余裕があればもう一話書きたいと思っています!
今回少し長めです!v(`ゝω・´)
篠宮との戦いを終え、ミナト達は9Fまで到達していた。
途中、見張りとして立っていたサングラスをかけた男を烏間は一瞬で首を絞め、気絶させた。
「ふうぅ〜…だいぶ体が動くようになってきた。まだ力半分ってところだがな」
「力半分で俺等の倍強ぇ…」
「あの人1人で侵入した方が良かったんじゃ」
烏間の強さに木村と片岡は驚きつつ呟いた。
「皆さん」
声の主である律は携帯の画面に現れ、最上階部屋のパソコンカメラに侵入したことを伝える。
「最上階エリアは一室貸し切り、確認する限り残るのは…この男ただ1人です」
律の言葉と共に生徒達は携帯を覗き込んだ。
そこに映っていたのは部屋の中で1人、パソコンに目を向け背中を向け座り込む男の姿だった。
その男は監視カメラを使ってウィルスに感染し苦しむクラスメイトの姿を眺めていた。
「クソッ! こいつ楽しんで見てやがる、変態野郎が」
そんな寺坂の震え声に渚は不安を抱いた。
「あのボスについてわかってきたことがあります」
皆が携帯を覗き込む中、殺せんせーは言った。
「黒幕の彼は殺し屋ではない、殺し屋の使い方を間違えています。先生がこんな姿になり警戒の必要が薄れ見張りと防衛に回したのでしょう…でもそれは殺し屋本来の仕事ではない、彼等の能力はフルに発揮されれば恐るべきものです」
殺せんせーの言葉に千葉と速水はガストロの銃の正確さを思い出し、カルマは殺し屋本来の実力を発揮したグリップを想像し冷や汗をかいた。
「それじゃさっきの篠宮って人も?」
不破の言葉に殺せんせーは少し悩んで応えた。
「彼は見張りでも防衛でも無く、初めから戦う気でいた。それもミナト君をターゲットに……彼については先生もよく分かりません」
敵は殺し屋ではない、烏間は殺せんせーの言葉を機に、今まで倒した見張りについて考えいた。
(ここに来てからずっと頭に引っかかっている不安要素、連絡が取れなくなった殺し屋については解決したが、もう一つ解決していないことがある…防衛省内で起こった問題……まさか‼︎)
「烏間先生?」
片岡に声をかけられ、烏間は考えることをやめた。
「時間がない、こいつは我々がエレベータで来ると思っているはずだが、交渉期限まで動きが無ければさすがに警戒を強めるだろう…ここに役割を指示していく」
烏間が指示を出すなか寺坂の様子を不信に思った渚は寺坂の首筋に手を触れた。
「寺坂君すごい熱だよ…まさかウィルスんッ」
「黙ってろ」
寺坂は渚の口を押さえ、誰にも聞かれぬよう小声で応えた。
「俺は体力だけはあんだからよこんなモン放っときゃ治んだよ。それに俺のせいで烏間の先公がガスを浴びちまった…それ以前に俺のせいでお前等を殺しかけた事もある…こんなとこで脱落してこれ以上足引っ張れるわけねーだろ」
「寺坂君…」
「それによ……俺よりヘトヘトな奴が踏ん張ってんだ、俺が倒れたらあいつに何て言われるか」
渚は寺坂の言葉に疑問を抱くが寺坂の視線の先を見て理解した。
「まさか‼︎」
「あいつも心配かけないために踏ん張ってんだよ…」
篠宮との戦いを終えた後、ミナトは速水に肩を借り最上階へ向かっていた。
恥ずかしいから断ったが速水の気迫に押され、肩を借りる事になった。
「ミナ…津芽、顔赤いし体、熱いけど大丈夫?」
「へーきへーき♪あんだけ動けば誰でもそうなるよ」
ヘラヘラ笑うミナトを前に速水は俯き申し訳なさそうに言った。
「ごめんね…私の」
「ストップ‼︎」
だが速水の言葉はミナトによって遮られる。
「言ったろ?守るためだって、凛…速水が無事だったから俺は満足だよ。少し…無理させちゃったけど」
ミナトは少し負傷した速水を見て俯いた。
「私も平気だよ?お互い様だね、ありがとうミナ………ミナト」
恥ずかしいそうにしつつもまっすぐミナトを見て応える速水。そんな速水に名前で呼ばれミナトは自分の体温がさらに上昇した事を実感した。
(めっちゃドキドキする。そうか好きってことに気づいたんだし……ヤバイな熱い……さすがに…これ以上凛香に心配させたくないからな…)
ミナトは震える足に力を込め、速水に肩を借りつつも、皆とともに最上階を目指し進み始めた。
