八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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今回は初サキサキでありながらかなりの変化球です。

正直面白いと思ってもらえるのかは不安たっぷりなのですが、書きたかったので書いちゃいましたっ☆テヘペロッ


最近姉の川崎沙希の様子がすこぶるおかしい件について【前編】

 

 

 

どうもっす!千葉市在住で現在中学三年の受験生、川崎大志っす!

 

俺には2つ上の姉ちゃんが居るんすけど、最近その姉ちゃんの様子がなんだかおかしいんす。

 

 

俺の姉ちゃん、川崎沙希は県内有数の進学校でもある総武高校に通う高校二年生なんすけど、ちょっと恐くても真面目で優しかった姉ちゃんが二年生になったあたりから夜出歩くようになったんす。

朝帰りなんかもちょくちょくあったんすけど、実はそれは俺が受験生……つまり中三になった為に出費が多くなり、もともと裕福では無かったウチの家計の負担にならないようにと、時給の高い夜のバイト……ち、違うっすよ!?夜のバイトって言ってもエロいやつとかじゃないっすよ!?

なんか高級シティホテルのバーでバーテンダーってのをやってたらしいんす。

 

うちの姉ちゃん、弟の俺が言うのもなんなんすけど結構美人で大人っぽくて、年齢を誤魔化せられたらしいんすよね。

 

 

結局そのバイト問題自体は、なんか塾のスクラップ?とかって制度を使って解決したみたいなんすけど……ていうか進学塾ってのは廃棄工場みたいなこともやってんすかね……?

 

まぁそれはともかくとして、夜のバイトはしなくて済むようになったんすけど、それからしばらくして……特に数ヶ月後、高校で文化祭が行われたっていう日から本格的に姉ちゃんの様子がおかしくなっていったんす……

 

 

なんていうんすかね、なんか……妙に可愛いいんすっ……

鼻歌まじりに食事の準備したり、鏡の前で笑顔の練習したりと、なんというかもう乙女なんす!恐いっす!

 

ちなみに笑顔の練習してる時に出くわしちゃった時は問答無用に蹴られたっす……

 

 

× × ×

 

 

「大志〜!ほらっ!弁当忘れてるよ!」

 

「あっ!姉ちゃんありがとー!……あっぶねぇ」

 

「まったく、あんた朝からダラダラしてんじゃないっての。遅刻するよ」

 

「いや、だって姉ちゃんが朝から鏡の前でニヤニヤして洗面所占領してるから……」

 

「殴るよ」

 

「……………すみませんでした」

 

 

とまあ朝からこんな感じなんすけど、実は姉ちゃんの様子がおかしい理由は分かってるんすよね。

 

理由はズバリ、恋っす!

 

まさかあの姉ちゃんが恋する乙女になるなんてビックリっすよ。

そしてその恋のお相手と言うのが、例の夜のバイト問題を終息させてくれた姉ちゃんの同級生であり、俺の塾の友達である比企谷小町さんの兄でもある比企谷八幡先輩、通称お兄さんっす。

あ!ちなみにお兄さんと呼ぶのに他意はないっすから!比企谷さんとは本当にただの友達っすからね!?

すごく明るくて可愛くて人気者なんすけど、もし付き合えたら超幸せかもしんないすけど、あくまで友達っすから!

 

 

と、とにかくそのお兄さんと知り合ってから、姉ちゃんは次第に女らしくなってったんすよねー。

姉ちゃんとの会話の時にちょっとでもお兄さんの話題を出すとピクっとして一言一句逃さないように集中して聞いてるし、かと思えば「姉ちゃんやっぱりお兄さんの事が気になんの〜?」とちょっとでも茶化すと空手の練習相手にさせられるんす……一方的なサンドバッグっすけど……

 

姉ちゃんとお兄さんと一緒に何度か食事の席が設けられた事もあるんすけど、次第にお兄さんの方には視線をやらなくなり、去年の年末の総武高校生徒会選挙問題の時なんかは、もうずっと目を合わさないようにしてテーブルの下では制服のスカートをギュッと握ったりなんかしちゃって、見てるこっちが心配になるほどだったんす!

 

 

こんなこと初めての事っすからなんとか協力してあげたいんすけど、その姉ちゃん自身が非協力的というかなんというか。

 

 

たまに弁当作りながら顔を赤くしてウンウン唸ってる事があるんす。たぶんお兄さんに弁当作ってあげたいな〜……とかって思ってるんすね!アレは。

だから姉ちゃんが朝から弁当作ってた時に

 

『たまにはお兄さんに作ってったら喜んでくれるんじゃないの〜?』

 

ってアドバイスしてあげたんすよ!

