寿命かと思ったら別世界に飛ばされた件   作:スティレット

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 一度書いたのですが納得いかなくて書き直しました。安直に新しいネタを入れるより、これまで経験してきたことを書いたほうがスラスラ執筆できました。


第16話

 現在夏休み。石角はミカンに外の時間で3日程付いてた後、京都へ帰って行った。ミカンは人化の術を覚えたものの、俺のリアクションがあまりにも薄かった為むくれて引きこもっている。

 

 俺は最近、このままダラダラと原作開始まで成り行きのままに任せていいのだろうか。と疑問に思っていた。だってそうだろう? こちらの世界で魔法世界のゴタゴタに巻き込まれるまで待つ必要は無い。俺はこの歳で今更正義の味方にも英雄にもなる気はないので、自分と目に見える範囲が平和ならどうでもいいのだ。本当、昔は若かったよ。

 

 なので何とかするべく、ポーションをがぶ飲みしながら延々と錬金を唱えていた。

 

「イル・アース・デル」

 

 現在作っているのは「スキルニル」と言うゴーレムの一種だ。よく嫁の叔父さんがチェス代わりに俺と対戦する為にくれたものである。

 

 これは小さな人形で血を垂らす事によって発動し、その人物そっくりになるだけでは無く、技や人格までコピーすると言うチートアイテムだ。ただし、魔法は使えず、平民のコピーに留まっていたが、嫁の叔父さんも王様だったので、と言うか政治を片手間に片付けて遊びに全力になる人間だったので俺との戦争ごっこの為に開発を重ね、メイジによる発動を可能としていた。奴さんは不定期にこの人形を俺に「人材を探すところから開始だ」と言う手紙と共に送りつけ、様々なフィールドで戦った。あの国は色々とおかしかったな。「ヨルムンガント」とか言う対メイジ兵器作ったし。そうだ、今の俺は精霊魔法を覚え、やろうと思えばあの世界のエルフに似た魔法を使える。エヴァに耐久テストをしてもらいながら量産しておこう。

 

 話が逸れた。このスキルニルは影武者にも使えるが、今回の目的はそうじゃない。図書館島で失敬してきたホムンクルスの本をベースに俺のかつての配下を作り出そうと思っている。だが本人では無く、あくまで俺の記憶に残っている人格を再現するだけだ。肉体をデザインしたら仮想人格にて処理を行えばいい。

 

 こういう時別荘は便利だ。ただし中年にならない程度に使用を控えなければならないか? いや、自分のクローンを作っておいて予備パーツの確保か意識をクローンに移植する研究でもすればいいだろう。まだ中世程度の医療技術、頼りは魔法のみで自分の脳をミノタウロスに移植するよりはるかに難易度が低いだろう。

 

 出来上がったスキルニルは裏で活躍している俺の記憶に近い人物をピックアップし、そいつらから血液を買い取った。使うのは外見のデザインだけなので、後は属性の適正が近く、見た目が似ていれば後は仮想人格を植えつけて調整すれば良いと考えている。

 

 現在別荘には培養層が設置されており、血を垂らしたスキルニルをホムンクルス技術による調整、後は順次出来上がったら培養層から出して最終調整だ。

 

「G、M、R、調子はどうだ?」

 

 指揮官クラスは既に培養層から出ている。現在スキルニルで製作しているのは末端クラスだ。

 

「良好だ」

 

 答えたのはMだ。こいつは本来最低クラスのメイジだったのだが、ドMが己を鍛える喜びに嵌り、かなりストイックな性格になってしまった。

 

「あの恐れていたエルフをも凌駕するかも知れない魔法が使えるとなると全盛期を超えるかもしれないね。何よりこちらの女の子が僕を待っている」

 

 Gはトレードマークの造花を掲げ、自分に酔っていた。

 

「それで、国王、俺達はどうすればいい?」

 

 Rが促す。元々こいつは参謀的な位置に収まっていた。

 

「魔法世界に通じるゲートに細工し、完全に交通が不可能な状態にしてくれ。作戦開始まで時間があるから、各自追記した記録に違反しないようにしてくれ。戦力が整い次第作戦開始だ」

 

 一応現時点でやれることはやった。あいつ等は俺と恩師によって近代化した国に居たから、まあ、大丈夫だろう。Gのナンパ癖さえ出なければな。

 

 

 

 一応エヴァにもスキルニルは渡してみた。しかし、血を垂らしたら100%の魔力量で発動するらしく人形の方がもたなかった。もっと丈夫なのを作っておこう。

 

 千雨ちゃんにはスキルニルでは無く、身代わりの呪符を渡しておいた。スキルニルを使うにはせめて気を使えるようになってからじゃないとね。だが、魔力はともかく気は使えるか疑問だ。対策を練らねば。

 

 完全なる世界対策は一旦置いておいて、超対策をしよう。

 

 まずは物量。ヴェンジェンスやハングドマンでは維持するだけで魔力を食われる。ヨルムンガンドに風石の代わりに風属性か重力属性の刻印を刻み魔力炉を積んで、鬼神兵対策に神格を弱体もしくは吸収する魔剣などの武器を持たせておこう。高畑先生が確か拳で鎮圧した気もするからHEATハンマーとか持たせても良い。

 

 次は歩兵だが、今培養層から降りてきた土属性に適正のある者がひたすらゴーレムとガーゴイルを作っている。ゴーレムの腕力で重機関銃に対魔弾頭等の特殊弾頭にて牽制し、本命をぶち当てればいい。別荘に資材と設備を準備しておいたので、スキルニルでコピーしたガンスミスに量産させれば良い。スキルニルはバージョンによって命令を聞くだけの人形でもあるし。

 

 今やれることはこれくらいか。後は残りの兵士級が出来てから考えよう。確か超が編入してくるのは中学1年生。タイムスリップしてくる前にゲートが全部破壊されてないといいね。




 最近は肩が痛いのでお風呂上りの数時間が勝負ですねー。

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