仮想世界の先駆者   作:kotono

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第三十話

 人類は昔から、空間を利用して生きてきた。

 限られた面積を最大限に活用するために、縦の長さ、つまり高さを積み上げようと考えたのだろう。

 その結果、高所へと移動するための手段が生まれるのは必然だったのだろう。

 かなり昔から、人類の知恵がこの手段を考案するために使われてきた。

 なんでも、エレベータの元になる代物は、かの有名なローマ帝国時代あたりからあったらしい。

 電力のかわりに人力でも使って持ち上げていたのだろうか。

 さて、この高所への移動手段の中で最もポピュラーなのが、《階段》である。

 石やら木やらを段差状に積み重ねただけという超シンプルな設計のため、比較的簡単に作れるし、力を分散させないため、坂道よりは登りやすい。

 そのため、《階段》は今までの人類の歴史の中で不変のまま残り続けた、いわば《完成された技術》と呼べるのかもしれない。

 しかし、この《階段》には1つ大きな欠点がある。

 それは、『疲れる』こと。

 昨今では、エレベータ、エスカレーターなどのらくらく移動手段がいたるところにできたこともあり、階段のキツさが余計に際立ってきた感がある。

 長い階段なんて観ただけで心理的疲労が発生するほどだ。

 『バカと煙は高いところが好き』なんて言葉が昔からあるが、確かにエレベータ、エスカレーターの普及していない時代に高いところに登りたがるなんてバカのやることだと思う。

 長々と講釈を垂れてきたが、結局の所、何が言いたいかと言うと......

 

「こんなクソ長い階段を99個も作るとか.....茅場って実はバカなんじゃねぇの?仮想世界なんだから、動力不明のエレベータでいいじゃん......」

 

 このように、オレはアホみたいに長い階段を、この世界の創造者の愚痴をぶつぶつ呟きながら登っていた。

 

「そんなことを真面目に考察しだすヤツがいるなんて茅場晶彦も想定出来なかったんだろうな」

 オレの全身全霊の不満をすげなくあしらってくるのは、何故かオレを追いかけてきたキリト。

「うるさいぞ、ビーターくん。だいたい、何で着いてきてんの?」

「いや、あの雰囲気に耐えきれなくて......」

「あぁ、なるほど」

 

 結局、あの後、突きつけた選択肢を選ぶこともできず黙りこんだキバオウらに『腰抜けはでしゃばるな』的な脅しを入れて、次の層へと向かった。

 おそらく、オレが居なくなっても誰一人喋り出せない空気が続いたのだろう。

 それでこのキリトは早々に逃げ出してきた、といったとこか。

 

「...........ユウ、聞いていいか?」

「なにを?」

「どうして、あんなことをしたんだ?キミはテスターじゃないんだろ?黙っていても、俺のやりかたでも、キミが被害を受けることなんてなかったはずだろ」

 確かに、あの場で何もせずとも、オレが被害を受けることはなかっただろう。

 でも、オレは、でてきたせいで注目を浴びた。黙らせるためとは言え、『死ね』なんて言葉を使った。

 もしかしたら、何人かには妬まれるかもしれない。

 だが、オレにとって、『そんなこと』はどうでもいいものなのだ。

 

