ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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継承

木綿季の手術から、一週間後

恐れていた拒否反応は、起きなかった

木綿季は少しずつだが、回復を始めた

その後だが、木綿季は明久の妹になった

その理由だが、明久の母

明恵が、木綿季の親権を得たのだ

木綿季の親権は、木綿季の親族が亡くなった後に、親戚達の間で宙ぶらりんになっていたのだ

それに気付いた明恵は、その親戚達相手にして親権を勝ち取ったのだ

結果、木綿季は明久の妹になることが決まった

なお、親権を勝ち取った時の明恵を見て、明久は

 

『何処ぞの、燃え尽きた拳王みたいになってたよ』

 

と語る

そして、他の余命宣告を受けたスリーピング・ナイツのメンバーだが、何処かの大財閥が開発した新薬で癌が完快したりして、生きることが出来るようになった

そんなある日、ユウキはアスナを初めて会った大木の場所に呼び出した

 

「ユウキ……」

 

アスナが呼び掛けると、ユウキは振り向いて

 

「アスナ……あの時は、生きてって言ってくれて、ありがとう……」

 

と言った

 

「だからかは分からないけど、僕は……僕達は、生きられる……」

 

ユウキがそう言うと、アスナが

 

「それは違うよ……ユウキが生きようとしたからだよ」

 

と言った

しかしユウキは、首を振って

 

「正直言うとね、アスナ……僕、生きることを一度諦めたんだ……」

 

と言った

 

「高い薬を大量に消費して、高価な機械を占領して……どうして生きてるんだろって……」

 

そう言っているユウキの表情は、暗かった

 

「だから、先生に余命宣告された時は、ああ……ようやく、父さん、母さん、姉ちゃんの所に行けるって思った……」

 

「ユウキ……」

 

ユウキの話を聞いて、アスナは言葉が出なかった

しかし、そこでユウキは笑みを浮かべて

 

「でも、今は生きようって思ってる。ヨシアキの妹になったしね」

 

と言った

それに関しては、アスナもヨシアキから聞いた

完全に予想外だったが

 

「それでね、アスナ……アスナにお礼がしたいんだ」

 

「お礼だなんて……」

 

ユウキの言葉に、アスナは手を振った

しかし、ユウキは

 

「受け取ってほしいんだ、アスナに」

 

と言って、腰の剣を抜いた

そして、巨木の方に向いて構えた

その構えは、あのデュエルの時に見た構えだった

 

「まさか……」

 

とアスナが呟いた直後、その技は発動した

まず、右上から左下に向けて五回

次に、左上から右下に五回

最後に、その交差した点を狙って一撃の突き

計、11連撃の突き

 

「これが……」

 

その威力は凄まじく、その巨木が破壊不能オブジェクトじゃなかったら折れていただろう

ユウキが技を終えると、ユウキの目前に羊皮紙の巻物(スクロール)が現れた

ユウキはその巻物を掴むと、アスナに振り向いて

 

「受け取って、アスナ」

 

と差し出してきた

 

「今のが、あのデュエルの時の……」

 

「うん……僕が姉ちゃんから受け継いだOSS……マザーズ・ロザリオだよ」

 

マザーズ・ロザリオ

アスナは一度躊躇ったが、その巻物を受け取った

そして、ウィンドウを開いて、スキル欄の項を開き

 

「ありがとうね、ユウキ……もし、私が引退する時が来たら、絶対に誰かに引き継がせるからね」

 

と言って、その巻物を入れた

それにより、そのOSS

マザーズ・ロザリオを、アスナも使えるようになった

それを見たアスナは、数秒間目を閉じた

そして、ユウキを見て

 

「ユウキ……私からお願いがあるの」

 

と言った

 

「なに、アスナ?」

 

ユウキが問い掛けると、アスナは

 

「私を、スリーピング・ナイツに入れてほしいの」

 

と以前に言った願いを、告げた

そして

 

「前はダメだったけど、今度はどうかな?」

 

とアスナは問い掛けた

以前は、スリーピング・ナイツが解散するから、拒否したのだ

だが今は、ユウキを含めて快復に向かっている

だからアスナは、再び入れてもらうよう希望したのだ

するとユウキは、微笑みを浮かべながら

 

「いいよ、アスナ」

 

と言ったのだった

こうして、アスナはスリーピング・ナイツの所属となったのだった


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