BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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お久しぶりです!

いや~、ようやく、劇場版ネタが終わりました!

最後の話だから、がんばって多めに書いちゃいました。

・・・それで、遅くなっては元も子もないんですけど。

それでは、どうぞ!


名前があることに意味がある~後篇~

「・・・・・・・・・」

 

今、俺がいるのはルキアと姉弟が住んでいる家にいる。

 

そこにルキアは横になって寝ている。

姉弟は俺の傍らにいる。

ダークルキアには俺の家で寝かせといた。

 

また、暴れだしたら困るからな。

だから、俺たちの所から離れた所で寝かせた。

 

「ルキア・・・」

 

「・・・ルキア」

 

姉弟はルキアを心配したように見ている。

 

早く起きてくれ、ルキア。

いつまでもこいつらにこんな顔させんじゃねえよ。

 

その思いが届いたのか、ルキアはうっすらと眼を開けた。

 

「・・・ん・・・」

 

『ルキアッ!』

 

俺たちは身を乗り出して、ルキアの顔を覗き込む。

 

「ルキア、大丈夫?怪我はない?お腹へってない?」

 

「おいおい、起きてからそんなに言ったら、ルキアも困るだろ」

 

「・・・・・・・・・」

 

少女がルキアに続けざまに聞いていく。

 

だが、ルキアはそんなことは気に留めず、キョロキョロと辺りを見渡す。

 

「・・・ルキア?」

 

「ここはどこだ?」

 

「・・・え・・・」

 

少年が聞くと、ルキアから信じられない言葉を聞いた。

 

「ル、ルキア、じょ、冗談だよね・・・?」

 

「お前は誰だ?」

 

「っ!?」

 

少女が話しかけると、驚愕した言葉を発した。

 

「・・・・・・・・・」

 

ダッとその場から少女は逃げ出した。

 

「あっ!・・・悪い、あいつを任してもいいか・・・」

 

「・・・わかったよ、兄さん」

 

そう言うと、少年は少女を追いかけた。

 

多分、あいつもここに残りたくなかったんだろう・・・

出る時、辛そうな顔をしていた。

 

「・・・ルキア、俺のことはわかるか?」

 

「何を言っておる。京夜だろ?」

 

俺のことはわかるのか・・・

どういうことだ・・・?

姉弟と俺との違い・・・もしかしたら―――――

 

「・・・なあ、ルキア、この数日間の記憶はあるか?」

 

そう、俺が考えついた答えはこれだ。

俺はルキアと昔からの付き合いだが、姉弟はここ数日の付き合い。

 

多分、虚に乗っ取られた代償に数日前、正確には姉弟と出会う直前から今日までの記憶がないなら、俺の仮説は成り立つ。

案の定、俺の仮説は当たったみたいだ。

 

「ちょっと、待っててくれ―――――ダメだ、思い出せん。私に何があったのだ・・・?」

 

「え?えーと、それは・・・」

 

これは困った。有りのままのことを話したら、ルキアが困惑してしまうし、どうなるかわからない。

ルキアの現状がわからない以上、余計なことはしない方がいいよな・・・

 

「・・・ほ、虚に襲われてたんだ・・・」

 

「虚に?」

 

「そ、そう!ルキアが家で寛いでいたら、虚に襲われてたんだ!そこに俺が駆けつけて、ルキアを安全な場所まで運んだ。それで、今日までルキアは寝ていたんだ」

 

「そうなのか・・・?なんだか、記憶が曖昧だからな。京夜がそう言うのだから、そうなのだろうな」

 

「そういうこと、そういうこと!」

 

記憶が断片的に残っているのか?

すんなりと信じ込まねえな。

 

「ということは、ここは京夜の家なのだな」

 

「あ、いや、ここは・・・」

 

「違うのか?」

 

「い、いや!そうだよ!ここは俺の家だ!アッ、アハハハ・・・」

 

「・・・変なやつだな」

 

あ、あぶねー、あぶねー!

危うく、ここはルキアの家、とか言って混乱させる所だった!

 

「気になったんだが・・・あの子どもたちはなんなのだ?」

 

「あれは・・・」

 

ど、どうする?

今更、ルキアが拾ってきた、なんて言えるわけできない。

仕方ねえ、ここは・・・・・

 

「・・・あれは、俺が拾ってきた子たちだ」

 

「そうなのか?だが、私はあの子たちを知らぬぞ?」

 

「ああ、そりゃ知らねえよ。あいつらはルキアが寝てる間に拾ってきたんだから」

 

「そうか・・・。その、すまぬ」

 

なぜか、ルキアは頭を下げた。

 

「おいおい、なんで―――――」

 

「私を救いだし、しかも、看病までしてくれた。京夜には頭があがらぬ・・・」

 

止めろ、止めてくれ・・・

俺はお前を騙しているんだぞ・・・?

嘘をついているんだぞ・・・?

