カカシ「一度死んで目が覚めると教え子達の性格やら何やらが変わっていた。」   作:柚子ゴル

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第2話 キャラが濃過ぎてついていけない

「やぁ諸君おはよう。」

 

「おっそいってばよーっ!2時間遅刻ー!」

 

昔と同じ様に遅刻をしていけばナルトはそれはもう懐かしいなぁそういえばこういう反応だったなぁと思い出す反面、他2人はかなり違った。

サスケはまず苦無を投げてきてニッコリ笑った後、もうそれはイビキ顔負けの暴言を吐いてきた。

サクラは言葉には出さないものの、何か信用的な物が急激に遠ざかったような…複雑な顔をしていた。逆にそれを表現できるサクラは凄い。

 

「いや、ちょっと目の前に荷物を抱えた老人がいて…!」

 

といつもの様に昔のように言い訳をすればサスケは押し黙り、そんな理由があったなんて知らなかったんだよ。あんな事言ってすまなかっな。と謝った。サクラは言葉には出さないが、複雑な表情から歓喜な表情へとチェンジし、尊敬していますと身体のオーラで表現されているみたいだ。ナルトは唯一ジト目で疑っていた。

 

(この子達純粋すぎる…。嘘でしょ?今時あんな嘘本気で受け取るの?

なんか…なんか自分が凄く汚く思える…。)

 

ガックリ肩を落として、これからはあまり遅刻しないようにしないとなと反省した後、下忍選抜試験のルールを説明する。

 

「ルールは簡単!唯探し物をしてもらうだけだ。」

 

「探し物?」

 

「あぁ、俺が情報をあげるからそれをヒントに探していく。気軽に考えてもらっていいよ。」

 

「なんだか面白そうだってば。」

 

「ただし、情報をあげるのは二人だけ。」

 

「「「2人?!」」」

 

下忍三人の声が見事にハモる。

 

「しかもしかも、互いに情報を共有しちゃ駄目だ。」

 

「「「はぁ?!」」」

 

またハモる事で吹き出しそうになったが、カカシはなんとか耐えてにこやかに言った。

 

「さらに更に、俺は無償で情報をあげたりしないよ」

 

「…奪うってこと?」

 

「そう!此処からは複雑だから心して聞いて。

三人の中で人質を決めてもらう。方法は何でもいいぞー。人質が決まったら俺はそいつに錠を掛ける。その枷には無理やり外そうとすれば毒が体内へと入り約半日動けなくなるから無理矢理外そうとはしない方がいい。下忍選抜試験受けれなくなるから。

んで、俺は人質の枷の鍵を腰のチェーンに付けておくからそれを奪うために、残りの2人は俺に戦いを挑め。

見事鍵を奪ったやつには情報をやろう。」

 

「ちょっと待って。そしたら情報は一つだけじゃない…。」

 

「ああ、もう一つの情報は人質にやろう。わざわざ枷まで付けられて大変だからね。ご褒美ぐらいないと!」

 

「そんなの人質が一番最高じゃない!」

 

「はいはい、説明は終わり。さっさと決めて決めて。」

 

渋々といった様子で三人は木の陰に集まる。時々聞こえるサスケのうるさい声はよく響く。それにしても随分遠い所で話し合ってるなぁ。

あ、取っ組み合いが始まった。ナルトがそれを止めやれやれといった様子で提案する。

 

「じゃあもうジャンケンで決めるってばよ!ほら!最初はグー、じゃんけんぽん!」

 

その結果、ナルトグー、サクラチョキ、サスケチョキ。

 

「ナルトが人質ねー。」

 

ガチャリと音をたてナルトに手鎖を掛ける。手鎖を掛ける時ほんの少し震えていた。このような体験はあまり無いから怖いのだろうか。それとも毒が?どちらにせよ毒はほんの痺れ薬ぐらいだし大丈夫だからご安心をと説明すると震えはマシになった。ほどよい重さに不快そうな顔をしているナルトに対し、サスケは叫ぶ。

 

「そこはサクラだろーが!空気よめよウスラトンカチ!そこは俺が華麗に助けてサクラがドキドキする場面だろうが!サクラと俺で二人で下忍になる所だろーが!てめぇがお姫様役じゃあ燃えるもんも燃えねーんだよ!?」

