津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:ケチャップ

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水泳の時間

ミナトは家に帰り着き、テレビを眺めながらサイベリアでの出来事を思い出し溜息をついた。

 

「余計なことしちゃったな〜」

 

片岡に対しての言動を悔い改めていると、窓を叩く音が聞こえてきた。

 

音の主はまぁ予想通り殺せんせーだった。

 

「あー殺せんせーごめんね、1人で先に帰ってさ…」

 

「いえいえ大丈夫です。おや、勉強中でしたかちょうどいいです津芽君、君にも片岡さんのために協力してほしいのですが。」

 

「…何すればいいの?」

 

それから殺せんせーの計画を聞きミナトは思ったことを言わずにはいれなかった。

 

「それ、拉致監禁じゃん…」

 

「そう思われないためにも完璧な演技と服装が必要なのです…」

服装…ってことは手先が器用な…

そうミナトが考えると1人の生徒が頭に浮かび上がった。

 

「まぁ、服装なら心当たりあるから俺から頼んでみるよ。」

 

「おぉ!ありがとうございます。

それでは23時頃裏山のプールに来てください。」

そう言うと殺せんせーはヌルフフフと笑って去っていった。

 

ミナトは心当たりのある人物に電話をかけ始める。

 

「あ、もしもし…ちょっとお願いがあるんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多川心菜は心地よい夢を見ていたが目を覚ます。家の中にいたはずなのに、なぜか幻想的な泉いた。しかもベットごと。

 

「目覚めたみたいだね。えーとこ、ここは魚の国‼︎さぁ私達と一緒に泳ごうよ!」

 

そう言ってきた魚の国の住人と名乗る人物。ただ、多川は彼女がめぐめぐに似ていると疑っていた。

 

「めぐめぐとか知らないし…魚魚だし。」

 

「何その居酒屋みたいな名前⁉︎」

 

「僕の名前は魚太」《渚》

 

「私の名前は魚子だよー」《茅野》

 

「魚子は魚なのに浮き輪なの⁉︎」

 

「そして私が魚キング 川を海を自在に跳ねる水世界最強のタコです」《殺せんせー》

 

「タコかよ‼︎」

 

「んでもって俺がテッポ魚。鉄砲のように毒を吐くのが特技だよ〜」《津芽》

 

「毒吐くの⁉︎」

 

「素晴らしい連続ツッコミ、良い準備運動になってますね。」

 

それから殺…魚キングは多川を無理やり入水させる。

片…魚魚は慌てる多川を落ち着かせるが、

 

「今更泳げなくていいわよ!泳げないって言っとけばいい…あんたに似た友達が助けてくれるし‼︎」

 

「……」

 

魚魚は多川の言葉に何も応えられなかった。

 

「へっぽこだね〜最初っから出来ないて決めつけるなんてへっぽこだね〜」

 

その横を颯爽と泳ぐ津…テッポ魚が早速毒を吐いた。

(あれ、津芽君今日のプールの時間よりも泳げてる…)

片岡がミナトの泳ぎを見ていた時、完全防水先生用水着を着た魚キングは数々の秘泳法を披露していた。

 

 

ーセルフ流れるプールー

 

 

多川はあっという間に流され慌てふためくが隣で魚魚が冷静に指導していた。

 

「水着とかズルいよ魚キング‼︎」

 

「そーだよ‼︎生身で水に入れるかどうか見たかったのに‼︎」

 

魚太と魚子の発言に魚キングは生身でも入れますよ?と言って水着を脱ぎ捨てた。

 

「水に…生身で入ってる?」

 

「…いや違う…マッハで周りの水掻き出してる‼︎」

 

生身で水に入る魚キングに驚く魚子出会ったが、魚太はそれ以上に驚いていた。

 

 

ーセルフ波のプールー

 

 

「な何これ‼︎波はこっち来てんのに引きずり込まれる‼︎」

 

「それはねー離岸流って言うんだよー。岸に反射して沖に出て行く流れのことだよー。そんなのも知らないなんてへっぽこだねー」

 

テッポ魚に続いて魚魚が対処法を説明する。

 

「そういう時は岸と平行に泳いで流れから抜ける。とにかく絶対パニックにならない事!」

 

「知識だけ身につけてもダメですよ?朝まで死ぬほど泳いで、魚のような泳ぎを身につけましょう。」

 

殺せんせーは人間に体育を教えるのは向いてないと魚太、魚子は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後多川心菜は水を克服し、自分でも泳げるようになっていた。

片岡はその姿を見て、私の助け無くても平気だねと言い残し晴れて自由の身となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで彼女に責任は感じませんね片岡さん。時にはあえて厳しく手を離すことも大切だと覚えておいて下さい。」

 

「はい!ところで殺せんせー、津芽君泳ぎ上手くなってたけどどうして?」

 

「彼も彼なりに努力していましたよ。」

 

 

 

殺せんせーはミナトを誘いに行った時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

ミナトは自分の部屋でテレビを見ていたが、画面にはプールを泳ぐ選手達の姿が映っている。

 

「手の指先から足の親指の先まで一本の軸を意識…背中は反らさず…息を必ず口で吐ききる…か…」

殺せんせーはテレビを見ながら呟くミナトを暫く眺めていた。

 

(彼のいいところはその洞察力と集中力です。ある程度の動きは見ただけですぐに真似てしまうことが出来る。今後彼がどの様な成長をするのか楽しみですね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああそれと、察しの通り先生は泳げません。水を含むとほとんど身動きがとれなくなります。」

 

 

そう言うと殺せんせーは触手を一本プールに入れる。すると次第に触手は膨れ上がっていた。

 

「弱点としては最大級ですが先生は落ちない自信もあります…それに水中でも片岡さん1人なら相手できるでしょう。

ですから皆の自力も信じて皆で泳ぎを鍛えてください。そのためにプールを作ったんですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで片岡はどうなったの?」

 

速水はミナトが投げ渡した缶ジュースを受け取りつつ、問いかけた。

 

「めでたく自由の身になったってさ。 衣装作ってくれてありがとうね速水。」

そう言うミナトはプルタブを開けるのに手間取っている。

 

「…別に私だけじゃないし…原にもちゃんとお礼言っときなよ?」

 

はいよーと応えながらやっとの思いでプルタブを開け、ジュースを飲むミナトに速水は疑問を抱いていた。

 

「そう言えば片岡のこと怒ったって聞いたけど…どうして?」

 

「んー俺昔から他者に頼りきる奴が嫌いでさ…」

 

「そっか…変わらないね津芽は…」

 

「…変わらないって?」

 

「ううん!何でもない!」

 

速水は津芽が聞き返したことに対し、無理やりごまかした。

速水は少し安心しながらも、昔のことを思い出していた…

 

 

 


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