仮想世界の先駆者   作:kotono

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第四十話

 アスナに発見・連行され『そこら』で『時間を潰す』ことになった。

 この際、それは仕方ないってことで割りきろう。

 騙してバレたオレが悪いのだからコーヒーもどきの一杯や二杯おごっても良いだろう。

 だが、..................

「『そこら』の範囲にフィールドが含まれていて。『時間を潰す』手段が強化素材集めになるのは些か割りに合わないと思うんだけど、そのあたりはアスナさんはどうお考えなのでしょうか?」

「あら、私は別に内容については一言も明言してないわよ?......まさか、男の子が1度了承したコトを反故にする訳ないよね?」

「いや、まぁ反故にしてもいいんだけどね?オレの感性的には義理も人情も男気もゴミみたいなもんだしぃ?でも逃げると後が怖いからなぁ」

「よくわかってるじゃない」

「............ハァ」

 なんでせっかくの休日にこんなコトを......もう、ただただメンドクサイ。

 そしてなにより今から獲りにいくのは、コイツの武器《ウインドフルーレ》の強化素材に使う《ニードル・オブ・ウインドワスプ》というドロップアイテムで、飛行型mobの《ウインドワスプ》からドロップする。

 そう『飛行型』なのだ。

 しかも、大きさがそこまでデカくない。つまり、非常に殺りづらい。

 これが、一層の昔なつかし《リトルネペント》並の大きさならやり易いんだが......

「ハァ............ 」

 もう1度ため息を吐く。まったくどうして、こんなことになったのか。

 オレは先刻あった会話を思い出す。

『アスナも強化なんだろ?強化素材はあるのか?』

『強化素材?よくわからないけど、そんな物あるわけないじゃない』

『えっ?』

『えっ?』

 

.................あの時のオレをぶん殴ってやりたい。

 

 いや、まぁ? 確かに+4くらいなら運が良ければ素材なしでもいけそうではあるけど?

 まさか、ここまで知識が無いとは思わなかったわけでして、ね?

 そう言えば、コイツ、露店の剣を複数本買い込んで迷宮区とかに潜ってたってアルゴが言ってたなぁ......あぁ、これもっと早く思い出してれば......

 

 

「ほら、いつまでもウジウジしてないで、早くやるわよ。今日中に30個くらいは集めておきたいし」

 なんか鬼畜じみたこと言ってるー。ハッハッハッ......無知ってホントにコワイなー。

「《ニードル・オブ・ウインドワスプ》のドロップ率は8%なのですが?」

「............目標、今日中に10個。いいわね?」

「......Yes,Boss」

「If I'm your boss, you think you can't return to an inn today.」(もし、私があなたの上司なら、あなたは今日宿には帰れないと思いなさい。)

「それは勘弁してください。......っていうか何で英語話せんの?キミ、オレより年下ですよね?」

「私、小さい頃から英会話とか習ってたから簡単なのなら話せるのよ。............女性に年齢を聞くなんて、デリカシーがないわね。」

「もういいです。さっさとやりましょう姉御」

「姉御?アナタ、私より年上でしょ?」

「.................」

 

 拝啓、アルゴ様

 真の天敵が現れました。助けてください。

 この漬け込むスキが無いとことかホント無理です......

 

 


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