今回も少し長めとなっていますがご了承ください(´・ω・`)
片岡達は振り返り、声が聞こえた方に目をやるとそこには、ハンチング帽を被り杖を持つ男の姿があった。
その男は片岡達を見ると何かに気づき、矢田に歩み寄り耳元で囁いた。
「君の持ってるその代紋使ってこの場はやり過ごそう。アドリブになるけど俺に話し合わせてね?」
そう言うとハンチング帽の男はしれ〜っと片岡達の横を通り過ぎ、ミナト達に声をかけた男達の前にたった。
「何だよ?おっさん」
「お前も一緒にぶっ飛ばされたいのか?」
「俺の名前はジョーって言うんだ。その子達を探してたんだよ。いや〜助かった、白鳥白鳥」
「「「は?」」」
ジョーと名乗る男の意味のわからない言葉にミナト達は?マークを浮かべていた。
「あれ?スワンスワンってギャグなんだけど…あちゃー、君達も結構歳いってると思ったけどそうでもないのか」
ジョーの適当な言動に、男達はイラつき殴りかかっていた。
「いけないなー暴力反対」
そう言うとジョーは手に持った杖で2人の攻撃を弾き防いでいた。
その動きに片岡達が驚いているとジョーは振り返り呼びかけた。
「お嬢!探してたお友達見つけましたよー」
ジョーの言葉に矢田はさきほどの話を思い出し歩み寄っていった。
(そっかここであれを使えばいいのか)
「よかった探してたんだー。ねぇお兄さん達、遊びに誘ってくれたのは嬉しいんだけど、今日はあいにくパパ同伴なんだ私達」
「ひゃひゃひゃパパが怖くてナンパできッか……」
「じゃパパに紹介する?」
矢田はそう言うとヤクザの代紋を男達に見せつける。
(あれは…たしか少人数だけど凶悪で有名な…)
2人が代紋を見て怯えているのを感じ、ジョーはさらに追い討ちをかける。
「やれやれ、津芽嬢と速水嬢に何かあったら2人の父親に消されちゃいますよ」
ジョーの言葉に男達は2人を驚愕の目で見る。
(この2人もヤクザの娘⁉︎)
「し…失礼しました」
2人はそう言うと一目散に逃げ出していった。
「いくじなし、借り物に決まってるのにね」
矢田は代紋を指で弾きながら言うと、ジョーが声をかけてきた。
「いや〜いい感じに話し合わせてくれてありがとね〜」
「「あの、ありがとうございました!」」
速水とミナトの2人はジョーに頭を下げる。
「困ってる女子を守るのは男の使命だからね」
そう言うとジョーはミナトに目を移す。
「君もその子ちゃんと守っててカッコよかったよ」
ジョーに言われミナトが速水に目を移すと、速水は俯いていたがその顔は赤くなっていた。
「それじゃ俺はそろそろ失礼するよ、待ち合わせをしてるの忘れてたからwさらば若人たちよ!」
ジョーはそう言って去っていくが途中立ち止まり振り返ると、大声で叫んだ。
「さっきの2人は否定してたけど、俺はゴスロリも猫耳もとてもかわいいと思ってるよー!」
「余計なお世話だ‼︎」
怒鳴るミナトに対しジョーはひらひらと手を振り、テラスを後にした。
「かわいいってさ、津芽」
ジョーの言葉を速水は再び口にした。
「女装してる俺なんかより、速水の方がかわいいだろ」
「え?」
ミナトの口から出た言葉に、速水は驚きを隠せなかった。
「え?あっ、いや………うん、女装してる俺より、速水の方が断然かわいいと思うよ」
ミナトは速水に聞き返され、どう誤魔化すか悩んだが、考えを改め自分の気持ちを素直に伝えた。
「……私も…津芽はかっこいいと…思う」
「あれー?速水さん顔赤くしてどうしたの?」
「ついでに津芽も赤いけど?」
「不破!うるさい!」
「ちょ岡野、なんで俺はついでなんだよ!」
