カカシ「一度死んで目が覚めると教え子達の性格やら何やらが変わっていた。」   作:柚子ゴル

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第3話 新しい設定が随時登場するからカカシの頭は爆発寸前。

「いつからサスケが写輪眼になったって?」

 

「ああ、報告書に書かれてなくてな。」

 

「当たり前ですよ。あんまりそういう大切な個人情報って紙に書かれないようにされてるんですから。誰が見るかわからないでしょ。」

 

「そ、そうなんだ…。」

(俺のいたところとは違うけど一理あるな。)

 

川のせせらぎが気持ちいいお昼頃、カカシ率いるちょっと変わった第七班はDランク任務の川の掃除をしていた。その束の間の休憩のとき、カカシはサクラを呼び出しいつサスケは写輪眼を開眼したのかを聞き出していた。

昨日報告書を見たところ、驚いたのはその報告書の内容の薄さだ。血液型、誕生日、申し訳程度の性格の情報。肝心なことは微塵も書かれていなかった。嗚呼、でも意外な情報は得られた。サクラとサスケの両親は仲が良くて、昔から交流があったそうだ。それでイタチやサスケとサクラは小さい頃からよく遊び、いわゆる幼なじみらしいことが書いてあった。まぁ、だからないよりはマシだったであろう報告書も今となっては単なるゴミだ。

サクラはこちらを一瞥しながら話し出した。

 

「最初に開眼したのは、うちは一族が沢山殺された夜。イタチが両親を殺した時、一つの勾玉文様が浮かび、赤く光りました。」

 

それを聞き、あれ?とカカシは人差し指を立てる。

 

「でも、確か完成形じゃなかった?試験のとき使われてた写輪眼。」

 

それに溜息を吐きイラついた顔をしたサクラは吐き捨てるように言った。

 

「まだ話の途中じゃないですか…。最後まで聞いてくださいよ…。」

 

「すまん」

 

謝るのを意に介してないような態度でサクラは話を再開した。

 

「うちは一族抹殺事件があった後、今じゃ考えられないぐらいサスケは荒れてました。幼なじみの私が何回も慰めたけど、本当に無気力で何を言っても聞いてくれなかった。

カカシ先生も知っての通り私は暗部です。サスケは先ほどを言った通り不安定な状態だったから、私自らサスケの監視役の忍びをやりたいと言いました。サスケは数日後ぐらいから物凄く修行をするようになったんです。毎日朝から晩まで演習場で頑張ってました。そんなある日、サスケを狙う他里の忍びがサスケの前に現れました。うちはを狙う理由なんて沢山ありますがこの時期です。何が目的かなんてものは限られてきます。うちはの血が狙いか、はたまた希少になった目を高く売るためか…。そんなふざけた理由で狙われたサスケを守るのが私の役目ですから。すぐ助けようとしました。だけど…」

 

真っ直ぐカカシの目を見ていたサクラは、地面に目を向け悔しそうに唇を噛み、拳を強く握った。

 

「負けてしまった。私は自惚れてました。負けた事があまりなかったので、当たり前の如く勝つと思ってました。相手は確実に私より強く、また経験豊富な人物でした。今もその人が誰だかなんてわかりません。負けたものの定めは死です。敵はボロボロになり動けない私の首元に苦無を当てていきました。」

 

そういいながらサクラは長い綺麗なピンクの髪をあげる。そこには今の医療忍術では直しきれていない痛々しい傷跡があった。

 

「意識が薄れどんどん息苦しくなる。最後に見た記憶は絶望していたサスケの顔でした。そしてサスケの目には…3つ、勾玉文様が浮かび、とても綺麗に赤く光ってました。

そして、今の暗部部隊長が助けに来てくれて私達は助かりました。私なんて死ぬ一歩手前だったらしいです。」

 

ははっと自称気味に笑った後、真面目な顔をしたサクラは話を続ける。

 

「それからサスケは、写輪眼を扱う練習をしました。写輪眼を得たサスケはメキメキ力をつけていってますよ。…そしてその事件からサスケは私に好きだなんだふざけた様な事を言うようになったんです。私は多分サスケは、女の私に自分の所為で傷をつけさせてしまった。だから自分が責任をとって嫁に取る…という、あのおかしな行動にはそんな意味合いがあるのではないかと思ってます。」

 

その後、勘違いかもしれませんがと笑ったサクラはなんだが健気で女子らしい雰囲気がした。とても暗殺一家の長女には見えない。

 

