この世から対象物を消し去り、移動させる。

 

移動先は俺にもわからない。ただ、この世界からいなくなるんだから、別の世界に行ったんだと思う。

そして、この技の最大の欠点―――――4年に1度しか使えない。

そこ!オリンピックwwwって言うんじゃない!

とりあえず、諸刃の剣なんだってことがわかったか?

 

『ユーハバッハ様の霊圧が消えたっ!?』

 

『急ぐぞ!』

 

遠くから何人かの声が聞こえた。

恐らく、ユーハバッハの部下たちだろう。

ここで逃げてもいいんだが、そうすると、ユーハバッハがいなくなった説明する奴がいなくなってしまう。

王が突如消えたことで、部下たちは混乱するだろう。

最悪、自爆特攻で瀞霊廷に侵攻されたら敵わん。

 

ということで、俺は待つことにした。

 

「着いた!」

 

「ユーハバッハ様がいない・・・?」

 

「あ、あなたはっ!?」

 

金のメッシュの入った髪色の男を筆頭に、後から来るわ来るわ十数名の滅却師。

金髪の青白い男がユーハバッハがいないことに怪訝に思い、眼鏡をかけた男が俺を見て驚愕する。

 

「どうも~、こんちは~」

 

「死神っ!?どうしてこんな所にっ!?」

 

軍服のような服を着た小柄な女がそう叫ぶ。

また説明しなくちゃいけないのかな?

面倒くさ。

 

「いや~、ちょっと迷い込んじゃいましてね」

 

「迷い込んだ・・・?ここに・・・?」

 

「いや、今はそんなことどうだっていい。それよりも、死神、ユーハバッハ様をどうした!」

 

褐色の巨体の男が俺の言葉に不思議に思ったら、次に額に第三の目がある双子の片割れがそう聞いてきた。

 

「死神じゃなくて、鬼柳院京夜な。どうしたって言われても・・・。消した、って言えばいいのかな」

 

「なんだとっ!?」

 

「貴様、よくもっ!!!」

 

おっと、滅却師たちの逆鱗に触れてしまったかな。

ま、当然の反応だわな。

けど、まだ続きがあるんだぜ。

 

「話を最後まで聞け。ユーハバッハは生きて-----」

 

「やはり死神は生かしておけませんね!」

 

「死ねっ!死神!」

 

「ユーハバッハ様の敵、とらせてもらう!」

 

うわっ!いきなり矢を撃ってきた!

母ちゃんに教わらなかったのか!

話は最後まで聞けって!

 

「血気盛んな奴らだな!『憑依:蒼火墜』」

 

幾多の矢が撃たれたが、蒼火墜を纏わせた鬼神を振ることで防御する。

 

全く、あんなに矢が当たったら大変だ。

俺の身体が穴だらけになっちまう。

 

「蒼い壁を出したっ!?」

 

「特殊な斬魄刀ようですね」

 

「関係ナイ。殺ス」

 

一瞬驚いた滅却師たちだったが、すぐさま俺に向けて無数の矢を放つ。

 

うおおおおおおおっ!?

さっきより量が多いっ!?

蒼火墜じゃ捌ききれないか!

 

「ちっ!」

 

俺は瞬歩を使い、その場から逃れる。

滅却師たちの矢が地面に突き刺さる。

 

「早いっ!?」

 

「瞬歩ですか!中々逃げ足が速いようですね!」

 

「あそこだ!あそこにいるぞ!」

 

「ったく、これじゃマトモに会話も行えねえな」

 

仕方ない。向こうが呆れるまで逃げてやるか。

 

前代未聞の鬼ごっこが幕を開けた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこだ、ここは・・・?」

 

私の名はユーハバッハ。

滅却師たちの祖であり、王であり、最強の存在。

 

私は先ほどまであの死神-----鬼柳院京夜という男と闘っていた。

あいつめ・・・私を出し抜きおって!

しかも、私の血装に敵わないくせに抵抗してきた。

往生際の悪い奴だ。自分の力量もわからん奴はこれだから困る。

 

だが、奴の斬魄刀が黒く変化してからだ。違和感を感じたのは。

あの時、私の直感が危険、だと判断していた。

だが、止むおえなく、奴の剣を受け止めたのだ。

その直後だ。景色が一変していた。

 

あの純白な部屋から変わって、外にいたのだ。

 

「もしや・・・現世か・・・?」

 

車や電車、人が通っている所を見ると、現世だと思われる。

だが、私が知ってる現世とどこか違和感を感じる・・・

 

「お~い、一護~!」

 

「あ、遅えぞ!一夏!」

 

私が困惑していると、近くでオレンジ髪と黒髪の2人の青年が、話しているのが目に入った。

 

一護・・・だと・・・?

まさか・・・!

 

「悪い悪い、準備に手間とってさ」

 

「ったく、あと数分で電車来ちまう所だったぞ。まあ、間に合ったからいいんだけどよ」

 

やはり、あのオレンジ髪は恐らく、我が子孫の真咲の子!

よもや、こんな所で我が息子と会うことになろうとは!

だが、奴はまだ子供だったはず・・・

いや、気のせいだな。まずは、確認がてら、話すことにしよう。

 

私は胸を弾ませながら、我が息子、黒崎一護に会いに行った。

 

「貴様、黒崎一護か?」

 

「あ? ああ、そうだけど・・・。おっさん、誰だ?」

 

「おおっ!やはり、黒崎一護か!」

 

正真正銘の我が息子だ!

確証を得られ、私は歓喜した!