そんなやつに、そんなやつに・・・頭を下げないでくれ・・・

 

「頭を上げてくれ、ルキア」

 

「・・・京夜・・・」

 

ルキアは申し訳ない顔をしながら、頭をあげる。

 

今、俺はどんな顔をしているのだろうか・・・

ルキアを直視できない・・・

 

「・・・京夜、感謝する。それでは、私は出てくぞ」

 

「え・・・?でも、お前まだ身体が・・・」

 

「案ずるな。何年、戌吊(ここ)にいたと思っている。この程度大事だ。―――――それに、いつまでも京夜の世話になってもらっては困る」

 

「そうか・・・」

 

ああは言ってるが、多分俺の心情を感じたんだろう。

 

1人にしてほしい、と。

 

ルキアは家から出て行った。

 

家の中には俺だけだった。

 

「くそっ!!!」

 

どうしようもない、言葉で表わせられない怒りを床にぶつける。

 

拳から血が滲んだ。

 

今日、俺は家族のために、仲間であり家族である者を切り捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

姉弟を探しに外に出ると、数メートル先の切り株に姉弟がいた。

 

少女は泣いており、少年はそれを慰めるように背中をさすっているが、自分自身も泣き出しそうにしている。

 

「お前ら・・・」

 

「・・・ヒッグ・・・お、にい、グズッ、ぢゃ、ん・・・?」

 

「・・・兄さん・・・」

 

・・・なんて言えばいい・・・

あんな言葉を真正面に言われたんだ。

泣かない方が変だ。

 

「・・・ごめん、ルキアは何も覚えてないんだって・・・あの家のことも、あの出来事も・・・お前らのことも」

 

「っ!!・・・う、うぅ、うぅ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

少女はさらに泣き出し、少年は俯く。

 

こう言うしかない。

変に嘘を言っても、ルキアから言われた2人には怒りを買うだけだ。

 

でも、ルキアはいい置き土産をしてくれた。

 

「・・・でも、ルキアは記憶を失くす前にお前らに遺したものがある」

 

「・・・ヒッグ・・・ふえ・・・?」

 

「・・・・・?」

 

「お前らの、名、だよ」

 

「「!!!」」

 

姉弟は目を見開いた。

多分、もうつけてもらえないと思ってたんだろう。

 

「俺はルキアから先に聞いてたんだ。お前らの名を。だけど、これはルキアが考えたものだ。俺がつけていいものか・・・」

 

「全然いいっ!」

 

「・・・教えて、僕と姉さんの名前・・・」

 

2人は俺に詰め寄ってくる。

 

「わかった。―――――お前が”焔”お前が”雫”だ」

 

「焔・・・それが、私の名前・・・」

 

「・・・雫・・・」

 

「そうだ。お前らはその名前をこれから使え。そして、誇るんだぞ」

 

まさか、俺が名づけ親になるとはな・・・

 

すると、焔と雫は突然泣き出し、俺に抱き着いてきた。

 

「お、お兄ちゃんっ!!!」

 

「兄さんっ!!!」

 

「っとと、・・・うんと泣け。俺が全部受け止めっから・・・」

 

「あり、がとう・・・ルキア・・・お兄ちゃん・・・」

 

「・・・ありがとう・・・ありが、とぅ・・・ありが・・・」

 

「・・・俺が焔と雫これから護るからな。俺は絶対に忘れたりしないから」

 

「「う、うわあああぁぁん!わああああぁぁぁぁ・・・・・」」

 

俺の胸の中で焔と雫は泣き叫んだ。

 

もうこんな哀しい思いは、絶対にしない。

そう心に誓った。

 

今日、ここに家族の絆が強まったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ZZZ・・・」

 

「むにゃ・・・」

 

「ったく、泣いたと思ってたら次は寝やがって。忙しいやつらめ・・・」

 

2人を慰めた後、泣き疲れて寝てしまったので、俺の家に寝かせている。

ちなみに、俺の家は何気広い。

なんたって、1から自分で作ったからな!

 

そして、ここには俺と焔、雫の他にもう1人いる。

 

「さて、次はこいつなんだが・・・」

 

未だに目を覚まさないダークルキアだ。

 

なんでこいついるんだ?

原作じゃあ、消滅するはずだろ?

もしかして、神からもらった霊力のせいだったりする・・・?

 

「・・・・・・・・・」

 

「お、気が付いた」

 

そう悩んでいると、ようやく薄っすらとダークルキアが目を開けた。

 

 

 

 

 

 

常闇の暗い空間。

 

上下も左右も前後もわからない所に私はいた。

 

ここはどこだろうか、いや、そもそも私は一体誰だ・・・?

 

自分が何者なのかもわからない。

自分がいる場所がわからない。

 

ただ―――――この暗さは嫌いだった。

 

私は求める。

自分という個を。

居場所という処を。

そして、ここから出たい、と願った。

 

そしたら、私の目の前に、白い仮面をつけた蛇みたいなものがいた。

 

『ケケッ!自分の存在すらもわかんねえのか!これは笑えるぜ!』

 

なんだ?お前は誰だ?私のことを知っているのか?

 

『トーゼン!よく知っているぜ!あと、俺は虚だ』

 

虚・・・?虚とはなんだ・・・?

 

『アー・・・そういうのは後にしねえか?まず、俺はテメーに聞きてえことがあるんだよ』

 

私に・・・?

 

『テメーは願ったな?ここを出たい、と』

 

・・・うん、願った。

 

『ベツニ出てもいいぞ。そうすりゃ、自分が何者なのかもわかるしな』

 

なら、早くここから―――――

 

『ダケドヨ、本当にいいのか?』

 

・・・どういう意味?