「そんな事があった訳ね…。」

 

「はい。」

 

「サクラにとっても辛かったでしょそれ。ごめんねわざわざ思い出させるようなこと言って。」

 

「いいえ。もう全ては過去の事です。私はあれから強くなりました。だけどきっと私はまだあの敵には敵いません。だからもっともっと高みを目指し全力で強くなってみせます。」

 

グッと拳を握りにっこり笑うサクラ。それにつられカカシもニコりと笑う。

 

「頼もしい限りだねぇ…。」

 

話がひと段落つけば、サスケが自分達の元へ走り寄ってきた。

 

「サクラ〜!綺麗な石見つけたぞ!いる?」

 

「わー、いらなーい。私の気を引きたいなら甘味どころの餡蜜でも用意しなさいよ。…ナルトは?」

 

笑顔で駆け寄ってきたサスケを一刀両断したサクラはナルトの行方を探す。サスケはつまらなそうに川に指を指し言った。

 

「ナルトなら川で足つってるよ。」

 

「はぁ?!冗談じゃないわよ!ナルト!ナルトー!」

 

サクラがナルトのために駆け出した後サスケは残念そうに呟いた。

 

「あーあ、冗談なのに。」

 

「冗談ってお前ね…。」

 

カカシは呆れた顔をした後、実はずっと気になっていた事柄を聞くか聞かないかで迷っていた。それはもうイタチに復讐するつもりはないのかということだ。元の世界ではサスケが復讐心から色々大変な事を仕出かした。もしそんな心がないのなら、万々歳だ。

お互い無言でいると、サスケは此方を見ずに聞いてきた。

 

「俺の情報嗅ぎ回ってあんた何がしたいんだよ。言いたい事があるなら言え。不愉快だ。」

 

ギクリとカカシの胸が波打つ。

お見通しだった訳だこの少年には。はぁと溜息を吐き出した後、じゃあぶっちゃけさぁと話し出した。

 

「サスケはもううちはイタチの事何とも思ってないわけ?」

 

「……。」

 

サスケは無言で此方を見る。じっと此方の目を見つめ真意を探ろうとしている様子だ。暫く無言が続き、サスケは観念したのかわからないが目線を逸らした後、フンと鼻で笑って言った。

 

 

「復讐は何も生まれない。復讐した後は?イタチを殺した後自分は何を思う?俺は今大切な仲間や好きな人がいる。過去にとらわれていても仕方がない。ならば今いる大切な人を守るために自分は強くなりたい。大切な人が極当たり前の様に明日も生きているとは限らない世界だからな。」

 

そう話すサスケの手は微かに震えていた。

 

 

✳︎

 

 

「カカシ!」

 

ギクリと肩が揺れた。

第七班の任務も終わり報告書を持っていくため火影邸に向かい歩いていると懐かしい声がした。この元気の良さ、野太い声…。言わずともわかる我がライバルであるガイの声だ。

正直自分はガイを見るのは怖い。爽やかなイケメンになってたらどうしようとか、まるでだめな大人になってたらどうしようとか、そんな事を昨日考えていた。そのぐらいガイは自分にとって大きいし存在感が半端ない。そんなガイが後ろに…?見たいような見たくないような…意を決して後ろを振り向けば、普通にいつも通りのガイがいた。濃ゆい眉毛とオカッパ頭が特徴的で、常に一張羅の緑色の全身タイツの上から木ノ葉の忍者ベストを羽織っており、両足にはオレンジ色の脚絆を付けている。そう、まさしく若き頃のガイ!

 

「お前、ガイ…。そのまんまじゃん…。」

 

「ん?どうしたカカシ!いつものようにハキハキ話せ!」

 

「はは、そうだなガイ。その通りだよ!」

 

ワッハッハっと豪快に笑うその姿は元いた世界のガイとはなんら変わらないガイだ。今まで姿形が変わるものもいたし、性格が丸変わりしていたものもいたが、ガイは、ガイだけは変わっていなかった。それに嬉しさを隠しきれないでニコニコとしてしまう。

 

「今日は随分とご機嫌がいいなぁ!」

 

「まぁね、ガイに会えたおかげかな!」

 

冗談を言ってみればまた豪快に笑うガイ。

 

「嬉しい事言ってくれるなぁ!流石は我が…」

 

そうこれだよ、この後ライバルだ!だろ?もうそんな当たり前のくだりに安心する。キャラが変わらないガイは物凄く安心する。

そしてガイはその続きを笑顔で言った。

 

