カルマは手に持った観葉植物を振り下ろすが、グリップその攻撃は簡単に受け止め、メキメキと握りつぶした。
「柔いもっと良い武器を探すべきだ…それと便座カバー……間違えたぬ」
「必要ないね」
そう言うとカルマは手に持った観葉植物を手放し、こちらに向かってくるグリップに対し構える。
(あの手に一度でもつかまれたらゲームオーバー、無理ゲーだけど…立場が逆なだけでいつもやってんだよね)
カルマはグリップの攻撃を全て避けるか捌いていた。その動きに生徒達が驚く中ミナトは呟いた。
「あれ烏間先生の防御テクニックじゃない?」
ミナトの呟きを聞き烏間はカルマの動きを見直し確信した。
(殺し屋にとって防御技術は優先度が低いから授業で教えた覚えは無い…目で見て盗んだのか…赤羽業このE組でも…戦闘の才能は頭ひとつ抜けている)
防御に徹するカルマにグリップは攻撃を止め問いかける。
「どうしたぬ?攻撃しなくては永久にここを抜けれぬぞ?」
「どうかな〜あんたを引きつけといて皆がその隙にちょっとずつ抜けるのもアリかな〜って」
「…………」
「…安心しなよそんなコスい事は無しだ。今度は俺から行くからさ、正々堂々素手のタイマンで決着つけるよ」
カルマの言葉にミナト、寺坂、吉田の3人は顔を見合わせ、ミナトは呟いた。
「………あいつの辞書にそんな言葉あんのかよ」
「良い顔だぬ少年戦士よ。お前とならやれそうぬ、暗殺稼業では味わえないフェアな闘いが」
その言葉と共にカルマはグリップめがけ走り、飛び蹴りを決めた。…がグリップは左腕で防ぎ、続くカルマの右拳を同じく左腕で防いでいた。
(ここまでは予定通り、おじさんぬの意識を左側に向けさせて…)
カルマは意識が薄れている右足の脛めがけ蹴り込んだ。
「くっ…」
予想外の攻撃にグリップはカルマに背中を見せる。
その場にいる誰もが絶好のチャンスと思った、カルマもそれを見逃さずグリップとの距離を詰め、トドメを決めるという時だった…
カルマの視界を塞いだのはガス
それもスモッグが使っていたのと同じガスだった。
グリップは倒れかかるカルマの頭を掴んだ。
「一丁あがりぬ。長引きそうだったんでスモッグの麻酔ガスを試してみる事にしたぬ」
それを見た吉田は叫んでいた。
「何がフェアだよ!そんなモン隠し持ってたくせに!」
グリップは右手でカルマの顔を掴み、持ち上げつつ応えた。
「俺は一度も素手だけとは言ってないぬ。拘ることに拘りすぎない…この仕事をやってく秘訣だぬ」
淡々と応えるグリップだったが、1人の生徒に目がついた。
「何がおかしいぬ?暗殺者の息子よ」
「その呼び方やめろっての…いやーもうおかしくてさ…いつまでも寝てんじゃねぇよ」
ミナトの言葉にグリップは疑問を抱いたが……
ブシュッ‼︎
気付いた時にはグリップの顔面にガスが噴射されていた。その光景にグリップだけで無く、生徒達も驚いていた。
「奇遇だね〜2人とも同じ事考えていた」
(何故…お前がそれを持っているぬ。しかも…何故お前は俺のガスを吸ってないぬ)
「ぬぬぬうううう‼︎」
グリップは体が麻痺しつつも最後の力を振り絞り、内ポケットから取り出したナイフをカルマめがけて突く。だが……カルマは冷静にその攻撃を躱し、逆に関節を決めグリップを床に押さえつけていた。
「ほら寺坂・ミナト早く早く、人数使わないとこんな化けモン勝てないって」
「あいつの辞書に正々堂々とかあるわけねーよ」
「ああ、まったくだぜ」
ミナトの言葉に寺坂は共感し、皆でグリップにのしかかり身動き取れぬよう縛り上げた。
「何故…何故お前は俺のガス攻撃を読んでいたぬ」
縛り上げられたグリップはカルマに問いかけていた。
「とーぜんっしょ素手以外の全部を警戒してたよ。俺等をここで止めるならあんたはどんな手段も使うって思った…俺でもそっちと同じ立場ならそうしてたよ……あんたのプロ意識を信じた、だから警戒した」
カルマが良い感じに変わったと渚が思った時、殺せんせーは言った。
「カルマ君は期末テストで敗者となり身をもって知ったでしょう。敗者も同じ様にいろいろ考えて生きている事に…敵に対し敬意を持って警戒できる人、戦場ではそういう人を…隙が無いと言うのです」
「殺せんせー、いい感じの事言ってるとこ悪いけど俺カルマが変わったとは思わ無いよ?」
「にゅ?」
ミナトの言葉に渚と殺せんせーがカルマの方を見ると、先ほど縛り上げたグリップの鼻にわさびとカラシをねじ込んでいた。
「さぁおじさんぬ、今こそプロの意地を見せる時だよ」
「モガアアアアアア‼︎モガ…モ……」
カルマの言動にE組の生徒達はグリップに哀れみの目を向けていた。
グリップを後にし生徒達が上を目指そうとしていた頃、カルマは不意に何者かに呼び止められた。
「…君だれ?」
「君達、最上階を目指してるんでしょ?ならこれが必要になる時がくるよ」
そう言うと彼はカルマに箱を渡してきた。
「これを使いこなせるのは彼しかいない……あ、付属してあるのも使うように言っといてね?」
「ちょ、何のことかわから無いんだけど…」
「いずれわかるよ…それじゃまたねー」
「おい!まだ話は……いっちゃったよ、何だったんだ?」
カルマは渡された箱の上にカードが置かれていることに気付いた。
カードの内容を読み取り、カルマは疑問と共にイタズラをする時のにこやかな笑顔を浮かべていた。
「いったいどこの誰かは知ら無いけど、こんないいものくれたあいつに感謝しないとね」
笑みを浮かべ呟くカルマ その手に持つカードには九重 楓(ここのえ かえで)と先ほど箱を渡してきた彼の名前が書かれていた…
今回と次回は、☆麒麟☆さんが書く暗殺教室の作品
『プロの暗殺者は学生?』の主人公 楓君に登場してもらいます!☆麒麟☆さんの作品の紹介は次回行いますv(`ゝω・´)
作者も初の試みです、☆麒麟☆さんの楓君をうまく書けるか不安ですが精一杯頑張ります!
湊「大丈夫かこの作者で…」