八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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(注!)

今回の物語はヒロインがオリキャラとなっております!

そういうのが嫌いな方、嫌いじゃないけどそういうの求めてねーよって方、そして『最近友達の一色いろはがあざとくない件』を読んでいない方にはオススメ出来ませんので引き返してくださいませ。





さて!それでは遂に例の彼女の登場です!

え?アンケート結果ヒロインの最後じゃなかったのかって?


まぁそういう頃もありましたね………(遠い目)




あなたとの繋がりはこのラノベの香りだけ【前編】

 

 

 

 

「………うぅっ……グスッ……」

 

 

やっばい……恥ずかしい……

涙が止まんないっ……

 

 

 

 

私は自室でダラダラと横になり、恋愛ラブコメ物ラノベを読みながら号泣していた……

やだホント恥ずかしい☆

 

 

涙まみれで読み終わった9巻をそっと起き、次巻へと手を伸ばした時ふと思った事が口から漏れてしまった。

 

「はぁ〜……次で終わりか〜……もう返さなきゃな……」

 

手に取った10巻をそっと顔に近付ける。

すんっ……と匂いを嗅いでみた。

紙独特の香り。あと古本独特の香りとも言えるかな。

 

 

「これ返しちゃったら……もうなんの繋がりも無くなっちゃうんだよなぁ……」

 

ボソリとそんな言葉を吐きながらラノベを胸にギュッと抱く。

 

 

 

 

私、家堀香織は、只今絶賛恋をしている。

いや、この気持ちを恋だなんて言っちゃったら、世の恋する乙女さん達に失礼か。

そして誰よりもその恋にまっすぐ生きているあの子にもね……

 

まだ恋とも呼べない程度のこの気持ちは、『ちょっと気になってる人が居る』くらいに留めておこう。

 

てかコレを恋だと認識してしまうのは非っ常〜にマズい!

だって………………ねぇ?

 

 

「はぁ……まだ、返したくないな……」

 

またそうボソリと呟き私はページをめくった。

早く続きが読みたい衝動に駆られながらも、出来るだけ、ゆっくりと……

 

 

× × ×

 

 

私は今まで、燃えるような恋をした事がない。

 

まぁそりゃ人並みの恋心を持ったことくらいはありますよ?

でも燃えるようなと言うと……まったく思い浮かばない。

実はその恋心と思ったナニカも、単なる錯覚だったんじゃないかとも思う。

 

 

 

意図した事ではないにせよ、はっきり言って見た目はなかなかの美少女ですし?

性格も明るく元気よく、誰にでも分け隔てなく接する社交性も持ち合わせてますんで?

そりゃまぁまぁモテますよ。ええ。

 

中学時代に一番仲良くしてた男の子に卒業式に告白されて、彼氏彼女の関係にだってなった事もある。たった半年程度だけど。

 

正直、本当に仲のいい男友達だったから、このまま仲のいい友達の延長線上で付き合えるかなぁとか思ってた。

 

でもそんなことは無いんだよね。だって男と女だもん。

そりゃ相手も年頃の健全な男子高校生だし、付き合い出した途端にスキンシップを求めるようになってきて、でも私はそれが嫌で嫌で、受け入れられた事といえばたまのデートでちょっと手を繋ぐことくらい。

ちょっとでも良い雰囲気に持ってかれそうになると、すぐにそこで『またね』って、バイバイしてた。

 

ああ……やっぱりこれは恋じゃなくて情だったんだなって気付いてすぐに別れた。

もちろん相手はすぐに納得なんかしなかったけど、『どう頑張ったって友達としか見られないから』って、『また前みたいに友達としてなら』って言ったら、次第に離れていったっけ。

 

 

何度男の子に告られても振り続けてきた私の唯一の恋愛体験がコレですよ?手ぇ繋いだだけとか中学生かよ。

そりゃ乙女成分が深刻に不足してるとか言われちゃいますよねー。

 

 

そんな私が、まだ数える程しか会った事もない、数える程しか言葉を交わした事もない、そんな人相手に恋なんかするわけないじゃん。

 

ただ、今まで会ったことないタイプの人だったからちょっと気になってるってだけの、そんなお話……

 

 

でも……あの捻ねた態度もめんどくさそうな眼差しも、それでいて可愛い後輩の為に『仕方ねぇな……』って助けちゃうとことか黙って本を読んでる横顔とか、なんか良くわかんないけどドストライクなんだよなぁ……しつこいナンパから助けてもらった時なんて、最っ高にカッコ悪くって最っ高にカッコ良かったもん……

 

 

そもそもあの先輩に興味を抱くのに難しい事なんて一つも無かった。

なにせあの一色いろはが夢中になってるんだから。

 

私の友達一色いろはは常に自分磨きに生きている。

どうしたら周りに自分を可愛く見せられるか?