そしたらその日、俺の弁当無かったっす……

 

 

でももしこの二人が上手く行けば俺も比企谷さんとより一層仲良くなれるから、なんとか上手くいって欲しいっす!

なんなら俺と比企谷さんで協力体制を取れれば、こっちはこっちで絆が生まれるかもしんないっすよね!

 

 

……アレ?でももし本当に上手くいっちゃって、将来的にお兄さんがホントのお兄さんになった場合は、比企谷さんとは兄妹になるんすか!?

うーん……なんか複雑っす……

 

 

× × ×

 

 

2月のとある日曜日。

今日は姉ちゃんと妹のけーちゃんと3人で近くのららぽに来てるっす。

 

けーちゃんが遊びに連れていって欲しいとねだった結果、ららぽに落ち着いたんすよね〜。

 

「さーちゃん!たーちゃん!ひといっぱいだねぇ!」

 

「うん、そうだね〜!今日は日曜日だからね。けーちゃんどこ行きたい?」

 

うちの姉ちゃんはこう見えてかなりのシスコンなんす!

普段はあんなに恐いのに、妹のけーちゃん相手にはこんな風にデレデレなんすよねー。

前にお兄さんにブラコンって言われて殴りそうになってたっすけど、俺には殴る蹴るの暴行をするこの姉ちゃんのどの辺がブラコンなんすかね……

 

ちなみにお兄さんは自他共に認める極度のシスコンっすけど。

そのおかげでお兄さん俺の当たりが超厳しいんすよね!

よく消えろとか羽虫とか言われるんすけど、その度に姉ちゃんに睨まれて小さくなってるんす。

あれ?やっぱり姉ちゃんはブラコンっすね。

 

てか姉ちゃんに暴行されたりお兄さんに罵られたり、比企谷さんにはず〜っと友達って言われたり、実は俺ってかなり可哀想なヤツなんすかねっ!?

なんか切ないっす!

 

 

「ねーねーさーちゃん!なんでこんなにおみせがぴんくいろなのー?なんかかわいくてけーちゃんたのしー!」

 

あぁ、そういえばそうっすね。今日はららぽ全体がなんかピンクピンクしてるっす。

 

「ん?それはね〜、もうすぐバレンタインだからだよ〜?」

 

「ばれんたいんー?それなーに?」

 

「えっと……バレンタインって言うのは……う、うう……ちょ、ちょっと大志、けーちゃんに説明してあげな」

 

なんでバレンタインの説明を妹にするだけでそんなに恥ずかしがってるんすかね……ウチの姉ちゃんは……

 

「たーちゃんたーちゃん!ばれんたいんってなにー?」

 

「バレンタインって言うのはね、んーと女の子が好きな男の子にチョコレートをあげる日なんだよ?」

 

「ちょこれーと!?けーちゃんたべたいっ!」

 

うーん。姉ちゃんじゃなくてもやっぱりけーちゃんは可愛いっす!なんか和むっす!

 

「でもけーちゃんは女の子だから、好きな男の子にあげる方かなー」

 

けーちゃんが好きな男にチョコをあげる……!

なんか黒い感情が芽生えた気分っす……!

 

これっすか!?この気持ちっすかお兄さん!?

じゃあ俺が羽虫呼ばわりされるのも仕方ないっすね!

 

「えー……けーちゃんちょこれーとたべれないのー?ばれんたいんつまんなーい…………でもでもじゃあけーちゃんはたーちゃんにちょこれーとあげるねー?」

 

ああ……なんか幸せっす。お兄ちゃんに生まれて良かったっす!

 

「あとねー、けーちゃんはーちゃんにもちょこれーとあげるー」

 

は、はーちゃん!?

確かはーちゃんってお兄さんの事っすよね。

なんでかけーちゃんはお兄さんに懐いてるみたいなんすよねー。

姉妹って好みも似るんすかねー?

 

ふと姉ちゃんを見ると、そのけーちゃんの発言に気まずそうに真っ赤になってたっす……

いやいや姉ちゃん……幼女の発言ひとつでそれって、いくらなんでも純情乙女すぎっすよ……

 

「さーちゃんはー?さーちゃんはだれにあげるのー?」

 

うおっ!けーちゃんがまさかの爆弾発言!

なんと保育園生の妹相手にあたふたしてるっすよ!ウチの姉ちゃん!

 

「わわわわ……けけけけーちゃん!?な、なに言ってんの!?べっ!別にさーちゃんは誰にもあげないよっ!?」

 

「そーなのー?じゃあさーちゃんもはーちゃんにあげればいーよっ!」

 

目をキラキラさせて小さくガッツポーズ!力強くそう提案するけーちゃん。

でもそれはダメっすよ!けーちゃん!

もう姉ちゃん完全にあわあわとテンパってるっすから!

