やはり俺の高校生活は気付かれないまま終わりを告げる。   作:to110

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世の中は不公平に不公平が作られています。
不平等に不平等が作られています。
そして、人はそのことをつい忘れてしまいます。
そのことが、大事なことだとしても…………
長篇シリーズ第12話、では、どうぞ。



第11章 彼は無力で無自覚なことに気づく術を持たない。

プルル

 

 

あっ。ゆきのんからメールだ。陽乃さん、協力してくれたかな?で、どれどれ内容は〜

 

 

『雪ノ下です。姉さんは無事協力してくれることとなりました。それで、これから比企谷君に勉強を教えるために家に招きたいのですが、いいですか?』

 

 

ゆきのん、なんで毎回メールだとこんなに敬語使うんだろ。まぁゆきのんらしいけどね。

 

 

『いいよ^_^

ヒッキーにしっかり勉強教えてあげてね(=´∀`)人(´∀`=)

あと私にもそのうち教えて………(・ω・)ノ』

 

 

っと。でも、なんで勉強するだけなのにわざわざメールしたんだろ。やっぱり公平じゃないって思ったのかな。でも、何か違和感?みたいなのがある気がする…………

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「どうぞ上がって」

 

 

「お、おじゃまします」

 

 

「そこに座っておいて。飲み物持ってくるわ」

 

 

「あ、ああ。頼む」

 

 

彼、落ち着きがない。なぜかしら。まぁだいたいの予想ならつくけれども。

 

 

「はい」コトッ

 

 

「ありがとう」

 

 

「それで、やる教科は数学と理科、どちらがいいかしら?」

 

 

「国語やりたいんだけど」

 

 

「国語なんて教えてあげられることないじゃない。あなた学年三位でしょ?」

 

 

「ちっ………」

 

 

本当に理系科目やりたくないのね。

 

 

「なら数学やりましょう」

 

 

「げっ」ウワッ

 

 

「まずはここからやりましょう」

 

 

……………………

 

 

「いえ、だからこの公式でここに入るでしょ?」

 

 

「ああなるほどな」

 

 

彼はやればできる。やればできるだけあって今までどれほどやってなかったかがわかる。

…………………彼ともっと一緒にいたい。できることならこのままずっと。でもそれはできない。

 

 

「んじゃ、きりもいいし、そろそろ帰るわ」

 

 

「えっ⁉︎いえ、ご飯、作るから食べていって」

 

 

「いや、でも、それは……………」

 

 

「由比ヶ浜さんには許可を貰ったわ。今度、由比ヶ浜さんが料理作るから食べてあげてね」

 

 

「はぁ…………わかった。お言葉に甘えさせてもらう」

 

 

……………………………

 

 

そんなに難しいものは作らなかったけれとわ、彼はすごく喜んでくれた。

 

 

「うめぇ!やっぱ雪ノ下の料理最高!」

 

 

「そ、そんなことは……………

ありがとう……………………」カオマッカ

 

 

「ところで雪ノ下」

 

 

「なにかしら」

 

 

「雪ノ下さんとの交渉内容を教えろ」

 

 

「母に逆らったことを謝ることを条件として出したわ」

 

 

「そうか。すまないな、俺の退学回避のために」

 

 

「別に構わないわ。それに……………」

 

 

「ん?」

 

 

「あなたのためだもの」

 

 

「そ、そうか………………」プイッ

 

 

彼は気づいてないと思うけれど、彼の顔真っ赤になっていて少しその…………面白い………………わ………………

 

 

プルルル

 

 

私の携帯が鳴り響く。彼は手で出てどうぞ、という合図をしてくれたので、私は出ることにする。

 

 

「もしもし」

 

 

『ひゃっはろー雪乃ちゃん!』

 

 

「それで、比企谷君のことは?」

 

 

『大丈夫だよ。比企谷君は退学しなくて済むって』

 

 

「そう………」ホッ

 

 

『雪乃ちゃん、ほんとにお母さんに謝るの?』

 

 

「ええ、条件なのだから」

 

 

『そう。それじゃあね雪乃ちゃん。それから、ごめんね』

 

 

「気にすることはないわ。おやすみなさい」

 

 

これでこの件はおしまい。彼に報告するとしましょう。

 

 

「比企谷君、退学は取りやめになったそうよ。よかったわね」

 

 

「そうか…………ホッ

ありがとう」

 

 

「気にすることはないわ。私は私のやりたいことをしただけなのだから」

 

 

「んじゃそろそろ帰るわ。また明日な」

 

 

「ええ、また」

 

 

行かないで………………

もっと私の近くにいて…………………

 

 

「今日はありがとな、いろいろと」

 

 

もっと話したい………………

彼の顔を見ていたい…………………

 

 

「じゃ」ガチャ

 

 

でも……………

それは叶わないこと……………………

 

 

「ひっく………

ひっく…………………」ポロポロ

 

 

私は泣いていた。うずくまって泣いていた。

 

 

「比企谷君、好きよ。愛してる…………………」

 

 

できることなら彼の返事を聞きたかった。彼が由比ヶ浜か私、どちらをとるのか。

でも、もうそれすら叶わない。

 

 

もう彼とはーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーー会えないものーーーーーーーー




最初の由比ヶ浜のメール、私絵文字滅多に使わないので、できているかわかりません。何がやりたいかはフィーリングでお願いします。
物語もついに終わりに近づいてきて、盛り上がりを見せています。
雪ノ下の出した条件とは一体なんなのか。そして、涙のわけとは………………
次にご期待ください。
それから、お読みいただきありがとうございます。

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