ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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迷宮区を知る

「ここが……迷宮区……」

 

「ああ。フィールドより強いモンスターが徘徊している。気を付けろ」

 

ウィングが呟くと、ケイトはそう言った

迷宮区一階

そこに、ケイト達は居た

 

「さて、隊列だが……俺とエリス、ノエルの三人が前。真ん中にウィング、アネット、ルチア、カーラ、ルクス。後衛にシノ、エヴェイユ、トトナだ……さて、行くぞ!」

 

「はい!」

 

「分かった!」

 

ケイトの指示を聞いて、全員は返事をした

そして、進み始めた

この時ウィングは、言い様のない緊張を感じていた

なにせ、歴戦のプレイヤーたるケイト達もフィールドとまったく違う雰囲気を醸し出していたからだ

フィールドでは気楽かつ気を抜いていた

しかし、迷宮区に入った瞬間に、気楽さは変わっていないが、気を抜いた様子は無くなった

つまり、気を抜くことは出来ないのだ

その時、今まで壁だと思っていた場所が突如として開き、そこから獣人タイプのモンスターが現れた

それは、ルクスに対して剣を振り上げたが、ルクスは即応

そのモンスターを、一刀で弾き飛ばした

しかも、現れたのは一体だけではなかった

その奥から、更に数体現れた

 

「視認! コボルトが5! 戦闘態勢!」

 

ケイトが指示を下すと、エリス達は即座に構えた

 

「ウィング、アネット!」

 

「はい!」

 

「ええ」

 

更に二人の名前を呼ぶと、二人は即座に詠唱を開始した

アネットは確かに基本的には剣士だが、魔法も使える

なので、今のように支援魔法も使えるのだ

二人が呪文を詠唱している間、ケイト達はコボルトを二人に近づかせないように戦った

そして、二人の魔法によりコボルトは全滅した

すると、ウィングが

 

「なるほど……この迷宮区というのは、このように様々な罠もあるんですね……」

 

と呟いた

そう、迷宮区は様々な仕掛けが施されている

油断していれば、それが死に繋がる

それを、ウィングも理解したようだ

 

「その通り……俺達は、そうやって迷宮区を一階ずつ攻略……上を目指したんだ……生きて帰るためにな……」

 

「大変でしたよね……一層ごとにテーマが決まってて、罠が多かったり、複雑な仕掛けがあったり……」

 

「何度か撤退したり、装備を変えたり……アイテムを揃えたり……」

 

「今更ながら、よく攻略出来たわよね……中には、エグい仕掛けとかあったのに……」

 

とSAO生還者達は、思い出しながら言った

それを聞いたウィングは、ルクスに視線を向けて

 

「そうして、4000人も……?」

 

と問い掛けた

 

「うん……モンスターと戦ったり、罠に掛かったり……同じプレイヤーに殺されたりしながらね……約4000人が亡くなった……」

 

その問い掛けにルクスは、暗い表情を浮かべながらそう答えた

特に彼女は、負い目があるから複雑なようだ

 

「さて、どうする? 迷宮区の雰囲気は分かったと思うが……街に戻るか?」

 

ケイトがそう問い掛けると、ウィングは少し悩んでから

 

「いえ、この迷宮区の頂上を目指しましょう……もう少し、知りたいですから」

 

と答えた

それを聞いたケイトは、頷き

 

「分かった……では、隊列は先のままで行く!」

 

と言って、歩きだした

先導者として

何より、攻略組の一人として


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