「オレのこの世界での行動原理は『オレが現実に帰るため』だ。そのためにはオマエらには何年かかってでも100層まで攻略してもらわなきゃいけない。

 ただ、ああすることが一番攻略のためになると思った。それだけ」

「そうか......ユウはスゴいな」

「............」

 オレは黙々と石段を上がる。

 同意したら自慢になり、否定したら謙遜になる。返す言葉が見当たらないのだ。

 だから、ユウは答えず目線だけで先を促す。

「俺は、ただその場しのぎに自分が悪役になれば、アルゴたちを助けられるって思ってた。

 でも、同じ時に、ユウは先を見越して動いてた。敵わない、って思ったよ」

「...........」

「だから、ユウ!俺も一緒に..「1つ、話をしてやるよ」....え?」

「これはある少年の話。その少年には双子の少女がいてな、産まれたときからずっと少年の隣には少女がいた。

 その少年と少女な、同じ環境で年月を積み重ねてきたんだけど、何故か性格も技能も全く違うんだ。

 少女のほうは真面目で明るい社交的な性格で、勉強も運動も普通以上にできた。学校では少女の周りには常に人がいた。

 かたや、少年はまるで真逆。不真面目で社交性なんて欠片もなく、勉強はそれなりにできるが、運動なんて滅多にやらず、体育も基本サボり、やっても適当に......って感じだった。当然、友人なんて出来るはずもない。」

「......それって、」

「黙って聞いてろ」

「............」

「で、まぁ双子だから、よく周りのヤツらに比較されんだよ。 少年自身も少女に嫉妬したこともあった。どうやら、一番身近な存在が自分に無いものを持っているってのは中々にツラいものらしい。

 でも、ある時、少女は少年に言ったんだ。

『私は、私が出来ないのに、あなたが出来るモノをいくつも知ってる。

 良いモノばかりじゃないけれど、《それ》で何回も私を助けてくれたのも私は知ってる。

 だから、あなたが出来ないことは私がやるの。そして、あなたじゃ役にたたないことが私には出来るんだって笑ってやるんだ』ってさ。

 どうやら、最初に嫉妬しだしたのは少女のほうだったようだ。

 それを聞いて、少年は可笑しそうに、されど楽しそうに笑ったよ......」

「............」

「...........さて、キリト。オマエはオレに『敵わない』って言ったな。確かに、オマエはオレに勝てなかった。オレはオマエに無いものを持っているかもしれない。

 でもな、『オレに着いていって、オレを真似たって惨めなだけだ』」

「で、でも.....」

「もしかしたら、オマエにしか出来ないこともあるかもしれないだろ?知らんけど。

 それを探すほうが利口だとオレは思うがね?なんて言っても......」

 そこで、ようやく長い階段が終わった。

 辺りにはのどかなフィールドが広がり、緩やかな風が髪を揺らす。

 そして、オレは続きを口にする。

「なんて言っても、あと数層はオマエらビーターの独壇場なんだろ? この光景だって、オレは初めてでもオマエは2回目のはずだ。だったら、キリトにしか出来ないことだってあるかもしれないだろ?」

「............そう、かな?だったらいいな」

「まぁ、ぶっちゃけると、ガキのお守りはゴメンなだけだがな。」

「ガキって......酷くないか」

「リスクを考えずにヒールになろうとしちゃうヤツが何を言ってんだか」

「うっ.....いや、あれはその.....」

 キリトが、しどろもどろに言い訳しようとしていると背後から足音が聞こえた。

 振り替えると、栗色、青色の髪をした美男美女。アスナとディアベルだった。

 中々に絵になる二人組だ。っていうかコイツらホントに日本人なのだろうか?

「よぉ、騎士様。わざわざ追いかけてきて助けたお礼でもしてくれんの?それとも、そっちのビーターに謝罪?」

 オレの言いぐさを苦笑で流しながら、ディアベルは言う。

 苦笑する姿もイケメンだった。なにこの敗北感。

「ははっ、どっちも、かな。でも、まずはアスナさんの要件が先だよ」

 そう言ってむかつくイケメンは後ろに下がり、アスナが前に一歩詰める。

「......あなたたち二人にエギルさんと、キバオウから伝言があるわ。」

「へぇ、......なんて?」「うわぁ......聞きたくねぇ」

 キリトが興味を示し、オレはめんどくさそうに呻く。

 ちょうど、真逆の反応をしたオレたちに飽きれながらアスナは続ける。

「エギルさんは、『二層のボス攻略も一緒にやろう』って。キバオウは、『今日は助けてもろたけど、ジブンらのことは認められん。次のボス戦で、わいらが無能なんやないってことを照明してやる』だって」

 

 オレ、次からボス戦なんてやんないつもりなんだけど......

