実に約2週間ぶりですね!
実は遅くなった理由が2つありまして、1つは文化祭です。
準備などで時間がかかってしまい、遅くなりました。
もう1つは・・・彼女に振られました~~~~~!
もう泣きそうで、そのショックで書ける状態ではなかったので・・・
ようやく、立ち直り、日も落ち着いたので、投稿いたしました。
さて、そんな作者の諸事情は置いといて!
今回は人気が高い雛森がでますよ!
しかも、恋の闘い勃発!
さらに、2人ほど隊長格がでます!
ちょっと、スケールがでかすぎたせいか、1話で収まりきりませんでした。
2、3話に分けて投稿いたします!
では、どうぞ!
みなさん、あのお食事券のことを覚えていらっしゃるでしょうか。
そう、あのやちるちゃんに無理やり優勝させられたお食事券のことを。
剣八との死闘の傷を俺は自力で完治させ、すぐに隊に復帰した数日後。
俺と剣八の闘いはすぐさま皆に広まった。
それで、付けられた名前があるんだが、『変幻自在の京夜』という二つ名が広まった。
どうやら、俺の斬魄刀の能力からとったらしいのだが、なにそれ!?二つ名とか恥ずかし!
しかも、変幻自在ってなによっ!?
もっとこう、カッコいいのなかったの!?
例えば『鬼の京夜』とか-----え?それは既に使われてる?・・・さいですか。
さて、話が逸れちまったな。
実は俺の手元には未だに使われていない73500円のお食事券がある。
どうすっかな~、俺はこんなに食える自信はない。
だったら、他の人を誘って食べに行けばいいんじゃね?
ということで-----
「ルキアを誘ってみました~」
「何を言ってるんだお前は・・・」
「ん?ああ、気にしないで」
知ってるか、気にしたら負けということを。
え?そういうのに使わないって?
それこそ気にしたら負けだ!
俺とルキアの休みが、また丁度よく被ったので飯を誘ったのだ。
ついでに、買い物をしちゃおうということだ。
「それじゃ、ルキア、明日、前と同じ時間と場所で」
「・・・今度は誰かを紹介するとかじゃなく、2人っきりだよな?」
「ああ、そうだよ」
「本当だなっ!」
「おいおい、俺はそんなに信用ないか?」
「・・・・・・・・・」
「何か言えよ!」
無言は肯定を意味するんだぞ!
俺ってルキアにそんなに信用なくしていたのか・・・?
一体、どこで・・・?
「ま、まあ、今回はそこまで言うのだから、信じてもいいだろう」
「あ、ありがとうございます・・・?」
なぜ、ルキアにお礼しなくちゃならん。
しかも、疑問形になっちまったし。
そんなことを話していると、ルキアが帰る横道にでた。
「それでは、また明日。楽しみにしているぞ」
「ああ、じゃあな」
俺とルキアは別れ、俺は自分の家に帰って行った。
家に着いて一息ついていると、玄関をノックする音が聞こえた。
コンコン
「はいはい、今でますよ~」
ガラガラ、と玄関を開けた。
そこには見覚えの人物がいた。
「あれ?雛森じゃん。久しぶり」
「ひ、久しぶりだね、京夜くん・・・」
珍しいな、雛森が家に来るなんて。
しかも、これまた突然に。
「ご、ごめんね。急にお邪魔しちゃって・・・」
「いや、それは別に構わないけどよ・・・どうしたんだ、急に?」
「え、えっと・・・」
雛森はモジモジと恥ずかしがり、中々話そうとしない。
「・・・中に入っていくか?」
「い、いいよっ!そんな大したことじゃないし!うん、ここでいいよ!」
だったら、早く言えよ・・・
そう思った時、雛森が深呼吸して言った。
「・・・じ、実は、ご報告があります・・・」
「お、おう」
「この度、私、雛森桃は-----五番隊第五席に任命されました」
「え?」
・・・マジか。
「えええっ!?すげえじゃん!」
「エ、エヘヘ。京夜くんに追いつきたくてがんばったんだ~」
「そうか、俺に追いつくために・・・」
それを聞いて、僕は涙組みそうです!
同期に追いつくためかぁ・・・四席になったことを、ちょっと後悔したことがあったけど、こういうのを聞くと、なってよかったと思うね!
あ、そうだ!
「ならさ、席官任命のパーティーしなくちゃな!」
「えっ!?い、いいよ!?そ、そんな大層なものじゃないし・・・」
「一三番隊を舐めるな。こういったお祝い事があるなら、すぐさま宴をやるんだよ」
「そ、そうなの・・・?」
俺も大分、清音さんと仙太郎さんに感化されたな。
「それで、やっていいよな!」
「え、う、うん。京夜くんがいいのならそれで・・・あ、でも」
雛森は何かに気づき、付け足す。
いいぞいいぞ、どんどん意見を言って行ってくれ!