 

『ショックを受けるかも知んねえぞ?自分はとんでもないやつだと思うかも知んねえぞ?存在していいのかって思うかも知んねえぞ?』

 

・・・・・・・・・

 

『ソレガ嫌なら、ずっとここにいろよ。そうすりゃ、そんな怖い思いをしなくてすむぜ』

 

・・・それでも、ここから出してほしい。

 

『ホウ・・・』

 

お前が言ったことは、全部逃げだ。確かに、知らないほうがいいかもしれない。でも、知らないままの方がもっと怖い。―――――だから、ここから私を出して。

 

『ハア・・・仕方ねえ。後悔しても知らねえからな』

 

そう虚が言うと、空間が一気に光輝き、私は目を閉じた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「お、気が付いた」

 

目を開けると、そこには薄汚い天井だった。

 

私はゆっくり身体を起き上がらせる。

 

「よっ!気分はどうだ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

私の目の前にいるのは長い銀髪で整った顔立ちの青年。

 

こいつが私のことを教えてくれるのか・・・?

 

「・・・・・・・・・」

 

「? どうしたんだよ?口を開いたり閉じたりして」

 

違う、なぜか言葉が出せない。

これじゃあ、話ができない。

 

――――どうしたら、伝わる?

 

そう思った時だった。

 

「ん?なんだ?頭の中に声が響いたような・・・」

 

「・・・!」

 

これはもしかして!

 

―――――私の、声、聞ける、?

 

「おお!まただ!ああ、聞こえるぞ!―――――まさか、お前が・・・?」

 

私はこくんと頷く。

 

「そうか・・・話せない代わりに思念とかで言葉を発せられるのか・・・まるで電波少女だな」

 

そう言うと、青年は笑っていた。

 

言葉の意味がわからないが、こいつが笑うと何だか和む・・・

 

―――――ここは、どこ、?

 

「あ、ここは俺の家だよ」

 

―――――あなた、誰、?

 

「俺は鬼柳院京夜だ」

 

―――――京夜・・・覚えた。

 

「うし、んじゃ、今度は俺から聞くな」

 

京夜はさっきまでの笑顔とは一変し、真剣な顔つきになる。

 

「何者だ?お前?」

 

―――――・・・?

 

私が何者か?

それは私が聞きたい言葉だ。

 

「お前は俺やあそこで寝ている2人を襲ったんだぞ?」

 

―――――・・・覚え、ない・・・

 

襲った・・・?

私が・・・?

なぜ・・・?

 

「こっちも記憶がないのか・・・?あの鎌に見覚えはないか?」

 

―――――鎌・・・?

 

そう言うと、京夜は壁に掛けてある鎌を指差した。

 

巨大な鎌、と思った時だった。

 

―――――うっ!ぐっ!?

 

「お、おい!どうしたんだよ!」

 

く、苦しい、中から何か出てきそう・・・

 

私は十数秒苦しんだ。

すると、急に何もなかったように、気が楽になった。

 

―――――なに、今の・・・?

 

「だ、大丈夫・・・って、お前・・・その顔!?」

 

―――――へ?

 

見ると、左半分に顔を隠して白い仮面が現れた。

 

―――――なに、これ・・・?

 

「・・・虚化・・・」

 

京夜がおかしな言葉を呟いた時だった。

 

『ッタク、鎌を不用心に見せつけんじゃねえっつうの』

 

仮面が突然喋りだした。

 

「なっ!?テメーまだ生きてたのか!」

 

『オチツケヨ、それにもうすぐ俺は消える存在なんだからよ』

 

「どういうことだ?」

 

仮面と京夜は話し出す。

私は会話に追いつけず、2人の様子を見ているだけだった。

 

『セイカクニハ、俺の意識が、お前の霊力に俺が喰われているんだよ』

 

「俺の霊力・・・?」

 

『ソウダナ・・・順を追って説明するか。お前はルキアという少女を救う出すために、自分の霊力を注いだな』

 

「ああ、そうだ」

 

『ソノトキ、今まで俺とルキアで繋がっていた霊子が、お前の霊子に繋ぎ変わっちまったんだ。当然、繋がれていないルキアの霊子は吐き出されて、元に戻る』

 

「だが、それと、こいつに何の関係が・・・?」

 

『マアマア、落ち着けよ。ここからが本題だ。繋ぎ変わった俺の霊子とお前の霊子は普通なら消滅する。が、しなかった』

 

「・・・なぜ?」

 

『・・・ココカラハ俺の仮説なんだが、お前の霊子が他とは違う特別のものだったとする。例えば、霊子だけで人を作れたりとかな』

 

「っ!?」

 

『ソレデダ、俺の霊子とリンクしたお前の霊子はこいつの身体を作り上げた。微量だがルキアの霊子があったせいか、見た目はルキアと瓜二つとなる。しかも、お前の霊子は俺の意識を乗っ取ろうとしやがる』

 

「・・・つまり、こいつは全て霊子で出来上がっていることになるのか・・・」

 

『セイカクニ言うならば、虚に近い存在だ。器や骨は虚に、肉や身体はお前に、姿形はルキアに、霊力は俺とお前が入り混じったもの―――――こんなゴチャゴチャな霊子の集まりだけで、こいつは成り立ってんだ。普通だったら、いねえ存在なんだぜ』