 

「ナルト!絶対助けてあげる!この黒髪野郎より速くね!」

 

「ありがとうってばサクラちゃん…。」

 

苦笑いするナルトを一瞥した後、俺

はナルトを担ぎ始まりの合図をいった後、すぐ様そこを立ち去った。

 

「んじゃ、よーい。スタート‼︎」

 

 

✳︎

 

 

今回、試験を変えた理由は特にないといえばない。答えは結局同じだから。それはチームワーク。まぁ以前やった試験をもう一度やってその差を楽しむのもまたいいとは思うけれどなんだかその差に悲しくなりそうだから止めた。自分のいた世界の人に会いたいと思うのは仕方ない事だ。

ただ、ナルトは前の世界と変わらない様子だから正直癒されるし人質がナルトで凄く嬉しい。なんというか楽だ。つい気が緩んでしまう。

 

移動中そんな事を考えているといい感じのところに出た。今までは森の中というような感じだったが、此処は草原。広くて心地がいい。

担いでいたナルトを地面におき自分も座る。昨日今日でいろいろな事があったから少し…かなり疲れた。こう、ぼーっと出来るのはいいなぁと感じていると、ナルトが話しかけてきた。ふぅっと息を吐き出すかのように言う。

 

「下忍選抜試験って思ってたより難しいってばよ。」

 

手鎖をされて退屈なのもわかるし、サクラやサスケが攻めてくるまで暇なことだし話に乗ろう。

 

「…そりゃ試験だからなぁ。」

 

「俺ってばさ、実力があれば上にあがれると思ってたけど、そうじゃないんだな。精神的な事をついてくるなんてカカシ先生意地悪だってば。きっと暗部だってこんなん難しいってばよ。」

 

その言葉に驚いた。精神的な事…?まさか気付いているのだろうか?まさかそんなナルトに限ってそんな事…あり得るのか?

 

「…ナルト暗部なんて言葉知ってたんだな。」

 

ハハッと笑いとりあえずははぐらかす。そもそも暗部って言葉知っていた事に驚いたのも事実だ。この頃のナルトは本当に何も知らなくて走り出したら止まらない感じがしてたし。

ナルトは空を見ながら答える。

 

「…暗部は昔よく俺の家に来たってばよ?」

 

「ああ、世話係でか?」

 

そういえば、世話係とかでナルトの家にいる奴がいたなぁ。監視役の暗部もいたが、まぁ世話係がうっかり暗部など言ってしまってたら、確かに知っていてもおかしくは…ないかな…?

 

「………。」

 

「ナルト?……っ!」

 

返事がないのに違和感を感じナルトの顔を見た。いつものナルトは元気よくうなづくはずだ。そういつものナルトであれば。今見ているナルトは、表情がない。あんなにも元気で笑顔が絶えない表情豊かなナルトが無表情で俺を見つめてきた。

目が…離せなかった。離したいのに身体が動かなかった。

 

「世話係…ね。俺の家に来る暗部はみーんな俺に暴力を振るっていったってばよ。来る日も来る日も。何度もなんども。でも、俺ってば傷の治りが早いから。どんな事をされても死ねなかった。でも、それが普通だと俺は思ってた。外に連れて行かれたと思えば新しい術の実験台。親切にされた後の裏切り。憂さ晴らしに切り刻まれる。新しい薬の実験台、効果、後遺症。そんな事をするのはいつも暗部の面をつけたやつらだった。顔をバラすことなくあいつらは俺に暴力を振るい素知らぬ顔で帰ってく。

俺ってば暗部ってやつが大嫌いだ。」

 

「ナルトお前それっ…。 」

 

ごくりと、喉がなった。今は下忍選抜試験。なのにこの緊張感はなんだろうか。ナルトの話は本当なのだろうか…?俺の知っているナルトは元気で明るくてひたむきで…

相変わらずナルトは無表情で相変わらず俺は顔をそらせない。

するとナルトはいきなりコロリと態度を変え、あの、いつもの人懐こい笑顔になった。

 

