ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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少し駆け足気味ですが、フェアリィ・ダンス編、終了です!


エピローグ 種子と再誕の浮遊城

「ったく……真っ昼間からイチャイチャしちゃって……」

 

そう呟いたのは、二階の食堂から中庭を見下ろしていた少女

 

リズベットこと、篠崎里香である

 

彼女が見ていた中庭には、アスナこと結城明日菜とキリトこと桐ヶ谷和人の姿があって、二人は仲むつまじく明日菜お手製のお弁当を食べていた

その近くでは、一人の少年の周囲に数人の少女達が居て、一緒にお弁当を食べている

 

「里香さん……覗き見は行儀悪いですよ」

 

と注意したのは、里香の前でピラフを食べているツインテールが特徴の小柄な少女

 

シリカこと綾野佳子である

 

「見える所で食べてるのが悪いのよ……それにしても、秀吉遅いわね」

 

と里香が頬杖を突いた時だった

 

「すまんの、遅れたのじゃ」

 

と現れたのは、美少女に見える中性的な美少年

 

ヒデこと、木下秀吉である

 

「おっそーい!」

 

里香が文句を言うと、秀吉は両手を合わせて謝りながら

 

「すまんのう。実は……」

 

と事情を説明しようとした

 

まさにその時だった

 

『坂本! 貴様、吉井を引きずりながら逃げ出すとはいい度胸だ!』

 

という、男性教師

 

西村の雄叫びが響き渡った

 

『ちぃ! ちょっと早く教室を出ただけじゃねぇか! ケチケチすんなよ、鉄人!』

 

と叫んだのは、サジこと坂本雄二だ

 

『ねえ、雄二! 僕を引きずる理由は無いよね!?』

 

と若干息苦しい様子で叫んだのは、ヨシアキこと吉井明久だ

 

どうやら、雄二に引きずられているらしい

 

『言い忘れてたがな、明久……俺はお前の不幸が大好きなんだ!』

 

『お前最低だ!』

 

どうかと思う発言である

 

『坂本……貴様の性根が曲がっていることは理解した……ならば、貴様に補習を与えてくれるわ!』

 

『ちいっ! そこで加速するか! だったら……行け、明久フレア!』

 

『ふざけるなぁぁぁ!』

 

声の感じからして、雄二が明久を投げたようである

 

『っと、大丈夫か。吉井?』

 

『すいません、助かりました』

 

そして、投げられた明久を鉄人こと、西村がキャッチしたようだ

 

ちなみになぜ鉄人かと言うと、理由は彼の趣味にある

 

彼の趣味はレスリング、筋トレ、トライアスロンである

 

これでは、鉄人と呼ばれるのも仕方ないだろう

 

『まともに足止めも出来ないとはな……役に立たないな、明久!』

 

『それが投げた本人が言うセリフか!』

 

明久の非難がましい叫び声

 

実に正論である

 

『はっ! 使われる奴が悪いんだよ! 俺はこのまま、逃……』

 

『がす訳ないでしょ!』

 

『ぐあっ!? 琴音、てめぇ!』

 

声から察するに、逃げていた雄二をフィリアこと、天川琴音(あまかわことね)が妨害したようである

 

『……雄二、迷惑掛けるのは許さない……!』

 

『翔子!? ま、グアァァァ!?』

 

どうやら、

 

ショウコこと、霧島翔子の声の直後に雄二の悲鳴が響き渡った

 

恐らくは、翔子の得意技の関節技が炸裂したのだろう

 

『おお! 霧島と天川か。すまんな、手間を掛けた』

 

『……夫がご迷惑を』

 

『待て、翔子! 俺はまだぁぁぁぁ!?』

 

『いえいえ。それより、明久はどうしました?』

 

西村の言葉に対して、翔子は謝罪し琴音は明久のことを問い掛けた

 

『吉井ならば、先ほど幸田に預けたが……』

 

『はぁはぁ……やっと追いついたよ……』

 

『ごめんね、綾子ちゃん』

 

と明久を連れてきたのは、サチこと幸田綾子(こうだあやこ)である

 

まだ満足に走れない明久を支えながら、歩いてきたようだ

 

『それでは、坂本……貴様には今から、特別補習を行う!』

 

『ちくしょーー! 俺の昼飯がぁぁぁ!』

 

