寿命かと思ったら別世界に飛ばされた件   作:スティレット

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 約一ヶ月ぶりです。急に書けなくなったので参ってました。


第15話

「こちらが講師を呼び出す石角先生だ」

 

「よろしくー」

 

 俺は学園長に携帯で一報入れ、石角をエヴァの別荘に案内した。ここへ来た頃は防衛が終わったら反省会をしていたが、エヴァの一件以来周りが面倒なためそのまま解散するようになった。

 

「よろしゅうに。おぼこい嬢ちゃん」

 

 現在のミカンは人間に化けている。最近あいつは「れでぃは殿方の前で裸になるのは恥ずかしいことです!」とか言って竜の状態でも何か着るものを要求しだしているのだ。なんかペットに服着せるの好きじゃないんだけどね。サイズ補正がかかる鎧でも作ろうかな。質量はごまかせないから子竜の時に床をぶち抜くかもしれないけど。

 

「それじゃあこの竜の嬢ちゃんに一匹付けときゃええわけやな」

 

「ああ、後は適当に過ごしてくれ。結果さえ出れば問題ない」

 

 ここでの一日は外での一時間の為、一日ちょいあれば三十日分は勉強出来る。高畑先生は中年と化してたけど、ここで何年頑張ったのかね。

 

「ミカンが華麗に変身した姿を期待しててくださいね!」

 

「おー頑張れー」

 

 尻尾どうするんだろうな。と、漠然と考えながら俺は寝室に向かうのであった。

 

 

 

 睡眠を取ったところでリフレッシュした俺は、今回の事を反省し、色々と作ろうかなと思い立った。

 

「取り出したるはト○ロっぽい像」

 

 俺は一室を祭壇に見立て、飾りつけを行っていく。

 

「そして生贄にミカンにやる予定だった牛一頭分」

 

 〆た牛を像の前にデンと置く。

 

「ウガア=クトゥン=ユフ! クトゥア トゥル グプ ルフブ=グスグ ルフ トク! グル=ヤ、ツァトゥグァ! イクン、ツァトゥグァ! 来たれ! 敬愛する主ツァトゥグァよ、夜の父よ! イア! イア! グノス=ユタッガ=ハ! イア イア ツァトゥグァ!」

 

 周りに誰もいないことを確認し、呪文を唱える。すると黒い染みのようなものが徐々ににじみ出し、前足の代わりに蝙蝠の翼が生え、頭部に蛇のような触覚を生やしたヒキガエルが出てきた。

 

「ズヴィルポグアさんじゃないですか。お父さんのところに帰省中だったんですか? あ、そういうのはいい? あ、はい。今回の生贄を用意しました。なのでお父さんの住居に生えているキノコください」

 

 常人だと一時的発狂待ったなしの正気度喪失に耐え、交渉する。ヒキガエルのようなものは触覚に牛を巻き付けると、自分のところへ引きつけ消えていき、気が付くと素人目には何なのか判別しにくいキノコが置かれていた。

 

 このまま神殿と化している部屋に放っておくと面倒なことになるので素早く影に放り込み、実験室へと向かうことにする。

 

「才人! 尋常じゃない気配が漂ってきたが何があった!?」

 

 酷く焦った様子でエヴァが走ってくる。どう言い訳しよう。

 

「ちょっと邪神を召喚した」

 

 面倒になったのでストレートに白状した。

 

「あのような気配そこら辺の鬼神より上だぞ。何を召喚した!?」

 

「ツァトゥグア。実際来たのはズヴィルポグアだけど」

 

「ツァトゥ・・・・・・? 聞かんな」

 

 どうやらこっちの世界には居ないらしい。並行世界だか次元だかの壁を越えて来たのか。

 

「まあ、割と温厚な邪神だよ。扱い間違えると内臓喰われたりするが」

 

 土星に行きたいと相談すると警告をくれたりする。後腹が減ってないときは生贄を拒否られたりもする。

 

「次召喚する時は絶対に私に一言言え。いいな。絶対だぞ」

 

「構わんけど召喚する時は一人じゃないと駄目だからな。立ち会えないからな」

 

「それでもだ」

 

 この後散々念を押されたので、今後は麻帆良じゃない別の場所で呼ぼう。

 

 

 

 飴玉型の回復薬を作ると言う事で普段より強力な材料を仕入れた俺はキノコを煮て成分を抽出し、煮汁を煮詰めていた。

 

「マスター、おなかすきましたー!」

 

「お、なんかええ匂いやなぁ」

 

 そう、このキノコ、とても美味そうな匂いがするのだ。

 

「おー、とても美味いキノコが手に入ったぞ。雑炊にすると絶品なんだ」

 

「茸雑炊か。ええなあ。ほな、それ頂戴」

 

「すまん、来月まで待って」

 

 匂いは良いんだが、食べられるようにするには1ヶ月水を替えながら加熱し続けなければならない。煮汁だけでもそのままだと毒である。

 

「がーんだなー。出鼻をくじかれたー」

 

「1ヶ月かかるキノコってなんなん・・・・・・?」

 

 ちなみにエヴァはキノコの出所を知っているのでつまみとワインを持って引っ込んでしまった。

 

「今日のメニューはタケノコだ」

 

「うち完全に舌がキノコになってんのやけど」

 

 何を言う、タケノコは成長したらえぐみが出てくるから素人には採取の難易度が高いんだぞ。地面から突き出ている奴はもうアウトらしい。

 

「駄目だ、今日はタケノコだ」

 

「ミカンもキノコが食べたいです!」

 

 ハイパーボリア産のキノコに惑わされるとはしょうがない奴等だ。

 

「どうしてもと言うなら明日キノコにしてやる。だから今日はタケノコだ」

 

 今あるキノコはそのまま食ったら死ぬキノコだけだ。

 

「まあ、しょうがないわな。我慢するわ。嬢ちゃんも聞き分けぇ」

 

「うー」

 

「ほら、牛一頭出してやるから機嫌治せ。石角にはタケノコの刺身でいいか?」

 

「明日は絶対キノコですからね!」

 

「酒も頼むわ。熱燗な」

 

 明日のキノコは何にするか。しいたけでいいか。




 リハビリ回。久々だとキレが無いかな。

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