ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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皆様に大事なお知らせがあります
このバカSAOですが、少し編集を加えます
理由は、筆者が長年プレイしていたアプリ
SAOEWが今年の九月で終わりを迎えるからです
それで、そのアプリのキャラ達を忘れたくないので、一部キャラを追加
それに伴い、編集を加えます
ご了承ください


真相

ヨシアキがしばらく抱いていると、シノンはポツポツと

 

「ヨシアキ……聞いてほしいことがあるの」

 

と語りだした

 

「なに?」

 

「……私の、過去の罪よ……」

 

ヨシアキが問い掛けると、シノンは呟くように語りだした

幼いころに犯した、彼女の罪を

そして、ゆっくりと離れるとシノンは右手をヨシアキの眼前に翳して

 

「守ってくれるの? この、人殺しを……貴方は守ってくれるの!?」

 

と泣きながら叫んだ

それは、彼女の抑圧され続けてきた叫びだった

今まで何回も助けを求めても、その度に拒絶されてきた叫び

それが、爆発したのだ

シノンはその右手を振り上げると、ヨシアキの胸部に振り下ろした

だがその右手は、優しく受け止められた

シノンが驚きで顔を上げると、ヨシアキはシノンの右手を両手で優しく包み込んで

 

「守るよ……シノンを」

 

と言った

更に

 

「誓おう……剣士として……刃折れ、この身が朽ちるまで、僕は、シノンを守るよ」

 

と宣言した

それはまるで、古の騎士が姫に誓う姿のようだった

その言葉を聞いて、シノンはヨシアキに倒れるように抱きついて泣き続けた

シノンが落ち着いたのは、それから数分後だった

それを確認してから、ヨシアキは

 

「でね、シノン。一つ質問があるんだけど」

 

「なに?」

 

「視界左下のマーク、なに?」

 

ヨシアキに言われて、シノンはハッとした表情で視線を上げた

そして、見つけた

 

「あちゃあ……気付かなかったわ」

 

シノンの視線を追い掛けて、ヨシアキも見つけた

二人の頭上に光る球体があった

 

「アレって……」

 

「カメラよ……恐らく、生き残りのプレイヤーが少なくなったから、来たのね」

 

つまり、視線に表示されているマークは、撮影されているということなのだろう

 

「つまり、さっきのも撮影されてたの?」

 

「ええ……でも、余程大声じゃない限り、音声は拾わないわ」

 

シノンがそう言うと、球体が急かすように点滅している

二人が見ていると、球体はどこかに去っていった

 

「生き残りのプレイヤーが少ないか……」

 

ヨシアキはそう言いながら、腕時計に視線を向けた

二人がこの洞窟に入り、三十分経っていた

 

「そうね……私達が生き残ってるのを考えると、多分、十人以下ね……」

 

シノンはそう言うと、ヨシアキに続いて腕時計を見た

そして、少しすると

 

「次のスキャンまで、後五分ね」

 

と呟いた

それを聞いて、ヨシアキは少し黙考してから

 

「僕が一人で外に出て、スキャンデータを見てくる」

 

と言った

 

「え、で、でも……」

 

「シノン。君は少し、休んでて」

 

ヨシアキはそう言うと、外に出た

そして、数分後

 

「来た」

 

端末にデータが表示された

それをヨシアキは、生き残っている光点(ブリップ)を確認した

生き残りは、ヨシアキを含めて二つしか表示されていない(実際には、隠れてるシノンと死銃が居るから四人)

そして、次に暗くなっている数を数えた

 

「え……」

 

その数に、ヨシアキは違和感を覚えた

そして、もう一回数えた

しかし、結果は同じだった

 

「これは……」

 

ヨシアキがそう唸っている間に、端末に表示されていたデータは消えた

ヨシアキは端末を仕舞うと、洞窟に入った

すると、シノンが

 

「どうだった?」

 

「生き残りは、隠れてたシノンと死銃を含めて四人だ……一人は、闇風って人」

 

シノンの問い掛けにヨシアキが答えると、シノンは口元を隠して

 

「そう……あいつが生き残ってたのね」

 

と言った

 

「闇風って、強いの?」

 

「強いわよ……通称で、ランガンの鬼って呼ばれてるわ」

 

ヨシアキの問い掛けに、シノンはそう断言した

 

「ランガンの鬼?」

 

「そう。走って、撃つ。AGI極振りのステータスで、中々狙えないけど、闇風は撃ってくるからそして、呼ばれてるわ」

 

「なるほどね……」

 