 

「会いたかったぞ!我が息子よ!」

 

「は・・・?」

 

訳がわからないという顔をしているな。

それはそうか。

考えられないだろう、自分の血に私の-----滅却師の血が流れていることなどな。

 

「なあ、一護、この人、お前の知り合いか・・・?」

 

「い、いや、こんなおっさん、俺は知らねえ・・・」

 

「でも、息子って言ってるぜ?」

 

「俺の親父は黒崎一心だ」

 

黒髪の男が黒崎一護に聞いているが、知らぬ存ぜぬといった感じだな。

 

フフフ・・・今からその顔を驚愕させてやろう!

 

「知らぬのも無理はないな。貴様の母、黒崎真咲には私の血が流れている。――――滅却師の血が!」

 

「っ!?」

 

驚いておる、驚いておるな。

その顔が見たかったのだ!

 

「・・・何かよくわかんねえけど、もしかして”イタイ”人か?」

 

「ブッ!?」

 

こ、このガキはっ!?

私を、この私をイタイ人だとっ!?

くっ!すぐさま葬りたいが、今は力を取り戻せてない・・・

我が力が完全に戻ったら、貴様など滅却させてやる!

 

「あ~・・・一夏、悪い、俺用事できたわ」

 

「え~!折角、久しぶりに弾と3人でバンドの練習できる機会だったのに~!」

 

「また今度にしようぜ。夏休みはまだあるんだからよ」

 

「ちぇっ!・・・どうせ、そのおっさんと何か話があるんだろ?」

 

「まあ、な・・・」

 

「なら、しょうがねえな。じゃ、俺はIS学園に戻るわ。俺と弾で集まっても仕方ねえしな」

 

「悪いな。ついでに、弾に連絡しといてくれるか?」

 

「了解!じゃあな~!」

 

黒髪の青年はどこかへ行ってしまった。

私は一部始終をただ傍観するだけだった。

 

「さて・・・これで込み入った話ができるな。あんたに色々と聞きてえことがある」

 

「そうだな。私も貴様には聞くことがいくつかある」

 

「俺から聞くぜ。・・・あんた、何者だ?」

 

ふむ、まずはそこから聞くか。

いいだろう、とくと私のことを聞くがいい!

 

「私の名はユーハバッハ。滅却師の王だ」

 

「滅却師・・・ということは、石田か・・・」

 

石田、とは石田宗弦のことか?

フン!あいつは気に食わん奴だった。

我々の傘下には入らず、ひっそりと滅却師の真似事していたのだから。

滅却師の誇りに泥を塗るような奴だったな。

 

「あんた、どうして向こうの世界の知識を持ってやがる?」

 

「向こうの世界・・・?現世のことか?知識があるのは当然だろう。私は滅却師なのだから」

 

一体何を言ってる。

当然のことをなぜ、再確認しなければならぬ。

 

ところが、黒崎一護の顔はポカン、と呆けていた。

 

「・・・恐らく、あんたが知ってる現世とここは別物だと思うぜ」

 

「なに・・・?」

 

別物・・・?現世ではないのか?

だが、さっきからここに来て、何かしらの違和感を感じるが・・・

 

「確かに私が知ってる現世と違和感を感じるが・・・」

 

「そりゃそうだろうな。だってここには虚がいねえんだから」

 

「なんだとっ!?」

 

虚がいないっ!?

ど、どういうことだっ!?

 

「ついでに言うと、死神も滅却師もいねえよ。1人もな」

 

「な、なにぃ!?」

 

「信じられねえなら、自分が持ってるものとか確認したらどうだ?」

 

私は自身の腕を確認する。

血装の模様があるはずだ。

何の変哲もない腕なわけ-----

 

「ない・・・」

 

模様がなかった・・・

い、いや、まだだ!

私には星章化がある!

星章化を取り出そうとしたが-----

 

「ない・・・ないいいいいぃぃぃぃ!?」

 

「言っただろ。この世界では滅却師の存在自体がいないんだって」

 

こ、こんなことがあるものなのか・・・

私の計画が全て水の泡に・・・

998年と11か月も待ったのに!

 

私はorzの状態になる・・・

 

「あ~・・・落ち込んでる所悪いが、あんたどうやってここに来たんだ?」

 

「・・・鬼柳院京夜という死神と闘い、奴が斬りかかった瞬間だ・・・」

 

「鬼柳院京夜・・・?聞いたことねえな?」

 

ん・・・?

ちょっと、待て。

聞いたことない・・・?黒崎一護は死神にはなっていないだろう。

そうだ。最初からおかしかった。

滅却師のことや死神、虚のことを口にしてる。

どういうことだ・・・?

 

「そういえば・・・なぜ、貴様はそのことを知ってる?貴様は死神にはなっていないだろう?」

 

「はあ?俺は死神代行だったぜ?」

 

「なに・・・?そんな話、私は聞いたことがないぞ・・・?」

 

何だ?話が食い違ってるぞ?

そうだ!母のことを聞けば何かわかるやもしれん。

 

「黒崎一護、貴様の母、真咲は生きているよな?」

 

「いや、もう死んでっけど・・・」

 

「なん・・・だと・・・」

 

頭が痛くなってきた・・・

私はまだ聖別(アウスヴェーレン)を使ってな。

故に、まだ真咲は生きているはずだ。

それが死んでいるだと・・・

 

「・・・あんた、おふくろと何か関係あんのか?さっきもおふくろが滅却師だとか言ってたが・・・」

 

「そうだな。説明しなくてはいけないな。全てを・・・」

 

~ユーハバッハ説明中~

 

「・・・そうか、あんたがおふくろを殺したようなものなんだな」

 

「殺してはいない。我が糧となったのだ」

 

とりあえず、黒崎一護の疑問をできるだけ答えていこう。

今、手掛かりがあるのはこいつだけなのだからな・・・

 

「まあ、こっちの世界のおふくろは本当に交通事故だから、あんたのことはそこまで気にしてはいねえけどよ」

 

「え・・・?」

 

意外だな・・・

てっきり、私を恨むか、憎むべき対象だと思ってたのだがな・・・

 

「私を・・・恨んだりはしないのか・・・?」

 

「そりゃあ、少しはあるぜ。前の世界にいた俺だったら、完全にぶん殴ってたと思う。だが、2度目は滅却師もいない世界なんだから、本当の交通事故。あんたを恨む材料がねえよ」

 

・・・随分とあっさりしているな。

しかし、2度も母親を亡くしているだと?