 

「そうなのか・・・こいつが生まれたのは全部俺のせい・・・」

 

『マア、結果的にはそうなるな―――――っと、もう時間か。あばよ。もう俺が表に出てくることはねえ』

 

「ま、待て!最後に1つ。何で、こいつは何も覚えていないんだ?」

 

『・・・コイツハ簡単に言うと霊子の集合体。つまり無から出てきたもの。何も覚えていないんじゃない。何も知らないだけだ』

 

「そうか・・・ありがとう」

 

『ケッ!虚に感謝される日があるなんてよ―――――』

 

その言葉を最後に仮面が消えた。

 

「「・・・・・・・・・」」

 

京夜は沈黙を張ったままだ。

今、京夜は何考えているのだろう?

 

―――――京夜・・・

 

「ごめん、俺のせいで・・・」

 

―――――ちがう、さっき、話、わかんない

 

「・・・あ、そっち・・・図で説明してあげるな」

 

さっきの話はちんぷんかんぷんだった。

 

京夜はなんだと思ったのだろう?

 

京夜は私にもわかりやすく、絵を書いて教えてくれた。

 

ルキア霊子―――虚霊子

 

 ↓←京夜霊子注入

 

ルキア霊子

    ↑

京夜霊子―――虚霊子(残留ルキア霊子含む)

 

 ↓

 

骨や器:虚霊子で作成(霊子だけ、意識なし)

肉や身体、その他諸々:京夜霊子で作成

霊力:京夜と虚が混ざったもの

見た目:残留ルキア霊子によるもの

 

結果、京夜が原因。

 

 

「―――――ということだ。霊子、霊力、虚などの説明はさっきしたな」

 

―――――うん、わかった・・・私、普通じゃない・・・

 

説明してくれて理解した。

私は本来生まれてきちゃいけない存在だったんだ・・・

 

―――――私、ここに、いて、いい、のかな・・・

 

「あたりめーだろ」

 

私は京夜の言葉に目を丸くする。

 

ここにいて、いいの?

生きてていいの?

 

「だってよ、お前は生きてる。お前には感情があるはずだ。今は辛いかもしれない。けど、これから楽しかったり、幸せになったりするだろう―――――だから、ここにいろ」

 

―――――京夜・・・

 

「ま、あとは、俺が原因でもあるしな。それ相応の責任は取るつもりだ」

 

―――――・・・うん、責任、とって

 

確かに、京夜の言う通りだ。

これからわからないことだらけだろうけど、諦めず、生きればきっと幸せだと思う。

私は京夜から産まれた。

きちんとした形じゃないけど、ここに生まれてきた。

なら、それに感謝して、思いっきり生きようと思う。

 

「さて、まずは何を教えようかな・・・」

 

―――――京夜、教えて。たくさん、色んなこと・・・

 

「おう、任せとけ!―――――あっ!」

 

京夜は突然、何か閃いたみたいだった。

 

―――――どうしたの?

 

「お前の名前だよ!ほら、生きてく以上、名前は必要だろ?」

 

―――――名前・・・どんなの?

 

「・・・アキ、なんてどうだ?」

 

―――――アキ・・・?

 

「ほら、お前はルキアにそっくりだからさ、ルをとって残りの文字を逆にすれば、アキになるだろ?」

 

―――――本当だ・・・

 

「あ~、でも、流石に安直すぎるか・・・」

 

―――――別に、いい。京夜、つけた、名前、だから

 

「お?そうか?じゃあ、改めて―――――」

 

そう言って京夜は手を差し出してきた。

 

「これからよろしくな!アキ!」

 

―――――・・・うん、よろしく

 

私は微笑み、その手を優しく握った。

 

私は今日からアキ。

 

何もない私に最初に教えてくれて、最初に与えてくれたもの。

 

私はこの名を一生大事にする。

 

私にとって、京夜は生みの親であり、名づけ親であり、家族であり、大切な人であり、そして―――――ずっと傍にいたい人となった。

 

 

 

 

 

 

 

ふ~、今回は一件落着?になったのかな。

 

アキが新たな家族になった。

焔と雫にアキのことを話したら、最初は警戒していたが、見た目がルキアだったおかげか、すぐに慣れてくれた。

子どもってのは恐ろしいくらい順応が早いな。

この時、改めて知った。

 

しっかし、アキは本当に何も知識がない。

基礎を覚えたら、すぐに応用ができるんだが、一般常識を知らない。

なんせ、料理のりの字も知らないくらいできなかったんだから。

 

例えば、人参を切るときには切り方云々あるけど、最初は適度な大きさに切ると思う。

だが、アキは左手を添えず、いきなり真っ二つに両断しやがった時は驚いた。

 

あ、そうそう、アキの思念は俺の他にも焔と雫にも聞けるらしい。

多分、ダークルキア時に2人がしがみついた時に、虚の霊力を少しばかり吸ったんだろう。

その微量の虚の霊力によって、電波みたいな感じになっているんだと思う。

 

あと、あの鎌は封印した。

あの鎌は記憶を狩り取ってしまうからな。

物騒すぎる。

といっても、アキだけは簡単に解除できるようにしたけど。

もしかしたら、アキだけはコントロールできるかもしれないのと、もしもの時のためだ。

 

で、ここから俺が死神になるまでは平穏無事に楽しく暮らせたんだ。

え?その暮らしを話してくれって?