 っていうか、キバオウは呼び捨てなのね。完全なおっさんが女子中学生くらいの娘に呼び捨てにされるのか。

 

「それと、これはわたしからの伝言」

「それは、もはや伝言じゃない」

「............揚げ足とってこないで」

「はいはい。で、その伝言とは?」

「そもそも、アナタにじゃないわよ」

「だってさ、キリト」

 

「はぁ......えっと、そっちのあなた、戦闘中にわたしの名前呼んだでしょ?」

「あ、ご、ごめん。呼び捨てにして......それとも、読み方が違った?」

「読み方.....っていうか、わたし、あなたに名前教えてないじゃない。どこで知ったのよ」

「はぁ!?」

 キリトが叫んだ。オレもディアベルも割りと驚いてる。

 まったくもって無知とは恐ろしいな。人のこと言えないけど。

「この辺に、自分の以外に追加でHPゲージが見えてるだろ?そこに、パーティメンバーの名前も表示されてるんだ。」

 キリトがアスナに説明する。

 アスナが、顔ごと動かそうとするので、キリトが頬に手を添えて固定する。

 ナチュラルに人の体に触るのはイケメン特有のスキルだったりするのだろうか?

「き......り......と。ゆ.....う。《キリト》があなたの名前で、そっちが《ユウ》ね」

「うん」「ああ」

「なぁんだ......こんなとこに、ずっと書いてあったのね......」

 そう言って、アスナはクスクス笑いだした。

 キリトもオレも目を丸くして驚いてる。

 その後、しばらく、アスナとキリトの二人で会話が続いた。

 何でも、目指したいものが見つかったのだという。

 

 少しして、アスナはオレに話しかけた。

「わたし、あなたには負けたくないって思った。だから、今は勝てなくても、そのうち勝ってみせる。だから、この世界で頑張って生き続けるって決めた」

 芯の強そうな目差しを向けてそう言った。

 アスナはオレのあのやり方がキライなのだろう。だから、真っ向から立ち向かおうとしている。

 その姿は、ボス戦前とは違って凛々しく綺麗に見えた。

 きっとフードが無いからだけじゃないだろう。

「...........情報屋《鼠》のアルゴ。昨日、キリトの宿で会ったヤツの呼び名だ。困った時は、ソイツを頼れ。

 一応、女性だから話も合うかもしれないしな」

「え......?」

「まっ、ちょっとしたアドバイスだよ」

「............ありがと」

「おー。精々、頑張って生きろ」

「ええ、そうさせてもらうわ。......じゃあ、またね、キリト、ユウ。......あ、ディアベルさんも」

 そう言って、アスナは階段を降りていった。

 

 

「...........どうやら、我らが騎士様は忘れられてたみたいだな」

「そうみたいだね、ちょっと悲しいよ。それと騎士様は止めてくれ」

 これには、さすがに困り顔で、ディアベルは言った。

「......もう解ってると思うけど、俺がキリトさんの剣の買い取り人だ。そして、元βテスターでもある。

 キリトさん、本当に申し訳ない。キミには様々な妨害をしてしまった」

 謝罪とともに、ディアベルは頭を下げる。

「いや、実害は無かったんだ。それに、他を蹴落としてでものしあがろうとするのはゲーマーならよくやることだ。気にしてもしかたないさ」

「そうか......すまない、助かる。それとユウさん。ありがとう、キミのお陰でまだ生きていられる.....」

「おー、感謝しろよー」

「はははっ、ありがとう。何かお礼でもしたいんだけど、何か出来ることはないかい?」

「無い。っていうか、さっさと群れに戻れよ。失墜した信頼のフォローくらいやったらどうだ?」

「............いや、実は、ここに来る前にパーティーを抜けてきたんだ」

「はぁっ!!?」

「キリト、うるさい。..........へぇ、パーティーを抜けた、か。LA取るために色々、画策もしてたし......

