ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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ユウキの居場所

その翌日からユウキは、姿を見せなくなった

しかもユウキだけでなく、スリーピングナイツの全員がだった

そう気付いたアスナは、必死にユウキ達を探した

しかし、何の手懸かりも見付からずに一週間が経った

 

「ユウキ……皆……何処に……」

 

と言ったのは、学校の屋上のフェンスに背中を預けていた明日奈だった

その時だった

 

「ユウキに、会いたいか?」

 

と近くのベンチで昼寝していた筈の、和人が言った

明日奈が視線を向けると、和人は起き上がり

 

「どうしても、ユウキに会いたいか?」

 

と再び問い掛けた

すると明日奈は

 

「会いたい……ユウキに会いたい」

 

と答えた

それを聞いて、和人はジッと明日奈の目を見つめて

 

「だったら、ここに行け」

 

とポケットから、一枚のメモを取り出して明日奈に差し出した

それを受け取った明日奈は

 

「ここに、なにが?」

 

と和人に問い掛けた

すると和人は

 

「そこには、世界で初めてメデュキボイドが置かれてる」

 

と語った

そして土曜日、明日奈は和人から渡されたメモに書かれていた場所

神奈川県横浜にある大きな病院に来ていた

明日奈はそこに入ると、受付で

 

「あの……ここに、ユウキという子が居ると聞いたんですが……」

 

と問い掛けた

すると、それを聞いた看護師が

 

「あの、御名前を聞いてもいいでしょうか?」

 

と聞いてきた

それに明日奈は

 

「アスナです」

 

と敢えて、PCネームで答えた

それを聞いた看護師二名は、何やら小声で喋ってから

 

「少々御待ちください」

 

と言って、受話器を取り上げて会話を始めた

その後別の看護師が

 

「そちらの席で座って、御待ちください」

 

と促してきたので、明日奈はその通りに待つことにした

そして数分後

 

「お待たせしました、アスナさん……ですよね?」

 

と一人の眼鏡を掛けた医師が、明日奈に声を掛けた

すると明日奈は立ち上がり

 

「はい、そうです」

 

と頷いた

すると、その医師は

 

「申し遅れました。私は当病院で医師を勤めます、板橋と申します」

 

とネームプレートを明日奈に見せた

それを聞いた明日奈が頷くと

 

「ここでは何でしょうから、こちらへ」

 

と歩き出した

そしてエレベーターに入ると

 

「貴女のことは、ユウキ君から聞いてます」

 

と言った

それを聞いた明日奈は

 

「ユウキは、ここに居るんですか!?」

 

と問い掛けた

すると、板橋は

 

「はい、居ますよ」

 

と語った

そして続けて

 

「数日前にユウキ君から、近い内にアスナが来るかも。と聞いてました。しかし、本名も場所も教えてないから来れる訳がない。と思ってたんですよ……そしたら今日、貴女が来た……いや、受付からの電話を聞いた時は驚きました」

 

と言った

そのタイミングでエレベーターが止まり、ドアが開いた

すると板橋が

 

「どうぞ」

 

と降りるように促されたので、明日奈はエレベーターから降りた

そして再び、板橋の先導で歩き出した

しかし明日奈は、違和感を覚えた

何故ならば、他に人の気配が全くしないのである

すると板橋が

 

「ここは所謂、隔離病棟……ここに居るのは、重病患者ばかりです」

 

と言った

それを聞いて明日奈は

 

「重病患者……まさか、ユウキは」

 

と呟いた

すると板橋は、ある一室のドアを開いて

 

「ユウキ君は……先天性白血病です」

 

とその一室の窓ガラス向こうに寝て、頭部をヘルメットのような物でスッポリと被った少女を指し示した


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