 

「ななななに言ってるの!?けーちゃんっ!さーちゃんとアイツはなんの関係もないからぁっ!」

 

……………大丈夫っすかね、この姉は……

幼女相手に目をバッテンにして真っ赤にさせられてるっすよ……

我が姉ながらなんとも心配になるっすね……

 

「えー?だってさーちゃんこないだはーちゃんすきっていって……むぐっ!」

 

そこまで言うとけーちゃんは姉ちゃんに口を塞がれたっす。

姉ちゃん……まだなにも分かんないと思って、こっそりけーちゃんにそんな事言ってるんすね……

 

ちなみにそのあと殺意のこもった涙目で睨まれたっす……

はいっ!俺はなんにも聞いてないっす……!

 

 

× × ×

 

 

それからしばらく姉弟3人でららぽを巡ったっす。

 

あんな事があったからか、姉ちゃんはチョコが売ってる店の前を通る度に頬を染めてチラチラ見てたっす。

 

まったく……買いたいなら買えばいいじゃないっすか……

仕方ないっすね。

 

「けーちゃん!たーちゃんちょっとトイレ行ってくるけど、けーちゃんも一緒に行く?」

 

「いくー!けーちゃんもおといれいくー」

 

「だったらけーちゃんはあたしが連れてくよ」

 

ぐぅ……姉ちゃんはどんだけニブいんすかっ!

 

「いーよ姉ちゃん。俺が一緒についてくから、姉ちゃんはそこら辺でなんか“買い物でも”してればいーよ」

 

するとようやく姉ちゃんは閃いたみたいっす。

これはチャンスとばかりに目をギラつかせたっすからね。

 

「そ、そう?んじゃあよろしく」

 

俺はけーちゃんと手を繋いでトイレに向かいながらばれないように後ろにチラリと視線を向けると、すでに凄い勢いで走り去って行ってたっす……

ゆっくり帰ってくるっすかね……

 

 

× × ×

 

 

「けーちゃんちゃんとお手手洗った?」

 

「うんっ!けーちゃんちゃんとおててあらったー」

 

「じゃあそろそろ行こっか」

 

「ゆっくりしてておそくなっちゃったねー!さーちゃんまってるかなー?」

 

「むしろもっと遅くてもいいと思うよー?」

 

「???」

 

けーちゃんはこてんっと首をかしげでキョトンとしてるっす。

まだけーちゃんには早いっすもんね。

 

手を繋いで先ほど姉ちゃんと別れた場所まで戻ると、姉ちゃんはなんでもないような顔をして待ってたっす。

でも姉ちゃん?肩で息してるっすよ!

 

「遅かったね。大丈夫だったの?」

 

冷静な顔して冷静な台詞を吐いてるっすけど、すっげえハァハァ言ってるっす!

 

……姉ちゃん!そのバッグからちょっとだけ覗いてる可愛いラッピングのモノ、ちゃんと渡せるといいっすねっ!

 

 

そんな時、急にけーちゃんが俺の手を離して駆け出したっす!

 

「はーちゃんだっ!はーちゃーん!」

 

けーちゃんがてけてけ走って抱き付いた足の持ち主を見ると、とてもビックリした顔でけーちゃんを見てたっす……

 

「あ……れ?けーちゃん……か?」

 

 

なんとそこには最近姉ちゃんの様子をおかしくしている張本人、比企谷八幡お兄さんが立っていたっす!

 

恐る恐る姉ちゃんの姿を確認しようと振り向くと………

 

 

 

「むりむりむりむりむり……」

 

 

真っ赤になって涙目の姉ちゃんは……首が取れちゃうんじゃないかってくらいに頭をぶんぶん振って、身を縮こまらせて俺の背中に隠れてたっす…………ね、姉ちゃん……

 

 

 

 

続くっす!





まさかの大志視点でした!
いやいや大丈夫っすかね?これ。
書いてる分には楽しかったんですけど、読者さんは楽しめたんですかねぇ?これ……

サキサキ好きなんですけど、ただヒロインにするには単体だと作者の理解度がちょっと弱いな〜、と。
でも一度は書いてみたかったんで、こんな形にしてしまいました(苦笑)
なんか第三者視点の方がサキサキの照れっぷりが可愛い気がして(笑)


ところでこの『八幡と、恋する乙女』で、次のヒロインに関するアンケートを取ってみようかな〜?とか思いました!
まぁいわゆる次は誰を読んでみたいかってヤツですね。

本日中(というかこのあとにでも)活動報告にて何人か候補をあげておきますので、もしお暇であれば冷やかしだけでも来てみてくださいませませ!

こういうのって、期間は3日くらいあればいいんですかね〜??


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