 どうやら頭は悪くないようだな。特に自分の影響力をよく理解している」

 ディアベルは肩を竦めて答える。やけに様になっててイラッっときた。

「まぁ、ね。......このまま残り続けるとパーティーの皆に迷惑がかかるからな。今度は、最初から元βテスターだと明かして、1から仲間を集めるよ」

 確かに、このままディアベルがあのアンチβテスターのいるパーティーにいると、内部崩壊の可能性がでてくる。

 それに、今回の失態を犯した指揮官がいるパーティーを他のヤツらがまた信頼できるか不明だしな。

 それにしたって......

「死にかけたのに、まだ攻略なんてやんのかよ......しかもパーティープレイ......」

 あきれながら、呟くオレ。きっとキリトも似たような感じだろう。

「当然さ、俺は集団を率いてないと無力だからね。それに、『今度は』自分らしく攻略を進めていくことにしたんだ」

「......死にかけて思想でも変わったのか?」

「ははっ、違うよ。ただ、ボス相手に、正面から剣を打ち付けあえるキリトさんも、変則的でセオリー無視の搦め手を連発するユウさんも、俺には遠すぎるように思えた。けど、それでもやっぱり、このまま置いていかれるのは悔しいんだよ。

 騎士には成れなくても、まだ何か出来るかもしれない。そう思ってね」

 清々しい、どこか吹っ切れたような顔でディアベルはそう言った。

「............そうかい。で、アンタはオレに何をして欲しいんだ?」

 その顔に質問をぶつける。

「え?ディアベルは感謝と謝罪を言うのが目的なんじゃ......」

「それだけで、わざわざ重苦しい部屋でパーティーを抜けてから、こんな階段を追いかけて来るかよ」

 キリトの疑問に答えながらもディアベルから問い詰めるように視線を外さない。

「...........鋭いな。まさか言う前に気づかれるなんて。その分じゃ、これから俺が言うことも解ってるんじゃないのか?」

「どーせ、同行したいってトコだろ?仲間が集まるまで甘い汁吸えて、もしかしたら、その仲間の中に入ってくれるかもしれないって感じだろうな」

「まさにその通りだよ。俺のやり方は仲間の誰よりもノウハウがあって成り立つからね。キミの所なら色んな経験ができ、スキルアップにも繋がると思う。......頼む、俺を同行させてくれ」

「............まぁ、いいか」

「えっ!!?」「本当かい!」

 キリトが驚いていた。

「いっておくが、キリトはダメだぞ?理由はさっき言った」

「いや、解ってるけどさ......」

「コミゅ障は二人になるのは勘弁だからな」

「うっ......」

 図星をつかれて固まったキリト。

 だが、もう納得しているのか、すぐに立ち直って第二層のフィールドに目を向ける。

「じゃあ、ビーターからアドバイスだ。ディアベルは解ってるだろうけど、この層はβでは牛をテーマにしていた。

 最初は普通に牛型のmobだけど、迷宮区に近づくと牛人間って感じのが増えてくる。ミノタウロスとかな。で、この層からは人型mobの一部がソードスキルを使ってくるんだ」

「へぇ、牛かぁ、食える?」

「最初の疑問がそれかよ......料理スキルがあればいけるんじゃないか?」

「よし、ディアベル。出番だ」

「えっ?ちょっとそれは勘弁してもらいたいな......」

「空きスロットに余裕なんて無い序盤で趣味スキル取らせようとすんなよ......」

「じゃあ、いいよ。アルゴを脅すから」

「「え?」」

「ほら、いいからキリトはさっさと行けよ」

「そうだね。キリトさんは転移門もアクティベートしなきゃいけないんだしね」

「はっ?それ、俺の仕事?」

「そりゃあ、LAも取ったんだし?」

「オレはやり方しらないし?」

「うっ......」

「んじゃ、よろしくー。じゃあな、キリト」

「.....あぁ、またな、ユウ、ディアベル。......ユウ、俺も絶対負けないからな!」

 そう言って、キリトはフィールドを一目散に駆けていった。その姿は無邪気で年相応な感じがした。

 

