後半はちょっとシリアスに書いたつもりです。
仕事が休みなんで小説を書ける時間が多いのは大変嬉しいです!
ミヤコが新しく生徒会の一員になることを決めた後、理事長室には浅野學峯と浅野学秀だけが残っていた。
「さて浅野君、個人総合1位キープおめでとう…と言いたいところだが何やらE組と賭けをしていたそうじゃないか。そして君は負けた…どうする?学校で庇ってあげようか?」
「………結構です。」
「私の事を…『首輪つけて飼ってやる』とか言ってたね。ありもしない私の秘密を暴こうとしたり…よく言えたものだ、同い年との賭けにも勝てない未熟者が。」
父の嫌味混じりの言葉に浅野は苛立ちを隠しきれなかった。
E組 教室内
「さて皆さん素晴らしい成績でした。皆さんが取れたトップは3つです。早速暗殺の方を始めましょうか。トップの3人はどうぞ3本ご自由に。」
「おい待てよタコ、5教科のトップは3人じゃねーぞ。」
そう言ってきたのは寺坂、吉田、村松、狭間の4人だった。
「?3人ですよ寺坂君、国・英・社・理・数全て合わせて…」
「はぁ?アホ抜かせ。」
そう言うと寺坂達はそれぞれ答案を教壇の上に差し出した。
「5教科っつったら国・英・社・数…あと家だろ」
(か…家庭科ァ〜〜〜〜⁉︎)
教壇の上に置かれた答案は家庭科のテストだった。しかも4人共100点満点。
「だーれもどの5教科とは言ってねーもんな。」
「クックック クラス全員でやりゃ良かったこの作戦。」
慌てふためく殺せんせーを前に寺坂と狭間してやったりと言わんばかりの笑顔で言った。
「うわー、殺せんせー今回のテストで触手7本も失うのかーかわいそうだな〜」
一番後ろの席に座るミナトは同情しているように言うが、その顔は笑っていた。
「いやいや‼︎家庭科なんてテストのついでじゃ…」
「…ついでとか家庭科さんに失礼じゃね?殺せんせー 5教科のなかで最強の家庭科さんにさー」
カルマも先ほどの仕返しにと追い討ちをかける。それに続いて他の生徒達もどんどん言い放っていった。
「それと殺せんせー これは皆で相談したんですが、」
そんな中手を挙げ発言したのは、クラス委員の磯貝だった。
「この暗殺に…今回の賭けの賞品も使わせてもらいます。」
「……what?」
期末テストを終え、E組の生徒達は一学期の終業式を迎えていた。
ー渚視点ー
いつものE組いじりもウケが悪い。
悪い見本であるE組がトップ争いをしちゃったから。今日ここに殺せんせーはいないけど、僕等はしっかり前を向いて立っていられた。
でも……
「それでは今回新しく編入してきた生徒の紹介をします。」
本校舎の先生がそう言うと壇上に1人の生徒が上がった。
「…初めまして皆さん。先ほど先生もおっしゃったように、この度編入してきた津芽都と申します。」
僕等は彼女が理科で学年1位を取った生徒だと気付いた。編入してきたんだ名前も知るはずがない。
だけど壇上にあがり全生徒の前で話す彼女は、微笑んでこう言った。
「E組に在学中の兄 津芽湊共々よろしくお願いします。」
その言葉に僕達は驚愕した。
鷹岡先生が言っていた 津芽君の妹は殺されたと…でも今、目の前で微笑む彼女は確かに津芽湊を兄と呼んだ。
ー渚視点終わりー
E組に戻っても皆編入生のことが頭に残っていた。
「なぁミナト、お前の妹って殺されたんじゃ…」
「…確かに殺されたよ」
「じゃあなんであいつはお前のことを兄って言ったんだよ?」
岡島や前原に質問攻めされ、津芽はとても苦しそうだった。
「岡島、前原そんなに質問攻めされたら津芽だって…」
「俺にだって分からねぇよ‼︎」
速水のフォローはミナトの声と机を叩く音で掻き消された。
そのままミナトは教室を出て行ってしまった。
渚は静寂が続く教室の中で殺せんせーの名を呼んでいた。
「どうしました?渚君」
「僕自身もわからないんだ…津芽君の力になりたいけどその方法が分からない…」
他の生徒達も同じ悩みを抱えていた…
「人は時に1人で考えることも大切です…ですが、それでも人はやはり1人では生きていけない、他の誰かの支えが必ず必要になのです。」
殺せんせーがそう言うや否や速水は教室を飛び出していた。
「大勢で押し寄せてはさっきと同じ結果になってしまう、今は速水さんに任せましょう。」
私はただひたすらに走った。
自分でもなんでこんなに必死になっているのか分からなかった。
ただ今はあいつの側にいてやりたい、それだけだった。
「津芽!」
私はプールサイドに座る津芽を見つける。
そんな私の声に気づき津芽は振り返るが、その目には涙の跡が残っていた……
津芽は再び振り返る、まるで涙の跡を隠すように…
「悪いなークラスの雰囲気悪くしちゃって、前原と岡島怒ってた?やっぱ怒ってるよなー、後で謝らないと…」
私には分かる今あいつが無理していることを…
「しっかし良かったよなー A組の賭けに勝てて。絶対A組の奴らよからぬこと考えてたぜ?」
陽気に話しているけど分かるよ津芽…
「明日から夏休みかー、暗殺もいいけどやっぱ俺は断然ゲームだなー」
私には分かるよ…だから……
「無理しないで…」
私はそう言って津芽を後ろから抱きしめた。理由なんて無かった、ただそうしてあげたいそう思った。
「悪い速水…離れて…」
「離れないよ…」
「お願いだから…離して」
「離さない………だから大丈夫だよ、無理しなくても。」
「速水………ごめん、ありがとう…」
津芽は弱々しく私にお礼を言った。
それから津芽は落ち着きを取り戻し、私は隣に座って話を聞いていた。
話の内容はお母さんや妹との思い出話 そして目の前で殺された時の話
私はその話を黙って聞いていた。
「ここまで話したのは速水が初めてだ。ありがとう聞いてくれて、だいぶ落ち着いたよ。」
「なら良かった。」
「あいつらにも話そうと思う。前原や岡島だって心配してくれてああ言ったんだし、大切なクラスメイトだからね。」
「大丈夫?」
「ああ…大丈夫だよ」
そう応える津芽の手は震えていた。
私は震える津芽の手に自分の手を重ねた。
少しずつ津芽の手の震えもおさまっていった。
「あのー速水さん、そのーこんな状態が続くと俺にヘタレというタグが付いてしまうんですが…」
そんなことを言う津芽に私は笑顔で応える。
「いいんじゃない?ヘタレキャラでも」
「絶対却下‼︎」
そう言って津芽は立ち上がり、私の方へと振り返った。
「迎え来てくれてありがとう速水」
津芽はそう言って手を差し出してた。
私はそれに応えミナトの手を取り一緒にE組に向かって歩み始めた。
暗殺教室っぽく無い気がする……
でもこれはこれでありかな〜