どうしたらみんな(男)に愛してもらえるか。

 

そのまっすぐな姿勢は自分磨きの探求者ともいえるだろう。

やだ!なんかここら辺一帯が厨二臭いわっ!?

 

 

だからいろはにとって男なんてのは、ただ自分を飾り立てる為のアクセサリーに過ぎなかった。

飾り立てるアクセサリーは多ければ多いほどいいし、その中でも高価な物は特にステータスになる。

だからアクセサリーは高価であればあるほど周りから羨望の眼差しを受けられ、自分磨きの探求者たる一色いろはにとっては譲れない物であるはずなのだ。譲れない物だったはずなのだ。

 

そんな一色いろはがステータスの塊たる葉山先輩への想いをあっさり棄てて、なんのステータスにもならない……ともすれば周りの目から磨いた自分を曇らせかねない、そんな学校一の嫌われものに夢中になった。

磨き上げてきた自分さえもあっさり棄てるほどに。

 

 

これで興味を持つなと言うほうが無理あるよね。

で、実際に会ってしまった。言葉を交わしてしまった。趣味が合ってしまった。

どんな人なのか“知ってしまった”

 

 

そりゃ気にもなっちゃいますよ。

恋ではないけど!恋なんかではないはずだけども!

 

 

 

はっ!いかんいかん!私、最近気付いたらそんな事ばかり考えてる!

 

きっと……この本の香りがいけないんだ……

あの先輩の、このラノベの香りが……

 

 

× × ×

 

 

翌日の放課後。

私は新しいラノベ発掘の為に千葉にきていた。

 

え?なんでわざわざって?

 

そんなの、学校の人に見られたら困るからに決まってるじゃないですかっ!

 

私、決してオタクとかじゃないんですっ!

ただちょっと少年漫画や深夜アニメや幼女先輩向けアニメ、ゲームなんかがちょ〜っと好きなだけの、普っ通〜のリア充女子高生なんですよっ。

 

たまに紗弥加たちに頼みごとされた時に、ついついかしこまっ☆とかやっちゃう程度のライトなオタなんです。

ライトなオタって言っちゃてるし。

 

ちなみにかしこまった時の友人からの可哀想な物を見る視線に相対する戦術は無視☆です。気にしたら負けですよ?

 

 

そんなライトなオタの私でも、まだラノベには手を出して無かったんだよね〜。

てかもうオタ否定はしないのかよ。

 

 

なんか小説にまで手を出しちゃうとすっごい時間を取られそうだったのと、なんかラノベって漫画とかアニメよりもワンランク上なんですよね〜。なんかこう色々と精神的なものが!

ちなみに本屋さんで物色してる際の難易度や周りの目の気になり具合なんて、ワンランクどころじゃないですよねっ!みなさんっ♪

 

でもずっと読んでみたいなぁって密かに思ってて、偶然あの先輩にオススメを聞いてしまったのが運の尽き……すっかりハマってしまったわけなのですよ!

 

でもそのオススメのは最初の1巻を買っただけで、あとは全巻貸してくれたんだよねー。あざっす!

 

んで、そろそろ読み終わっちゃいそうだから、なんか他に楽しそうなの無いかな〜、と。

 

 

ホントのこと言えば、先輩にまたオススメを聞きたいし借りれるもんなら借りたい。

で、感想なんかを言い合えたらもう最高!

あの人にはアニメとかラノベの感想を言い合える友達居ないし、もちろん私にだってそっち方面の友達は居ない。

だからめちゃくちゃ楽しいんだろうな〜。そんな事が出来たらっ。

 

 

でも、ちゃんと自覚してる。あんまり深みにハマっちゃいけないって。

だから……もうあんまり近付かない方がいいかな〜……って。

 

 

だから借りてる本を返して、それで終わりにしよう。

そうすればラノベを貸してる後輩、ラノベを借してくれてる先輩っていう、ほんのちょっぴり特別なおかしな関係から、ただの後輩の友達、友達の先輩っていうなんてことない無関係の関係に戻れるもんね。

 

 

でも!それはそれとして、やっぱり礼は尽くさなきゃだめじゃないですか!ほら、私って結構そういうとこちゃんとしてますから。

つい先日たまたま手作りチョコ練習会やったし、本を返す時についでにチョコ渡したいとか思ってるんだよね〜。

 

 

この私が!乙女が仕事しない事に定評のあるこの私が!