うーん・・・聞いてもただの日常だから、簡単に話すな。

 

あれは、アキが家族として馴染んできた頃だな。

 

俺とアキは昼食作りをしていたんだっけ。

 

「―――――芋などの固いものは火が通りにくいから、小さめに」

 

―――――こうか?

 

「そうそう、手際いいじゃん」

 

―――――ちがう、京夜、教えが、上手。

 

「そうか?ただ、頭にある基礎を教えてるだけなんだけどな」

 

トントンとアキが野菜を切っていく。

 

この音ってちょっと心地いいよな・・・

 

そう感傷に浸っていると、焔と雫が元気よく帰ってきた。

 

「たっだいまーーー!」

 

「・・・ただいま」

 

―――――おかえり。

 

「やっと帰ってきたか。どうだ?釣りの成果は?」

 

2人には釣りを頼んでおいた。

 

てか、尸魂界に川があったんだな・・・

 

「へっへ~ん!大量だよ~!」

 

そう言って、焔は桶の中に無数の川魚が入っていた。

 

「よくやったぁ!今日は魚パーチーだぜっ!ヒャッフゥゥゥゥウウ!!!」

 

「イエーイ!イエーイ!」

 

「・・・ワーイ」

 

―――――・・・パーチーって、なに?

 

 

あの時は豪華だったな。

焼き魚、煮魚、鍋魚、などと魚を飽きるほど食ったな。

1匹だけ、内臓を取り出すのを忘れて、俺が腹壊したのは今となりゃ笑い話だな。

 

あ、あと、この頃から雫に修行させてたっけ。

僕も俺みたく強くなりたい!って言ってきてたな。

強くなることはいいことだからな。俺も2つ返事で了承した。

 

 

あとは・・・そうそうあんなこともあったっけ。

 

あれは焔と雫を寝かしつけるために話をしていた時だ。

 

「―――――そして、決意した!エクスカリバーを使って・・・・・ありゃ?」

 

「ス~ス~・・・」

 

「むにゃ・・・」

 

「いつの間にか寝ちまってる・・・」

 

熱弁しすぎて気づかなかった・・・

 

そしたら、アキもつられたのか、欠伸を噛みしめる。

 

―――――ふああぁ・・・

 

「アキも寝ていいんだぞ?」

 

―――――・・・うん、そうする・・・

 

そう言うと、なぜか俺の肩に頭をコテンと置いて寝ようとする。

 

「おいおい、そんな体勢だと起きた時きついぞ?」

 

―――――・・・平気。京夜の近く、寝たい・・・

 

「はぁ、勝手にしろ」

 

―――――うん。・・・京夜・・・しゅ・・・き・・・

 

「ん?今なんて・・・」

 

―――――ZZZ・・・

 

「・・・寝ちまった・・・」

 

とまあ、こんなほのぼのしたこともあったな。

未だにあの時言った言葉はわかんないけど。

 

逆に、忙しいのもあったな。

 

あれは、川遊びしてた時だったかな。

 

「くらえ!波乗り!」

 

「お兄ちゃん!?それ波になってな―――うわっ!」

 

俺は焔に波乗りという技の水をかける。

焔は逃げれず、諸にあびてしまう。

 

「・・・姉さん、ザリガニがいる」

 

―――――本当だ。今日の、夕飯、できるかな?

 

アキと雫は川にいる生物を探索中。

 

てか、今ザリガニを夕飯にするか聞こえたんだが・・・

 

俺は焔をほっといて、アキの元へ行く。

 

「アキ、ザリガニは美味しくないからやめとけ」

 

―――――そう・・・残念。

 

という話をした時だ。

後ろから焔の襲撃にあった。

 

「さっきの仕返し!裏膝蹴り!」

 

「おわっ!?―――――って!?」

 

―――――へ?

 

刹那、ドパーン!と俺はアキを巻き込み、倒れてしまう。

 

「へへ~ん!油断大敵だよ!」

 

「・・・焔姉さん!ま、待て~・・・」

 

その間に焔は逃げ、雫は追いかけた。

 

「っつつ、あいつめ・・・怪我はねえか、アキ?」

 

―――――きょ、京夜・・・

 

今の体勢はアキの上に俺が覆い被さっている状態だ

なぜか、アキは眼を泳がしながら、頬を染める。

 

いつもは無表情のアキがこんな困惑している顔を出すのは珍しいな。

 

「あ?どうした?」

 

―――――その・・・下のアレが・・・

 

さっきの衝撃で俺の服がはだけて、ナニか見えたらしい―――――いや、それよりもだ。

 

「おい、アキ。お前、顔が赤いぞ」

 

―――――・・・・・・・・・

 

無言でしかも視線を逸らしている・・・ってことは、風邪か?