「あ、あんまり派手にやりたくないかなぁ~って・・・」
「え?それはつまり・・・?」
「・・・きょ、京夜くんとお祝いしたいな・・・」
顔を真っ赤にしながら、囁くように呟いた。
なんだ、そういうことか。
確かに、雛森ってちょっと人見知りなところがあるしな。
「そういうことならいいぜ。食事代は俺に任せろ!」
「い、いいよ!そんな悪いよ!」
雛森は遠慮するが、フッフッフッ、俺には武器があるのだ!
「雛森よ、これな~んだ」
「え?お食事券・・・?しかも、73500円分!?」
「そういうこった」
これがある限り、俺は食事には困らん!
というか、自炊しているから使い道が少ないんだけどな!
「フフフ、そういうことか」
「だから、心配は無用だ」
「じゃあ、お言葉に甘えるね」
うんうん、いい笑顔だ。
俺はそういう笑顔が好きだ。
それから、俺は雛森に集合時間と場所を教えた。
「じゃあな、明日、遅れんなよ」
「京夜くんこそ、遅れちゃダメだからね!バイバイ~!」
立ち去って行く雛森。
さてさて、明日が楽しみだ。
あ、ルキアがいるってこと話してないや。
ま、いいか、同じ集合場所だし、1人増えても大事だろう。
それに霊術院で顔見知り程度には知っているだろうしな。
「あ、そうだ、お祝いのプレゼント用意しなくちゃな」
何にしよう、と思っておもむろに食材を見た。
「・・・よし、ケーキを作るか」
それで、明日の朝、サプライズとして店に送れば-----よし、完璧だ!
俺は夕飯そっちのけでケーキ作りに没頭した。
「―――――以上です。失礼します、兄様」
私は我が義妹、ルキアからの定例報告を受けた。
ルキアはその場から離れた。
その後、襖からルキアの鼻歌が聞こえてきた。
「~♪~~♪」
「おや、ルキア様、ずいぶんとご機嫌でいますね」
「ああ、まあな!実はな-----」
爺と会話をするルキア。
その声は楽しげで声が弾んでいる。
襖越しのためか、会話の内容が聞こえない。
「そうでございますか。楽しんでくださいね」
「うむ!楽しんでくる!」
会話が終わったのか、ルキアは立ち去っていく。
私は襖を開け、爺に聞いた。
「・・・ずいぶんとルキアがご機嫌だな」
「はい、明日、隊の者とお食事をするようで」
ルキアに仲間が増えることはよい。
だが、それで朽木家の支障になるかどうかが私には心配だ。
例えば、私の給仕の者が作った料理を、食べなかったり、あそこの店の方が美味いなどと言うことだ。
貴族たる者、その身に相応しい者にならなければならない。
そのことをルキアにはもう少し自覚してほしい所だな。
「・・・しかし、ルキア様は変わられました」
「なに・・・?」
爺がいきなりそんなことを言った。
変わった・・・?ルキアが・・・?
「はい、当初は私たちを警戒され、なんとなくですが、つまらなそうにしておられました」
「・・・・・・・・・」
「ですが、今は我が家にいる者には素をだしておられる。慣れ、ではあんな笑顔を出せませぬ。まるで毎日が楽しそうにしていらっしゃいます」
・・・言われてみれば、ルキアが当初、私の家に来た時よりも、雰囲気が変わっている、気がする。
私はルキアのことをまだ分かっていないのかも知れない・・・
「あと、あの笑顔はあの方を思い出させます。白哉様と楽しげに話していた緋真様を」
「!」
私はその言葉を聞き、何かしらの勘が働いた。
まさか・・・・・
「爺よ」
「はい」
「明日、ルキアはどこに向かうか言っていたか?」
「はい、確か-----」
爺は明日のルキアが集合する場所と時間を教えてくれた。
私の杞憂だと思いたい・・・
ルキアに男など・・・
「―――――それでね、京夜はね~~~~~」
「ふ~ん・・・」
「ちょっと、ちゃんと聞いてるの、シロちゃん?」
「ああ、聞いてるよ。てか、聞き飽きたわ・・・」
俺は雛森と甘味処で茶をしながら、話していた。
といっても、ほとんど雛森の一方通行なんだがな・・・
「全く、最近のお前は二言目には京夜、京夜と・・・。そんなにそいつのことが気になるのか?」
「ええっ!?ち、違うよぉ!?そ、そんなんじゃないってばぁ!!!」
と、否定しているが顔がニヤついているぞ・・・
言葉と顔が矛盾しているのに気付いてねえのか・・・?