ミナトと速水が岡野と不破の言葉に動揺を隠せずにいるのを見て、片岡は安心したように言った。
「やっといつもの2人に戻ったね」
片岡の言葉にミナトと速水はお互い顔を合わせ、以前のような明るい笑顔を見せていた。
「いやーお待たせ まこっち」
「遅い、出来る男は10分前行動じゃなかったのか?」
「いやー店内で困ってる女の子達がいたから、助けないわけにはいかないでしょう。それにボスの観察対象がいるクラスの子達だったし」
まこっちの言葉にジョーは申し訳なさそうに応えるが、次第に真剣な顔つきになっていった。
「それも大事だが、今は与えられた任務を確実にこなせ」
「わかってるよ〜毒刀・鍍の回収だろ?」
「なら早く行動に移せ、ボスももうしばらくでここに着くそうだ」
「あれ?ボスも来るの?」
「さっき連絡があった。あ、それと先ほどお前と話してたゴスロリ服の彼女、いや彼がその観察対象だぞ?」
「え?…………えーーーーーー⁉︎」
驚愕するジョーにまこっちは溜息を吐きつつ呟いた。
「私はなんでお前みたいなふざけた奴が、優れた暗殺者として活動しているのか不思議だ…」
片岡達は店の奥へとたどり着いていたが、案の定7Fへ上がる階段の前に見張りが立っていた。
「あの見張りおびき出したり出来ないかな…」
「強行突破は避けたいよ」
「バレないように関節決めるか?」
岡野、速水、ミナトの3人がどのようにして、先に進むか考えている頃、片岡は茅野に声をかけた。
「茅野さんとりあえず渚を呼んできて?」
「わかった!」
しばらくして茅野が渚を連れ、ミナト達に合流するが………
「なんかついてきた…」
「おう待てって彼女等‼︎大サービスだ、俺の十八番のダンス見せてやるよ‼︎」
そう言って先ほどの野球帽を被った少年 ユウジはミナト達の前でダンスを披露するが、そのダンスをミナト達は冷めた目で見ていた。
(((邪魔…)))
ダンスも終盤に差し掛かり、ユウジは調子に乗り始め次第に動きが大きくなっていった。そして手を高々と掲げた時、たまたま近くを通りかかった男が持っていたビールを弾き、そのまま上着にかけてしまった。
「おいガキ、いい度胸だちっと来い」
「あ、いや今のはわざとじゃ…」
ミナト達は目の前の光景に溜息を吐いた。
「岡野、あいつ助けてやれよ」
「はぁ、仕方ないなー」
ミナトの言葉に応えると、岡野は男に歩み寄り、アクロバティックに回転に男の顎を蹴りつけた。
それを見た矢田は見張りの男に声をかけた。
「すいませーん店の人〜、あの人急に倒れちゃって〜」
「は、はい ドラッグのキメすぎか?まったく…」
従業員の男は呆れながらも、倒れる男を運んでいった。その隙を見逃さず、片岡は裏口の鍵を開け男子達と共に7Fへ続く階段を上っていった。
そんな中渚は、驚いて腰を抜かすユウジに声をかけた。
「女子の方があっさりカッコいい事しちゃっても、それでもメゲずにカッコつけなきゃいけないから、辛いよね男子は。今度会ったらまたカッコつけてよ、出来れば麻薬とダンス以外でね」
そう言い残し渚は他のクラスメイトと共に7Fに続く階段を駆け上がっていった。
そして、ユウジは走り去る渚と先ほどの言葉を思い出し、ドラッグをウェイターの持つトレーに置き捨てた。
とりあえず、生きにくくなるので、
ハイになる薬はダメ‼︎ゼッタイ‼︎
「最高にハイってやつだー」
「スター◯ラチナ‼︎」
「オラァ‼︎」
こうなっちゃうからねー
一応ミナトと速水の険悪なムードは今回で解消となります?
速・湊(仲直りできてよかった…)
でもちゃんと謝ってるわけではないんで、その時は2人きりでね?
速・湊(……………え?)