八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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どうも。後編みたいな感じがしなくもない回です。

が、終わりじゃないような気もしないでもないような感じです。


要約すると、これ後編って言っちゃっていいの?って感じですかね。
なんかホントにスミマセン(汗)





ラノベの香りは私を運命の航海へといざなう【後編】

 

 

 

「おー、コレなかなか美味いな。マジで餃子の味すんのな。ホレ、家堀も食ってみ」

 

「はむっ……あっ!ホント美味しー!んじゃあ〜私のチュロスもどうぞっ」

 

「さんきゅ。ムグムグ……おー、やっぱディスティニーっつったらチュロスが定番だよなぁ」

 

私がディスティニー定番のチュロス、比企谷先輩がシー名物の餃子ドックを購入し、食べ歩きしながらお互いに食べ掛けのフードをあーんとし合ってる妄想に励みながら、私は自分のチュロスだけをはむはむと食べている。うふふ?捗りますわー。

冒頭から妄想スタートとか酷くね?

 

 

でもまぁ私は別に食べ歩きしながらお互いのフードをあーんと出来ないのは残念だとか、決してそういう事はない。そう、決して!

 

べべ別にそんな恥ずかしい行為をしたかったワケじゃないんだからねっ!

ただちょっと妄想してみたら思いのほか楽しくてやめられなくなっちゃっただけなんだからっ!

 

 

でもまぁ妄想関係無く、今の状況がヤバいくらいに楽しい事には違いはないのだ。

さすがに手は繋げないけど、私の右手にはしっかりと比企谷先輩の袖が握られてるし、左手で持ったチュロスをぱくぱく食わえながら夢の国を散策するというのは、なんとも幸せな時間なんだもん!

 

私達は、センターオブジマウンテンのあるエリア・ミステリーアイランドを抜けたあと、そのお隣のエリア・マーメイドラクーンやアラビアンゴースト、ロストフォレストデルタを散々遊び倒し、お腹が空いたという事で散策を食べ歩きへと切り替えていた。

 

やっぱディスティニーって言ったら食べ歩きですもんねー!夢の国の散財トラップの巧妙さは目を見張るモノがある。夢も希望もありゃしない。

 

「ん?どうした家堀。……あ、もしかしてお前も餃子ドック食いたかったか?」

「……えっ!?」

 

「んじゃあ食うか」

 

夢キマシタワー!!

ナニコレナニコレ!上目遣いしてあーんとか言っちゃえばいいのん!?

 

「しゃーねぇな。じゃあもう一個買いに行くか。俺もちょっとチュロス食いたくなってきちまったし」

 

「…………そーですね」

 

餃子ドックを物欲しげに見ていたただの食いしん坊さんに見られてただけみたいですね。

夢なんて無かったんや(白目)

 

 

× × ×

 

 

「うひ〜!さぶいぃぃっ」

 

海沿いの三月上旬のディスティニーは夜のショーを見るだけでも命懸けなのです。

ここディスティニーシーの水上ナイトショー、ファンタジアミュージック!をいい場所で鑑賞する為に早くから場所取りして待ってるんだけど、とにかく寒さが尋常ではない。

 

ダッフルコートのポケットにかじかんだ手を入れたいのは山々なんだけど、そうすると、ホラ……ねぇ?

せっかく今日一日ずっと摘んでる比企谷先輩の袖を離さなくちゃいけないじゃない……?

 

なんかこういう成り行き上で繋げられた繋がりって、理由次第では一度離しちゃうと、もう繋がれなくなっちゃう気がするんだよね。

だからもう、今日は袖を摘んでるのはあくまでも自然な行為なんですよ?って言わんばかりに、買い物のお会計やトイレとかで仕方なく離さざるをえなくなった時とかも、私の元へと帰って来た比企谷先輩を発見したら、パークが混んでようが混んでなかろうがお構い無しにテテテつと急いで駆け寄って行って、すぐにちょこんと摘んでたんだよねっ……!

 

うぅ……手を繋いで、右手を比企谷先輩のコートのポケットに招き入れてもらえたりしたら、超幸せなのになぁ。

 

「マジでさみーな……もう帰りたい……」

 

「……帰らせませんよ……?」

 

「わぁってるっての……」

 

ったく!油断するとすぐに帰宅を提案しやがるんだよねー、この人。

ふふん!帰りたい帰りたい言いながらも、実は結構楽しんじゃってんの、俺様にはお見通しなんだZEっ☆?