やはり、私にも聞かなくてはならぬことが増えたようだ。

 

「貴様は、本当に私が知ってる黒崎一護か?」

 

「多分、違うだろうな。俺がいた前の世界じゃ、鬼柳院京夜って奴はいねえし、おふくろは死んでる。だが、あんたのいた世界だと、鬼柳院京夜って奴はいる。おふくろだって生きてるし、俺は死神になっていない」

 

「さっきから、その世界とは何なのだ?世界とは1つだけだろう?」

 

「ちげえよ。平行世界って言って、世界には幾つも存在している。2つの世界が同じ似たような環境、人物がいても、状況や人間関係、細部が異なってくる。もちろん、世界自体が全く別物だってあるんだぜ?」

 

「そ、そうだったのか・・・。ということは、私と貴様がいた世界では微妙にどこか違うらしいな。その証拠が鬼柳院京夜という人物か・・・」

 

「そうだ。どうやら、俺とあんたは同じ境遇みたいだな」

 

私は理解し、納得したが、同時に絶望した。

ここはどうやら私がいた世界と根本的に違うらしい。

ああ・・・こんな状況だからこそ、部下たちの顔が頭に横切るのだな・・・

しかし、同じ境遇の人物が1人でもいて助かった。

こんな状況で独りになられたら、私はお終いだったな。

 

「・・・状況は理解できたが、あんた、これからどうすんだ?」

 

「どう、とは・・・?」

 

「どうやって過ごしていくのかっ、てことだよ。何もねえんだろ?どうやって、この世界で生きてくんだよ?」

 

「あ・・・」

 

はっ!確かにそうだ!

私には名誉も地位も何もない。

あるのは己の身体のみ。

こ、こんな状態で今後、どうやっていけばいいのだっ!

 

「・・・もしかしたら、滅却師の力がISになっているかもしんねえな」

 

「IS・・・?そういえば、先程の男もIS学園とか言ってたな。なんだ、ISとは・・・?」

 

「ISっつーのはな・・・」

 

~一護説明中~

 

「・・・なるほど、この世界ではISというものが存在しており、貴様の死神の力がISに成り代わってるのか」

 

「簡単に言うと、そんな所だ。だから、もしかすると、あんたの失った滅却師の力もISになってるかもしんねえ」

 

「しかし、ISは女しか扱えないのだろう?私が扱えるのか・・・?」

 

「どうだろうな。やってみねえとわかんねえ。一応、前例という俺がいるしな」

 

「ふむ・・・確かにな。なら、そこに案内してくれ。百聞は一見にしかずだからな」

 

「うし、そんじゃ、ついてきてくれ」

 

私と黒崎一護はIS学園に向かった。

滅却師の力が戻ってればいいのだが・・・

 

数時間後・・・・・

 

「何も反応しなかったな・・・」

 

「う、嘘だ・・・。希望も夢もないではないか・・・」

 

IS学園の外。

こんなおっさんが落ち込んでいて、若造が慰めている光景を他の奴らが見たら、どう思うだろうな・・・

 

ここに来る途中、黒崎一護の知り合いらしい女たちに会ってしまい、一時は怪しまれたが、黒崎一護はある一言で切り抜けてみせた。

それが-----

 

『こ、この人は・・・俺の叔父さんだっ!』

 

叔父さんって・・・

確かに、血は流れてて、強ち間違いではないが、もっと他になかったのではないか・・・?

息子に言われ、ちょっとショックだ・・・

 

「・・・はぁ、しょうがねえ、誰か知り合いに頼んで、あんたをどうにかしてみるぜ・・・」

 

「ほ、本当かっ!?」

 

見ていられなかったのか、そんな助け舟を出してくれた!

うぅ・・・何とも優しい息子を持った、私は・・・

もう本当に私は威厳も何もないな・・・

 

「それじゃ、もう1踏ん張りしてくれ。知り合いに片っ端から当たっていくから」

 

「ありがたい・・・!」

 

感謝する、黒崎一護。

この恩は必ず返してみせるさ。

 

私は黒崎一護の後をついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わり、鬼柳院京夜の方。

滅却師たちは息絶え絶えだった。

 

『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』

 

「おーい、まだ続けるか~?」

 

俺は滅却師たちの矢を瞬歩で全て躱していた。

 

原作ではあんなに強そうでも、力が不十分だと、こんな弱いんだな。

 

「くっ!舐めないでいただきたい!」

 

眼鏡をかけた滅却師が矢を放つ。

 

俺は首を動かし、いとも簡単に避ける。

 

「もう止めにしようぜ。王がいなくなったんだから、その部下たちは降伏するのが定石だろ」

 

「私たちにも誇りがあります!滅却師という誇りがっ!」

 

「そうだ・・・!こんな所で諦めるわけにはっ!」

 

「滅却師の誇りにかけて、死神を殺す!」

 

その言葉を皮切りに、滅却師たちが次々に立ち上がっていく。

 

はぁ、面倒くさ。

流石に、しつこすぎるな。

それに、話もまだ途中だし。

 

「士気があがるのはいいんだが、しつこすぎる。もう終わりにしようぜ」

 

俺は鬼神を上に掲げる。

その行動で悟ったのか、滅却師たちは身構え、息を呑む。

 