「雛森、その京夜っていう奴といていいのか?」
「どういうこと?」
「・・・最近、そいつはあの更木と相打ちしたって聞く。しかも、『変幻自在の京夜』なんて二つ名までついてやがる」
「京夜、そんな二つ名がついてたんだ・・・」
「そうじゃねえだろ。俺が言いてえのは、危険性がねえのかってことだ」
戦闘狂みたいな更木と相討ちするほどだ。
そんな野蛮な奴が雛森と一緒だと危険かもしれねえ。
雛森からは安心できる奴と聞いているが・・・どうだかな。
「大丈夫だよ!京夜は確かに強いけど、優しい人だよ!」
「・・・フン」
ほら、こんな感じで京夜という奴がどんな人物かわかんねえ。
「あ、それでね、明日、京夜と一緒に私の就任のお祝いするんだ~!」
「(ピクッ)」
な・・・に・・・?
「・・・2人っきりでか?」
「うん!あ、もしかして、シロちゃんも計画していた?」
「してねえよ・・・。誰が、五席程度で祝うかよ」
「ひど~い!京夜はそんなこと言わないよ!」
・・・俺と京夜を比較されると、なぜかムカついてくる・・・
まるで、俺がその京夜に劣っているかのように・・・
「・・・明日はどこに行くんだ?」
「えっとね、まだ決まってないんだ。集合場所と時間だけ決めたんだ」
「・・・それはどこだ?」
「えっと、確か-----」
俺は雛森から集合場所と時間を聞いた。
「・・・そうか。明日は楽しむことだな」
「うん!思いっきり楽しんでくる!―――――あ、もうこんな時間!?じゃあ、またね!」
「・・・ああ・・・」
あんなに雛森を楽しそうにさせる奴だ。
どんな奴か見てみたい。
「・・・尾行してみるか・・・」
別に犯罪まがいなことではない。
ただ、心配なだけだ。京夜という奴がどれほどの奴なのかを。
もしかしたら、羊の皮を被った狼かもしれねえ。
もし、雛森に手ぇ出したら-----
「即刻、乱入する・・・!」
翌日、ルキアは集合場所に来ていた。
時間よりも少し早めだ。
「着いたが・・・相変わらず来ていないのか・・・」
眉間を抑え、飽きれてしまう。
ルキアの服装は前回と違い、黒を基調とし、うさぎの絵柄が入ったものだ。
決して、チャッピーなどといった不思議生物ではない。
髪には小さな花がつけられた髪留めをつけている。
描写していないが、前に京夜からもらったものだ。
「また前のように遅くなるなよ・・・。仕方ない、待っていてやる」
と、冷静にしているが、内心穏やかではない。
ソワソワと落ち着かない。
(だ、大丈夫だよな・・・?落ち着け、2回目なんだから、そんなに緊張しなくても・・・)
髪を何度も整えたり、服の裾を伸ばしてしまう。
明らかに緊張しているのがわかる。
すると、近くに自分と似たような雰囲気を保っている女の子-----雛森が来た。
「ここ、だよね・・・?まだ、来ていないんだ・・・」
雛森は辺りを見渡すと、少し溜息を吐く。
雛森の服は桃色を基調とし、桃の木が施されている。
まさに自分の名前に相応しい服装だ。
普段、団子にしている髪は下していて、ポニーテールになっている。
髪留めには梅に似たものがついている。
「まあ、待つのは嫌いじゃないし、すぐ来るよね!」
と、笑顔で言いながらも雛森も内心穏やかではなかった。
辺りをウロウロと動いてしまう。
(へ、変じゃないよね・・・?服、ちょっと派手すぎたかな・・・?)
何度も服を確認したり、髪を弄ってしまう。
ルキアと同じ境遇なのだ。
(む、あ奴もこれから異性と行くのか?私と同じ感じがする・・・)
(あ、あの子も好きな人と出かけるのかな?私と似ている・・・)
お互いに何か感じるものがあったのだろう。
だが、お互いに視線は交わらず、話はしていない。
それから、2人は待ち惚けをくらう。
15分後パッポー
「「はぁ・・・」」
2人は同時にため息をつく。
目的の人物はまだ来ていない。
(あ奴はいつまでここにいるのだろう・・・。私と同じで相手が遅刻しているのか・・・?)
(あの子、いつまでここにいるんだろう・・・。私と同じで待たされているのかな・・・?)