言い忘れていたが、西村は特定の科目ではなく補習と問題児に対しての授業を担当している

 

彼の凄い所は、全ての科目を教えられることである

 

それを買われて、このSAO帰還者専用の学校に赴任してきたのだ

 

閑話休題

 

「という訳じゃ」

 

「なるほどね……」

 

一連の流れを聞いて、里香は秀吉が遅れた理由を察した

 

どうやら彼は、雄二を捕縛するために奔走したようだ

 

そして、そんな事が彼等の今の日常なのだ

 

あれからのことを話すと、以下のようになる

 

1、キリトが管理者権限を使ってヨシアキを帰してから自分も帰った

 

2、現実に帰ると、アスナが入院している病院に向かった

 

3、病院に到着したら須郷に襲われて負傷した(軽傷)

 

4、そのタイミングでサジ達が現れて、サジがドロップキックをかまして、ムッツこと土屋康太がスタンガン(違法改造してあり、10万ボルト出る)を見舞いして撃破

 

5、キリトのケガを利用して病院に入り、警備員を呼んでもらった

 

6、看護士達が警備員と一緒に離れた隙を突いて、カードキーを拝借しそれぞれ目的の病室へと向かい再会

 

7、アスナとヨシアキがリハビリを頑張って、学校に一緒に登校開始して、日常生活中←今ここ

 

そして、今回の事件の黒幕たる須郷はと言うと、帰還したアスナやヨシアキ

 

サジ達の証言により、ALO内部で行っていた研究が露見して即日逮捕

 

裁判が行われたのだが、二転三転する証言にアスナの父親の結城章三が業を煮やして、須郷の部下を裁判に出席させて全て話させた

 

そうしたらようやく、素直に喋り始めたそうだ

 

今は精神鑑定待ちになっているが、間違いなく有罪は確定だろう

 

なお、そんな須郷が責任者となって運営していたALOは一回運営を停止

 

一時期はそのまま廃止するという話も有ったようだが、そこは霧島財閥が格安で権利を買い取り、同じく霧島財閥融資の下、新興会社ユーミルを設営し、そこに運営を一任

 

今現在は新しい運営陣により、再スタートしている

 

なお、その際に飛行制限を解除

 

どこまでも飛べるようになった(とはいえ、限界はあるが)

 

そして、問題となる須郷の研究

 

洗脳だが、これは不可能と判断された

 

まず、研究データを洗い出してみたが、須郷が望むレベルの洗脳をするためには、今は廃止されているナーヴギアを超える素子が必要となることがわかった

 

その証拠と言うべきか、須郷によって洗脳されていた明久も現実に帰還したら至って普通に過ごせて、精神的にもなんら影響は確認されなかったのだ

 

閑話休題

 

「で、本題なんだけど……時間はちゃんと伝えたわよね?」

 

と里香が問い掛けると、秀吉は頷いて

 

「万事抜かりないのじゃ」

 

と答えた

 

秀吉の答えを聞いて、里香は頷くと

 

「よしよし……フッフッフ……」

 

と意地の悪い笑みを浮かべた

 

時は流れて、放課後

 

和人、明日奈、直葉、明久の四人は一路、ダイシィ・カフェに向かっていた

 

理由は所謂、オフ会だ

 

「そういえば、直葉ちゃんはエギルさんに会ったっけ?」

 

明久が問い掛けると、直葉は頷いて

 

「何回か、ALOで会ったことがあります……ビックリしましたよ」

 

と言った

 

すると、和人が笑みを浮かべて

 

「言っとくけど、リアルの見た目もあのままだからな?」

 

と言った

 

すると、アスナがクスクスと笑いながら

 

「でも、中身は江戸っ子なのよね。エギルさんって」

 

と言った

 

四人が会話しながら歩いていると、その先に一軒の喫茶店が見えた

 

二つのサイコロが並んでいて、その下には英語でダイシィ・カフェと彫られている

 

吊されている看板には、本日貸切の文字が書かれているが、四人は気にせずに中に入った

 

すると、まず四人の耳にかつての鋼鉄浮遊城で流れていたBGMが聞こえてきて、それに続き視界には既に集まっているメンバーの姿が見えた

 

「おいおい……俺達、遅刻はしてないぞ?」

 