大丈夫だ、お前らは傷つけない。

 

「安心しろ、一瞬だ。『憑依:飛竜撃賊震天雷砲』」

 

『っ!』

 

鬼神を地面に刺した瞬間、カッと辺り一面光る。

そして、滅却師たちが目を開けた時にはすでにその光はなくなっていた。

 

「・・・?何も衝撃がこない・・・?」

 

「ちょ、ちょっと、待て!」

 

「私たちの武器が・・・破壊されてる!?」

 

そう、滅却師たちの武器を粉々にした。

 

この空間は影で作られているからな。

効果は絶大だと思う。

 

「こうでもしねえとお前ら俺の話を聞かねえだろ?」

 

「話、だと・・・?それは先ほどあなたから-----」

 

「だから、続きがあんだよ。最後まで聞け」

 

ったく、せっかちなヤローだ。

焦りは禁物ってテメエの頭に書き込め。

 

「ユーハバッハは消したと言ったが、生きている」

 

「生きているだと・・・?」

 

「馬鹿な!なら、なぜ、ここにいないっ!」

 

「遠くへ飛ばしたんだよ。それも別の世界にな。その証拠を見せてやる」

 

俺は鬼神を地面に横倒し、両手を触れる。

 

「『憑依:破道の十一・綴雷電(つづりらいでん)』」

 

瞬間、鬼神の勾玉部分から映像が飛び出し、流れた。

 

憑依:綴雷電の能力は俺と関わった人物の霊子を感知し、その周辺を映像化する。

それもあらゆる所から。当然、別世界の映像も、だ。

 

映像にはユーハバッハが映っていた。

 

『ユーハバッハ様!――――ん?』

 

皆、違和感を感じたんだろう。

だって、ユーハバッハの服がタキシード姿だし、場所がなぜか、バーなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名はユーハバッハ。

滅却師の王-----という肩書はとうに忘れた。

今は『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)』というバーの店長を務めている。

 

あれから、数か月が経つのだな。

ここには黒崎一護の父、黒崎一心が昔、よく行きつけで通ってたらしい。

色んな知り合いの所に行ったが、門前払いされ、漸く身を固める場所を手に入れた。

ここの前マスターは器量の大きい人物であった・・・

前マスターは私が頭を下げると、快く了承してくださった。

 

本当に黒崎一護と前マスターには頭が下がらない。

 

前マスターにはたくさん教えてくださった。

カクテルの作りはもちろん、接客のこと、料理のこと、1から10まで教えてもらった。

そして、前マスターがこの間、亡くなった。

その遺書に、この店を私が受け継いでほしいと書かれていた。

 

私は涙した。

こんなに人の死を感慨深くなったのは初めてだ。

だからこそ、私は受け継いだ。

この店は前マスターにとって、私にとって大切な場所だからだ。

 

おっと、そうこうしている内にお客様が入ってきたようだ。

 

カランコロン

 

「いらっしゃいませ」

 

入ってきたのは、凛々しい女性と少しオドオドしている眼鏡をかけた女性だ。

 

「お、織斑先生~、まだ呑むんですか~!」

 

「当たり前だ。私はまだ飲みたらない」

 

「だからって~!」

 

どうやら、教師のようだな。

それも、先輩と後輩といった感じか?

しかし、お客様が入ってくれたのは嬉しい。

どんなお客様であろうと、最高のおもてなしをするのが飲食店だ。

 

「ふむ、中々、内装はいいな。黒崎が知り合いの店が最近できた、と聞いて入ってみたんだがな」

 

「え?ここ、黒崎くんのお知り合いのお店なんですか?」

 

おや、一護の紹介で来てくれたようだな。

これはありがたい。

 

一護には私がここで働き始めてから、何度か顔を出しに来てくれてた。

心配性なのか、色々と様子を窺ったり、調子を聞いたりしていたな。

 

「お客様は、一護のお知り合いでしょうか?」

 

「ああ、まあな。あいつの担任だ」

 

「あ、私は副担任です」

 

「IS学園の方たちでしたか。納得しました」

 

ふむ、一護の担任ということは、これは気合を入れた酒を作らなくてはいけないな。

不出来なものは失礼に値する。

まあ、元々出す気はないがな。

 

「あの~、ここで呑んでいることを黒崎くんには・・・」

 

「大丈夫ですよ。当店はお客様に関わるプライバシーは一切漏らしませんから」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「マスター、ジントニックを」

 

「かしこまりした。そちらの方は?」

 

「わ、私はライムカクテルで」

 

「かしこまりました」

 

2人の注文を受け、カクテルを作る。

そして、カクテルサーバーを振り、グラスに流し入れる。

2人に品を出すと、すぐさま呑んでくださった。

 

「ふむ・・・中々、旨いな」

 

「ありがとうございます」

 

「ライムがちょうどよく効いてますね」

 

「恐縮です」

 

2人に会釈をすると、私はグラスを拭き始める。

前マスターが『食器を磨くことは己の心を磨くのと同じ。そして、それはお客様に自分という存在を見てくださるものだ』と言っていた。

だから、私はグラスを磨くのを止めたことがない。

お客様に気持ち良く呑んでくださるために、自分の心を磨くために。

 

2人は呑み進め、酔いが回ってきたのか、学園のことを話し始めた。

 

「最近、生徒たちがマセていて困るな・・・」

 

「し、仕方ないですよ。今年は男子が入ってきちゃったのですから」

 

話から察するに、2人しかいない男子生徒が入学してきたものだから、女子たちがある意味血気盛んになっているらしいな。

以前、一護もそのことについて愚痴を零していたな。

一護、大変そうだな。

 

「マスターは一護の知り合いなのだろう?あいつ、何か言っていなかったか?」

 

「まあ、愚痴は零しておりましたね。内容は教えられませんが」

 