お互いに気になり始めた時、2人の目的の人物がやってきた。
「悪い!遅くなった!」
京夜が向こうから走ってくるのが見えた。
その瞬間、2人はそれぞれ口にだした。
「たわけ!遅いぞ!いつまで待たせる気だ京夜―――――」
「もう、待ちくたびれちゃったよ!遅刻だよ、京夜くん-----」
「「え?」」
お互いに声を出した所で初めて気づく。
目的の人物が一緒だということを。
「悪いな。ちょっと手間とっちゃってさ。さあ、行こうぜ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!京夜!」
「そうだよ!これはどういうこと!?」
2人は訳がわからず、京夜に詰め寄る。
「ああ、雛森が五席に就任したから、そのお祝いをしようと思ってよ。で、その前にルキアを俺が誘ってたから、3人でやろうかってこと」
「・・・聞いてないぞ・・・」
「わ、私もそんなこと一言も・・・」
「ルキアには連絡し忘れてて、雛森には言い忘れていた。まあ、別にいいだろ?お互いに同期なんだから」
「「同期・・・?」」
京夜は悪びれもなく、そう言い放つ。
それよりも2人はお互いが同期、ということに気になった。
「・・・もしや、歴代鬼道部門、最優秀者の雛森桃か・・・?」
「・・・もしかして、朽木家に入ったっていう、朽木ルキアさん・・・?」
ここでお互いがどんな人物かわかった。
しかしだ、名前だけは知っているが、話もしたことない。
というか、初対面に近いものだ。
「なんだ、2人は知らなかったのか?」
「まあ・・・話すのは初めてだしな・・・」
「面識もなかったし・・・」
「そうだったのか・・・。だったら、この機会に仲良くしてこうぜ!」
明るく振る舞う京夜に対してルキアと雛森は険悪な雰囲気をだす。
「・・・朽木ルキアだ。京夜の幼馴染であり、同僚であり、相棒でもある。不本意だが、よ ろ し く な」
「・・・雛森桃です。京夜k―――――京夜とは旧友であり、同じクラスで、勉強を教えあっていました。不満ですけど、よ ろ し く ね」
・・・お互いに握手をするが、目が笑っていない。
しかも、2人の後ろから、どす黒いオーラが放たれているが、京夜は知る由もない。
「よしよし、自己紹介も終わった所で早速出発だ!」
「「はぁ・・・」」
京夜は元気よく歩くが、2人の肩は重かった。
ルキアと雛森は京夜に気づかれない程の声量で話す。
「・・・今回は特別に貴様のお祝いをしてやる。だが、勘違いするな。京夜は貴様のものではない」
「・・・その言葉そのまま返すよ。京夜は誰にも渡さないから」
「「ぐぬぬ・・・」」
2人がいがみ合う中、京夜が呼びかけた。
「おーい、置いてっちまうぞ~!」
「あ、待ってよ!京夜くん!」
「――――先手必勝!先に行かせてもらう!」
「え!?」
ルキアは京夜に駆け寄り、あろうことか、右腕に抱き着いた。
「おわっ!?ど、どうしたんだよ!?」
「・・・別によかろう・・・」
頬を赤らめながら、京夜に目を合わせないルキア。
その視線には雛森を見ていた。
まるで、勝ち越したかのように、笑みを浮かべていた。
「ず、ずるいよ~!-----京夜くんっ!」
雛森は京夜に駆け寄り、あろうことか、左腕に抱きついた。
「な、なんだよ!?雛森まで!?」
「エ、エヘヘ!こ、これで歩きたいな~!」
雛森は顔を桃色に染めながら、屈託のない笑顔を見せる。
京夜は、別にいいけどよ・・・と渋々了承する。
「(おい!その手を離せ!京夜が困っているだろ!)」
「(そっちこそ、京夜から離れてよ!歩きにくいから!)」
「「ぐぬぬ・・・」」
腕に抱きつきながら、京夜を挟み、目だけでお互いにいがみ合う。
そんな中、京夜は困惑していた。
「あの~、2人とも、仲良くやるのはいいんだが・・・その、あたっているんだよね・・・」
「「・・・・・・・・・」」
途端、2人はプシュ~ッと、顔を真っ赤にさせ、俯く。
だが、腕からは離れずにいた。
「と、とりあえず行こうか・・・」
「「うん・・・」」
何とも言えない雰囲気の中で3人は歩んでいった。
「・・・あ奴め・・・ルキアを待たせておいて、その上、他の女とも遊びに行くとは・・・」
私は物陰から、ルキアたちの様子を見ていた。
あいつは今巷で噂になっている京夜ではないか。
そんな奴とルキアが・・・危険だ。
「あの様子・・・どうやらルキアは他の女と行くのは知らないようだな・・・」
あ奴はルキアを何だと思っている。
もしや、遊びではあるまいな・・・
もしそうなら・・・処刑だ。
しばらく様子を見ていると、ルキアがあ奴の腕にしがみついたではないか。
「っ!(チャキ)」
思わず千本桜の柄を握ってしまった。
・・・いかんな。冷静になるのだ。
まだあ奴はルキアに手を出していない。
まだ様子を見るべきだ。
3人がどこかへ行こうとしているので、私は後を追った。
「あの野郎・・・2人っきりじゃなかったのかよ・・・」
俺は屋根の上から雛森たちを見ていた。
話がちげえぞ。誰だあの女は。
京夜という奴をこの目で見たが、やはり何か臭う。
もしかしたら、数々の女をたぶらかしてるんじゃねえか・・・?