 

俺は自分の額とアキの額をくっつける。

 

「川で遊んだからな。熱でもでたか?」

 

―――――・・・ちかっ!?―――はふぅ・・・

 

アキは俺の顔を見、ナニかを見て、目を回しながら気絶した。

 

その頃、焔と雫は俺たちのことは露知らず、遊んでいた。

 

「え?アキ・・・?」

 

「えい!水かけフラッシュ!」

 

「うわっ!・・・や、やめてよ、焔姉さん」

 

・・・こりゃ、やべえ。

 

俺は焔と雫に声を掛けた。

 

「た、大変だ!アキがぶっ倒れた~~~!」

 

「「ええ~~~!?」

 

その後、すぐに意識を取り戻したが、俺を見る度に顔を真っ赤にしていた。

 

いや、なんで・・・?

俺はただ心配しただけなのに・・・

 

 

他には、雫がよくわからんことを呟くことがあったな。

 

「・・・アキ姉さんには好きな人はいる?」

 

―――――急に、どうしたの?

 

「・・・焔姉さんは兄さんが好きだから、アキ姉さんも好きな人はいるかなって・・・」

 

それを聞いた焔は照れながら、俺に熱っぽい視線を向ける。

 

子どもは正直でいいよな~。

・・・ってか、ハエが1匹飛んでるな。

 

―――――・・・好きかは、わかんない、でも、その人と、いると、心が、ポカポカ・・・

 

「それ、好きって証拠だよ!誰々!」

 

焔は突然、アキに身を乗り上げてきた。

 

どこに行っても、女はこういう類の話は大好きだな。

・・・ちっ、逃がしたか。

 

―――――そ、それは・・・

 

アキは言葉を濁しながら、顔を赤らめ、俺の方を数秒ジッと見る。

 

なんだ?俺の顔に何かついてるのか?

あっ!もしかして、このハエか?

さっきから、俺の周り飛んでいて、うぜえんだよな。

 

―――――・・・やっぱり、言えない・・・

 

「・・・アキ姉さん、もう視線でわかったから」

 

「ぐぬぬ・・・アキ姉ちゃんもお兄ちゃんを狙ってるのか・・・」

 

「え?俺、狙われてるの?あぶねーな・・・」

 

「・・・兄さん、流石だよ。その鈍感さ・・・」

 

「は?鈍感?」

 

 

そうそう、ここだな、雫がよくわかんねえこと言い出したのは。

しかも、焔がやたら俺に積極的になったのもこの頃かな?

 

ん~・・・あ!最後に、いい思い出があるんだ!

 

あれは寒い夜のことだったかな。

 

「ふぅ~、今日は冷えるな・・・」

 

―――――そうだね。早く、寝るべき。

 

俺たちは囲炉裏を囲むように寝た。

囲炉裏には残り火がついているが、寒さは大して変わらない。

 

床についてから、少し経った頃、アキを見ると震えていた。

 

「アキ、寒いのか?」

 

―――――う、うん・・・でも、平気。

 

ったく、意地張りやがって。

 

俺はアキに手を差し伸べた。

 

「ほら、掴め」

 

―――――え?う、うん・・・

 

戸惑いながらもアキは俺の手を握る。

 

「ほら、これなら暖かいだろ」

 

―――――・・・確かに。でも、京夜、傍に、いるだけ、私、暖かい。

 

「そうなのか?でも、震えていただろ?」

 

―――――ちがう、心が。

 

「そっか・・・」

 

俺はそれを聞いて、アキに微笑む。

アキも俺と同じく微笑んでいた。

お互いに見詰め合う。

すると、まるで、時間が止まったかのような気分になる。

ずっとこのままでも―――――

 

「(ジーーーッ)」

 

・・・なぜか、焔がジト目で俺とアキを見ていた。

それに俺たちは我に返る。

 

―――――ほ、焔・・・?

 

「あの、焔さん・・・?何をそんな疎ましげな眼で見てるのでせうか・・・?」

 

俺とアキが困惑していると、焔が口を開いた。

 

「ズルイ・・・」

 

「はい?」

 

「アキ姉ちゃんばかりズルイ!私も入る!」

 

そう言った瞬間、俺の布団に素早く潜り込み、俺に抱き着く。

 

「う~~~ん、お兄ちゃん、あったか~~~い!」

 

「お、おい、焔・・・」

 

「雫も入りなよ~」

 

なん・・・だと・・・!?

焔が俺をスルーしただとっ!?

 

焔が手招きすると、雫が近づいてきた。

 

「・・・いいの?」

 

「いいの!早く入って!あったかいよ!」

 

「・・・う、うん。お邪魔します」

 

「お、おう・・・」

 

雫は礼儀正しいな~。

焔もそこの所見習ってほしいぜ。

 

「ね?あったかいでしょ?」

 

「・・・本当だ。あったかい・・・」

 

「ったく、お前らは・・・。そうだ。アキも入れよ。寒いし、1人じゃ寂しいだろ?」

 

―――――じゃあ、遠慮、なく・・・

 

そう言うと、アキも俺の布団に入った。

 

「アキ姉ちゃんも入ったから、さっきよりあったか~い!」

 

「・・・気持ち良くて、眠くなってきた・・・」

 

「今夜はいい夢見れそうだな、アキ」

 

―――――うん、そうかも。

 

そうして、俺たちは川の字?になりながら、1つの布団で寝た。

 

最高に幸せだったな・・・

 

 

さて、そして、俺が死神になろうと決意した話だ。

 