担任の方の女性が突然聞いてきた。

守秘義務があるから、当たり障りのことしか教えられないがな。

 

「べ、別にどんな愚痴を零してたか気になるわけでは-----」

 

「とか何とか言ってますが、本当は気になってるんじゃないですか~?」

 

「・・・山田先生、一緒にトイレに行こうか。すぐに終わる」

 

「じょ、冗談ですってば~!」

 

すみませんね、一護の愚痴は一応、あなたのことも入っているので・・・

 

「マスター、一護の愚痴を聞いたのだから、私の愚痴も聞いてはくれないだろうか?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

「ついでに、山田先生もどうだ?日頃の不満とかあるだろ?」

 

「え~、なら、少しだけ・・・」

 

それから、2人の愚痴は長々と語られた。

ただ、少しだけと言った彼女も大分不満たっぷりだったようだ。

 

 

私はこの生活に満足している。

滅却師の王となった私もよかったが、ここで愚痴を聞き、お客様に品物を出すマスターになってよかったと思ってる。

私は今、とても充実している!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という映像が流れていた。

滅却師たちは今のユーハバッハを見て、意気消沈していた。

 

「ま、まさか、ユーハバッハ様があんな状態に・・・」

 

「もう王でいられならなくなったのですね・・・」

 

「あれが私たちの王だと思うと・・・」

 

「滅却師ノ王トハ、何ダッタノカ・・・」

 

ありゃりゃ~、皆落ち込んでるね~。

でも、しょうがないよ。

この人、原作通りに進んだら、残虐非道で、尸魂界を襲ってくるんだもん。

これで平和になったと思えばいいよね。

 

「さて、帰るとするか・・・」

 

「ま、待ちなさい!」

 

帰ろうとしたら、眼鏡をかけた滅却師に止められた。

 

なに?そろそろ帰りたいんだけど。

俺にも通常の仕事が残ってるし。

 

「このまま帰すと思ってますか?」

 

「・・・あんたたちに俺を止める術がないと思うんだけど」

 

「ぐっ!」

 

滅却師が睨んできたから、睨み返してやった。

 

武器がない兵士に何の力もない。

だから、俺を止める術がない。

 

「それに、もし、俺を殺したら、ユーハバッハは永遠にこの世界に戻れなくなるぞ?」

 

「そ、そうだ・・・。確かに言われてみれば・・・」

 

「飛バシタノハ彼、戻ス方法モ彼シカ持チ合ワセテイナイ・・・」

 

その通り。原因が俺だから、俺を殺してしまえば、本当にユーハバッハを戻せなくなる。

脅しのようだな。殺したいが殺せない。

ま、戻し方なんて知らねえけど!

 

「だからと言って、あなたは死神!滅却師の誇りにかけて-----」

 

「今の武器がないあんたたちになら、俺はいつでも殺せるぞ」

 

『っ!』

 

しつこいから、威嚇として霊圧を上げ、当てた。

案の定、皆怯んで冷や汗ダラダラかいてんな。

 

「ま、殺す気はないけどね!」

 

俺はニカッと笑顔を作る。

 

だって、殺す理由がないし、こんなに大量に殺したくないもん。

 

「な、なんで・・・?」

 

「なんで?それはね-----」

 

俺より1つか2つ年下かな?そんな少女が聞いてきた。

 

そんなの至極簡単だ。

 

「前に進むためさ」

 

「前に進む・・・?」

 

「そう、確かに死神と滅却師は大昔から対立し、仲が悪い。それこそ戦争に発展したものだ。だけど、俺はそこに居合わせていない。だから、滅却師がどれだけ悪いのか知らない。もしかしたら、いい奴かもしんねえじゃねえか」

 

「そんな・・・そんな屁理屈で-----」

 

「別にそう捉えてもいいよ。俺は俺の考えで進むから。それに俺は滅却師を誇りに思ってるぜ」

 

『なっ!?』

 

一斉に驚いたな。

 

死神が滅却師を誇りに思うなんて考えられなかったんだろうな。

 

「滅却師は世界の均衡を覆してしまう存在だ。けど、基本的に虚を退治することは死神と一緒。人を護ってるんだ。だから、俺はお前らを誇りに思い、尊敬する」

 

『・・・・・・・・』

 

みんな、唖然としているね。

でも、これが俺の本心だ。

 

「過去の尾ひれのように長々と死神を憎んじゃ、いつまで経っても前に進めない。過去よりも現在、現在よりも未来。前に進まなきゃ、人は腐っていくぜ?」

 

「あなたは・・・前に進むために何をしているの・・・?」

 

再び、少女が聞いてきた。

 

愚問だね、そんなの考えるまでもない。

 

「護るため。現世を尸魂界を人を死神を、そして、お前ら滅却師を」

 

「っ!」

 

少女が目を見開いている。

 

多分、今まで護られてきていなかったんだろうな。

これから、君も含め、みんな俺が護る!

 

「見つめ直してみろよ。滅却師の力を手にしたばかりの頃の自分を。何を思って、その力を使おうと決めたのかを」

 

「見つめ直す・・・」

 

「滅却師の力を手に入れた自分・・・」

 

「私は・・・この力を・・・」

 

各々、自分のことを見つめ直してるみたいだな。

 

多分、最初は違ったはずだ。

人を護るために、矛先を虚に向けていた。

だが、時が流れ、考えが変わり、矛先が死神に向けられた。

間違った道を歩き始めたら、直さなくちゃ。

 

「王がいなくなり、武器がなくなったお前たちが今後どうするか、考えとけよ」

 

俺はそう言い残し、帰ろうとする。

 

「ま、待って!」

 

・・・滅却師たちは俺を本当に帰さないつもりなのか?