「雛森、騙されんじゃねえぞ・・・。お前を危険な目に会わしたくない・・・」
くそっ!なんで、雛森はあんな奴と一緒にいたいんだ!
俺の方が安心-----そうじゃねえ、ただ、俺は雛森が心配なだけで、別に気になってるとかは・・・
・・・やめよう、ちょっと、冷静じゃなくなっているみたいだ。
と、そんな時、雛森が京夜の腕に抱きつきやがった。
「っ!(チャキ)」
思わず、氷輪丸の柄を握っちまった。
危ねえ、乱入するのはまだ早えだろ。
冷静になるんだ。あいつはまだ雛森に手をだしていない。
もう少しだけ様子を見るべきだな。
3人が歩き始めたから、俺はその後を追いかけた。
俺たち3人は街を歩いてる。
・・・両腕に女の子2人にしがみつかまれながら。
ああ、周りの視線がイタイ・・・
1人だったら、こんなに視線が来ないはずだが、生憎と2人なのだ。
しかも、顔立ちがいいのだから、目立たないわけがない。
どうしてこうなった・・・
「ところで、これからどこに行くのだ?」
「行先、何も考えてなかったから・・・」
ルキアと雛森が唐突に質問してきた。
まあ、疑問に思うのは普通だよな。
「大丈夫だ、俺に任してくれ。最近、珍しい店が開いたんだ。そこに行こうと思ってる。」
「珍しいとは・・・?」
「なんでも、現世の物を販売している所らしい。そういった店はあまりないからな」
「へ~、現世のか!見てみたい!」
雛森がウキウキワクワクと意気揚々としているので、行先は決まったな。
歩くこと10分弱。他の店より、1回り大きい店に辿り着いた。
店名は『遊肉露』。似たような店があるかもな!
俺たちは早速、店内に入っていく。
カランカラン
「いらっしゃいませ~」
「わ~、おっきい・・・」
「見たことない物が多々あるな」
「そりゃ、現世の品だからな」
店内には男女子供別の服や小物・雑貨類が多くあった。
奥行きがあり、人が何人入っても大丈夫そうだ。
俺たちは近くにあった小物・雑貨類が置いてあるブースに行った。
「わあ~、キレイ・・・」
「む、これは髪留めか?少し派手なような・・・」
「おっ!グラサンあるじゃん」
俺はサングラスを手に取り、かけてみた。
「じゃじゃ~ん!どう似合う?」
大きめの四角いサングラスをかけてみた。
どれ、2人の反応は・・・?
「プッ!アッハッハッハッ!京夜くん、似合わないよ~!」
「怪しげな男にしか見えんぞ・・・」
「似合わなすぎて悪かったな・・・」
俺は静かにサングラスを元の場所へ戻す。
ちくそう・・・雛森にあんなに笑わられるとは思わなかった・・・
確かに、銀色長髪の奴がつけてたら、怪しいよな・・・
やべっ、自分で言ってて悲しくなってきた・・・
「ゴ、ゴメンゴメン!京夜くん、面白くて・・・ププッ」
「もういい。一生つけない・・・。それよりも、これなんかルキアに似合うんじゃないか?」
「む?これは・・・眼鏡か?」
雛森さん、笑いすぎです。
少し自重してください。
俺は伊達眼鏡をルキアに渡してみた。
「度が入ってないようだが・・・」
「これはそういうものだよ。わざと入れていないんだ」
「それは意味があるのか?」
「まあ、目が良くても似合う人がいるからな。試しにつけてみてくれ」
ルキアは恐る恐る伊達眼鏡をつけてみた。
「ど、どうだ・・・?」
「おぉ!予想以上に似合っているぞ!」
こいつは驚いた。
眼鏡がルキアの顔にバッチリ合っていて、知的な感じを表してくれる。
なんとなく、七緒さんに似ているね!
「雛森も見てくれよ!ルキア、似合っているよな!」
「うん!すごく似合っているよ!」
「そ、そうか・・・」
雛森に褒められて、頬をかきながら、照れているルキア。
眼鏡をかけているルキアが照れているのって・・・なんか、いいな・・・
「いいな~、ルキアは似合うのが見つかって。私なんかに似合うものなんかないよ~」
「そんなことないさ。京夜、雛森に似合うものは何かないのか?」
「うん?そうだな~――――――おっ!これなんかどうだ?」
俺が手にしたのは、あまり派手すぎない雫型のイヤリングだった。
「これは・・・?」
「耳につけるんだよ。ほら、耳貸せ」
俺は雛森の返事を待たず、耳に近づき、イヤリングをつけようとした。
「ひゃうっ!?」
「ん?どうした?」
「な、なんでもないよ!つ、続けて!」
「そ、そうか・・・」
(はわわわ・・・。京夜の吐息が耳にあたってるよ~!)