「さて、話は聞いてたな?《アルゴ》」

「え?」

「なんだヨ、バレてたのカ。ユウって索敵取ってなかったよナ?」

 フィールドのもの影から神出鬼没で有名らしいアルゴがでてきた。

「えっ!?アルゴさん!?」

「ヨウ、イロオトコ。これからよろしくナ。存分にコキ使ってやるから楽しみにしてろヨ」

「ど、どういうことだい?」

「言ってなかったが、オレとアルゴは協力関係なんだよ」

「ああ、なるほど......」

「しっかし、アルゴ、やっぱり先に行ってやがったな。おおかた、ボス戦は扉付近で観ていて、ボスが消えてからのいざこざの隙に通ってきたんだろ?」

「アタリだヨ。第一層のボス戦だからナ。最速で情報をばらまこうと思ってネ」

「たくましい職人魂だな。呆れるよ」

「その職人に料理スキル取らせようと考えてるバカがなに言ってんダカ。絶対にそんなもん取らないからナ」

「別にいいじゃん。第一層のメシマズ度から考えても二層で旨いもん探すより自分で作ったほうが良いって思わないか?」

「オイラはいくつかイケる店知ってるから別に思わないナ」

「チッ......まぁ、いいか。じゃあ、そのウマイメシ屋の情報を取引の報酬ってことで寄越せ」

「......あのマップデータと多大な討伐クエストの詳細の報酬を食事のコトで済ませるのカ。もう少し有意義に使おうとか思わないのかヨ」

「どーせ、二層の基本情報はオマエがクエストやらせるならタダで手にはいるからな。だったら娯楽に使ったほうがいい。それに、事前情報を過信しすぎるとどっかの騎士様のように死にかけるしな」

「ニャハハ.....違いないナ」

「は、ははは、......返す言葉も無いよ」

 オレとアルゴの性格の悪い二人相手に、このイケメンはやっていけるんだろうか............今さらながら、不安だな。

 それでも、着いていきたいと言ったのは本人なので、抑える気はないのだがな。

 

 オレとアルゴは、項垂れたディアベルにフォローを一切せず、街へ向けて歩きだした。

 

「ありがとナ」

 アルゴがオレにだけ聞こえるように言ってきた。珍しい感謝の言葉が何を指してるのかは聞くまでもない。

「............オレがアンタを利用している限り、アンタの立場は守らないといけないからな」

「ニャハハハ......そうだったナ。それじゃあ、お礼に、ユウにはウマイ料理店の情報の他に、特別にもう1つイイコト教えてやるヨ」

「イイコト?うさんくせぇ......」

「まず否定から入るその姿勢は改めたほうがいいと思うゾ?............ちゃんと役に立つコトだから安心しロ、第二層でとれる《エクストラスキル》の情報ダ」

「《エクストラスキル》だって!!?」

 いつの間にか立ち直っていたディアベルが驚きの声をだす。

 オレはと言うと......

「エクストラスキルってなに?」

 初めて聞くワードだったので理解できなかった。

 いや、まぁ語感で何となくは解るケド一応、ね。

「《エクストラスキル》ってのは普通じゃない条件を満たさないと取れないスキルのことダヨ。で、今から教えるのは、今のところオイラしか知らないエキストラスキル、《体術》ダ」

 

 後になって、『この時、アルゴがフードを被っていなければオレはこの提案には乗らなかったのに』、とユウは語った......

 

「《体術》か......よし、今から取りにいこう。案内よろしくー」

「あぁ、わかっタ。それじゃあ、着いてきナ」

 わずかに、肩を震わせているのにオレとディアベルは気付けずに、アルゴについていった。

 

 

 

 急に走りだしたアルゴの背中を追いかけながら、ふとオレはキリトに喋ったあの話について思った。

...........結局、《少女》が知ってた《少年》にしかないモノって何だったのか聞いてなかったな。もし、それを聞いていれば何かが変われたんだろうか?


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