カカシ「一度死んで目が覚めると教え子達の性格やら何やらが変わっていた。」   作:柚子ゴル

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プロローグ

木の葉の里。

それは、五大国の1つに数えられる火の国と呼ばれる国に存在する忍びの隠れ里であり、火影がその忍びの頂点に立ち里を治める。

そんな里の中で今、6代目火影のはたけカカシが命の灯火を消そうとしていた。これは木の葉の里のとある病院内の出来事である。

 

✳︎

 

「おい…。」

「カカシ先生!」

「気をしっかりもつってばよ!」

 

自分のベットの周りには元教え子達が群がる。昔初めて見た時と比べ皆立派に成長している教え子達を見るとなんだか感慨深いものがある。ナルトはかねてからの夢であった火影の職に就き、サクラは里屈指の医療忍者になり、サスケはいろいろあったが、長い旅を終え今ではナルトの助けになっている。初めてあった時のあの可愛らしい感じはなく、皆シワができ少し老けていた。時の流れは随分速い。

 

昔はもっとずっと遠くまで、どこまででも見えていた目は衰え、身体も重くなり、自慢だった嗅覚ももはや老化した。もうそろそろ自分が死ぬのだろうことが体調でわかる。目が霞みもう教え子達の声さえわからない。

自分のライバルであるガイは寿命で死に、同期はほぼ寿命を迎えた。ついには自分の番が来たというわけだ。未練があるかと聞かれたら全くといってなかった。忍びはいつ死んでも殺されても不思議ではない職業だ。そんな職業にも関わらず、教え子達に囲まれ寿命でこの世を去れるなどなんていうほど幸せなのか。

 

「俺に対する供え物はいちゃいちゃパラダイスにしてね」

 

最後の言葉は自分らしく。

最後の力を振り絞ったせいか言った瞬間瞼が落ちていく。ぼやけていた景色も黒く染まった。

 

 

✳︎

 

 

「オレさ!オレさ!名前はうずまきナルト!好きなものはカップラーメン

将来の夢はァ火影を超す‼︎んでもって里の奴ら全員に俺の存在を認めさせてやるんだ‼︎」

 

 

懐かしいような騒がしい声に瞼を開ければ初めて自分の教え子達と会った時の場面にいた。皆で自己紹介をし下忍選抜試験の説明をしている所だ。

これは…走馬灯?教え子達に看取られて懐かしい走馬灯を見ているのだろうか。随分懐かしい。確かナルトはラーメンの話ばっかりだったな。サスケは復讐をすると語っていた。クールを気取っていたけど、このころは優しさもあったな。サクラはこの時どうしようもなく恋愛脳でサスケばかり追いかけてたっけ。懐かしい。

しかしこの走馬灯はすごく変わっている。まるで自分が此処に存在しているように感じるのだ。ナルトの自己紹介が終わりサスケに自己紹介をするように施す。自身の口も動くし走馬灯とはこういうものなのだろうか…?

 

「じゃあ次!」

(嗚呼、それにしてもこいつらこの時本当初々しくて可愛かったなぁ。)

 

黒髪の少年ことうちはサスケはフっと笑った後に言葉を発した。

 

「俺の名前はうちはサスケ。

まぁ知っていると思うがあの名門中の名門。うちは一族の末裔だ。

容姿端麗成績優秀スポーツ万能…

うちは一族こそ木の葉にて…いやこの世界にて最強。

そして夢、いや夢なんかでは終わらせられないもはや決定事項なのが…春野サクラと結婚し最強な俺の子を産んでもらうことだ。

好きな人というか愛してるのがサクラ。

好きな物はサクラの好きなもの。サクラに関係があるもの。そして桜。

嫌いな物はナルト。」

 

「………は?」

 

カカシは身体が硬直した。こいつは一体何を言っているのかと。言った事を理解しようと頭をフル回転させていると、サクラが勝手に自己紹介を始めた。

 

「私の名前は春野サクラ。

夢はさっきから隣で視線を送ってくるストーカーをぶちのめすこととハルノの者としての仁義を尽くすこと。好きな物というか人物は可愛らしくて堪らないナルト。嫌いなものは最初にうがつく黒髪のナルシ野郎。」

 

嫌いなものに反応したのはサスケだ。眉を寄せてサクラに質問する。

 

「サクラ、嫌いなもの完璧俺の事だよな? 」

 

それにサクラはウンザリしたように答えた。

 

「嫌だな全く自意識過剰は。誰もあんたなんていってないでしょ。」

 

「ふっ、やはりサクラは俺の事を…」

 

サスケが最後まで言葉を発する前にサクラは言葉を続けた。

 

「嫌いじゃ収まらないぐらい大嫌いだから。」

 

周りにズーンとした空気が流れる。それをフォローするのはムードメーカーであるうずまきナルトだ。

 

「サクラちゃんストレートすぎるってばよ!もう少し包んで包んでオブラートに…。」

 

「ナルトが言うならオブラートに包む…。」

 

サクラは渋々といった様子で了解を出したのが気に食わなかったのかサスケはナルトに向かいキレた。

 

「てめぇナルト!調子ぶっこんてんじゃねーぞコラァ?!」

 

「フォローしてやったのにその態度は何だってばよ!」

 

「余計なお世話なんだよ!今サクラとせっかくいちゃいちゃしてたのに!」

 

「何この人頭がわいていらっしゃるのかしら。」

 

「サクラちゃん!言葉使い綺麗にしてもストレートはストレートだってばよ!」

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って!」

 

今までおとなしく見ていたカカシが待ったをかける。

色とりどりの6つの目がカカシに注目する。記憶とは明らかに違うカカシが思わず発した言葉は…。

 

「 何これ、幻術? 」

 

 


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