一方その頃コンサートホールでは……
「クソッたれ、あいつら絶対に殺してやる」
簀巻きにされていた篠宮は目を覚ましたが、ミナトとカルマが仕掛けた激辛トラップに悶絶していた。
(とりあえず今の状態から脱出しねぇと、それから毒刀・鍍を持ってあいつらを…)
そこで篠宮は気付いた手元にある毒刀・鍍が無くなっていることに。
(毒刀がねぇ‼︎あいつら持って行きやがったのか⁉︎)
毒刀を探し、辺りを見回す篠宮は不意に目の前に立つ男の存在に気づいた。
(なんだこいつ…存在を認識できなかった…)
「君が探してるのはこれかい?」
そう言う男の手には毒刀・鍍が握られていた。
「返せ!それは俺の刀だ!」
「君にこの刀は使えない、その証拠に君は津芽湊に負けたじゃないか」
男の言葉に篠宮は苛立ち怒鳴りつけた。
「どこの誰か知らねぇが、俺はもうあいつに負けることはねぇ‼︎まずはあいつの心から殺してやるそのために……」
「彼女を殺すのか?」
問いかけてきたのは女の声だった。
その女はゆっくり篠宮に近づき見下したまま言い続けた。
「お前は殺し屋として低レベルだな…雇い主との契約さえ守れないのか…」
ため息混じりに言う彼女の言葉に篠宮はさらに苛立つが疑問を抱いた。
「…なんでお前が雇い主の事知ってるんだ?」
「…ただの単純馬鹿ではないようだな」
彼女の言葉に篠宮が反論しようとした時、背中に衝撃が走った。
「あがっ‼︎」
篠宮はゆっくり振り返り自分が何者かに踏みつけられている事に気づく、だが次の瞬間篠宮はその人物が雇い主である事に気づいた。
「君に与えた仕事は津芽湊の観察、そのために君に毒刀のありかを教え、彼が君に協力を求めるよう仕向けた」
篠宮は彼の言葉に恐怖しつつ問いかけた。
「な、なんであんたがここに?」
「君の前にいる2人、スケルトンとunknownは僕の直属の部下でね」
男の言葉に篠宮は2人に視線を移した。
《スケルトン》 自分の気配を完全に消し殺気すら漏らさず相手に存在を認識させずに殺す事からついたコードネーム
《unknown》最近現れた暗殺者 性別、殺害方法、今までの経歴さえ知られていない事からついたコードネーム
篠宮が目の前の2人を認識すると、男は言い続けた。
「言ったはずだよ?津芽君と戦う事は許可するが殺すなと…それから……人柱である速水凛香には一切手を出すなと」
殺気混じりの言葉に篠宮は尋常じゃない量の汗をかいていた。
「2人に与えた任務は毒刀・鍍の回収それだけだ。だから君自身がどうなるかは彼等次第…」
「ま、待ってくれた契約に背いたことは謝る だから‼︎…ひっ‼︎」
篠宮はいつの間にか目の前に立ち鋭い眼光を向ける雇い主に怯えていた。
「後は君たちに任せる。僕はそろそろ仕事に戻るよ…」
雇い主が2人の間を通り抜けようとした時スケルトンは問いかけた。
「また副業かい?」
「まぁね、彼も彼女もそろそろ本格的に仕掛けるようだし」
「なーんて言って美味しいところは全部あんたが持ってくんでしょ?」
「おい!言葉を謹め!」
スケルトンの言葉にunknownが指摘すると、雇い主の男は構わないよと言って応えた。
「彼女も可能性を秘めているけど、津芽君ほどじゃない…綺麗な花を咲かせるためには間引きも大事だからね」
冷たい笑みを浮かべる雇い主の男。その言葉にスケルトンとunknownは身震いした。
「それじゃ後は任せたよ 譲、真琴」
スケルトン 夏川譲 通称ジョーと
unknown 泉真琴が了解と応える中、雇い主である男はコンサートホールを後にした。
「人柱との関係がより強くなった…篠宮の働きも少しは評価してあげようかな……種は少しずつ育ちやがて綺麗な花を咲かせる…だがその花は毒で人を死に追いやる綺麗な花だけどね…」
そう呟き雇い主の男は高笑いした。
「君の可能性を信じてるよ津芽湊君」
スケルトンとunknownの2人は名前を見てモデルとなっている人物が誰か分かるかもしれません。
だいぶ話が長くなっている南の島編、最後にはしっかりミナトと速水をイチャつかせるので、もうしばらくお待ちください!
感想、ご指摘お待ちしてますv(`ゝω・´)