和人が溜め息混じりに抗議すると、里香が意地の悪い笑みを浮かべて

 

「真打ちは遅れて登場ってね。秀吉に頼んで、少し遅めの時間を伝えたのよ」

 

と言ってから、勢い良く立ち上がって

 

「はいはい。あんた達二人はあそこに立つの!」

 

と言いながら、和人と明久の背中を押して奥のステージへと立たせた

 

すると、ポケットの中からクラッカーを取り出して

 

「皆さん、ご一緒に! せーの!」

 

「「「「「キリト、ヨシアキ。SAOクリアおめでとう!」」」」」

 

里香の音頭を合図に、全員が口を揃えて言いながら盛大にクラッカーを鳴らした

 

「お、おぅ……」

 

「やられたー」

 

和人と明久は騙されたことに気づいて、顔を見合わせてから肩をすくめた

 

里香はわざと、四人に本来の目的である《SAOクリアパーティー》ではなくオフ会と言ったのである

 

結果、四人は見事に里香の策略に嵌まったのである

 

そのことに四人は溜め息を吐きながらも、集まっているメンバーを見回した

 

雄二を筆頭とした黄昏の風メンバーに、琴音

ケイトこと国分啓太

エリスこと、沖田江梨子

ノエルこと、綾瀬夜子

アネット、日ノ本悠

ルチア、日ノ本雫

カーラ、九条薫

べティ、瑞之小雪

エヴェイユ、江波響

シノ、篠原雪枝

ティール、竹田時雨

トトナ、天宮麗那

プリエル、時坂詠子

フブキ、斑鳩吹雪

ホタル、草吹蛍

エクレール、藤堂刀子

 

クラインこと壺井遼太郎が率いた風林火山

 

軍の代表だったシンカーとその副官ユリエール

 

そして、なぜかレコンこと長田慎一とツユカこと常村結華

 

何よりも驚いたのは、ユーヤこと防人裕也が居た

 

そのことに気づき、直葉は歩み寄って

 

「裕也くん。来て大丈夫なの?」

 

と問い掛けた

 

すると、裕也は頷いて

 

「ああ……基本的に車椅子だしな。薬も持ってきたし」

 

「なんかあったら、直ぐにこのスイッチを押すことになってる」

 

と裕也と結華が続けて説明した

 

「そっか……無理しないでね」

 

「ああ、わかっているさ」

 

直葉の言葉を聞いて、裕也は頷いた

 

裕也の病気はいわゆる難病で、世界でも一握りしか手術できる医者は居ないのだ

 

そのために、今まで入院生活を過ごしていたのだ

 

「エギル……バーボン、ロックで」

 

「こらこら……あ、僕はコーラを」

 

和人は疲れた様子でエギルに注文し、明久は和人の注文を聞いて突っ込んでから飲み物を注文した

 

すると、エギルことアンドリュー・ギルバート・ミルズは和人を一瞬睨んでから最初に明久の前に瓶のコーラを置いてから、和人の前に茶色の液体が注がれたコップを置いた

 

そのコップを見て、和人は一瞬驚愕した表情を浮かべてから一口含んだ

 

「なんだ……烏龍茶かよ……」

 

「当たり前でしょ」

 

「未成年に酒なんか出すか」

 

和人の言葉に明久とアンドリューが突っ込んでいると、遼太郎がドカッとカウンター席に座って

 

「エギル! 俺には本物の酒をくれ!」

 

と注文した

 

「遼太郎さん……この後に仕事って言ってませんでした?」

 

明久がそう言うと、遼太郎はカウンターをバンバンと叩き

 

「残業なんざ、酒でも飲まないとやってられっかってんだ!」

 

と文句を言った

 

すると、アンドリューはヤレヤレと言った表情を浮かべながら

 

「ほどほどにしとけよ」

 

と言って、遼太郎の前にコップを置いた

 

すると、和人の隣にスーツ姿の男性

 

遼太郎と違って、如何にもサラリーマンといった風体のシンカーが座った

 

「キリトさん、ヨシアキさん……お久しぶりです」

 

「お久しぶりです。シンカーさん」

 

「お久しぶりです。シンカーさん……あ、ユリエールさんとのご入籍、おめでとうございます」

 