3人は俺の見送りをしていた。

 

「・・・やっぱり、行っちゃうんだね。お兄ちゃん」

 

「ああ、そう決めたからな」

 

焔は顔を俯かせながら、呟く。

 

もう焔は子どもじゃない。

立派に成長し、綺麗な美人になった。

・・・まあ、子どもみたいな一面は時たま見るけどな。

 

「・・・兄さんに代わって、僕がここを守っていくから」

 

「雫、悪いな。よろしく頼む」

 

雫も大きくなった。

昔みたいな焔の後ろについていく姿はない。

立派な青年なったな。

 

―――――京夜・・・信じてる。忘れないって、帰ってくるって。

 

「・・・俺は絶対に忘れないし、また帰ってくる。―――――信じて待っててくれ」

 

アキは焔と雫に比べて、大して変わってない。

まあ、霊子でできているから、変わらないんだけどな。

 

死神の話をしたのはこないだだ。

 

アキはわかっていたのか、すぐに了承。

雫は俺に理由を聞き、俺の本気を感じたらしく、兄さんらしいね、と言いながら許してくれた。

 

1番焔が反対していたな。

そりゃあ、虚にとりつかれていたと言っても、死神によってあの事件は起きた。

焔の死神に対する価値観は最悪だろう。

けど、俺は精一杯説得した。

その結果、焔も折れてくれた。泣きながらだったけど。

 

「それじゃあな」

 

俺は踵を返し、行こうとする。

 

「お兄ちゃん!」

 

突然、焔が叫んだ。

 

「ん?どうした?」

 

「・・・私、覚えてるからね。あの約束・・・」

 

約束・・・?

ああ、もしかして、大人になったら、なんとかか?

 

「私・・・お兄ちゃんが帰ってくるまでに、立派な大人になる!そしたら、約束守ってくれるよね!」

 

「期待して待ってるからな」

 

ポンッと焔の頭に手を置く。

 

そんな泣きそうな顔をするな。

今生の別れじゃねえんだから。

 

今度はアキが口を開いた。

 

―――――京夜。

 

俺がそこへ目を向けると、アキが慈愛に満ちて微笑んでいた。

 

―――――いってらっしゃい。

 

「ああ、いってくる」

 

そして、俺は家族から離れた。

 

家族を護るために旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間は戻される。

 

俺が話を終えた時には、日が傾き、ご飯も空になっていた。

 

ルキアは目を見開いていた。

 

「・・・これが真実だ、ルキア」

 

「そう、だったのか・・・」

 

「悪い、今まで騙していて・・・」

 

「いや、そんな・・・」

 

ルキアもどう言葉を返していいか、戸惑っているみたいだ。

 

それもそうか。

自分が信じていた記憶とちがう、なんていきなり言われてもな・・・

 

『・・・・・・・・・』

 

家の中に沈黙が走る。

 

お、重い・・・

俺が話し始めたから、俺の責任でもあるんだけど、もう話すことはねえんだよな・・・

 

俺が悩んでいると、その沈黙を破り、雫が話し始めた。

 

「・・・兄さん、1度腕試ししてほしい。どのくらい自分が強くなったのか」

 

「あ、ああ、そうだな・・・どのくらい強くなったか見てやるよ」

 

ナイス!雫!

やっぱ、お前は空気読める子や!

 

「んじゃ、俺と雫は外に行く。何かあったら呼んでくれ」

 

―――――ん、わかった。

 

俺と雫はあの重い空間から逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

家の中には焔にアキ、そして、ルキアがいた。

 

京夜と雫が逃走しても空気が変わることはない。

いや、寧ろさらに重くなった?感じだ。

 

(わ、私にどうしろと言うのだ・・・)

 

ルキアは混乱していた。

 

焔と雫は実は自分が面倒を見ていて、忘れてしまった存在。

そして、アキは自分から生み出されたもの。

 

信じられなかった。信じたくなかった。

だが、先ほどからくる頭痛、さらに、自分とそっくりの人物。

信じる他ない。

 

「わ、私は・・・その・・・」

 

謝るべきなのだろう、と思い、口を開けた。

 

だが、それはアキに制される。

 

―――――謝ら、ないで。

 

「!?」

 

―――――私は、あなた、いなかったら、生まれて、こない。存在、しないかも。

 

その言葉はルキアの心に深く響き、広がるように沁みた。

 

―――――だから、私は、感謝、してる。

 

アキは深く頭を下げた。

 

―――――ありがとう、ルキア

 

「アキ・・・」

 

謝らなくていい、感謝している―――――その言葉でルキアは大分気が楽になった。

確かに、自分が生みの親なのかもしれない。

だから、謝らずにもっと誇った方がいい。

そう感じた。

 

「ルキアに記憶がなくても、私たちにはちゃんとあるから」

 

「焔・・・」

 

焔はルキアに摺り寄って、抱きしめた。

 

「それに、またこうして出会えた。私はそれでいいと思ってる・・・」

 

「・・・そうだな。記憶はなくても、私たちは心(ここ)で繋がっているから、出会えた・・・会えて、よかった」

 

ルキアはゆっくり焔を抱きしめる。

アキはそんな2人を温かく見守っている。

 

感動の時間がゆっくりと流れ―――――

 

「そうだ!ルキア、今のお兄ちゃんのこと聞かせて!」

 

おい!いいシーンなのに、なんでもうちょっと続かないの!?