なんて冗談はさておき、先程の少女が駆けてきた。

 

「あの・・・その・・・ま、また、来てくれる・・・?」

 

不安そうに、上目遣いで聞いてきた。

 

俺は安心させるように、彼女の頭に手を置き、こう宣言した。

 

「また来るよ。お前らがこれからどうするのか、見るために」

 

「(コクリ!)」

 

彼女はパァッと明るくなると、笑顔で頷いた。

うんうん、やっぱ、女の子は笑顔でいなくちゃね!

 

「じゃ、またな」

 

俺は本当に漸く、帰られた。

後ろで少女が名残惜しそうにしていたのは、わからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、再び俺は滅却師たちに会いに行った。

行ったんだが・・・

 

「おい!京夜様が来たぞ!」

 

「本当か!皆、並べ!」

 

「敬礼!」

 

ビシッ!

 

「・・・なぁにこぉれ・・・?」

 

道を作るように、左右1列に並ぶ滅却師さんたち。

しかも、全員、敬礼しているときた。

 

・・・いや、なんで?

 

「京夜様~!」

 

「おっと。君は・・・」

 

遠くから、帰り際に会話した黒髪の少女が俺に抱き着いてきた。

 

な、なんだなんだ!?

雰囲気が変わりすぎている!

 

「こらこら、ビエッタ、京夜様がお困りですよ」

 

「あ、すみません、京夜様!」

 

「いや、いいんだけど・・・これはどんな状況・・・?」

 

眼鏡をかけた滅却師が来た。

 

多数の滅却師たちが敬礼し、さらに、こいつらも何か俺に対する感じが変わってる。

 

「私たちは京夜様の言葉により、心を変えました」

 

「え、そうなの?」

 

「はい!私たちはもう尸魂界を襲うことなんて微塵も思ってないですしね!」

 

そうなんだ、それはよかった。

あんだけやって、まだ攻め込もうと考えたら、嫌だからな。

 

「京夜様は私たちを変えた存在。ですので、頭があがりません。酔拝しております」

 

「だから、こんなことに・・・って、酔拝するような人物じゃないけどね、俺って」

 

「謙遜しすぎですよ!京夜様はもっと胸を張っていいんです!」

 

そこまで言われると・・・なんか照れるな。

 

「おっと、自己紹介が遅れていましたね。私はキルゲ・オピーと申します」

 

「私はバンビエッタ・バスターバインって言います!皆からはビエッタって愛称があります!」

 

眼鏡の滅却師がキルゲ、少女がビエッタね。

 

「キルゲにビエッタか。よろしくな。-----それで、お前ら、今後はどうするんだ?」

 

「そのことですか。実は、我々は現世に行こうと思います」

 

「現世に?」

 

「はい。元々、我々は現世の住人。故郷に帰る形になりますね」

 

「そうか。お前らがそうすると決めたのなら、俺は何も言わない」

 

皆で考えて決めたことなんだ。

俺が茶々入れちゃいけないからな。

それに、元いた場所に帰るだけだ。

どこに異論の場所がある。

 

「あと、京夜様に知らせたいことがもう1つあります」

 

「ん?なに?」

 

「滅却師の掟を作ったのですが-----すみません、アレを持ってきてください!」

 

キルゲがそう言うと、遠くから金髪の青白い男が紙を持って、やってきた。

 

「京夜様、ご無沙汰しております。ユーグラム・ハッシュヴァルト、かつてユーハバッハ様の側近をしていた者であり、次期皇帝とされていた者です」

 

「次期皇帝?・・・ということは、ユーハバッハが王位からいなくなったら、お前が滅却師の王になる存在か」

 

「はい、その通りです」

 

これは盲点だったな。

まさか、次期皇帝がいたとは・・・

 

「まさか、お前・・・ユーハバッハのような考えを・・・」

 

「いえいえ、今の私にそのような考えはございません。京夜様により、考えが変わりました。次期皇帝という名は捨てます。そして、現世で新しい自分に生まれ変わろうと思っています」

 

「そ、そうか。そりゃ、悪かった」

 

よかった。これで、ユーグラムが王位に即位して、再び瀞霊廷に侵攻する考えがあったんじゃ、堪ったもんじゃない。

 

「-----で、その紙は?」

 

「こちらは我々が考えて作った掟です。まだ少ないのですが、目を通してくれませんか?」

 

ユーグラムがキルゲに紙を渡し、キルゲが開きながら、説明をしてくれた。

 

「掟の内容ですが-----

一つ、死神とは対立、戦争をしないこと

一つ、死神の存在を認め、受け入れること

一つ、滅却師の力は自衛できるほどの力しか持ち合わせないこと

一つ、無闇に滅却師の力を乱用しないこと

一つ、必ず、先に手出しはしないこと。ただし、相手に敵意があり、自身が危険だと判断した場合、滅却師の   力を使うこと

一つ、京夜様に絶対服従

-----以上です」

 

「うん、いいんだけど、最後の何?必要か?」

 

この掟はいいと思う。

まるで、かつての日本が第2次世界大戦で負けた時の条約に似ているしな。

日本も自衛のために、自衛隊があるし、無暗に戦争を行わないことにしたし。

ただ、最後のがちょっと引っかかったんだけどね。

 

「必要ですよ!京夜様は王であって、王でない存在!それに、私たちはもう掟に書くまでもなく、心から絶対服従すると決めてますから!」

 

「あ、さいですか・・・」

 

ビエッタにこんなに熱く語られちゃ、何も言えなくなっちまった。

まるで、天皇みたいな扱いやな。

 

「今後も自分たちで会議を行い、掟は増やすつもりです。今まではユーハバッハ様という王が絶対権限を持ち合わせておりましたので」

 

「なるほど、王族主義ってやつか・・・」

 

王様がこう言うんだから、それに従え!