シンカーが挨拶すると、先に和人が挨拶して明久も挨拶するが、思い出した様子でそう言った

 

するとシンカーは、気恥ずかしい様子で後頭部を掻きながら

 

「いやはや、まだまだ現実に慣れるので精一杯といった感じなんですがね……」

 

と言うと、酒を飲み干した遼太郎が

 

「いやぁ、実にめでたい! そう言えば見てるっすよ、新生MMOトゥデイ!」

 

と言った

 

遼太郎の言葉を聞いて、シンカーはハハハと笑ってから

 

「いやぁ、お恥ずかしい。まだまだコンテンツなんかも少なくて、今のMMO事情だと、攻略データやニュースなんかも、無意味になりつつありますしね……」

 

と言った

 

すると、和人がウンウンと頷いてから

 

「正に、《宇宙誕生の混沌》って言う感じですね……」

 

と言ってから、アンドリューに視線を向けて

 

「それで、エギル。どうだ? その後、種の調子は?」

 

と問い掛けた

 

すると、カウンター席に座っていた全員の視線がアンドリューに集中した

 

すると、アンドリューはカウンター脇に置いてあったパソコンのモニターを向けて

 

「すげぇもんさ。およそミラーサーバーが50、ダウンロード数が10万、実際に稼働してる大型サーバーが300って所だな」

 

と言った

 

あのALO事件の終盤、和人が茅場晶彦から渡されたのは、フルダイブ環境を動かすためのプログラムパッケージだということが解析してわかった

 

これにより、誰もが簡単に新しい世界を作れるようになり、今や様々なタイトルのVRMMOが誕生していき、須郷の悪事により死に絶えると思っていたVRMMOは息を吹き返した

 

余談ではあるが、須郷の悪事を受けて、明日菜の父親の結城彰造氏は責任を取ってCEOから退いた

 

それと平行して、レクトの上部陣も一部が交代となった

 

それに関しては、明日菜曰わく

 

『なんかお父さん、色々と気が抜けたみたい』

 

だそうだ

 

閑話休題

 

話を戻して、茅場が渡したパッケージ

 

ザ・シードが世間にもたらしたのは、基本骨子だけではない

 

そこから他の世界のゲームに、自身のアバターをコンバート出来るようにもなったのである

 

彼がどういった考えで、ザ・シードを和人に渡したのかは分からない

 

だが、彼の残したザ・シードが今後も長い間に渡ってVRMMOを支えていくのは間違いないだろう

 

「おい、二次会の予定に変更はないんだよな?」

 

「あぁ、今夜の十一時にイグドラシルシティに集合だ」

 

「了解」

 

カウンター席にて会話している男性陣を、直葉が眩しそうに、そして悲しそうに見つめていた

 

時は過ぎて、もうすぐ日付が変わろうという時間

 

そんな時間に直葉こと、リーファは一人空を飛んでいた

 

以前とは違い、制限時間の無い自由な飛行

 

ALOの運営が代わった際、新しい運営のユーミルは飛行時間の制限を解除

 

更には、以前と比べてかなり高くまで飛べるようにもなった

 

だが、それでもリーファは満足してなかった

 

今もすでに、その限界高度に達しながらも月目掛けて手を伸ばしていた

 

そして、わざと羽を止めて落下に入った瞬間

 

「ったく……どこまで行くのかって心配したぜ、リーファ」

 

とキリトがリーファの体を受け止めた

 

「キリトくん……」

 

リーファがキリトに視線を向けると、キリトは笑みを浮かべた

 

すると、リーファは羽を動かしてキリトから離れて

 

「あのね、キリトくん……私、もう帰るね」

 

と言った

 

そして、キリトが何か言う前に口を開き

 

「今のキリトくん達……眩し過ぎるよ……まるで、何かを得たみたいに……私には無い何かを……」

 

と言うと、降下しようとした

 

だが、それをキリトが手を掴んで阻止した

 

「大丈夫だよ、リーファ……」

 

「キリトくん……」

 

「これから一緒に、色々と経験していけばいいんだよ……それが、俺達の思い出に、宝物になるんだ」

 

キリトのその言葉を聞いて、リーファは目尻に嬉し涙を滲ませながら頷いて

 

「ねえ、踊らない?」

 

とキリトを誘った

 