・・・とまあ、冗談はさておき。

 

焔はルキアに向き直り、聞いてきた。

 

「今の、京夜のことをか?」

 

「うん!私たち死神のお兄ちゃんが、どんなのか知らないからさ!」

 

―――――私も、気になる。

 

「そ、そうか。ならば、話してやろう。今の京夜はな―――――」

 

夕焼けが照らされながら、ルキアは語る。

焔とアキはそれを微笑ましく聞いている。

 

その光景はまるで家族のようだった。

 

 

 

 

 

 

「ただいま~!いや~、いい汗かいたな~!」

 

「・・・ただいま」

 

あれから、時間が経ち、雫と組み手をしていたら、日が暮れてしまった。

 

ん?あれ?返事が返ってこないな?

3人に目をやると・・・

 

「それでな、京夜は―――」

 

「うんうん!それでっ!」

 

―――――すごく、気になるっ!

 

・・・いつの間にかルキアを中心に仲良く女子会が開かれていた。

 

あっれ~?

どうなったら、あの重い空気から一変して、こんな明るさ満点な空気になっているんだ?

 

ま、まあ、女の子同士だと何か通じるものがあるんだろうねっ!

・・・べ、別に、自分役にたたないな、とか思ってないから!

 

―――あ、京夜、おかえり。

 

「お兄ちゃん、雫、いたんだ」

 

「む・・・一旦、この話は切り上げるか」

 

・・・何、この俺ら男に対する扱い・・・

てか、ルキア、何の話してたんだ。

すごく、気になるっ!

 

「・・・兄さん・・・」

 

「雫、わかってる・・・何も言うな」

 

そこから先の言葉を言ったら、多分凹む。

男としてのプライドとか・・・

 

「あ、もう日が暮れちゃったね」

 

「そうだな。いつの間にか夜だ」

 

日も落ちてきて、もうすぐ夜に差し掛かろうとしている。

 

今、すぐに帰ってもいいが、夜のあの獣道は危険なんだよな・・・

 

―――――泊まったら?

 

「い、いいのか?」

 

―――――別に、いい。ルキア、話、もっと、聞きたい。

 

「そ、そうか!では、1晩厄介になろう。京夜もよいか?」

 

「ここは俺のもう1つの故郷みてえなもんだ。構わねえさ」

 

ルキアがアキと俺に確認をする。

 

明日も休みだからな。

久しぶりにこいつらとゆっくりするか。

 

その晩は皆で夕飯を食べ、話に花を咲かせ、就寝した。

 

いや~、人数が多いと楽しいな。

 

あ、寝る前に女3人がちょっとおかしかったな・・・

 

―――――ルキア、京夜のこと、詳しすぎる・・・

 

アキがルキアをジト目で見ていた。

 

「い、いや、同僚であり、幼馴染でもあるのだから、知ってしまうのだ・・・」

 

「じゃあ、なんで、顔を赤くするの・・・」

 

焔も加わり、ジト目が増える。

 

「え、えと・・・その・・・」

 

―――――怪しい・・・

 

「・・・昔から感じてたけど、ルキアもか・・・」

 

「と、いうことは、焔も京夜のことを・・・」

 

「ついでに、アキ姉ちゃんもだよ・・・」

 

―――――宿敵、増える・・・

 

3人の間に火花が散る。

 

「京夜は渡さん!」

 

「ふんだ!お兄ちゃんと私は将来の約束したもんね!」

 

―――――それは、焔が、子どもの頃の話。・・・京夜は私のもの。

 

「むむっ!」

 

「う~~~!」

 

―――――ぬぅ~!

 

その光景を俺は温かく見守っている。

 

「いや~、3人は本当に仲良くなったな~」

 

「・・・兄さん、後ろから刺されないように」

 

「は?なに言ってんだ?俺が刺されるわけねえだろ?」

 

「・・・そういう意味じゃ・・・はぁ、これだから鈍感は・・・」

 

「???」

 

雫の意味不明な言葉を最後に、寝ることにした。

 

なぜか、朝起きたら、ルキア、焔、アキに囲まれてしがみつかれていた・・・

・・・あの後、何があった!?

 

 

俺たちは前のようには戻れない。

 

でも、こうして再び巡り合わせることができた。

 

運命とか突拍子のようなものではなく。

 

こうなると約束されていたんだろう。

 

ただ、時間がかかってしまっただけ。

 

今が最高なら、これからも最高になれる。

 

やっと・・・やっと、家族全員集合できた。

 

俺はこの最高の1日を絶対に忘れない。

 

そして―――――皆を護ると誓おう。




いかがでしたでしょうか?

自分でこの3部作を書いてて、改めて家族や親からもらった名前が大事だと、感じました。

親孝行でもしようかな!

皆さんも改めて家族のことを考えてみてはいかが?

最後に、ここがわからない。意味不明。説明ちょうだい!などの質問があるなら、感想、メッセージで聞いてください。
描写していなかったり、裏設定とかがわかるかもしれません。

それでは、次回は京夜が席官に!?
さらに新しい力も付与!?

できるだけ、早めに投稿できたらいいな~(笑)

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