ヨシアキはシノンの話を聞いて、腕組みした

シノンの話を聞くと、かなり強いプレイヤーらしい

ヨシアキは要注意と決めると、シノンを見て

 

「ただね、一つ気になることがあったんだ」

 

と切り出した

 

「何かしら?」

 

「さっき確認した時なんだけどね……生き残りを示す光点と倒されたことを示す光点の数が……合わないんだ」

 

「……え?」

 

ヨシアキの言った言葉の意味が分からなかったのか、シノンは首を傾げた

 

「橋で一人撃たれて、残りは29個のはずだ……けど確認したら、27個だった」

 

ヨシアキがそう言うと、シノンは顔を蒼白にして

 

「まさか! ただの偶然よ! 私や死銃と同じように、隠れてるだけじゃ……」

 

と言った

だが、それをヨシアキは否定するように首を振って

 

「僕もそう思いたいけど、可能性としたら……死銃に殺されたってほうが、高い」

 

「でも、可笑しいわよ! そうなったら、死銃はどうやって殺してるのよ!? アミュスフィアはナーヴギアとは違うわ!」

 

シノンのその言葉に、ヨシアキは頷いた

確かに、その通りだ

それは、事前に明久と菊丘も話し合っている

 

《アミュスフィアで、プレイヤーを殺すことは不可能》

 

それは、絶対だった

そして何より、死銃によって殺されたと思われる二人の死因が違った

二人の死因は、心不全だった

脳に損傷は見られなかった

そして、あることが脳裏に過った

 

「待てよ……死銃のあの仕草、もしかして、そこか?」

 

ヨシアキの脳裏に過ったのは、橋で見た死銃の仕草だった

十字を切る仕草

ヨシアキも真似て、右手を前に持ち上げた

そして気付いた

目前に、腕時計が見えることに

 

「分かった! そういうことだったんだ!」

 

「ど、どうしたのよ、いきなり」

 

ヨシアキがいきなり大声を上げたことに驚き、シノンは目を見開いた

するとヨシアキは

 

「死銃は一人じゃない。複数居るんだ!」

 

と言った

 

「どういうこと?」

 

「僕達は今まで、死銃の銃撃が死因だと思ってた! けど、違ったんだ! 死銃の銃撃は合図だったんだ。プレイヤーの部屋に侵入していた仲間への!」

 

ヨシアキの言葉を聞いて、シノンは目を見開いた

 

「死銃の十字を切る仕草、あれは腕時計を見てたんだ。仲間が到着しているか、どうかを。そして、銃撃したのを携帯で確認した仲間が薬物を注入する。それが、死銃達の手口だったんだ!」

 

「でも、どうやって部屋に入るのよ? それに、部屋に誰か入ったら気づくはず……」

 

シノンの言葉に、ヨシアキは首を振って

 

「ハッキングツールだよ。ハッキングツール使えば、今の電子鍵は開けられる。それに、フルダイブ中は誰か部屋に入っても気付かない……」

 

と言った

今から三年前から、家やアパートの部屋の鍵に電子鍵が採用されている

その理由は、警察や救急隊が部屋に入りやすいようにだ

しかし、それから僅かしてハッキングツールが流通するようになった

それにより、電子鍵をハッキングして開けて侵入

そして、窃盗や殺人をやるのだ

それを防止するために、出掛ける場合は従来の鍵を

部屋に居る場合は、チェーンロックをすることが推奨されている

 

「そんな……」

 

シノンはそう言うと、頭を抱えて座り込んだ

すると、シノンの耳元でザーザーと音が聞こえてきた

 

「ダメだ、シノン。落ち着いて! 今カットオフは不味い!」

 

ヨシアキはそう言うと、シノンの肩を抱き締めた

今シノンの脳波は、不安定になっていた

死銃の仲間が、自分の部屋に侵入しているという不安

それが、シノンの脳波を乱していた

 

「だけど、私……怖いよぉ……」

 

シノンはそう言うと、ヨシアキに抱き付いた

 

「今カットオフして、犯人とかち合うことのほうが危険だ。それに、勝てばいいんだ。奴等には、制限があるんだから」

 

「制、限……?」

 

シノンはそう言いながら、ヨシアキの顔を見た

 

「そう……あの拳銃で撃つことだ。それが、奴等が決めたルール……あの拳銃で撃ってないのに誰かを殺したら、自分達のルールを破ることになる」

 

「……」

 

ヨシアキの話を聞いて、シノンは無言になった

つまり、ヨシアキはまだ戦うつもりだと分かったからだ

そして、シノンはヨシアキの芯を知る


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