・・・?雛森の様子が変だな?
なんか顔を真っ赤にしているし、モジモジ身体を揺さぶらせている。
あ、トイレかな?
「京夜、お前が思っていることは、恐らく外れだろうな」
ルキアよ、なぜ、俺の心が読めたんだ?
と、色々と謎が多かったが、気にしないことにしよう。
いつの間にか雛森にイヤリングもつけられたしな。
「鏡見てみろよ。似合っているぜ」
「う、うん―――――ほあ~~~~・・・」
鏡を覗き込んだ雛森は感動しているのか、うっとりと眺めていた。
どうやら俺の選択に間違いはなかったみたいだ。
「素適・・・」
「気に入ったみたいだな―――――うしっ!じゃあ、2人の分は俺が買ってやろう!」
「「えっ!?」」
何を2人は驚いてんだ?
俺はその為に選んでいたんだぞ?
「な、何を言っているのだ、お前は!前にも私のものを買ってくれたのだから、今回は自分で払う!」
「そうだよ!わざわざ買ってもらうなんて悪いよ!」
「気にすんなよ。ルキアにはいつも世話になっているし、雛森には就任の祝いだ。俺からの囁かなプレゼントだと思えばいいだろ」
それに俺はこの中で1番立場が上なんだぞ?
当然、給料も2人より上だ。
2人は言い淀むが、折れた。
「・・・な、なら、頼む・・・」
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
2人は俺に品物を渡す。
幸い、高くはないからな。このくらいなら、2人分買っても痛くはない。
(京夜って、優しいね!私、プレゼントなんて初めてだよ!)
(うむ。確かに優しいのだが・・・優しすぎるというか、買いすぎというか・・・)
(・・・もしかして京夜って、女の子に貢ぐ癖があるのかな?)
(有り得るな。私も幾つか買ってもらったことがある)
(いいな~!私はまだ1個だよ~!)
なんだ?2人でコソコソと。
俺だけ除け者なんてずるいぞ!
「何話してんだ、お前ら?」
「うわあ!?な、なんでもないぞ!?」
「ひゃあ!?き、気にしないで!?」
「あ、そう・・・」
・・・そんなに驚くことか?
ちょっぴり心に傷つきましたよ・・・
なんてね!何話してたか知らないけど、切り替えてと!
「そうだ。ルキアに雛森、俺は男物の服を見に行こうと思うんだが、2人はどうする?」
「私はまだ此処にいるつもりだ」
「あ、私、あっちの方を見に行こうかな!」
ルキアは小物・雑貨を見て、雛森は女物の服を見るのか。
「じゃあ、一時、別行動にしよう。済んだら、またここに集合ということで!」
「「はーい!」」
という感じで、俺たちは一旦、別行動をとることにした。
「おっ!ジーパンあんじゃん。久しく着てないな」
俺は男物の服があるブースを漁っていた。
こっちの世界に来てからは、和服が多いからな~。
久しぶりにこういうカジュアルな服も着たいな。
「値段は―――――げっ、たっか・・・」
oh・・・0がいっぱい・・・
5つ?いや、6つあるな・・・
やっぱ、現世のものは今は珍しいのかな?
と、そんな時、後ろから声が掛かった。
「きょ、京夜くん・・・」
「ん?」
後ろを向くと、雛森が神妙な顔持ちでいた。
「雛森か。どうした?」
「え、えっとね・・・気に入った服があったから、試着しようかと思って・・・それで、京夜くんに見てもらおうかなって・・・」
「おう、いいぞ」
断る理由がないしな。
俺と雛森は試着室に向かった。
試着室に辿り着いた俺たちだが、雛森が何故か辺りをキョロキョロと見渡した。
(よ、よし、近くにルキアはいない・・・)
「どうした?早く着ないのか?」
「あ、うん・・・えっと・・・」
雛森は狼狽した直後、とんでもない行動にでた。
「ご、ごめん!」
「え?何が―――――おわっ!?」
シャッ
俺は雛森に急に引っ張られ、お互いに試着室に入ってしまった。
「・・・あの~、雛森さん、これはどういう・・・」
「そ、その・・・外は危険だから・・・」
「服屋がそんな危険な場所だとは、俺は聞いたことがないんだが・・・」
一体、雛森は何がしたいんだ?
訳がわからん・・・
「と、とにかく、着替えちゃうね!」
「えっ!?ちょ、まっ―――――ああ、もう!」
混乱している俺を無視し、雛森は急に服を脱ぎ始めた。
俺は背を向け、着替えている雛森を見ないようにする。
な、なんだ、なんなんだ!?
