寿命かと思ったら別世界に飛ばされた件   作:スティレット

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 スランプなのでリハビリに会話回。暑さで脳が茹る。


第7話

「暇つぶしにゴーレムを作り貯めしたいと思います」

 

「なんだ、藪から棒に」

 

 エヴァとの勝敗が決してから一ヶ月、俺はガイガーカウンターを持ってエヴァの別荘にお邪魔していた。

 

「いや、これだけ広かったらいざ、呪いを解いて学園から出るにしても陽動が居た方が楽だろう」

 

「まあ、確かにそれは言えているな」

 

「それにこれは裏が取れていない情報なんだが、エヴァから聞いたナギ・スプリングフィールドには息子が居るらしい」

 

「何?」

 

「そうなるとメガロ・メセンブリアの意向で英雄を作ろうとするだろう。それにはその息子が適任だ。場合によってはこちらに流れてくる場合もあると思うが、そいつが今住んでいるところを離れた際、ナギ・スプリングフィールドの話を聞きにいくといいだろう」

 

「いいのか?」

 

「いいさ。昔の男とのケジメをつけることも大事だ」

 

「そうか・・・・・・」

 

「あ」

 

「どうした?」

 

「そういえば隠匿していると言う点で怪しい存在を図書館島で観測した」

 

「ほう?」

 

「どうも存在は精霊に近いな。後は、遠目に見たがワイヴァーンが居た」

 

「それは穏やかでは無いな」

 

「エヴァには心当たりは無いか? 図書館、本、精霊、この共通点で」

 

「それは・・・・・・奴か? いや、しかしこんな極東で、しかも私が封印されている土地で態々隠匿する理由が分からん」

 

「奴とは?」

 

「アルビレオ・イマだ」

 

「ふむ、だがそれを学園長に聞くのも面倒なことになりそうだな。俺が図書館探検部の活動の名目で下の階層まで降りて接触してみよう。収穫があったら話す」

 

「分かった」

 

「最近拾ったネタと言ったらこれくらいだな。汚染物質も反応しなくなったし、ゴーレムを作ろうと思うのだが、エヴァは何かリクエストはあるか?」

 

「そうだな。リクエストは無いが私も配下の人形を作っておこう。才人の錬金は便利だからな。材料をいちいち調達せんでいいのが非常に楽だ」

 

「俺もあれを見た当初は非常識だと思ってたが、慣れれば便利にしか思えないな」

 

「ああ、リクエストが出来た。武器の製作を頼む。人形に持たせる類のな」

 

「チャチャゼロが基準でいいのか?」

 

「ああ」

 

「分かった。ならば、ゴーレムより武器を先に作っておこう」

 

「いいのか? 自分の作業を優先しても構わんのだぞ?」

 

「分担作業だ。ナイフは全ての人形に支給するとして、基本は槍と盾だな。盾にはデルフリンガーのように魔法無効化でも付けておこう。単純な物理攻撃に対しては盾自身の防御力に依存することになるが、推測で言うとそれを壊せるのは本気の高畑先生くらいしか出来ないだろう。戦術的よりも戦略的に行こう。使わないに越したことは無いのだがな」

 

「だが、私が出て行くとなると「正義の魔法使い」共が黙ってはいまい」

 

「確率は低いがこの麻帆良にスプリングフィールドの息子が来ないとも限らんから、それ次第だな。最近はポーションや呪符の売れ行きが良くてね。魔力の最大値を上げるあの蟠桃製はエヴァにしか渡していないが、原材料を買って半分は錬金でまかなえるからそろそろ専用の設備が欲しいと思っているところだ」

 

「ならば、別荘(ここ)を使うか?」

 

「ああ、それなら呪符に魔力を貯めて、普段はガーゴイルに任せておけば大分楽になるな。ポーションと言えばミカンの血はどうなった?」

 

「ああ、竜の血清か。大分研究は進んでいる。あの図体で助走無しで飛ぶだけあって凄まじいな。味も極上だ。気をつけないとついつい飲みすぎてしまうよ」

 

「アレだけの量を頻繁に補給は出来ないから気をつけてくれよ。あいつの機嫌を取るのも一苦労なんだ」

 

「そも、あいつは卵生なのに才人、お前の子を生めると思っているのか?」

 

「それはアレだ。関西辺りの妖怪にでも人化の術を習わせに行けばいいだろう」

 

「お前は・・・・・・意見が斜めすぎて追いつけない部分があるな。だが、そうなるんだったら近右衛門とのパイプを強化しておけ。アレは元々関西の出身だ。襲撃してくる術者を拉致しても構わんが、ここの連中がぬるすぎて関西から的外れな抗議を受けた際、疑われるのは私達だ。今は研究に集中したい。よって、血清が出来るまでは拉致は禁止する」

 

「確かに。面倒ごとは可能な限り避けるべきだ。そういうのはここを出る時の一度くらいでいい」

 

「謝らんぞ」

 

「何を言っている。嫌ならお前を眷属にはしない。つまり、俺の好きでやっていることだ。と、言うかあの勝利を拾えたのもお前がまだ子猫(キティ)の皮を被っていたからだ。山猫(リンクス)くらいになっていたらお互い収拾が着かないくらいの被害が出ていただろうな」

 

「名前でいじられるのは嫌いだ」

 

「それもこれもお前が可愛いのが悪い」

 

「む、うう」

 

「エヴァ、どうもお前は数百年生き、老成した部分と成長しない肉体年齢に精神が引っ張られ相反するところがあるな。その手の奴には散々からかわれたんじゃないか?」

 

「何故分かる!?」

 

「わからいでか。あちらには監督責任の名目だが、ぶっちゃけエヴァの反応が見たくてここに居るんだ。それくらい分かる」

 

「あの竜の世話はいいのか?」

 

「あいつはあいつで好き勝手やっているよ。特に幻術を覚えてからな。それに、寝る時に甘え癖が抜けないのかどうしても薬を飲んで枕元で寝ている。気にすることは無い」

 

「気に食わんな」

 

「何がだ?」

 

「せめてここに居る間は他の女の話をするな。例えそれがペットだろうが」

 

「何だ、妬いているのか?」

 

「ふんっ」

 

「だったらそんなことを考えられないようにしてやろう」

 

「待て、抱き上げるな! どこへ連れて行く!」

 

「寝室」

 

「やめろー!」

 

 攻めるは好きで攻められるのは苦手か。誰かを思い出すな。




 この後メチャクチャ錬金(意味深)した。

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