休日は休むためにある。
休みなのにみんな働くからその分過剰なサービスが必要となりさらに働かないといけないようになる。
働くのは己の幸せのためでは無いのか?働くことが周囲を、巡り巡って社会を、そして自分をも不幸にするのなら働かないことこそが幸せでは無いのだろうか。
故に、俺は働かない、働きたくない。
が、
俺は休日に何故かスターフロントカフェにいる。
今日は小町にあれやこれや言われて、多少見栄えの良い服装をしており「待ち合わせは30分前に行くこと!」と言われ家を追い出された。
カフェでコーヒーを飲みながら周囲の客を観察する
ぼっちスカウターは今日も順調だ。
ちなみに俺のぼっち力は80,000。はちまんなだけに。
すると俺のぼっちスカウターがマイナスに振り切れる。
ぼっち力 -800,000だと?
まさか伝説の…、全てのぼっちを駆逐する存在は…
「ひゃっはろ~。比企谷くん!」
やはり魔王(雪ノ下陽乃)だった…。
××××
「比企谷くんと付き合いたいの」
魔王の攻撃により部室の空気が止まった。
これ何て凍てつく波動?
数秒の沈黙
『どういうことなの「ですか?先輩!」「ヒッキー!?」』
と二人(由比ヶ浜、一色)が俺に詰め寄る。
いやいや何ハモってんのお前ら。
そもそも俺が聞きたいし。
さすがに魔王に物申そうとすると、
「どういうつもりなのかしら姉さん?」
二人とは対照的に落ち着いた口調で問いかける雪ノ下。
「そのままの意味のつもりだよ?ゆきのちゃん」
「もしかして~、先越されるのが嫌だったかな~?」
陽乃さんは相変わらず笑顔のままだ。
楽しそうに、子供のように足を前後にブラブラさせている。
いや、その、スカートの裾が俺の足に何度も当たってるのですが。今日は膝下くらいのスカートなのですね。
べっ、別にそんなことで動揺なんてしてないからね!
「いえ…、姉さんがそうしたいなら自分で動くはずよ。私が聞きたいのはなぜ私に、奉仕部に依頼するか、その理由よ…」
「ふ~ん、ゆきのちゃんはそうくるかー。少しは面白くなりそうね。」
なんだかこのまま二人の会話を続けさせてはいけない予感がする。
ならば取るべき行動は…
俺は二人の会話の矛先をずらすため、いつもの屁理屈を発言しようと、
「雪ノ下さっ、!」
えぇーーーーーーーーーーー!
声が声にならない。
魔王が俺の足に自身の足を絡ませている!
足って人間の体重を支えている、主に筋肉とかできている器官ですよね?
何この感触?
ズボン越しなのに、
とても柔らかくて、そして暖かくて、くすぐったい……。
そして微妙に動かしている!
まさかのスリスリ!?
だめだ⤴⤴~~!!
由比ヶ浜と一色は、突然沈黙した俺を怪訝な顔で見つめている。
「ヒッキー…」「先輩…」
『なんかキモい!』
二人のそんな突っ込みにも言葉を返す余裕が無い。
足から伝わる、艶かしい感覚が背中を寒気と共に突き抜け、頭の考える機能を妨害させている。言葉どころか、足だけで完全に倒されてしまった。
何と無力なんだ俺は。まさか盾にすらなれないとは……。
「もういいわ。」
雪ノ下が眉間にシワを寄せながら、右手を額に当てて言う。
「どうせ姉さんのことだもの、考えがあるのでしょう?」
雪ノ下は手を落として俺をまっすぐ見つめる。
「私には分からないだろうから、比企谷くんに任せるわ」
「ありがとうゆきのちゃん!!さっすが私の妹、もの分かりが良いね!」
「ゆきのん!!」
由比ヶ浜が不安な顔で雪ノ下を見つめる。
「ではでは~、そういうことで!比企谷くん明日の午前11時にこのあいだのカフェで待ち合わせね!!」
と魔王は颯爽と立ち去ろうとする。
八幡(村人)のHPはすでに危ない状態。
と、部室を出る間際に魔王が追撃を放つ。
「この間のように、比企谷くんが私のパンチラ見えるよう短いスカートで来るからね~!」
閉まる扉。
静かな沈黙。
重い二人からの視線。
椅子を引く音。
小町、お兄ちゃんは早くお前に会いたいよ……(遠い目)。