 

「あ、じゃあなんかあったまる飲みもんでも買ってくるわ。家堀もいるだろ?」

 

「……そのまま帰んないですよね……?」

 

「さすがに置いて帰るわけ無いだろうが」

 

ふむ。まぁこういうちゃんとした理由があって袖を離す分には問題ないんだよね。

帰ってきたら速攻摘んじゃえばいいんだから。

 

「あ、じゃあ申し訳ないんですけどお願いします。……えっと、紅茶か、無ければココアで」

 

「了解。んじゃ寒みーけどちょっと待っててくれ」

 

「かしこまっ☆」

 

「お、おう……」

 

……いやん死にたい!思わず自然にやってしまいました。反省はしてるけど後悔もしている。

 

 

そして比企谷先輩はダラダラと冷や汗をかきながらかしこまポーズで固まってしまった私をスルーして飲み物を買いに行ってくれた。

 

ホントなんだかんだ言って女の子に優しいんだよなー!やっぱシスコンだからかな?

へへっ、さっき夕ご飯食べた時も至るところでレディファーストだったもんな。

 

夕ご飯はヴェネチアンゴンドラが運河を通るのをすぐ真横で一望できるイタリアンレストラン、リストランテ・デ・カナレットでパスタとピッツァを食べたんだけど(ピッツァだって(笑)私さむっ!)、レストランに入る時も出る時も、自然の流れで扉を開けて私が先に通るのを待っててくれたり、私がコートを脱いで席につくまで座るのを待っててくれたりね。

あれはかなり妹さんに調教されてますなっ。

 

 

そんな予想外に紳士な比企谷先輩の姿を思い出して、情けないくらいに一人でニヤついている時だった。

 

てか私も一応女の子なんだからさー、こういう時はニヤニヤばっかりじゃなくて、たまにはクスクスとかって可愛い表現が使えるように、この緩んだ顔をなんとかしようぜ?

 

まぁそれはともかくとして丁度その時、辺り一面に大音量で幼女先輩向けアニソンが響き渡ったのだった。

 

 

うぉいっ!なんで大音量なんだよ!?目覚まし切る時着信音とかいじっちゃったの!?

夢の国でアイドル活動頑張ってゴーゴーレッツゴー言ってる場合じゃないんだよっ!

 

ぐふぅ……周りの目が痛いでござる痛いでござるっ……せめてイッツアスモールワールドとかにしとけよ私ぃぃ!

ぶわっとあふれ出る涙をハンカチで押さえながら、いまいましげに電話に出た。

 

「……はい。もしもしっ」

 

『なんでいきなり不機嫌!?』

 

「っ!?」

 

ななななんという事でしょう!

アニソン大音量と周りの冷ややかな視線から逃れる為に、相手の確認もせずに出た電話の向こうから聞こえた声は………………よりにもよって……いろはさんだったのです……

 

 

× × ×

 

 

「どどど、どうしたの!?いろは」

 

あまりの動揺に、噛むわ上擦るわの大騒ぎ。やべー、もちつけ私!

 

『……ん?どしたの?』

 

「にゃ、にゃんでもにゃいよ!?」

 

『……ふーん』

 

スタートからクライマックスきたコレ!

 

『まぁいいや。でさ、香織って今ひまー?』

 

ふぅ……とりあえず挙動不審な事は流してくれるみたいね……

 

「あ、やー……ど、どうかなー?ひ、暇っちゃ暇なんだけどー……ちょっと出先なんだよねー…………なんかあったの?」

 

『あ、お出掛け中なんだ。なんかキョドってるし、キモい趣味関係ってとこか』

 

チッ……納得してもらえてなによりでーす。

 

『いやー、それがさー、今さっき紗弥加から連絡あったんだけどさ、なんか恵理ちゃんがね……今日ばったり街で三浦先輩見かけてさー……ほら、一応バレンタインイベントで会ってるし、知ってもらえてるつもりで声かけたんだって』

 

「う、うん」

 

『そしたらさー、『……は?誰……?』ってバッサリと切り捨てられちゃったらしくって、なんかサイゼのドリンクバーでやけ飲みして管巻いてるとこに運悪く智子が出くわしちゃったらしくて、超からまれてるんだってー』

 

「」

 

 

 

…………いやまじであのアホなにやってんだよ……

そして相手は男関係じゃなくて三浦先輩かよ……アイツ一体どこに向かってんだよ……

 

 

『だから、助けてー!って智子から紗弥加にSOSが入ったみたいでね?それからわたしと香織にも連絡したんだけど、香織には繋がんなかったみたいだよ』

 