「な〜んて…冗談だってばよ!先生、騙された?騙された?」

 

きゃっきゃっとはしゃぐナルト。

先ほどの冷たい空気などは一切感じられない。そう、俺の知る元気なナルトだ。

 

「あは、は。冗談キツイなもう。此処でこうしててもしょうがないし、サクラ達の様子でも見に行くか。」

 

重たい腰を上げ、ナルトを担ぐ。

 

「サクラちゃん達俺を助ける為に頑張ってくれてっかなぁ!にしし!」

 

「はは、ほら。落ちるぞ。大人しくしてろよ。」

 

「はーい。」

 

いつものナルト。

明るいナルト。

元気なナルト。

笑顔を絶やさず皆を元気にさせるナルト。

でもそれは俺の元の世界のナルトだ。今目の前にいるナルトは元の世界のナルトと同じ…?俺は何を思ってたんだ。

此処の世界のナルトはもっとずっと闇が深く、きっと一番厄介だ。

先ほどまであんなにも重い空気を出していたのに今ではそれを忘れたかのようにはしゃいでいる。

でも、俺は深く追求しない。何故だか、今の世界のナルトを追求するのはとても怖いことに思えたから。

だから俺は気づかないフリをする。

 

 

✳︎

 

 

 

「大体!サクラ!お前の夫がだ!稼ぎが少なかったら嫌だろ?!」

 

「いいえ!私は一緒に働くからいいのよ!」

 

「何だと?!おいサクラ!俺は共働きは認めないぞ!家事や育児に専念してくれ!俺は専業主婦を馬鹿にはしないむしろ崇める!」

 

「あんた今男女差別したわね?!

なんで女は必然的に専業主婦にならないといけないわけ?!

今は男女共同参画社会なのよ!だいたい忍びに男も女もないわ!」

 

「そういうわけじゃない!

そういうわけじゃないんだよサクラ

ていうからちが明かないよ。なんだっけ最初に話してた話題。」

 

「下忍選抜試験の話よ。ナルトを助けるべく私がカカシ先生の所へ向かおうとしたらあんたがいきなり、カカシは俺が倒す。とかなんだか言い出したんじゃない。」

 

「ああ、そうだ。そうだった。と、いうわけでサクラ。俺はお前と争いたくないんだ。俺がなるべくはやく出世して稼いで養うからさ。何もサクラが今下忍になることないだろ?」

 

「うるさいわね、何で私があんたに養われなきゃいけないのよ。自分の事は自分で出来るわ。」

 

「ふぅ、全く素直じゃないがそこもいいなサクラは。」

 

「こいつ本当死んでほしい。」

 

木の陰に隠れ二人の様子を伺う。意外なことに二人はスタート地点から全く動いてなかった。多分ずっとこんな話をしていたに違いない。それに思わず呟く。

 

「あいつらなんて生産性の無い話を…。」

 

「サスケはバカだから仕方がないってばよ。」

 

「サスケだけのせいなのあれ?」

 

それにうなづくナルト。

それにカカシは乾いた笑いで返した。

 

この世界でも、ナルトとサスケは犬猿の仲なのかな。ナルトはなんだかサクラに甘いし、そういう所は変わってないか。

 

話の展開が見えず、思わず二人の前に出て行こうとすると自分の動きが止まった。

 

「だいたいね、あんたいつも子作りとかいうけどどうやって子供出来るか知ってるわけ?!」

 

「そんなの知ってる。」

 

「嘘つくんじゃないわよ!」

 

「嘘じゃない。」

 

これから今にも方法を言おうとしているサスケに、これは幾ら何でも言わせたらいけない!と思ったカカシは待ったをかけるため二人の所へ現れる。

 

「ちょっ!お前らやめなさいそんな話は!まだはやいよ!お前らには!」

「コウノトリが運んできてくれるんだろ?」

 

言葉がサスケと被ってしまったがそれ以上に驚いたのはサスケの言葉だ。こいつ…何言ってんだ。

思わず、ナルトとサクラとカカシは間抜けな顔で驚く。

 

「「「え?」」」

 

「?違うのか?」

 

純粋な目で見つめられ、焦ったようにカカシはそれを肯定する。

 