…………せっかく上手く出来たんだもん……

 

 

でも、手作りチョコなんて渡せる気しねぇぇぇ〜……

てか本だっていろはを介して借りてんのに、どうやってチョコ渡すのよ!?

いや、でもさすがに借りた本を返すのに人を介すワケにもいかんし、ちゃんと自分の手で返してちゃんとお礼を言って、そしてちゃんとチョコレート渡したい。

 

 

あ〜……でもさすがに二人では会いたくないなぁ……なんか危険な香りがぷんぷんするもん。

でもいろはが一緒に居るときなんかに手作りチョコ渡すとか無理ゲーっしょ……

 

 

………………………うっがぁぁぁぁぁぁっ!

 

なんでこんなことで悩んでんの!?私っ!

 

乙女かっ!乙女じゃん!?

 

 

× × ×

 

 

「ふむ……さっぱり分からん……」

 

楽しすぎた本がもう終わっちゃいそうなのと、その本を返さなくちゃいけないって事の現実逃避から特に調べもせずに勢いで本屋さん来ちゃったんだけど、なにが楽しいのかなにが売れ筋なのかなんて分かるわけがなかった。

 

とりあえず今期アニメで楽しんでるのは今期終了してから読みたいしぃ〜、じゃあやっぱり前期かもっと前に終わったヤツで楽しかったヤツから選んでみようかなぁ〜……

でも活字にしてみたら全然イメージと違ってガッカリ〜!とかも嫌だしお金も勿体ないしなぁ……

 

アニメから原作行って内容にガッカリするかもぉ……とか心配するなんて、ニワカ丸出し過ぎワロタw

 

 

ご丁寧に草まで生やして一人脳内スレッド消化を楽しんでいた時、ふとしょーもない考えが頭を過った。

いや、さっきまでのも充分しょーもなかったですけどっ☆

 

 

……こんな時、ご都合主義のラノベとかだったら、同じコーナーを夢中で物色している他のお客さんとお互い気付かず肩と肩がぶつかっちゃって、「あっ……スミマセン……」とかって相手と目を合わすと、その人は今一番会いたくない……でも、本当は今一番会いたい人だったのだ!

的なお約束な展開が待ってんのよね〜。

 

 

アホか。現実と創作をごっちゃにすんなっての!

てかこの考え自体がフラグっぽくてなんか恐い。

 

 

 

どんっ!

本の物色に夢中になるんじゃなくて頭の悪い思考に夢中になっていたちょうどその時、隣のお客さんとぶつかった……肩同士じゃなくてお尻同士が……

 

 

嘘……でしょ……?

 

私は恐る恐る……本当に恐る恐るそちらに視線をやった。

そんな事あるわけないのに……ただのご都合主義の妄想のはずなのに……

 

『な、なんだ……違うじゃんっ』

 

『あはははは、そんなわけないですよね〜!』

 

そう言いたかったのに、そのはずだったのに……

それなのになぜか確信してしまっていた……このぶつかった相手が誰であるのかを。

 

 

 

「……あ、すみませ………あ、家堀か……」

 

 

 

視線の先ではあの人が……比企谷先輩が………

可愛い女の子のお尻に触れてしまったからなのか、若干キョドった様子でかったるそうに立っていた……

 

 

 

 

続く






いやいや遂に書いてしまいましたよ。自己満足なオリキャラヒロイン><
楽しんでもらえていたなら幸いなのですが……


なぜ最後と言ったのに最初に書いてしまったのか!?

それは11巻が発売されてしまったら暫らく更新が途絶えてしまうかも知れず、いつになったら書けるのかの目星がつかなかったからです!
偉そうに言っても結局詐欺ですねごめんなさい。


てかそのつもりで書いたのに、11巻の発売が延期(18日から24日“頃”に変更)ってマジなんでしょうか……?
18日……休みにしたんですけどね……(涙)


それでは中編(たぶん三話くらいになる予定)をお楽しみに!

あっ!あとコレにはいろはす出しませんから!
出しちゃうと香織SSが薄まっちゃうんでっ><

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