雛森は何がしたいんだ!?
(あぁ・・・なんで私こんなことしているんだろう・・・。京夜に変に思われちゃったよね・・・)
シュル・・・
「っ!?」
服と身体が擦れる音が聞こえ、俺の鼓動が跳ね上がった。
やばい・・・変に想像しちまう・・・
このままじゃ、理性が危うい!
(で、でも、これならルキアに邪魔される心配はないし、それに、京夜が私に集中してくれるし!)
シュルシュル・・・
「ぐ・・・」
そ、そうだ!
円周率を数えれば、人は落ち着くって聞いたことがある!
今がそれを実践に使うべき!
(π=・・・)
(・・・京夜、驚いているんだろうな・・・。普段の私じゃ想像できないことだしね・・・)
(π=おっぱい・・・じゃなくて!え~と、π=・・・)
(あ、けど、前に読んだ本に、普段とは違った自分を見せることで、相手に意識させるって書いてあったな・・・)
(・・・雛森のおっぱいってそこそこあるよな・・・ってバカ!俺のバカ!本人いるのに何考えてんだ!)
(・・・京夜、私のこと意識してくれるかな?)
あ~、ダメだ。集中できない。
頭の片隅にある煩悩が荒ぶってやがる・・・
俺は・・・もうダメなのか・・・
「お、終わったよ・・・」
俺が危険領域に達しようとする寸前に雛森の声が掛かった。
よ、よかった・・・
あと少し遅かったら、どうなっていたことか・・・
俺は雛森の方へ向く。
「・・・・・・・・・」
「ど、どうかな・・・?」
そこには妖精がいた。
いや、水着を着た雛森だった。
上が桃色と白色が混じったグラデーションの水着。
下は薄ピンク色のスカーフのようなものが巻かれていた。
そのせいで可憐な太ももがチラリズムしているが、そこがまたよく演出されている。
「・・・・・・・・・」
「へ、変かな・・・?」
「あ、いや・・・」
おっと、つい見とれてしまっていたようだ。
それほど、雛森の水着姿は綺麗だった。
「へ、変じゃない!寧ろ、綺麗だ!見とれちまったよ!」
「あ、ありがとう・・・で、でも、ちょっと、声が―――――」
『む・・・?京夜の声・・・?』
「「っ!?」」
俺の声が大きすぎたようだ。
外にいる人に聞こえてしまった。
しかも、この声から察するに―――――
「ル、ルキアッ!?」
「ああ!?だ、ダメだよ~!」
『・・・そこにいるのだな』
シャッ
遂に禁断の扉が開かれてしまった。
ルキアの手によって・・・
「お前ら、どういうことか説明してもらおうか・・・」
「「ごめんなさい・・・」」
怒り心頭のルキアに俺と雛森は謝るしかできなかった。
てか、俺まで何で謝るんだ・・・?
「――――――なるほど、大体わかった」
「な、納得してくれた・・・?」
「いいや、全く」
俺と雛森はルキアの前で正座をさせられていた。
雛森よ、そんな説明で納得できる人がこの世にいるのか?
「京夜も京夜だ。男女が試着室に入るなど・・・言語道断だ!」
「す、すまん・・・」
あれ?雛森より俺の方が怒られている・・・?
俺、一応被害者のようなものなんだけどな・・・
「・・・このままでは私は納得できん。ということで、京夜に償ってもらう」
と、言いながら、ルキアはカゴに入ってあった大量の服を出してきた。
その中にはぬいぐるみも―――――あれ?
「・・・ルキア、これは・・・」
「私が気に入った服だ。これを買え」
「そうじゃなくて!なんだよ、このぬいぐるみは!」
俺が取り出したのはうさぎのぬいぐるみだ。
ただ、顔のパーツがとてもいびつな・・・
「それはうさぎのチャッピーだ。かわいいだろ?」
「・・・俺はお前のセンスが怖いよ。―――というか、ここにある服、全部チャッピーがプリントされてあるし!?」
そこにある服、全部異様なうさぎがプリントされてあるものばかりだ。
まさか、これ、全部着るつもりか・・・?
「私のチャッピーに対する愛を舐めるな!」
「そんなドヤ顔で言うな!」
「まあ、これ全部買え、というのは冗談で・・・」
「お前の冗談は心臓に悪いな・・・」
「2、3着買っていただこう」
あ、結局、買わせるのね・・・
「はぁ、仕方ねえ、買ってやるよ。次いでに雛森のも」
「えっ!?い、いいよ!試しに着てみたかっただけだし!大丈夫だよ!」
「遠慮すんな。いいもの見せてくれたお礼だ」
「い、いいものって・・・」
ボッと雛森は火が吹くほど顔が真っ赤になった。
また水着姿見たいしな。
すげえ似合っていたし。
「ふんっ!」
ドカッ!