っていう感じの古い風潮だね。

ダメだよ、そんな考えは。

みんなの意見を取り込めないと。

 

「あ、ちょっと、気になったんだが、滅却師の力って、俺が壊したんじゃなかったっけ?」

 

「具体的に言いますと、滅却師の”武器”です。弓は短時間であれば、弱体しますが復元できます。星章化などは研究中だったので、復元不可能ですけどね」

 

「なるほど、納得。じゃあ、掟を破ったらどうすんだ?」

 

「滅却師たちは誇りがありますから、滅多に掟を破るような行為はしないと思いますけど・・・。そうですね、京夜様に一任してもよろしいでしょうか?」

 

「お、俺!?」

 

「はい、皆、京夜様大好きですから、そんな方からの罰を受ければ、酷く反省するでしょう。それに、京夜様の罰を受けたくありませんしね」

 

「そ、そういうことなら・・・いいかな?」

 

俺の質問にキルゲは次々に答えていく。

 

まあ、多分、そんな奴出てこないと思うし、いいかな?

けど、あんまり罰を受けさせるとか嫌いなんだよね・・・

 

「京夜様の罰かぁ~・・・。ちょっと受けたいかも・・・」

 

「お~い、ビエッタ、何とんでもないこと言っちゃってんの?」

 

ビエッタが危ない橋を渡りそうだったから、止めよう。

その先に行ったら、一生帰って来れなくなるぞ!

色んな意味で!

 

「あ、あの、京夜様!」

 

「ん?」

 

「その・・・つ、伝えたいことが-----」

 

「あ~!ビエッタ、ずるいわよ~!」

 

ビエッタが神妙な顔をして、俺に話しかけてきた。

 

なんだろう、もしかして今後のことに悩みでもあるのかな?

 

と、思った時、誰かの大声でビエッタの言葉を遮った。

 

「こ、この声は-----」

 

「あんただけ、京夜様を1人占めするのなし!」

 

「キャ、キャンディ・・・」

 

そう言ってやってきたグラマーな女性を筆頭に来る4人組。

ビエッタが言っていたキャンディは、ビエッタの前に立ち、そう言った。

 

1人占めって・・・

俺は物かよ・・・

 

「京夜様、2人っきりで話すのなら、外でした方がいいと思うの。中だと、周りの目があるし・・・。ちなみに、私は外派です」

 

「ちょっと、ミニーニャ!ソトとかナカとか言ってんじゃない!これ、R-18じゃないんだから!」

 

おっとりとした、これまたナイスボディの女性-----ミニーニャが俺にそう言った。

ただ、やけに谷間を見せつけようと話すのだが・・・たまたまだよな?

 

キャンディよ、何言ってんだか、わからんが、それ以上言うと、危険だ。色々な意味で。

 

「キャンディちゃん、京夜様のこと好きだもんねー!私もだけど☆」

 

「ちょっ、ジジ!?何カミングアウトしてんの!?しかも、ちゃっかり、アピールしてるし!?」

 

長い黒髪ストレートな女性-----ジジがキャンディを煽る。

 

大変だな~、キャンディは。

なんか、親近感沸きそう。

同じ苦労人として。

 

俺も君たちのことは好きになれそうだ。(仲間として)

 

「うるせーぞ、テメエら。京夜様、困ってんだろうが、クソビッチ共め。―――ね、京夜様!」

 

「お、おう・・・?」

 

妙に毒舌吐く、ショートカットの少女が俺に尋ねてきた。

しかも、ちゃっかり、手を握りながら。

 

いや、別にそこまで言わなくても・・・

てか、俺と他の奴らとの雰囲気が違いすぎる気が・・・気のせいか?

 

「ちょ、ちょっと、あんたら!京夜様から離れなさいよ!?」

 

いつの間にか女の子たちに囲まれた俺を見て、なぜか焦ってるビエッタ。

対して、彼女たちの反応は-----

 

「あ、私、キャンディス・キャットニップ!キャンディって呼んでね、京夜様!」

 

「私はミニーニャ・マカロンと言います。色々、構ってくれると嬉しいです」

 

「わたしは~、ジゼル・ジュエルって言うの~!みんなに、ジジって呼ばれてるっ!」

 

「私はリルトット・ランパード。あんな奴ら見ない方がいいよ。それよりも、私を見て!」

 

「聞けよ!あんたら!?」

 

と、ビエッタの意見を無視し、俺に抱き着くわ、摺り寄せるわで、俺は混乱していた。

 

え・・・何この状況・・・

役得-----じゃなくて!

 

「え~、何で京夜様から離れなくちゃいけないのよ~!」

 

「ビエッタに指図されるつもりはないんですけど~!」

 

「ブーッ、ブーッ!」

 

「お前は消えろ。ヤリマンが」

 

「あ、あんたらねえ・・・!」

 

うわわっ!?ビエッタの髪が逆立っていらっしゃる!?