「いやいや、うんあってるよ。サスケは物知りだなうん。」

 

「何言ってのよ。違うわよ。あんた本当バカ。」

 

折角純粋なサスケに純粋なままでいるよう話を合わせたのに、サクラは容赦無くぶった切ってくる。カカシはサクラに懇願するように言った。

 

「サクラ!やめなさい!12歳同士でそういう話をするのは構わないけど先生の前ではやめて!お願いだから!」

 

「なんで駄目なんだってば?たかだか性行為だろ?」

 

「ナルトー‼︎」

 

「痛って!」

 

カカシは思わず名前を叫びながら、担いでいたナルトを、後ろに放り投げてしまった。

 

「何するんだってば!

生命の神秘だろ?!何もやらしいことなんてないってばよ!」

 

「お前のそういう柔軟性がきいて達観しているところがなんか嫌!」

 

思春期ならば、そういうのは興味はあるが恥ずかしい筈だ。普通ならば。というか、サスケは純粋で、ナルトは割り切っているのが明らかにおかしく感じる。サクラは顔を真っ赤にして黙っているのを見れば相応な正しい反応にひとまず安心する。正常な子がいるということに。

 

「おい、カカシ。

せい行為って何だ?」

 

「もうやめて!これ以上何も聞かないでくれない?!」

 

純粋なサスケを汚すのはなんだか躊躇する。子供が親に子供ならではの残酷な質問をしてくるのと同じような、そんな感じだ。顔を背けていると、サスケがこっち見ながら話せよと言った。見たくはないが、コウノトリであってるよと目を見て言うことで信じさせようと思いカカシは、顔を歪めながらサスケの顔を見た。

サスケはにこりと笑い、カカシに言った。眼を赤くしながら。

 

「掛かったな。カカシ。」

 

「なっ?!これは…写輪眼?!」

 

目の前の景色が歪む。しまったと思った時には遅かった。

こうしてカカシは幻術に掛かった。が、それはものの数秒で解けた。何故ならカカシもまた写輪眼使いだった。

カカシは驚愕の表情を隠しきれないでいた。サスケが写輪眼を開眼させていたことに。自分のいた世界ではまだまだ先であるし、もはや幻術をかけるほどの扱い慣れである。一体いつ開いたのか。色々調査書を確認しなければ。

 

「サスケ、お前なかなかやるじゃないの。」

 

「当たり前だろ。俺は優秀なうちは一族だぞ。」

 

ドヤ顔のサスケを見ながら、腰に手を当てる。当たり前だが、腰についていた鍵はない。鍵は笑顔のサクラが握っていた。

 

(こいつら最初から組んでやがったな…。)

 

俺を混乱させ、油断が出来た所で幻術を掛ける。シンプルだが効率的だ。実力的に2人が俺にかかってきて勝てるとは限らない。それに人質がいる。サクラが本気を出せば分からないが。それにしても、どちらかにしか情報をあげないのに、こいつらは迷わず協力したんだな。全く毎度毎度驚かされる。

嗚呼、まさかこんなにも簡単に鍵を奪われるとは思っていなかった。たかが数秒、されど数秒。その数秒が命取りになるという事を改めてわかった。

 

「さて、と。

じゃあサクラとナルトには情報をあげようか。」

 

情報が書かれた紙を2人に渡す。2人はそれに書かれた内容を見ている。情報を渡されていないサスケはなぜか涼しげな表情だ。

確かに、今まで協力してきたけど、これでどうなるかはわかる筈。

情報は二つある。けれど一つの情報じゃあ探し物は見つからないようにした。つまり協力しなければならない。が、此処が人の心理的に面白い所で、試験など協力プレイを強要されていない場合、人は必ずと言っていいほど、協力はしない。試験という緊張感の中、人を蹴落とし自分がのし上がることを考える。そして互いに情報を共有しあってはいけないということは、教えあえないし、それならばもう情報が書かれた紙を奪いあうしかない。それならば、情報をもらっていないサスケでもチャンスはあるし、ある意味で平等だろう。

今日は驚かされてばかりだから、正直こいつらが自分の策略にハマるのが楽しみである。

いや、楽しみであった。

 