「恋人だ!」

 

「……は?」

 

「そんな照れ臭いこと普段言わないくせにいきなりどうしたんだ?」

 

「え、ちょ、冗談だよね?」

 

「俺は今までカカシに対して冗談なんか言ったことないぞ!いつまでもフォーリンラブだ!」

 

「や、待って。やめてなんかそれ以上何も言わないでくれない?」

 

頭を抱え、首を横に降る。いや、あり得ないでしょ。まさかここにいた俺はガイと付き合ってたわけ?いやいやいやあり得ないでしょ!見た目からして濃ゆいしまず男だし?!いや…こう見えて案外実は女とか?まさかこの濃ゆさで女とか?いやいや落ち着けまず落ち着け自分の鼓動!聞いてみればいいじゃないか…。

 

「あの、ガイさん。もしかして女とかだったり…します?はは。」

 

「女?当たり前だ!俺はこう見えて中身は乙女だ!女子力高くなりたーい。」

 

大声で叫んだと思ったら、女子力のくだりは真顔で言うガイ。これはギャグなのか。夢なのか。どちらにせよ突っ込まずにはいられない。

 

「それ最早おネェじゃん!

ガイもう止めろ!俺の中でお前のイメージがダダ下がりしていく…?!」

 

顔を両手で覆い懇願するカカシの声は切実だ。

うわー!っと騒がしくしているとガイの背後からこれまた懐かしい姿が見える。姿形は変わらない同期のアスマだ。

 

「お、ガイにカカシ。お前ら元気だなぁ。ちょっと以上にうるせーよ。」

 

「アスマじゃないか!」

 

「アスマ…お前も普通に見えてなんか持ってるんだろ?もう勘弁してよ。」

 

「カカシどうした、凄いやつれてるぞ。」

 

「や、もうなんか疲れて。」

 

「疲れてか。嗚呼、まぁガイの相手は疲れるよな。」

 

ちらりとガイを見てから同情したようにカカシに話す。ガイは怒ったように叫ぶがアスマは気にしない。

 

「なんだと?!」

 

「お前今どっちなんだよ。乙女か?それとも漢か?」

 

「どっち?

乙女に決まってるだろ?!女子力高くなりたーい。」

 

やはり女子力のくだりは真顔で言うガイ。アスマもやはり気にせずカカシに同情した。

 

「カカシお前も大変だな、ガイに勝手に恋人認定されてて。」

 

「え?恋人認定?」

 

「?それで疲れてたんじゃないのか?乙女の方の人格はすげー面倒臭いよな。漢の方も暑苦しいけど。」

 

「ねぇ、まさかと思うけどガイって二重人格?なの?」

 

「あ?なんだよどうしたんだよ。忘れたのか?一つはカカシを恋人だと思ってる乙女なガイと、もう一つは暑苦しい青春バカのガイだろ。」

 

「まじですか……」

 

呆然とするカカシを心配しアスマは声をかける。

 

「まじでどうしたんだよ。お前いつもそんなガイをスルーしてただろ?大丈夫か?」

 

「いや、なんか頭打ったらしくてさ。なんか記憶が曖昧なんだよね。」

 

その言葉にガイの目がキラリと光る。

 

「そうなのか?!大丈夫かカカシ!今日俺が看病しに行こうか?!」

 

「黙れガイ。」

「うるさいよもーガイはー。」

 

「二人ともなんか酷いな。」

 

カカシはガイを無視し、ところでと話を戻した。

 

「いつになったら乙女から漢に戻るわけ?」

 

その問いにバツが悪そうな顔をして答えるのはもちろんアスマだ。

 

「ああ…、なんつーか、決まってねぇ。いつどの人格がなるかわからないしよくわからん。」

 

「うわぁ、面倒臭いなぁ。」

 

そこでカカシはあれ?と気付く。このアスマは普通だ。特に変なところはない。これはもしかしたらアスマは普通なのでは?と期待が湧くがあまり期待が多過ぎると裏切られた時辛いためあまり期待しないようにする。

 

ガイは相変わらずうざいし、アスマはまだどんな本性かわからないが元の世界ではとうに死んでしまった同僚達と過ごす時はそこまで悪くなかった。




ランキングをふと見てみるとなんと3位になってました!凄く驚きましたが、かなり嬉しかったです。ありがとうございます!
これからも頑張りますので、感想や評価随時お待ちしてます!

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