「いてっ!何すんだよ、ルキア!」
「ふん!私は外で待っている!」
そう言い残すと、ルキアは店の外に行ってしまった。
なんだ?急に不機嫌になりやがって。
買ってやらねえぞ・・・?
「ったく、どうしたんだよ。ま、いいや。雛森、買ってくるから」
「あ、う、うん・・・」
俺は雛森から水着を貰い受けると、全ての商品の会計を済ませた。
意外と水着が高かったのは予想外だ。
ちなみに、俺の財布がけっこうなダメージを喰らったのは秘密だ。
「あ奴・・・ルキアを放って何をしているのだ・・・」
私は服屋の片隅にいた。
ルキアが眼鏡をつけていたが・・・まあ、似合わなくはない。
緋真もたまに眼鏡をつけて、読書をしていたからな。
似合わないはずがない。
「お客様、お気に召される服はございましたでしょうか?」
「黙れ、こんな所で私は服は買わぬ」
「も、申し訳ございませんでした・・・(じゃあ、何でここにいるのよ・・・)」
とんだ邪魔が入ったな。
どうやら、今は3人とも別行動をとっているらしい。
だが、幾分、時間が経ち、そろそろ集合してもいいはずが、あ奴の姿が見えん。
「まだ来ないか。ルキアが困っているではないか」
ルキアが店内を歩き周り、探している。
あ奴め・・・ルキアを困らせおって・・・
しかし、なぜ、こんな所にルキアは来たのだ・・・?
家にはここ以上なものが揃っているはずだ。
まさか、あ奴に無理矢理来させられたのではないのか!
ルキアを振り回しおって・・・!
「許さん・・・」
私の中ではあ奴はルキアに相応しくないと思い始めてきた。
そんな時、ルキアが試着室の布を開いた。
そこにはあ奴ともう1人いた女がいた。
「っ!」
あ奴・・・ルキアを放って何をしているのだ!
あの薄汚い首をきっ―――――
「お客様、当店では刀を抜く行為は禁じられております」
「黙れ、私はそんなことで止め――――――」
「総隊長様にご連絡が行かれますが?」
「・・・・・・・・」
・・・私は千本桜を戻す。
仕方ない、ここではまだ斬らぬ。
一応、様子を見よう。
ルキアもあの2人には叱っているようだしな。
それでこそ、朽木家の者だ!
む、3人が店を出たな。
私も後を追うことにしよう。
「雛森、それはお前には似合わねえ・・・。もっと右にある・・・ああ、それじゃねえよ・・・」
俺は服屋の片隅にいた。
雛森が服―――いや、水着を選んでいた。
俺の好みとしては右にある白色の清楚な水着なんだが・・・中々、手に取ってもらえていない。
雛森が耳に小物をつけていたが・・・悪くねえんじゃねえか?
あいつなら何でも似合うからな。
「君、お子様用の服はあっちだよ。ほら、こっちに来な」
「うるせえ、俺は服を買いに来たんじゃねえ。引っ込んでろ、おばさん」
「お、おばっ・・・!?私、まだ20前半なのに・・・(今日は変な客ばっか・・・)」
邪魔が入っちまったな。
雛森がようやく決めたらしい。
その服は―――――
「なっ!?俺が望んでいたやつじゃねえ!?」
あろうことか、雛森は桃色を基調とした水着を手に取りやがった!
しかも、何故か京夜と一緒に試着室に入りやがった―――――え?
「ふ、2人で試着室に入りやがった・・・」
雛森は何してんだ!
きっと、京夜に連れ込まれたんだな!
あの野郎・・・許さねえ!
「っ!」
待ってろ雛森!今救い―――――
「ちょっと、君、この店では刀を抜くのは禁止しているんだよ」
「止めるな!俺はあいつを―――――」
「総隊長様に連絡が行くけど、いいの?」
「・・・・・・・・」
・・・ちっ、仕方ねえ。
俺は氷輪丸を戻す。
幸い、大きな音も出てねえし、もう1人いた女が試着室を開けても、何事もなかったようだしな。
その時着ていた水着なんだが・・・うん、似合ってたんじゃねえかな・・・
あれ、鼻血が・・・
取り敢えず、まだ様子見だ。
今度、雛森に変に手を出そうってなら・・・乱入してやる!
っと、3人が店に出ちまったな。
後を追いかけるか。
いかがでしたでしょうか?
白夜の描写がムズイッ!
変ではなかったですか?
ああ、京夜になりたいと、最近思う作者です。
自分が書いたキャラなのに何言ってんだろwww
さて、次回は続きですね。
ちゃんとお祝いのパーティーもしますよ。
その際にもルキアと雛森が喧嘩をwww
その影では京夜の首を狙う2人の人物が・・・
次回もご期待を!