このままいけば、堪忍袋の緒が切れ-----

 

「はーい、みなさん、静粛に~!」

 

-----る前に、キルゲがパンパンと手を叩きながら、介入してくれた。

 

助かったぜ、キルゲ。

あのままいけば、何が起こったか・・・

 

「先程、現世に移動する手配できたので、みなさん、準備してくださ~い。これから、現世に向かいますよ~。そこの5人は京夜様ハーレムを作ってないで、離れたらどうです」

 

「・・・作った記憶がないんだが・・・」

 

おいおい、これがどうハーレムに見えるんだよ・・・

確かに囲まれているが、違うだろ。

ハーレムっつーのは、もっと、こう深い関係に-----っと、今はそんなことどうでもいいな。

 

「って、もう行くのか?」

 

「はい、思い立ったら何とか、と言うでしょう?早く行動した方が色々といいかと思いましてね」

 

「そうか・・・。少し残念だ」

 

俺が少し落ち込んだ姿を見て、キルゲは優しく微笑んだ。

 

「そんな顔をなさらないでください。私たちにはいつでも会えるのですから」

 

「そう、だな・・・」

 

次にビエッタも励ましてくれた。

 

「そうですよ!京夜様が現世に来れば、いつだって会えます!そしたら、一緒に楽しい時間を過ごしましょうよ!」

 

「ああ、そうだよな。現世に行けば、また会えるもんな」

 

そうだ、永遠の別れじゃねえんだ。

ここでの繋がりは切れねえ。

だから、落ち込んじゃいけねえな。

笑顔で送らないと。

 

「さて、私とユーグラムは星十字騎士団(シュテルンリッター)の面々に声をかけてくることにしますね」

 

「それでは、失礼します。京夜様」

 

そう言って立ち去っていく、キルゲとユーグラム。

 

「あ、いっけない!忘れ物しちゃった!」

 

「もう、キャンディは・・・。私もついていくから」

 

「キャンディとミニーニャが行くなら、私も~!」

 

「あいつら3人じゃ不安だな・・・。それでは、京夜様、失礼します。また会いましょう!」

 

そうして、4人は立ち去り、その場にビエッタと俺だけになった。

 

「あ、そういえば、聞きそびれちゃったね。何、伝えたいことって?」

 

「え、えっと、その・・・」

 

ビエッタはモジモジとしながら、中々話そうとしない。

 

何だろう、大切なことかな?

 

すると、ビエッタは何か覚悟を決めたかのように、口を開いた。

 

「私・・・京夜様のこと大好きです。心から尊敬し、酔拝しております」

 

「ビエッタ・・・」

 

頬を赤らめながら、真っ直ぐに答えた。

そんなに俺のことを-----

 

「あ、あの、京夜様-----」

 

「俺もビエッタのこと好きだぞ」

 

「え、それって・・・」

 

「仲間なんだから当然じゃないか」

 

「・・・・・・・・・へ?」

 

-----仲間として思ってくれてるのか!

いや~、会って間もないのに、俺のことを仲間として認めてくれたか~。

うんうん、こうやって仲間が増えるのはいいなっ!

 

「・・・・・・・・」

 

ん?何でジト目で俺を睨んでんだ?

俺、何か悪いことしたか?

 

(うぅ~~~!きょ、京夜様のこと、1つわかったかも・・・鈍感だって。ただ、代償が大きすぎるよ~!)

 

なんだろう?

頭を抱え込んでるけど・・・頭痛かな?

〇ファリンは部屋に置いてきちったしな・・・我慢してくれ。

 

と、その時、キルゲがビエッタを呼んだ。

 

「キルゲ~!そろそろ時間ですよ~!」

 

「あ、わかった!今行く!―――京夜様!」

 

「ん?」

 

「私・・・諦めませんから!今より、スゴクいい女になってみせます!

 

「期待しているぞ」

 

「はいっ!」

 

そう告げた後、ビエッタはキルゲの元へ向かう。

 

諦めないって、何をだろう?

ま、いいか、ビエッタに何か目標ができたんだから、気にしなくても!

 

「星十字騎士団、整列!」

 

「ひょ?」

 

いきなり、俺の前方で一列になる滅却師たち。

 

なんだ?今度は何をするんだ?

 

「我々は京夜様によって道を開いてくれた!我々が歩む道を!」

 

キルゲがそう叫ぶ。

 

「その敬意を尊重し、絶対服従の証を今ここで!」

 

ユーグラムがそう叫ぶ。

 

その後、圧冠するする光景を目の当たりにする。

 

「頭を下げよ!!!」

 

ザッ!

 

「・・・・・・・・」

 

大勢の滅却師たちが片膝をついて、俺に頭を下げている。

俺は何も口にできなかった。

唖然としていた。

 

「(はっ!)あ、頭を上げてくれ!なんか、恥ずかしいっ!」

 

「フフフ!実に謙虚な方だ。だからこそ、私たちを変えられたのでしょうね」

 

頭を上げると同時に、滅却師たちの足元が輝きだした。

 

そうか、現世に行くんだな。

 

「また会おう。いつの日か、必ず」

 

『はいっ!』

 

全員が元気に笑顔で返事をすると、さらに輝きだし、滅却師たちがいなくなった。

この空間に俺1人だけになった・・・

 

「あんだけいたのがいなくなると、ちょっと寂しいな・・・」

 

でも、現世に行けばいいんだから、寂しくない。

また会えるんだから。

 

「さて、この空間はもういらないけど・・・」

 

滅却師たちの置き土産のような、この空間。

壊すのは惜しいし、何より、壊し方なんて俺は持ち合わせていない。

 

「仕方ない、塞ぐか・・・」

 

俺は地下室へ戻り、穴に板を打ち付け、壁紙を貼った。

 

さて、作業も終わったし!

 

「仕事に戻るか!」

 

俺はいつも通りに仕事に戻る。

 

ここで起きたことは俺しかしらない。

 

だから、隊舎に戻っても、普段通りの日常。

 

けど、俺にはまた1つ楽しみが増えた。

 

仲間がまた増えたから!




いかがでしたでしょうか?

ユーハバッハはあの後、本にも載るようになり、1流のバーテンダーになる、という裏設定があります。
ま、いらないでしょうけど。
滅却師たちはこれで終わり-----と思いきや、また出てくると思います。
いつになるかわからないけど・・・

次回は、京夜が現世に行きます!
前話で予告したのに、守れなくてすみません。
あと、現世にいる話はちょっと長くなります。
目安としては5話ですが・・・長くなるかもしれませんね。
では、また次の投稿に!

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