「へ?」

 

「あのね、この間開発した高難易度のマニューバーなんだ」

 

「ほほう……やっちゃる」

 

リーファの説明を聞いて、キリトはキランと目を輝かせた

 

そして、リーファからレクチャーを受けながら踊っていると、突如として大きな鐘の音が響き渡った

 

「な、なに!?」

 

いきなりの大音量にリーファが驚いていると、キリトが後頭部を掻きながら

 

「あっちゃぁ……もうそんな時間か……」

 

と呟いた

 

「キリトくん……どういうこと?」

 

リーファが問い掛けると、キリトは月の方向を指さして

 

「あちらをご覧ください」

 

と言った

 

意図がよく分からず、リーファは首を傾げながら月に視線を向けた

 

最初は分からなかったが、それは見えた

 

最初はバーチャルのバグかと思い、次には何かが重なっていると思った

 

だが違った

 

それは、徐々に近づいてきていた

 

鋼鉄と土とで構成された、百層に重なっている巨大な浮遊城

 

「そんな……あれって!?」

 

リーファはそれの正体に気づいた

 

それは、二年間に渡り約一万人が過ごした鋼鉄浮遊城だった

 

「アインクラッド……」

 

リーファはこの時、初めてあの城の名前を知った

 

「けど、なんであの城が……?」

 

リーファが問い掛けると、キリトは両手を後頭部で組んで

 

「須郷がコピーしたSAOデータの中に、アインクラッドのデータも丸々有ったみたいでな。それを見つけたユーミルの人達が、『かの伝説の鋼鉄浮遊城を出そうじゃないか!』って決めたらしいんだ」

 

キリトはそう説明すると、手をアインクラッドの方に伸ばして

 

「今度は完全に征服してやるんだ……あの時は七十五層で終わってしまったから、今度はちゃんと頂上まで!」

 

と宣言すると、次にリーファへと視線を向けて

 

「なあ、リーファ……手伝ってくれないか?」

 

と問い掛けた

 

「え?」

 

「俺、弱くなっちまったからさ……一緒にあの城を制覇しようぜ」

 

リーファが首を傾げると、キリトはそう言った

 

何を隠そう、キリトの今のステータスはほとんど初期ステータスから始めたので以前と比べてかなり低いのだ

 

運営がユーミルに委託された時、ユーミルは元SAOプレイヤーに対しては旧SAOのデータを引き継いで始められるようにもしたのだ

 

だが、キリトはそれを選ばずに、一から始めたのだ

 

理由はキリト曰わく

 

あの世界(アインクラッド)でのキリトの役割は、もう終わったんだ』

 

とのことだった

 

それを聞いて、アスナ達は納得した様子で頷いていた

 

その時

 

「キリトオォォ!」

 

という、野太い声が聞こえた

 

キリトが声のした方に視線を向けると、そこに居たのはクラインを筆頭とした風林火山やアリシャ・ルーやサクヤ、ユージーン将軍

 

レコンやツユカ、ユーヤ。シュンにソンサクといったメンバーが次々とキリトを追い越していった

 

「キリト、お先!」

 

「遅いぞ、キリト!」

 

「キリトさん!」

 

「遅いわよ、キリト!」

 

「キリトくん!」

 

続いて現れたのは、ヨシアキを先頭にした黄昏の風メンバーだった

 

そして、先に飛んでいったメンバー全員に言えるのは、全員が期待と興奮に満ちた目をしていたことだ

 

それを見て、いつの間にかリーファの胸中にも期待と興奮が満ちていた

 

そして、キリトに手を伸ばして

 

「キリトくん! 行こうよ!」

 

と言った

 

すると、キリトの背後にアスナとユイが来て

 

「キリト君、行こう!」

 

「パパ、行きましょう!」

 

と二人して言った

 

それを聞いて、キリトは頷いてからアインクラッドを見上げて

 

「ああ、行こう! 新しいゲームの始まりだ!」

 

と言うと、アインクラッド目掛けて飛び始めた

 

 

 

こうしてまた、かつての鋼鉄浮遊城を駆け抜けた剣士達と妖精の戦士達は蘇った鋼鉄浮遊城へと向かっていった

 

 

フェアリィ・ダンス編 完




次はおまけで、フィリアとの出会いを書く予定です

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