あ、そっか……今ここ超混んでるから電波状況が悪いんだ。いっそずっと繋がらなければ良かったのに。

 

『で、一応わたしが掛けてみたら繋がったってわけ。マジ恵理ちゃんいい迷惑だよねー。ぶっちゃけ超めんどくさいから行きたくないんだけど、なんか智子が死んじゃいそうだって嘆いてるからわたしは仕方なく行くけど、香織はどうするー?』

 

「あー……っと、どしよっかなー……?ちょ、ちょっとだけ無理かもなー……」

 

『そっかー。今お出掛け中だもんねー。で?どこに居んの?』

 

場所まで聞いてきますかね!?答えられるワケ無いじゃん!

なに!?疑ってんの!?疑われてんの!?

 

「や、やー、ほらっ、その……ね?」

 

『…………あー』

 

なんなの!?なにか気付いたの!?ちょっと私猜疑心強すぎじゃね?

 

『分かった、アレでしょー。なんかキモい名前の店……なんかアニメ?だかメイト?みたいな名前のヤツ』

 

おいこら我らがアニメイトさんを名前からしてディスってんじゃねぇぞ小娘!

……と、若干キレそうになりながらも、今はこのビッグウェーブに乗らないワケにはいかないのだっ!

血涙を流し唇を噛み締めながらも肯定するしか私の生き残る道はないのである。

 

「……あ、あー……ま、まぁそんなとこ…」

 

[〜♪本日は東京ディスティニーシーにご来園頂きまして誠にありがとうございます!あと20分程で、水と光のスペクタクルショー、ファンダジアミュージッ…………]

 

『……』

 

「……」

 

『……』

 

「……」

 

『……あ、あれ〜?……なーんか今さー、千葉の超メジャーデートスポットの園内アナウンスが聞こえてきた気がするんだけどー……』

 

声低っく!引くくらいに声低っく!

 

「へ、へ!?な、なに言ってんのなに言ってんの!?……テレビ見てたら聞こえてきただけなんだけど!?」

 

『……あー、テレビかー。……今って出先じゃ無かったっけー……?』

 

……やっちまったぁぁぁ!

まずいまずいまずい……!!だったら最初から家族でシーに来てるんだー!くらいにしときゃ良かったよっ!

 

「いやいやいや!だからこれはねっ!?」

 

「おーい家堀。なんか紅茶はティーパックのヤツしか無くて、熱湯とティーパック渡されるだけで数百円とかぼったくりだろ……って事でココアにしといたんだけど良かったか?……って悪りぃ、電話中だったか。ちょっとまだあっち行ってるわ」

 

「……」

 

『……』

 

 

比企谷先輩のまさかのディスティニー商法のディスり発言からどれくらいの沈黙が流れたことだろう。

ほんの数秒?それとも数時間?

まるで永遠とも思えるような苦しくて残酷な時間の終わりを告げるいろはの次の一言は、とっても明っかるーく、とってもとっても元気ーな、天使のような声だった。

 

『かーおりちゃんっ』

 

「……はい」

 

『明日ってさ、もちろん暇だよねー?なんだかわたし急に香織と二人で女子会やりたくなっちゃった♪明日朝イチで香織んちに行くからさー、“ちゃんと居て”よね?たっぷりガールズトークしようねー♪』

 

「……はい」

 

 

 

そのあと、比企谷先輩の袖を握りしめ、あったかいココアを飲みながら見た水上ナイトショーは、壮大なBGMと光が織り成す、まるで夢のようなショーだった。

たくさんの光や花火が水面に美しく照らされて、それはもう見事という他は言葉が無かった。

 

あれ?でもおかしいな。その素敵なショーは、私が想像していたよりも、ずっとキラキラと輝いて、ずっとずっと幻想的に私の瞳に映ったのだ。

 

 

 

 

やったねたえちゃん!豆知識が増えるよ!

 

人生の春の終わりを覚悟した涙で滲んだ瞳で見ると、水上ナイトショーは通常よりもずっとキラキラ輝いて見えるんだってさっ(白目)

 

 

 

終わり……?

 





というわけでどう考えても終わってねーだろって感じの後編風でしたがありがとうございました!


ま、まぁこれで終わりでもいいかな?(苦笑)
って感じですけど、ウチに着くまでが遠足ですので、まだエピローグが続くかもです☆
てかどう考えても続くだろ。


まぁむしろ、香織だけで四話も使うんじゃねーよ!ってお声を多数頂くようなら終わりにしとこっかな?



ではではまた次回お会いしましょう♪



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