「ふーん、探し物って慰霊碑のことか。」

 

「なるほどね。自分達で見つけ出し、更には忍びの世界は酷だって事を言いたかったのね。」

 

「木の葉の英雄…か。里のため、はたまた仲間のために命をかける。くー!かっこいいってばよ。」

 

「いや、お前ら何でそんな当然の様に見つけ出しちゃってるわけ?」

 

カカシはガックリ肩を落とし、溜息を吐いた。

情報を貰ったサクラは当然の様にナルトに紙を渡した。ナルトは貰った紙を見て、見事探し物を見つけ出したわけだ。確かに、共有しあってはいけないと言った。だから一方的に情報を託すのは正解だ。ただ正解に行き着くまでが速すぎた。ものの数分だ。

 

「まぁ、今更技術的な事を言っても仕方がないだろう。そもそもいまだ下忍になりきれてすらいないアカデミー生が上忍相手に勝てるはずがない。しかもそれをわざわざスリーマンセルに仕立ててだ。忍びの任務は通常チームで行う。チームワークを乱す者は、成功率を下げるどころか仲間を危険にさらし最悪、殺してしまう。忍びになるのには、チームワークも必要になってくる。それは下忍も同じだ。そこで答えは必然的にチームワークになってくるってことだ。」

 

「ああ、もうご丁寧な説明ありがとうございます。サスケ。」

 

わざわざ説明までしてくれて、自分がする手間が省けたが、なんだか悲しい。嬉しいはずなのに。

サスケはふんと生意気な顔をして言った。

 

「まぁ全てナルトの受け売りだがな。」

 

「ナルト?」

 

カカシが驚いた顔でナルトを見ればにこりと笑った。サクラが追加で説明してくれる。

 

「ナルトは最初に気付いてたのよ。

試験が始まる前にね。だからナルトは私たちに説明してくれたの。」

 

「いつのタイミングだ?」

 

「人質を決めるときよ。」

 

そういえば、かなり離れた所で決めていた。時々争ったりしていたのは此方側に如何にも争って人質を決めていますよというカモフラージュなのだろうか。

 

「…だからあんなに離れていたのか。ナルト…、お前なんかさっきから感じてたけど頭いいな。」

 

それにナルトではなく、サクラがドヤ顔で答える。

 

「当たり前よ!ナルトは筆記試験アカデミーの中で一番なんだから!」

 

「は?」

 

ナルトは苦笑いしながら、サクラに言った。

 

「サクラちゃんは、毒草とか暗殺に使われる専門知識が偏り過ぎだってばよ…。」

 

「き、気をつけるわ。」

 

やはりカカシは驚いた顔で感想を言う。

 

「アカデミーで一番なのかナルト…。あれ?サスケは?」

 

今まで黙っていたサスケは肩をびくりと動かし口籠る。

 

「お、俺は…」

 

「サスケは途中までは一位だったんだけど、ある日を境にどんどん成績が落ちたわね。」

 

口籠るサスケにサクラが代わりに答える。

 

「ある日…?」

 

「え、あ、ある日っていうのは…その…」

 

次はサクラが口籠る。もしかしたら、いやもしかしなくてもうちは一族暗殺の事ではないのか…?

酷いことを聞いてしまったと思い、カカシは急いで訂正する。

 

「あ、いや!別にそんな聞きたいわけでは…」

 

「うちは一族暗殺だ。」

 

冷静な顔で答えたのはサスケだ。真っ直ぐカカシを見ながら言った。

それに戸惑うが、この世界のサスケは兄、イタチを恨んでないのかもしれない。何故なら真っ直ぐとこちらを見ているからだ。逆にカカシに戸惑った。

サクラは自分の失態を謝るがサスケは気にしていないと笑顔で答えた。

空気を変えるべく咳払いをし、ナルト達を見つめる。

こいつらは思った以上に厄介だが、優秀で賢く、何が一番大切かわかっている。こいつらを下忍にしなければ一体誰がなるというのだ。

カカシはにこやかに笑いながら言い放った。

 

「うずまきナルト、うちはサスケ、春野サクラ。下忍選抜試験合格!

明日から頑張って働いてください。」


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